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Posted by ブクログ
<小さな文芸誌>の謳い文句にぴったりのコンパクトな作りが可愛らしい文芸誌。でも開いてみると、回文、長編連載、読み切り短篇、翻訳小説、エッセイ、美味コラム、詩と、彩り豊かなコンテンツがぎゅっと濃縮されている。
継続する愉しみとしての後編連載は朝比奈秋さん「アンチエイジングクラブ東京」。今作も始まりから一気に惹き込む面白さで、続く楽しみが嬉しい反面本当に待ち遠しすぎる!不老への渇望が満たされるなら違法な方法であっても厭わないという悍ましい程の執着は、血の伯爵夫人のアンチエイジング方法を想起させるようでぞっとするが、欲望の果てを読まずにいられない期待作。
石田夏穂さんの読み切り短篇「ノーメイク鑑定士」も最高に面白い短篇で一気にファンになった。スッピンを通して27年の主人公・中村さんは、上司から営業先の社長にスッピンで仕事にくる社員をどうにかしろとクレームが入ったと言われ、自分がお叱りを受けているのかと思いきや、誰がスッピンなのか突き止めてメイクをするように促して欲しいと依頼される。
え?私じゃない?と驚くも、中村さんは特農ソース顔で、ノーメイクでもばっちりメイク認定をされていることが判明。自分がスッピンであるにも関わらずノーメイクの人を見つけ出し、メイクをするように促すという気まずい任務の行く先は…。心の中の葛藤も、スッピン探偵のさぐりの過程も最高に面白く、ミソジニー問題を軽やかに炙り出していく手腕が素晴らしかった。この短編を表題作とした短篇集が3月に刊行されるとあったので楽しみに待ちたい。
犬怪寅日子さん「オーリーリアの自殺人形」は戯曲のような作品で、鏡の国のように一読では深淵を見せてくれない魅力に溢れている。『「展開!」「意味!」厭な言葉だ。どうでもいいことだ。ただ美しいだけの情景を、文章を、書くだけではいけないというのだろうか。』読み進める程に他の作品も読みたくなった。
他にも翻訳作品の翻訳者は村上春樹さん、最果タヒさんの詩とエッセイなど、小さな枠に収まらない文芸誌の次号からも期待でいっぱい。
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