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闇の中、真実に辿り着けるのか!
第60回江戸川乱歩賞受賞作。全盲の村上和久は孫に自分の腎臓を提供しようとするが状態が悪く適さない。兄である竜彦に提供を訴えるも拒否され、次第に兄は偽者なのでは?と疑いはじめる…。
視覚以外の描写が続くため、急に襲われたりしたら?今話している相手は本物なのか?と、読者自身も闇の中にいるような恐怖や不安に襲われます。
中国残留孤児という難しい問題を随所に挟みながらも、見事に伏線を回収する爽快感のあるラストに「やられたっ」と思うはずです!闇をイメージさせるようなブックカバーも素敵です。
Posted by ブクログ
大変興味深く読み進めていけた!自分の兄は本当は偽物なんじゃないか、、という疑いから真実を知る話。
社会問題の切り込みとしての「中国残留孤児」のテーマはこの夏読んでよかった。1945年以降、日本はどうしても夏と戦争は切り離せない。
後ろに出てくる参考文献の一覧から余程準備したのだろうと推察される。並々ならぬ下調べの痕跡がある小説は作者の血と汗を感じられて好き。
そしてミステリーでは全盲×薬の濫用で記憶が曖昧という、目が見えるのが当たり前だと思ってる読み手からすると超絶信用できない主人公というのもこのミステリーの面白さを際立たせてると思う。なお主人公だけでなく、登場人物も誰が真実を述べてるのか分からない。目が見えないからあんたホントは誰?となる瞬間も多々あった。笑
これは果たしてどんな結末を迎えるのか、心配になりながら読んでいった。
ただやはりそんな心配も杞憂に終わり、結末としては私の好きな終わり方だった。題名に反してわりとハートフルなんですよ。
Posted by ブクログ
中国残留孤児という、とても重い出来事がテーマの作品。
恥ずかしながら私はその言葉を知っているだけだったので、この作品を通して当時の歴史について学ぶことができた。
「兄」は本当に実の兄なのか。
母の命を狙っているのは誰なのか。
そして、本当の「兄」とは誰なのか。
主人公が盲目ということもあり、不安感や猜疑心がより強く伝わってきて、後半は読む手が止まらなくなった。
後半では驚くべき真実が明らかになるが、主人公を取り巻く人々の温かさに、私の心も救われた。
この小説を通して、戦争の悲惨でつらい歴史の中にも人間性の尊さや愛があることを感じ、静かな感動を得ることができた。
Posted by ブクログ
中国残留孤児問題を軸に、家族と血のつながりを描いたミステリー。
全盲の主人公は、腎臓移植を必要とする孫を救うため検査を受けるが適合せず、27年ぶりに帰国した中国残留孤児の兄に提供を頼む。しかし兄は検査すら拒み、その態度に小さな違和感が生まれていく。
兄の帰国時、主人公はすでに視力を失っており、その顔を確認していない。兄は本当に兄なのか。
見えないからこそ、声や言葉、空気の揺らぎから真実を探ろうとする過程が静かな緊張感を生む。疑いはやがて、家族の過去や母の死へとつながっていく。
満州からの避難行の描写は胸に迫り、中国では「日本人」、日本では「中国人」とされる残留孤児の孤独が丁寧に描かれる。
重い歴史を背景にしながらも語り口は穏やかで、終盤の反転する展開には深い納得とあたたかな余韻が残った。家族とは何か、血の絆とは何かを静かに考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩が還暦のとき創設された江戸川乱歩賞、推理作家の登竜門として歴史を重ね、賞として還暦を迎えた年に、本作が受賞した。主人公が盲目というユニークな設定で、主人公が常闇の中で、歯痒いながらも推理を重ねて、真実に近づいていくプロセス、読んでいる途中で、謎が複線化していき、人間関係に違和感を感じた推理が、最後にどんでん返しにあうか、主人公と同じ真実の闇の中で手探りする感覚が味わえる。
満州開拓団として満州に送り込まれた人々、終戦間際にソ連が攻めてくる情報から、日本を目指して過酷な帰国路を歩む。幼い主人公も、母と兄とともに川を渡って逃れる途上、兄が流されていき、生き別れになる。戦後結婚するが、無理が祟り、主人公は盲目になる。盲目状態への苛立ちや傲慢さにより妻から離婚され、娘も家を出て行く。主人公の自分勝手さにより、娘の結婚相手は去り、娘は未婚のままで孫娘を育てていく。この孫娘は腎臓に問題があり、透析を続けて命をつないでいる。孫娘は娘から生体腎移植を受けるが完治せず、主人公の腎臓は移植には不適合となる。この孫娘の命運が一つのテーマになる。一方生き別れとなった兄は、中国残留孤児として主人公が失明後に帰国し、母とともに過ごしている。主人公は、本物の兄か疑念を持ち続け目が見えない不便さを顧みず調査を始める。この不信感のなか、突然本物の兄だと名乗る人物から電話を受けたり、主人公のもとに、点字で謎めいた手紙が届くようになる。目が見えない故、調査はままならず、不信感が募っていくなか、結末へ滑走していく。
Posted by ブクログ
兄の正体を探るために知りたかった──、村上竜彦に成りすました偽残留孤児なのかどうか。
──私には真実を突き止める必要があった。
第60回江戸川乱歩賞受賞作。
全盲、中国残留孤児、腎臓移植。これらだけ並べただけでも、かなり見応えのあるパワーワードの数々。
そして盲目が故、一度不信感が募った結果、膨らみ始めた猜疑心はどんどん加速していく。
下村敦史氏の作品は、アルテミスの涙を読んだことがありましたが、物語の構成が面白い。
他作品も楽しみー。
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『第60回江戸川乱歩賞』受賞
『週刊文春2014ミステリーベスト10』国内部門 第2位
『このミステリーがすごい!2015年版』国内編 第3位
歴代の江戸川乱歩賞受賞作で両ランキングのベスト3に入ったのは史上初の快挙!
村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。
27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
選考委員の有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛し、選考会では満場一致で受賞が決定。
第60回を迎える記念の年にふさわしい、江戸川乱歩賞受賞作!
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小説・文芸
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