★5 亡くなった妻の影を追って異形と関わり合いを持ち… 完成度が鬼高のホラーミステリー #をんごく
■きっと読みたくなるレビュー
スゴイ、完成度が高い!
これで新人の作家先生ですか~、末恐ろしいですね。これからの活躍に超期待です。
大正時代、船場を舞台にした異形モノのホラーミステリーですが、世界
...続きを読む観がバッチシ決まってる。幻想的なのに迫りくる描写がリアルで景色が浮かぶ。ちょっと怖めのジブリアニメを観ているような、そんな感覚です。
時代背景も土地柄もしっかり取材もしてあるし、途中に挟まれる歌やセリフ回しも雰囲気を盛り上げる。しかも物語の長さも230ページほどしかなく、シンプルかつ切れ味鋭いのがイイ!
登場キャラクターも惹きつけるわ~。妻を亡くしてしまった人間味あふれる主人公の心情がホントよく伝わってくるし、巫女の不思議さも満点。そしてなによりエリマキですよ。この威風堂々とした異形キャラクターが強烈!ぜひアニメ化していただき、映画館で迫力満点の映像を見てみたいですね。
本作奇々怪々なホラーではあるのですが、しっかりと謎解きも施されています。いったい何が起きているのか、何故こんなことになったんだ、エリマキの存在とは、そして「をんごく」って何なのか…
時代や舞台がしっかりとキーになっていて、まぁ小説としての品質が高いよ。素晴らしいです。今年おすすめしたい一冊だと思いました。
■ぜっさん推しポイント
本作の事件となった動機と主人公が妻に抱いた愛情。まさに醜さと美しさ、光と影、生と死。このコントラストが物語全体を包み込んでいて、より作品のパワーを強めてるんですよね。
異形との関わりといったダークさが魅力の本作なんですが、それ以上に日本の洗練さや可憐さを感じ取れる作品でもありました。