あらすじ
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より>
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主人公の夫や家族との関係性がストーリーの軸になりつつ、章ごとに色々な出来事・事件が巻き起こっては解決される(少し珍しい料理をキーに)という、飽きさせない構成が素晴らしい。そしてのぶさんの夫・お姑さんとの関係性にぐっとくる、ほろ苦い読後感が著者らしくて、なんだかじんわり涙がにじむような作品。
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いいなぁ~、好きだなぁ~、食べてみたいなぁ~とか思いながら、ずんずんと読んでしまいましたw やきもきしたり、ほんわかしたり。お舅さん、戻ってきてほしいなぁ~・・・。
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ふでさんが好き!
キャラクターがいい人ばかりで癒される。
舅・姑が筆頭だけれど、甥っ子並びに少年たちもいいなあ~
「のぶちゃん、お腹すいたよう~」
うん、なんか切ない。
また一人、好きな作家さんが増えました。
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ご飯の方に期待して読んだんだけど内容もとても良かった!人の機微がきれいにわかりやすくでも丁寧に書いてあって、胸が締め付けられたり、じーんとしたり、読後感もすっきりと。のぶちゃんは確かに世間知らずかもしれないけれどだからこそおおらかで抜けてる、それこそ“ぼんやり”な性格で忠右衛門ともうまくいったんだと思うなあ。その忠右衛門のキャラがこの本のなんて言っても醍醐味。この2人の絡みにきゅんきゅんした。
ご飯はもちろんおいしそうでした。今ちょろぎが食べたくてしょうがない。
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お舅さん!! 「ねぇ、のぶちゃん 卵のふわふわが食べたいねぇ」って帰ってきてほしいです。
この結婚は、間違っていたんじゃないか…
結婚なんて自分には向いていなかったのでは?
だれでも、思うことなんですね。
考えれば、考えるほどわからなくなってしまいますね。
でも、いいんです!いいんですよね! お舅さん!
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主人公・のぶとその夫正一郎のすれ違いに終始胸が痛んだり、
忠右衛門や今助、ふでの発言にちょっとくすっとしたり
度々起きる事件にどきどきしたり、
とにかく先が気になるお話だった。
淡雪豆腐と卵のふわふわがおいしそう。
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とてもよかった。
買って何回も読みたい本。
読み始めは正一郎が嫌な奴過ぎて読むのが辛かった。
新宿鮫の香田をイメージした。
姑、舅は優しくて素敵。
でも終盤はこうなってほしいと思う通りになりつつ
しみじみと切なくもあって、とてもいいラストだった。
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八丁堀の同心の家に嫁いだ主人公と、ユニークで個性的な舅をはじめとする嫁ぎ先の人々などが織りなすお話。タイトルからして、江戸のおいしいお料理が中心になった本かと思いきや、ぜーんぜん違いましたね。サブタイトルは「江戸前でもてなし」と誤読してしまったし・・・。なんとゆうか、複雑な夫婦関係のお話ですね。
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美味しそうな料理が紹介され、食べたくなります。舅の最後釣りで退場は、すごく寂しい。帰ってきて欲しかった。のぶの感情の動きを見事に描ききった作家の腕前に感服した。
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久しぶりの時代小説〜
知らない言葉などを引きながら読むのもまた楽しみの一つです。
心があったかくなる人柄のいいキャラクターに癒されました。最後私も忠右衛門がどこかで生きている!という思いを捨てる事ができないまま本を閉じました!
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んー、さすがに「死ね」はあかん。
腹立ちで、頬を叩くまではどうにか、仕方なしに受け入れるが、「死ね」とまで言われては、受け入れられません、私ならば。
でもなあ、それが昭和の女性作家の見てきた有り得る夫婦像なのだからなぁ。
まぁ昔書かれた小説ってことなのね。
このクソ旦那が女房に惚れていたという設定は、私には読み取れなかった。
お話自体は面白いのにこの旦那の暴力のせいで、そこばかり印象に残っちゃったよ。
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日に日に夫の正一郎が苦手になる。
融通が利かなく短気である夫は物言いも冷たい。
隠密周りの同心で、颯爽と歩く姿に一目惚れして、
嫁いだはずなのに。
いまだに、独身時代に惚れた相手が忘れられないのだろうか。
それに比べて、食いしん坊の舅、忠右衛門はいつも優しく
「おのぶ、おのぶ」と可愛がってくれる。
愉快な話をしては笑わせてくれる。
姑は、気っ風がいい女性で、
裏も表もない気持ちのいいさっぱりとした性格。
忠右衛門はそんなおひでに頭が上がらない。
食べ物に好き嫌いが多く食べれる物が少ないおのぶは、
いつも夫に叱られる。全てがそうだ。
だが、口答えせずに嵐が過ぎるのを我慢してるうちに、辛くなり
家を出る決心をする。
夫婦といえども、いつの時代にも心のすれ違いはある。
上手に言葉を見つけられない二人であれば尚更だ。
苦労人の舅姑はただ見守るが、、、。
奉行所の同心の一家ということで、いくつかの事件が絡む。
絡みながら、人の心は離れたり、もう一度近づいたり。
それぞれの不器用な若夫婦は、いつしか本音を話し合い、
本物の夫婦になる。
二人だけでなく囲んだ家族や親戚、
同じ敷地に住む太鼓持ちなどに見守られながら成長するのだ。
心温まるいいお話であった。
題名のように当時江戸の評判の料理や、
日常に食べていた料理の名前がそれぞれ章の題名になっている。
「卵ふわふわ」は一度壊れた夫婦が再生するきっかけの料理。
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お江戸の人情と美味しい食べ物は最強の組合せだ。
北町奉行所の同心の家に嫁いだのぶ。
食い道楽で気さくな性格の舅と口調は厳しいけれど根は優しい姑に大事にされていた。
けれど肝心の夫とは心がすれ違い冷やかな関係にあり、夫の心無い言葉に思い悩んでいた。
物語の展開と共に絡められる素朴な料理にそそられる。
黄身返し卵、淡雪豆腐、水雑炊、心太、ちょろぎ、そして卵のふわふわ。
作り方の説明を読むとそんなに難しくはなさそうだけれど、ちょっとした火や味の加減で大きく変わりそうなものばかり。
心を込めて作られた料理を一緒に美味しく食べる。そうすれば仲違いしていた気持ちも一つになれるのかも。
卵のふわふわ、私も食べてみたい。
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きっかけ:たまたま本屋で手に取った。
感想:気になる終わり方。もどかしい!
食いしん坊の義父やいっけんがさつな義母とはうまくいっているが、夫婦仲は微妙。離縁を切り出し、親戚の料亭に移る妻。離縁はあいまいなままの別居をつつけるが、事件をきっかけに関係が変わっていく。
読んでいるともどかしくて物語なのに口を出したくなる。
失った(かもしれない)ものがあって、得たものがある。
切ないが、読み応えのある一冊。
この一冊から宇江佐さんのシリーズを読むようになった。
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談話室でおすすめしていただいた一冊。
宇江佐さんの作品は初めて読んだ。
江戸時代を背景にした物語で食べ物が出てくる物語、ということで読んだが、「江戸の食」らしさがイマイチ感じられなかった。現代の食にあるよね?という感じ。
でも物語としては私のまさしく私の好み。
会話もテンポが良く人情深く、特にお舅さんの人柄が良い。不器用な男代表みたいな旦那さん、次第に心を開いていく様も女心をくすぐる。
ただ、主人公ののぶが、、偏食すぎて好感がもてず・・こんな嫁が我が家にいたら相当腹が立つだろうな~と。
しかし、最後まで読んでそんな偏食キャラも納得。参ったな~オチがここね。と。
少し私の思った作品とは違ったが、料理人ものばかり読んでいる私には新鮮だった。
再読もありそうな作品。
宇佐江さんの別の作品も読んでみようと思う。
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手に取った時は、タイトル通り甘くふわふわとしたお江戸人情捕物話かと 思っていたら…思いがけず現代でも通じるような深い人間関係の綾を 描いていて、とても引き込まれました。冷たい夫と離縁したい若妻、優しい食道楽の舅、何か過去がある姑… 登場人物が皆魅力的。それぞれの章に「淡雪豆腐」「水雑炊」「ちょろぎ」など料理名が付いていて、その料理が主人公の心情をさりげなく代弁しています。最後の章は夢中になりすぎて2駅乗り過ごしてしまいました。
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初作家さんだったけど、面白かった。のぶの行動も幼く素直で可愛いけどちょっとなーとも思うけど、それは正一郎も同じ。きちんと思いを言葉に相手に伝えなければ、わかるはずない。
姑さんと舅さんがよい人で気持ちがよい。読み心地も良かった
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頑固な夫婦が、別居して、仲直りをする、という現代でもありそうなことが、江戸時代を舞台に繰り広げられるお話。
主人公も、主人公の旦那も、はたから見るとまぁ頑固なんだけど、周りの登場人物のキャラクターが良くて、それほどギスギスせずに読み進められる。
とくに、舅のキャラが抜群に良い。読者アンケートとか取ったら、絶対主人公押さえて一位になりそうな気配(笑)
タイトルにもふわふわ卵とあるように、お舅さんがグルメで、色んな料理かが出てくる。卵料理好きの私にとっては、たまりませんでした。あとがきを書いた方がふわふわ卵を作ったと書いてあったので、私も試しに作ってみようかな。
読み終わると、心が暖かくなるので、オススメです。
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登場人物、かなえ以外基本良い人
おひでさんまじかよ
たまご料理食べたくなる
漢字が多くて読むに至らない自分の教養の無さを痛感
昔設定の話だが、今も昔も通ずるところが多々ある
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僕が普段本を読む時、その本のタイトルや作者や背表紙にある要約文などを見て、
事前に、あぁこの本はミステリーだなとか純文学だなとか自己啓発本だなとか、本の概要をあらかじめ予想し得る状態で読み始めるのですが、
この作品については、そういう事前予想をほとんどしない状態で読み始めた本でした。
「卵のふわふわ」というタイトルから、
最初は、「男の作法(池波正太郎・著)や「料理の四面体(玉村豊男・著)」の様に、料理をテーマにした作品でその料理を文章力だけで読者のお腹を空かせる様な表現で描かれた作品なのかな、
とぼんやり考えた程度だったのですが、読んでみると江戸の下町の人情味にあふれた物語で思わず引き込まれてしまいました。
夫婦仲が良くない正一郎とのぶ、そしてその家族、家族を取り囲む町民たち、それぞれが抱えている悩みや隠し事や心情は、
現代社会の夫婦関係の諸問題と通ずるところもあり、あぁ結局夫婦間の悩みやその解決方法なんてものは、江戸時代から現代に至るまでほとんど一緒で、全く進歩していないんだなと感じました。
個人的には最終章(第6章)の「ちょろぎ」が大好きです。
「ちょろぎ」って「妾馬」という落語の一席などにも出てくる食べ物の名前なのですが、
のぶと正一郎のほろ苦く甘酸っぱい心情や、大旦那様や太鼓持ちの仕事の役割の共通点なんかを、この「ちょろぎ」という食べ物を使ってうまく表現されていた箇所がツボでした。
この本をいつどんな経緯で購入したのか、自分では全く思い出せないのですが、ふと手にとってみて良かったなと思える作品でした。
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八丁堀を舞台に若奥様と役人の若旦那、そして舅姑夫婦の人情物が楽しいですね。のぶと正一郎の関係修復があまりにも呆気ないところが不自然ではありましたが、特に舅の忠右衛門ののんびりした風情は素晴らしいですね。また章立てがそれぞれ、秘伝・卵、美艶・淡雪豆腐、酔余・水雑炊、涼味・心太、珍味・ちょろぎなどの構成になっているのが、お洒落でした。
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久しぶりの宇江佐さん。
時代短編集です。主人公は八丁堀の同心の若奥さん。舅、姑とは上手くやっているにだが、どうも亭主と気持ちが沿わない。舅がつかみ所のない中々面白いキャラで、物語を引き立てます。
タイトルや副題の「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」が示すように、各編にちょっとした料理が出てきます。いつも小腹を空かせている舅が口にするものです。なんだか美味しそう。
宇江佐さんらしく、どうも最後に話がねじ曲がってしまうような傾向は見えるのですが、気持ち良く読めました。
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とある同心一家を食べ物を交えて描いた短編集。
前半は正一郎の、嫁への態度に、後半はのぶの自分の態度のはっきりしなさにイライラムカムカしながら読んでました。
そんななかで親である、忠右衛門ふで夫妻の変わらぬ態度にはとても癒されました。
あまり喜ばしくない事なんだけど、忠右衛門のおかげで元さやに、いやそれ以上の状態になってよかった。
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江戸時代のちょっと変わった食べ物がいっぱ出でてくる。
忠右衛門の人柄がコミカル。
どうなるかと思った正一郎とのぶだけど、丸く収まった。
ちょっと心暖まるな。
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うーん。
江戸時代って、現代と違って封建的で、男尊女卑な時代だったのじゃないかなぁ。
それが読後の第一印象。
主人公ののぶは世間知らずのお嬢様で、恋に恋していたコドモじゃないか、と思えた。
自分から夫に歩み寄りもせず、「愛してくれないのは、彼の心に忘れられないひとがいるからでは」と無いものねだりをしているだけに見えて仕方ない。
愛されることを願うのなら、自分が愛することを始めなくちゃ。
お舅さんとお姑さんから気に入られ可愛がられているだけでも、充分に恵まれた環境だって思うんだけどなぁ。
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難解な高村作品が続いたので、息抜き?に斜め読みしやすい本作品を選びました。選んで正解、すかすか読めるwww
捕物帳というより、夫婦間の問題がテーマなのかと思います。
あるある、そうよねー なんて思いつつ。封建的な男って、ほんと根性の根っこのあたりが子供と言うか成長してないんだわ。
って、若旦那の態度見てたらそう思いました。
姑と舅と良い関係のお嫁さん。実際はなかなか難しいですよね。
嫁さんも良い人だけど、食べ物に対する態度見てたら、私が姑なら若旦那と一緒に怒鳴り散らしてるかもしれない。