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「国境なき医師団」をもっと見に行く ガザ、西岸地区、アンマン、南スーダン、日本
世界の矛盾が凝縮された場所――パレスチナ。そこで作家は何を見て、何を感じたのか? 同時代の「世界のリアル」を伝える傑作ルポルタージュ! 抗議デモで銃撃されるガザの若者たち、巨大な分離壁で囲まれたヨルダン川西岸地区、中東全域から紛争被害者が集まるアンマンの再建外科病院ーー。 「国境なき医師団」に同行して現地を訪ねた作家が、そこに生きる人たちの困難と希望を伝える好評シリーズ最新刊。 文庫版では、新たに「南スーダン編」「日本編」を追加。 「見つめるほうも、見つめられるほうも、その瞬間を生きている。戸惑いの中から漏れる言葉に吸い寄せられた。」 ――武田砂鉄さん(ライター) 「いとうさんだからかけた、ニュースでは見えない人間のドラマ。最前線のリアルが立体的に伝わる一冊です。」 ――白川優子さん(「国境なき医師団」看護師) -
兄弟 追憶のhide
2022年夏公開の映画「TELL ME ~hideと見た景色~」原作! 主演は今井翼! 監督:塚本連平 出演:今井翼 塚本高史 JUON 津田健次郎 配給:KADOKAWA いま明かされるhideの素顔 X JAPANギタリストとして、ソロ・アーティストとしてミュージックシーンを全速力で駆け抜けたhide。弟が見つめた伝説のロックスターの「真実」がここに! 新エピソード満載で文庫化! X JAPANそしてソロ活動の絶頂期に急逝したギタリストhide。強烈な残像は今なおファンの胸を熱くし、若いアーティストたちを刺激する。hideのただ1人の弟であり、パーソナル・マネージャーだった著者が綴る“真実のhide”。少年時代、X再結成ほか新エピソードを満載して、待望の文庫化! 「本当の俺を見ててくれるのは、おまえだけだから」 いつもそばにいた弟が語る、hideの魂。 横須賀に生まれた3つ違いの兄弟、秀人と裕士。ギブソンのレスポールを手にどぶ板通りにかよった兄は、X JAPANでロックスターの頂点へと駆け上がる。弟は“hideさん”のパーソナル・マネージャーになった――。 ※本書は、2004年7月に角川書店より刊行された『兄弟 追憶のhide』に大幅加筆し、文庫化したものです。 -
スイート・マイホーム
冬は雪で覆われる長野で、妻と娘と3人で暮らしていたスポーツインストラクターの賢治は、「まほうの家」に心を奪われる。 なんと、たった1台のエアコンで家中を暖めることができるらしい。 今住んでいる家は、寒い。意を決して家を購入するも、引っ越し直後から次々に奇妙なことが起こり始める。 新居に招いた友人の子供は何かに怯えて二度と来てくれることはなくなり、赤ん坊の瞳には何やら人影が映る。 さらに、エアコンがある地下室に入り込んだ娘は何かに捕まり泣き叫ぶ。 そこに、恐怖を上乗せするかのように、関係者の一人が不審死を遂げる。 この家には、何かがいる――。 -
マジでガチなボランティア
ギャル男が、途上国に小学校と病院を建設! 女好きでチャラい医大生が、渋谷のクラブでイベントを開催、そのお金で、カンボジアに小学校、病院を建設した。今どきボランティアのモデルを提示。こんな僕が、カンボジアに小学校を建てちゃいました! 第4回出版甲子園グランプリ作品。チャラくてもチャリティ! ――合コンとナンパに明け暮れていた医大生の著者が、ひょんなきっかけから、カンボジアに小学校を建設することを決意。狂ったようにチャリティイベントを開催し、わずか8ヵ月で完成へ。しかし、次の無医村に病院を建てるプロジェクトでは、140万円の借金を背負うはめに。彼の想いは実現するのか? -
卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。 ◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より> -
ルート350
僕の前に路(ルート)はある! 越境者・古川日出男、初の短編集。いっぱいの現実、いっぱいのレプリカ ――知的早熟児たちが集った夏期講習キャンプに現れた「狙撃手」。僕たちは次なるスナイプの現場を押さえるべく監視を始めた……という「メロウ」など、現実とレプリカのあわいに立ち上がる圧倒的なストーリー世界が心を捉えて離さない。あらゆるジャンルを超えて疾走する作家がつづった唯一の「ストレートな」短篇集。 ◎「これは、僕としては初めてのストレートな短編集だ。ある意味で、僕はデビュー以来、ずっと同じ小説ばかりを書いている。それが誠実なことかどうかは、判断するのは僕ではないけれど。この本はもちろん、読者に読まれるために書いた。だから、あなたたちに捧げる。」<古川日出夫> -
スメル男 新装版
岡山から上京して東京の大学に通うぼく・武井武留は、母親を亡くした喪失感のためか、無嗅覚症になっていた。東大で作物の研究をしている親友・六川が、ぼくのために「臭い」の研究もしてくれるが研究所で事故死する。悲嘆にくれていると六川の恋人だったというマリノレイコが現れ、六川からぼく宛の荷物だと言ってシャーレを持ってきてくれる。マリノレイコによるとチーズの匂いがするというシャーベット状の中身に触ったときからぼくの身に異変が起こり始める。最初は犬が騒ぎ出し、次にはぼくの臭いを嗅いだ人がみんな嘔吐。住んでいるマンションに警察が調べに来たり、ついには東京都内を巻き込む異臭騒ぎにまでなってしまう。解決の糸口が見つからないまま、こんどは謎の組織に狙われることになり、なぜか味方になってくれた天才少年たちやマリノレイコといっしょの逃亡劇に! -
国語入試問題必勝法 新装版
ピントが外れている文章こそ正解! 問題を読まないでも答はわかる!? 国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。国語教育と受験技術に対する鋭い諷刺を優しい心で包み、知的な爆笑を引き起こすアイデアにあふれたとてつもない小説集。吉川英治文学新人賞受賞作。 【パスティーシュ小説の嚆矢!丸谷才一氏激賞!講談社文庫創刊50周年新装版】 清水義範の作品もまた、からかひ、批評し、祝祭する。入試問題出題者に対する慢罵と嘲笑は痛烈を極めて恐しいほどだ。いい加減きはまる入試問題に翻弄され、責めさいなまれてゐる少年少女に対する憐みを感じ取って、胸を打たれた。殊に結末がよく出来てゐる。人々が清水のパロディをあんなに喜んで読むのは、一つには、この暖かな心が嬉しいからであらう。――丸谷才一(中略・解説より) -
閻魔堂沙羅の推理奇譚
☆☆【2020年秋】NHK総合よるドラにて、TVドラマ化!☆☆ 謎を解けば、あなたは生き返る ――どこからでも読める珠玉のミステリシリーズ! ☆☆☆ 第55回メフィスト賞、受賞作!! 「犯人がわからない? あなたは地獄行きね」 死者復活を賭けた推理ゲーム! 俺を殺した犯人は誰だ? 現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘――沙羅。赤いマントをまとった美少女は、生き返りたいという人間の願いに応じて、あるゲームを持ちかける。自分の命を奪った殺人犯を推理することができれば蘇り、わからなければ地獄行き。犯人特定の鍵は、死ぬ直前の僅かな記憶と己の頭脳のみ。生と死を賭けた霊界の推理ゲームが幕を開ける――。 -
それ自体が奇跡
百貨店で働く貢と綾は結婚三年目。貢は婦人服売り場、綾は紳士服売り場で働いており、社内結婚だった。 貢はもともと百貨店のサッカー部に所属していたが、廃部に。しばらくサッカーとは無縁の日々を過ごしていたが、ある時社会人サッカーチームの強豪「カピターレ東京」からスカウトを受ける。 綾の反対にあいながらも、入団を決意する貢。 仕事よりも試合を優先しがちな貢に、上司も不満を募らせていく中、綾ともすれ違いはじめ――。 一方、綾は売り場に訪れた天野という男と映画や食事に行く関係に。貢よりも趣味が合う天野が徐々に気になり始める綾だが――。 結婚三年目にして初めて訪れる大きな危機を、2人は乗り越えられるのか!? -
決定版 一億総ツッコミ時代
一般人がプチ評論家、プチマスコミと化した現代。それが「一億総ツッコミ時代」だ。動くに動けない閉塞感の正体はこうした「ツッコミ過多」にある。「ツッコミ」ではなく「ボケ」に転身せよ。「メタ」的に物事を見るのではなく「ベタ」に生きろ。この息苦しい空気を打破し、面白い人生にするために。鬼才・マキタスポーツによる現代日本への熱き提言。大幅に加筆した決定版! -
恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白
二〇〇〇年春、函館新港に運ばれてきた覚醒剤。その量百三十キロ、末端価格にして約四十億円。"密輸"を手引きしたのは北海道警察銃器対策課と函館税関であり、「銃対のエース」ともてはやされた刑事だった。腐敗した組織にあって、覚醒剤に溺れ、破滅を迎えた男が、九年の服役を経てすべてを告白する――。二〇一六年六月二十五日公開、映画『日本で一番悪い奴ら』(主演・綾野剛)原作。 -
ミッドウェイ
戦争へと突き進む時局に押され、憧れの女性への思慕も個人の夢も捨て去り、戦闘機乗りに身を投じた日米の若者たち。爆撃を受け火だるまになる空母、次々と飛び立つ戦闘機。はからずも同じ女性の影を追っていたとも知らずに、降旗とロバート、それぞれの想いがミッドウェイの空に交錯する……。太平洋戦争の分岐点となった激戦ミッドウェイ海戦に正面から取り組んだ、著者渾身の戦記小説。 -
参謀
名将・落合博満監督の右腕、懐刀として2004年から2011年までの8シーズン、ドラゴンズのコーチを務めた「名参謀」森繁和が、落合監督の素顔から、若手の育て方、強い組織の作り方を、8年間のドラゴンズでのエピソードを例に、余すところなく書いた。なぜドラゴンズは強かったのか? 落合采配はどこが凄かったのか? ジャイアンツを苦しめた選手起用の妙、徹底した情報管理の秘策などを、参謀ならではの視点で振り返る。 -
「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法
「11歳の時、私はなぜ、“この作品には何かがある”と直覚したのだろう。最近になってやっと、その正体が見えてきた」。『赤毛のアン』には、「幸福(しあわせ)」とは何か、その秘密が隠されている。「仮想」「受容」「奇蹟」「ひたむきさ」「偶有性」「セレンディピティ」……。茂木健一郎が読み解く「幸福論」(講談社文庫)。 -
平の将門
将門は著者の最も食指を動かした人物の一人である。反逆者としての歴史の刻印を除きたい気持ちもあったが、純粋で虚飾のない原始人の血を将門にみたからだ。都にあっては貴族に愚弄され、故郷では大叔父国香に父の遺領を掠められ、将門はやり場のない怒りを周囲に爆発させる。それは天慶の乱に発展し、都人を震撼させる。富士はまだ火を噴き、武蔵野は原野そのままの時代だった。 -
帝室宮殿の見習い女官
「お母さんは、私の幸せなんて望んでいない」 父を亡くし、編入した華族女学校の卒業式した海棠妃奈子は、 見合いを逃れる術(すべ)を探していた。 無能な娘は母の勧める良縁──子供までいる三十も年上の中年男に嫁ぐしかないという。 絶望した妃奈子は大叔母の 「女官になってみたらどうや」という言葉に救われ、 宮中女官採用試験を受ける。 晴れて母から離れ、宮殿勤めの日々がはじまる。 -
草の陰刻
松山地方検察庁地方支部の第二倉庫から出火。当直の事務官平田が焼死体で見つかった。平田の誘いで飲み屋で呑んでいた事務員竹内の記憶は曖昧で、気がつくと40キロ離れた町の旅館にいたという。検事の瀬川良一は、喪われた資料の復元を試みるが、昭和25年から26年の事件簿が持ち去れていたことに気づく。当時の担当検事大賀庸平に内容を問い合わせる手紙を送るが、覚えていないの一点張りで、まもなく大賀庸平は交通事故で死んでしまう。 放火の疑いを拭いきれず、酔った平田を連れ去った女たちの背後に暴力団の影を感知した瀬川は、何者かからの脅迫電話を受ける。 若い検事の瀬川には、縁談話が持ち上がっていて、その用を果たすため東京の実家に戻ったときに、大賀庸平の死を知らせてくれた娘の大賀冴子と会い、過去の事件の探索協力を頼み込むが、冴子は父の遺志とのはざまにいた。 失火事件の管理責任を問われ失職こぞ免れた瀬川だが、四国を離れ、前橋地方検察庁への転勤が命じられる。 限られた時間の中で瀬川は、検察と捜査権のある警察との反撥の中で、喪われた資料が昭和25年の大島信用金庫理事殺人事件の記録であること、冴子から「S」という有力者が関わっていることをつきとめる。 そして前橋赴任への途中、広島県福山に立ち寄り、信用金庫の事件当時、被疑者とされた山口重太郎という男と会うことはできた。「S」は信用金庫の山口重太郎の同僚だった……。 巨匠松本清張ミステリーの代表作、読みやすい新装版に! -
黒い樹海 新装版
新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。楽しみにしていた東北旅行に出発した信子だが、行き先の仙台ではなく浜松で踏切事故に巻き込まれ亡くなったという、衝撃の知らせを祥子は受ける。確かに遺されたトランクは姉のもの。だが仕事の手帳がなくなっていた。二人きりの姉妹で、姉は今まで祥子に嘘はつかなかった。誰か同行者がいて、社会的立場上、事故現場から姉を見捨てて逃げ出したのではないか。運よく姉と同じ職場に勤務することになった祥子は、姉の仕事相手のクセの強い著名人たちに、疑いの目を向けていく。そんな中、先輩社員の野口知枝が多摩川川畔で何者かに殺された。この事件を機に社会部の青年記者吉井の協力も得て、姉の死の真相を追いかける祥子だが、手がかりとなる関係者が次々に不審死を遂げる。祥子の見立ては正しいのか? そして姉の死の驚くべき真相とは? 巨匠松本清張の正統派ミステリー、読みやすい新装版に! -
トライロバレット
バーナム・クロネッカーはアメリカ合衆国ユタ州のウィットロー高校に通う17歳の少年。彼は8歳のとき三葉虫に魅せられ、今ではその化石を熱心に集めつつ、静かな高校生活を送っている。そんなバーナムへのいやがらせが、ある日突然にはじまった。ロッカーの扉を接着され、頭にジャガイモをぶつけられる。体育会系の人気者コール・アボットのしわざだった。バーナムは、コールの行為を〈攻撃〉と呼ぶ謎めいた同級生、タキオ・グリーンと友人になる。そのときすでに、バーナムを驚愕の事件へといざなう運命の歯車は回りだしていた……。現代アメリカ社会の闇に光を当てながら、新しいヒーロー像を描きだす超絶エンターテインメント。 -
凍原
下を向いても上を向いてもこの町は銀鼠色だ―― 17年前、弟を行方不明で失った松崎比呂は、刑事となって釧路に帰ってきた。その直後、釧路湿原で青い目の他殺体が発見される。先輩刑事の片桐周平と捜査を進めると、そこには激動の時代を生き抜いた女の一生が深く関わっていた。 直木賞作家が放つ長編ミステリー、北海道警釧路方面本部シリーズ第1弾! 解説は新直木賞作家の河﨑秋子さん(『ともぐい』)! 24年5月から桜木紫乃、4作連続刊行! 第一弾『凍原』に続き、6月には『氷の轍』、7月『起終点駅(ターミナル』、8月『霧(ウラル)』と続きます。 -
老虎残夢
「館」×「孤島」×「特殊設定」×「百合」! 孤絶した楼閣=密室で起きた「絶対不可能殺人」 最侠のヒロインは、最愛の師の「死の謎」を解くことができるのか!? 選考委員絶賛! 第67回江戸川乱歩賞受賞作 綾辻行人「論理的に真相を解き明かしていくスタンスにはブレがなく、スリリングな謎解きの演出も◎」 京極夏彦「南宋の密室という蠱惑。武侠小説としての外連。特殊設定ミステリという挑戦。愉しい」 湖に浮かぶ孤島で、武術の達人・泰隆が遺体となって発見された。三人の武侠を招き、うち一人に「奥義」を授けるとしていた矢先のことだった。孤絶した楼閣は、特殊な武芸を身につけた彼らをもってしても侵入は不可能にみえる。泰隆の愛弟子・紫苑は、姉妹以上の絆で結ばれた恋華とともに、その謎に挑む! -
マルチエンディング・ミステリー
密室殺人の犯人を「7つの選択肢」からセレクトする、まさに「マルチエンディング・ミステリー」 『最後のトリック』『ミステリー・アリーナ』の著者による新たな挑戦。 築30年の「大泰荘」で8人の大学生が共同生活を送っていた。 ある朝、マッチョな男性住人が鍵のかかった自室において遺体で発見される。 深夜には建物の玄関にチェーン錠がかけられるため、 たとえ鍵を持っていても中には入れない二重の「密室」で誰が彼を殺したのか? 住人の誰もが怪しく、誰にも動機が……。「7つの選択肢」から犯人を決めるのは、あなた。 読者投票の結果も収録。 文庫化に際して、『犯人選挙』を改題。 -
わたしが消える
第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」 元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。 途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。 これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。 刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 文庫化にあたり、受賞作の前日譚にあたる短編「春の旅」も収録。 -
髪追い 古道具屋 皆塵堂
遊び人の茂として、ふらふらしていた茂蔵も、巳之助の弟分におさまり、小間物屋・大黒屋で真面目に働いている。その茂蔵が花見の後、酔った勢いで祠の戸を開けて、紐で固く結ばれていた箱を開けてしまう。箱の中にあったのは女の長い髪。するすると伸びて、茂蔵の足に触れたとたん、大音響が響き渡った。逃げるように立ち去った茂蔵は、翌朝、帳場の観音像が真っ二つに割れているのを見つける。観音像が身代わりになってくれたのか。幽霊が見える太一郎によると、「封じ込めている」ものを茂蔵が開けてしまったらしい。祠の場所には昔、三十年前に焼け落ちた履物問屋備前屋の寮があった。今の主の徳五郎によると、先代はかなり悪辣で、借金漬けにして潰した下田屋から寮を強奪したらしい。下田屋の亭主は行方知れず、一人娘も病で失ったお此という不幸なおかみさんが失意の末に自害して、長い髪を残したというのだ。茂蔵が開けてしまったのは、備前屋が封印したお此の髪だった。この世に怨みを残すお此を太一郎や茂蔵は救えるのか? 人気シリーズ第九弾!
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