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江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より>
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Posted by ブクログ
日に日に夫の正一郎が苦手になる。
融通が利かなく短気である夫は物言いも冷たい。
隠密周りの同心で、颯爽と歩く姿に一目惚れして、
嫁いだはずなのに。
いまだに、独身時代に惚れた相手が忘れられないのだろうか。
それに比べて、食いしん坊の舅、忠右衛門はいつも優しく
「おのぶ、おのぶ」と可愛がってくれる。
愉快な話をしては笑わせてくれる。
姑は、気っ風がいい女性で、
裏も表もない気持ちのいいさっぱりとした性格。
忠右衛門はそんなおひでに頭が上がらない。
食べ物に好き嫌いが多く食べれる物が少ないおのぶは、
いつも夫に叱られる。全てがそうだ。
だが、口答えせずに嵐が過ぎるのを我慢してるうちに、辛くなり
家を出る決心をする。
夫婦といえども、いつの時代にも心のすれ違いはある。
上手に言葉を見つけられない二人であれば尚更だ。
苦労人の舅姑はただ見守るが、、、。
奉行所の同心の一家ということで、いくつかの事件が絡む。
絡みながら、人の心は離れたり、もう一度近づいたり。
それぞれの不器用な若夫婦は、いつしか本音を話し合い、
本物の夫婦になる。
二人だけでなく囲んだ家族や親戚、
同じ敷地に住む太鼓持ちなどに見守られながら成長するのだ。
心温まるいいお話であった。
題名のように当時江戸の評判の料理や、
日常に食べていた料理の名前がそれぞれ章の題名になっている。
「卵ふわふわ」は一度壊れた夫婦が再生するきっかけの料理。
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