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Posted by ブクログ
冒頭の主人公は引っ込み思案で人と関わりたくないくせに察してちゃんなところもあって正直少々イラついた。その位はちゃんと口にしろよと何度思ったか。そんな主人公がロペと出会いどう変わるのだろうかと期待したのだが、今度は何でもロペの言いなりに。ヒロインとの仲が少しずつ進むうちに、これは一体誰と誰が恋愛しているのだろうかと不安を覚えた。しかし不安をよそに本編は恋愛からは逸れて犯罪に巻き込まれて行くことになる。
作中で言及されたシムズというゲームは自分も好きでプレイしていた。シムと呼ばれるゲーム中のキャラクター達はパラメーターによって自律的にアクションを起こして生活するのだが、そこに介入するのがプレイヤーだ。やれあれをしろこれをしろと生活の細かい指示から、あいつを口説け、結婚しろと人生の選択を指示し、果てはこれを盗め、こいつを殴れと犯罪を強制する。正に本作のロペと被験者の関係そのものだ。それでもシムズはゲームでバーチャルでプログラムだ。キャラクターが犯罪を強制させられる様子は気の毒だが、そこに深刻さは存在しない。だが本作の場合はどうだろう。気の毒に思うより正気を疑う深刻さがある。現実でもあっという間に普及して浸透したAIに依存する現代人は多いと聞く。自ら思考することを放棄して判断をAIに委ねた結果、取り返しの付かなくなる事例はどんどん増えそうだ。
本作中の仕掛けやロペの正体には感づいたが、ワールドカップ予測の仕掛けにはなるほどと驚かされた。舞台設定がよく出来ている。プロデュースという行為の功罪についても色々考えさせてくれた。
Posted by ブクログ
「あなたをプロデュースします」——。
恋愛塾に通う冴えない主人公のもとに届いた一通のメール。それはAIによる人生の指南だった。
AIがワールドカップの番狂わせを連続的中させたことで主人公はその指示を信じ、思考を委ねていく。
人生が好転したかに見えたが、やがて不穏なトラブルに巻き込まれていく。
展開自体は先は読めるものの、続きが気になり面白く読むことができた。
印象的なのは、主人公として描かれた現代の若者像だ。コスパ・タイパを重視し、考えることを放棄して最適解に従う姿は、闇バイトなどに普通の若者が流されてしまう構造とも重なる。努力を避け、テイカーとして生きることの危うさがリアルに描かれており、単なるサスペンス以上の社会性を感じた。
また本作は、自分自身のAIとの付き合い方を省みるきっかけにもなった。知らず知らずのうちに「自分の頭で考えるプロセス」を省略し、AIの思考回路に偏らされていることと同義ではないか、
便利なツールであるからこそ、表面的な処理を任せるのではなく、最終的には「自分の言葉」で思考し、話すよう意識しなければならないと痛感した。
サクセスストーリーに見せかけた転落劇であり、AIに依存して窮地に陥る主人公をどう描くのか、今の時代に非常に相性の良い一冊だ。
Posted by ブクログ
「口外禁止」
読後にこのタイトルに、恐ろしさを感じました。
もしかしたら、そういう時代が直ぐそこに迫っているのかもしれない。
いや、もうその時代なのかもしれません。
陰キャで自己肯定感の低い大学生金崎恵介のもとに、一通のメールが届く。
「あなたの人生、プロデュースします」
スーパーAI「AI(あい)ザム」が、人生の様々な出来事に対して、正しい選択を助言してくれるとのこと。
金崎は、AIザムの力を借りることに。すると女性と仲良くなり、楽しく遊べる友達もできたが、ある事件をきっかけに人生は暗転していくことに・・・
といったあらすじ。
AIに相談すれば、最適解を導き出し、無難な人生を過ごすことができそうです。
しかし、AIの助言に頼り何もかも選択して生きた人生は、はたして自分の人生なのか?
そして、今まさにAI第一世代として生きている自分。
考えさせられる作品でした。
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