小説 - 集英社作品一覧

  • 文庫版 虚言少年
    4.2
    オヤジ臭く、自他ともに認める嘘吐きの内本健吾。モテたいのに女子ウケしないことばがりをし続け、味のある面白さを持つお坊ちゃまの矢島誉(ほまれ)。人心を掌握する術と場を読む能力に長け、偏った知識を持つ京野達彦。「馬鹿なことはオモシロい」という信条を持つ小学生男子三人組が繰り広げる、甘酸っぱい初恋も美しい思い出も世間を揺るがす大事件もないが、馬鹿さと笑いに満ちた日々を描く7編。
  • レジェンド・ゼロ1985
    -
    米ソ冷戦が終盤を迎えた1985年。韓国との軍事演習を控えたアメリカの空母が、台風により日本海上で立ち往生していた。そこにソ連の爆撃機が接近。「一発も撃たせるな」。航空自衛隊の本庄らF-4パイロットが、にわかに訪れた第三次大戦の危機に立ち向かう。呼吸を忘れる圧巻の戦闘シーン。男たちの絆と矜持が、読む者の胸を震わせる。いま全てが伝説となる。
  • 深重の海
    3.3
    【第79回直木賞受賞作】紀伊半島は南東部、太地湾辺りは古くから鯨取りで栄えた土地柄である。明治11年12月24日、熊野灘の沖に現われた一頭の巨大鯨。小舟に乗った数百人の男たちが立ち向かう。これが大遭難、世にいう“背美流れ”の発端となり、慶長年間からの伝統的な捕鯨組織が崩壊しはじめる。明治の激流に呑まれ、滅びゆく運命をたどる海人たち。愛と闘いをドラマチックに描いた感動の長編。
  • やり直し悪女は国を傾けない ~かくも愛しき茘枝~
    4.0
    1巻814円 (税込)
    絶世の美女・汪玲枝は皇子に嫁ぎ、皇子の死後にはその父である皇帝に嫁いだ。寵愛を恣にし、玲枝の好物だった茘枝を運ぶためだけに邑が滅ぼされたという。皇帝を誑かし贅の限りを尽くさせ、最後には毒を呷らされた傾国の悪女。それが――私!? 八歳で自分の将来を思いだした玲枝は、同じ人生をまたたどるくらいなら死を選ぼうとしたが、そこに現れた仙人のような美しい青年に「貴女が死ねば国が滅びる」と言われ!? でもなんで私だけが傾国の悪女と呼ばれなければならないの!? それなら次は間違えなければいい。悪女にならなければいい。汪玲枝のやり直しが始まった!
  • 追想五断章
    4.0
    大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
  • 言の葉は、残りて
    4.4
    美しい海沿いの景色と裏腹に陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻く鎌倉幕府。その若き三代将軍・源実朝のもとに、都から摂関家の姫・信子が嫁いできた。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子は、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。一方、自分のために鎌倉へ来てくれた妻を生涯大切にしようと誓った実朝は、信子の導きで和歌の魅力を知り、武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、否応なく二人を悲しみの渦に巻き込んでいくのだった……。悲劇の将軍の葛藤と信念、そして運命に翻弄された夫婦の切実な愛を描く歴史恋愛小説。第32回小説すばる新人賞受賞作。
  • 鬼滅の刃 ノベライズ ~炭治郎と禰豆子、運命のはじまり編~
    4.0
    超人気コミック『鬼滅の刃』、待望のノベライズ第1弾! 時は大正。炭を売って暮らす心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。かろうじて生きていた妹・禰豆子は「鬼」に変わってしまっていた。妹を人間に戻し、家族を殺した鬼をうつため、炭治郎は「鬼狩り」の道に進むことを心に決めるが――!?
  • 白い薔薇の淵まで
    4.2
    ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。彼女との甘美で破滅的な性愛に溺れていく「わたし」。幾度も修羅場を繰り返し、別れてはまた求め合う二人だったが……。すべてを賭けた極限の愛の行き着く果ては? 第14回山本周五郎賞受賞の傑作恋愛小説。発表時に話題を読んだ受賞記念エッセイも特別収録。
  • 雪炎
    4.3
    東日本大震災から一年。三基の原発が立地する北海道・道南市で市長選挙が始まった。元公安警察官の和泉は、「廃炉」を公約に掲げて立候補した旧友の弁護士・小島を手伝うことに。何百億円もの原発利権に群がり、しがみつく者たちの警察ぐるみの苛烈な選挙妨害に、和泉は公安警察時代の経験で対抗。しかし、ついには選挙スタッフが殺され……。「現実」を見つめ続ける馳星周の真骨頂、ここにあり!
  • オーダーメイド殺人クラブ
    3.9
    クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は――。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。
  • 黄金の刻 小説 服部金太郎
    4.5
    明治七年。十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋の一員として迎え入れようとする。だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるが…。経済小説の名手が史実をもとに描く、世界的時計メーカー「セイコー」創業者の一代記!
  • 桐島、部活やめるってよ
    3.6
    映画化大ヒット小説! きっかけは、キャプテンの桐島が突然バレー部をやめたことだった。そこから波紋が広がっていく。地方の県立高校のバレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部、野球部――。それぞれの部活で、教室で、グラウンドで、5つの物語がリンクする。彼らがそれぞれ抱える問題は? 桐島はなぜ部活をやめたのか? 第22回小説すばる新人賞受賞作。
  • ブリーダーズ・ロマン
    4.5
    すべては三沢の地からはじまった――。競馬記者の小林は、異色な経歴の競走馬トナミローザに興味を持つ。取材を進めるうち、日本で初の民間洋式牧場が青森の三沢にあった事実や、歴史の狭間に埋もれた偉人・廣澤安任の存在を知る。さらに、敬愛する寺山修司との意外なリンクも。競馬黎明期からの血統を継ぐトナミローザ、その陣営の真の狙いも次第に明らかに。時を経て連なる人の想いは海をも越えて一頭の競走馬に託される。史実に基づき、日本競馬の未来を照らす物語。「寺山修司没後40年記念認定事業」の一冊!
  • 目撃者ご一報下さい
    4.7
    夫を轢き逃げ事件でうしなった妻が新聞にだした「目撃者ご一報下さい」の広告には、どんなトリックが仕組まれていたのか? 夫の重大な秘密を知った妻の殺意を巧みな構成で描いた表題作。ほか、電話、高速道路、ビデオテープをつかった意表をつくトリックの面白さを満載した傑作10編を収録。
  • やとわれ寵姫の後宮料理録
    4.5
    地方の大衆食堂で働く厨師の千花は常連の貧乏皇族である玄覇から、ある仕事を持ち掛けられた。それは皇帝の“やとわれ寵姫”。何の因果か皇帝に即位することになった女嫌いの玄覇は、女除けに千花を寵姫と偽り後宮に置きたいという。王都に店を持つことが夢の千花は開店資金を報酬に期間限定で後宮に入るのだが、そこは権力と寵愛を求める女の欲望と嫉妬が渦巻いており……。「私は厨師。包丁一本あればどこででも生きていける、たとえ後宮でも」――一筋縄ではいかないトラブルも嫌がらせも美味しく調理! 敵の攻略も味方づくりも料理次第!! 果たして千花の運命は? ひと味違う、中華シンデレラストーリー!
  • ZOO 1+2
    5.0
    何なんだこれは! 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集「1」、「2」を合本版で。「1」は双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され――(「カザリとヨーコ」)。謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?――(「SEVEN ROOMS」)など5編をセレクト。「2」は、目が覚めたら、何者かに刺されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など驚天動地の粒ぞろい5編に加え、幻のショートショート「むかし夕日の公園で」を特別収録。
  • クローズアップ(スクープシリーズ)
    4.3
    週刊誌の記者が何者かに殺された。偶然その場に居合わせた報道番組「ニュースイレブン」記者の布施は事件直後の現場撮影に成功、翌日のニュースで映像が流される。一方、継続捜査を受け持つ捜査一課の黒田はある暴力団の組員が殺害された事件を追う中で、記者殺害との奇妙な符合に気付く。しかし、二つの事件を繋ぐカギは踏み込んではならない聖域だった――。大人気“スクープ”シリーズ第3弾。
  • 絶声
    3.6
    親父が死んでくれるまであと一時間半――。状況は何も変わらないのに生が死に変わり、巨額の遺産が手に入るその瞬間を大崎正好は待ち望んでいた。ところが突如、驚愕の知らせが。父のブログが更新されたのだ。「私はまだ生きている」……。それぞれに問題を抱えながら、遺産のために表向きは結束する兄妹たち。その思惑をよそに立て続けに本人にしか知り得ない真実が次々と明かされ、主人公を取り巻く状況は加速しながらめまぐるしく姿を変える。その声が導くのは真実か、破滅か――。驚愕のラスト&圧倒的リーダビリティの極上ミステリー!
  • 土に贖う
    4.0
    明治時代の札幌で蚕が桑を食べる音を子守唄に育った少女が見つめる父の姿。「未来なんて全て鉈で刻んでしまえればいいのに」(「蛹の家」)。昭和26年、最年少の頭目である吉正が担当している組員のひとり、渡が急死した。「人の旦那、殺してといてこれか」(「土に贖う」)。ミンク養殖、ハッカ栽培、羽毛採取、蹄鉄屋など、可能性だけに賭けて消えていった男たち。道内に興り衰退した産業を悼みながら、生きる意味を冷徹に問う全7編。圧巻の第39回新田次郎文学賞受賞作。
  • 源氏物語を反体制文学として読んでみる
    3.0
    紫式部が『源氏物語』を書いた平安時代は、摂関政治(天皇に嫁いだ娘が男児を産むことで外戚として権力を得る)の全盛期にあった。しかし『源氏物語』は天皇親政の時代を舞台とし、「源」という元皇族が活躍するストーリーだ。摂関政治をあえて否定するという、いわばその時代の「反体制文学」として『源氏物語』は大ベストセラーとなり、多くの読者の支持を得た。なぜ紫式部はそのような果敢な挑戦をしたのか。紫式部が時代をどう感じ、またどのようなモチベーションで物語を綴ったのか。独自の視点で鮮やかに描く、新しい『源氏物語』論。 【目次】まえがき――『源氏物語』の謎/第一章 紫式部と『源氏物語』/第二章 源氏一族の悲劇/第三章 摂関家の権威と専横/第四章 紫式部の出自と青春時代/第五章 紫式部の恋と野望/第六章 摂関政治の終焉/あとがき/主な参考文献
  • 蛇にピアス
    4.1
    「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した―。その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。彼女は自らも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。痛みと快楽、暴力と死、激しい愛と絶望。今を生きる者たちの生の本質を鮮烈に描き、すばる文学賞と芥川賞を受賞した、金原ひとみの衝撃のデビュー作。
  • オリガ・モリソヴナの反語法
    4.5
    1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。感動の長編小説。第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
  • 東京バンドワゴン
    4.2
    東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」。この老舗を営む堀田家は、今は珍しき大家族。60歳にして金髪、伝説のロッカー我南人。画家で未婚の母、藍子。年中違う女性が家に押しかける美男子、青。さらにご近所の日本人好きのイギリス人、何かワケありの小学生まで、ひと癖もふた癖もある面々が一つ屋根の下、泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎ。日本中が待っていた歴史的ホームドラマの決定版、ここに誕生!!
  • 天使と歌う吸血鬼
    3.5
    人気遊園地「Mワールド」を訪れたエリカたちを待っていたのは、突然の「入園禁止」。聞けば、外国の要人が視察に訪れており、その歓迎式典で、ある女性歌手が歌声を披露するという。だが遊園地がテロリストに襲撃され…。表題作の他に、存在を忘れられたエレベーターと事件を解決?(『吸血鬼とさびしいエレベーター』) 不思議な“水の流れ”を追う『水の流れと吸血鬼』の2編を収録。
  • 最期(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.5
    ホームレスの岩田貞夫は、荒川で仲間の男性を撲殺したとして逮捕されたが、無罪を主張。弁護にあたる鶴見は、被告の無実を信じ裁判に臨む。だが、裁判員のなかに、四日市で被告を知っていたという人物が現れ、身分詐称疑惑が浮上。岩田は否定するが、不審を抱いた鶴見は彼が何者かを突き止めようと、調査を始め……。そこには男が隠し続けた半世紀前の悲劇が!? 壮絶な人生を描くミステリー。
  • 白ゆき姫殺人事件
    3.3
    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。
  • コーリング・ユー
    4.3
    海洋研究所に勤めるイーサンと飼育委員のノアのもとに、世界環境を救う貴重なキャニスターを、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという依頼が舞い込んだ。間もなくシャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。しかしここに来る前、セブンは従姉のエルと共に捕獲された経験があった。ある日、セブンはエルが苦境にあることを知り不調に陥る。イーサンは、苦心の末にその原因を突き止め、ミッション終了後にシャチたちを海に帰すことを決意するが…。シャチと人間の愛と絆を描く感動の海洋冒険小説! 小説すばる新人賞受賞作!!
  • 恋する歌音 こころに効く恋愛短歌50
    4.3
    うぬぼれていいよ わたしが踵までやわらかいのは あなたのためと――恋する女心をまっすぐに表現して人気の若手歌人・佐藤真由美。待望の初エッセイ集では、古今の名歌50首をひもといて恋愛短歌の世界へ誘う。万葉集から現代まで、あの有名歌もヴィヴィッドに響いてくる鑑賞と、女の本音爆発、ピリリと辛い恋愛指南。そして切なくリアルな新作短歌とともに味わう、50の恋、100の歌。
  • 美女
    3.9
    この里芋のような女に、俺の「浮気相手」が演じられるのだろうか? 妻の妹と関係を持った男は、妻の疑いをそらすために、馴染みの居酒屋の女将に一芝居打ってくれるように頼み込んだ。男の目の前ではじまった、妻とその妹、女将――3人の女の壮絶な「芝居」は、想像もしない幕切れへ……(表題作)。逆転に次ぐ逆転! 息を呑む超絶技巧で男と女の虚実を描く、8篇の傑作ミステリアス・ノベル。
  • あなたの愛人の名前は
    4.1
    結婚を控えた恋人と同棲している瞳。バーで浅野さんと出会い、生まれて初めて、ただひたすらに彼が欲しいと思って……(「あなたは知らない」)。月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない彼女との関係は、とても楽だと思っていたが……(「俺だけが知らない」)。今、この瞬間に深く、深く、理解されていればいい。たとえ恋じゃなくても……。繊細な筆致ですれ違う大人の恋愛を描く全6編の恋愛短編集。直木賞受賞第一作!
  • 海の見える理髪店
    3.8
    主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族の小説集。第155回直木賞受賞作。
  • 早朝始発の殺風景
    4.0
    青春は、気まずさでできた密室だ。今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。始発の電車で遭遇したのは普段あまり話さない女子。二人は互いに早起きの理由を探り始め……(表題作)。部活の引退日、男同士で観覧車に乗り込んだ先輩と後輩。後輩には何か目的があるようだが(「夢の国には観覧車がない」)。不器用な高校生たちの関係が小さな謎と会話を通じて少しずつ変わってゆく。ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイムで進行する五つの青春密室劇。登場人物総出演、読んでのお楽しみのエピローグ付き。
  • 流警 傘見警部交番事件ファイル
    3.3
    元捜査一課の南優月は被疑者の護送中に起こした事故が理由で「流刑」に。警察署が不要となり格下げされた、過疎地の警部交番で、禊の日々を過ごしていた。そんな辺境の地に突然、東大出身のキャリア警視正、榎木孔泉が赴任してきた。時を同じくして、地元の名士の妻が殺害され、優月はともに犯人を追うことに。謎が謎を呼ぶ捜査の行方、そして矜持を見失った警察官の行く末は? 元白バイ隊員の著者が警察の本分を問い直す迫真の警察小説!
  • 透明な夜の香り
    4.3
    元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける朔は、どんな香りでも作り出すことができ、それゆえ風変わりな依頼が次々と届けられる。だが、一香は朔の近くにいるうちに、彼が天才的嗅覚を持つがゆえに深い孤独を抱えていることに気づきはじめる……。直木賞作家が紡ぎだす「香り」にまつわるドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
  • ハヤブサ消防団
    4.0
    【2023年夏、TVドラマ化決定!】 ミステリ作家vs連続放火犯 のどかな集落を揺るがす闘い! 東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは? 地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。
  • あいにくの雨で
    3.9
    町に初雪が降った日、廃墟の塔で男が殺害された。雪の上に残された足跡は、塔に向かう一筋だけ。殺されたのは、発見者の高校生・祐今(うこん)の父親だった。8年前に同じ塔で、離婚した妻を殺した疑いを持たれ、失踪していた。母も父も失った祐今を案じ、親友の烏兎(うと)と獅子丸は犯人を探し始める。そんな彼らをあざ笑うように、町では次の悲劇が起こり――。衝撃の真相が待ち受ける、青春本格ミステリ。
  • こどもの一生
    3.6
    瀬戸内海の小島をレジャーランドにするためにヘリを飛ばし下見に来た男二人は、セラピー施設に治療のためと称して入院し一週間を過ごすことになった。しかしすでにそこには女二人、男一人の患者――クライアントがいた。五人は投薬と催眠術を使った治療で、こども時代へと意識は遡る。三分の二は笑いに溢れ、最後の三分の一は恐怖に引きつる。鬼才・中島らもが残した超B級ホラー小説。
  • 漂泊の牙
    3.6
    【第19回新田次郎文学賞受賞作】雪深い東北の山奥で、主婦が野犬とおぼしき野獣に喰い殺されるという凄惨な事件が起きた。現場付近では、絶滅したはずのオオカミを目撃したという噂が流れる。果たして「犯人」は生きのびたニホンオオカミなのか? やがて、次々と血に飢えた謎の獣による犠牲者が…。愛妻を殺された動物学者・城島の必死の追跡が始まる。獣と人間の壮絶な闘いを描き、第19回新田次郎文学賞を受賞した傑作冒険小説。
  • 猫君
    3.7
    茶虎で金目銀目の猫みかんは、病に伏せる育ての親のお香から「お前さんは『猫又』になりかかっている」と告げられた。20年生きた猫は、人に化けて言葉を操る妖になるというのだ。この世を去った飼い主を取り殺したと疑われ、追われるみかんは先輩猫又によって吉原遊郭に匿われ、江戸城内に新米猫又の学び舎「猫宿」があると教わる。さらに猫又史のその名を刻む英雄「猫君」の再来が噂されているらしく……。「猫宿の長」と呼ばれる謎の人物をはじめ、様々な師匠のもと、みかんが仲間とともに数々の試練に挑む江戸ファンタジー開幕!
  • ノン・サラブレッド
    3.5
    明治時代の名馬ミラ。血統書がなく、その子孫は非サラブレッド=サラ系と分類された。1970年代、厩務員の大谷はサラ系の名馬ミラの子孫を担当する。その馬は彼や周囲の思いを背負い活躍し始める。舞台は現代に移り、競馬記者小林のもとに、ミラの血統書の存在をほのめかす電話が……。一枚の血統書が競馬の歴史を根底から変えるのか。人々の夢を乗せた「もし」の結末は。壮大なる競馬史ミステリー。
  • 若旦那さんの「をかし」な甘味手帖 北鎌倉ことりや茶話
    4.0
    家事代行サービスの会社で働く秋月都。ある日、北鎌倉に派遣された。辿りついたのは、住み込みの家政婦がいてもおかしくなさそうな大きなお屋敷。出迎えた和装の青年は羽鳥一成という名の若き和菓子職人で、この屋敷は彼の工房兼住居だった。一成の作る和菓子は見事な出来映えで、常連客も多い。人知れず、和菓子に苦い思い出のあった都だが、彼の作る和菓子に触れるうち、心の変化を自覚するようになり…。日々鍛えた料理の腕で、羽鳥家の“定期契約プラン”を勝ち取った都は、いっとき閉店してしまっていた甘味処「ことりや茶房」の再開にも関わることになるが…。
  • 愛してよろしいですか?
    -
    斉坂すみれ34歳。会社の仕事はそつなくこなし、重宝がられているのに、女もこの年齢で独身となると生きにくくなる。愛想がよければ男狂いと言われ、ちょっと冷たくすればヒステリー、質素にすれば色気がない――。ある旅先で、ひとまわり年下の大学生・矢富ワタルと出会い、不覚にも恋に落ちてしまった。若い男の子の顔色に一喜一憂する女の甘やかな恋心を笑いの渦に巻き込んで描く傑作恋愛小説。
  • ヘッドライン(スクープシリーズ)
    3.9
    報道番組「ニュースイレブン」の記者、布施。素行の悪さに目をつけられながらも、独自の取材で多くのスクープをものにしてきた彼が興味を示した女子学生猟奇殺人事件は、警視庁捜査一課第二係、黒田の担当だった。警察も知らない事実を布施が握っているらしいと感づいた黒田は、彼に張り付くことを決める。記者と刑事、異色のタッグを組んだ二人は、やがて事件に潜む大きな闇の核心に迫って――。
  • ミッドナイト・モクテル 飲まないあなたのためのバー
    4.2
    なかなか厳しい就活を経て、食品卸会社に入社した酒匂(さこう)ミチル。取引先にウケがよさそうな名前だという安直な理由で、“酒類”販売二課に配属されてしまったが、実はお酒はほとんど飲めない。取引先の信頼を得るためと、勧められたお酒を必死に飲んではいる。初めはこれが、大人になる通過儀礼なのだと思っていたが、どうしても美味しいと思えない。学生時代の友達との集まりも、いつしか夜のお酒の店ばかり。孤独と疲れを感じていたある日、引き継いだ取引先のひとつに、極端に注文が少ない「バー」があることに気づく。『SOBER CURIOUS』――この店は、ノンアルコールをたしなむバーであるらしく……?
  • 鏡の花
    3.6
    少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会……。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
  • スクープ(スクープシリーズ)
    3.8
    TBNテレビ報道局社会部の布施京一は、看板番組『ニュース・イレブン』所属の遊軍記者。素行に問題はあるものの、独自の取材で数々のスクープをものにしている。時には生命の危機にもさらされるが、頼りになるのは取材ソースのひとりでもある警視庁捜査一課の黒田裕介刑事の存在だ。きらびやかな都会の夜、その闇に蠢く欲望と策謀を抉り出す。
  • 日本ダービー殺人事件
    3.0
    競馬専門誌「週刊ホース」の新人記者芦沢は、先輩・松本の強烈な個性に興味を持っていた。日本ダービーを間近に控えた五月、十二連勝を飾る本命馬タマキホープのオーナーとジョッキーのもとに、「出走を取り消せ」という脅迫状が舞い込んだ。十津川警部はその文面に無気味さを感じる。厳重な警戒にもかかわらず、続々と起る怪事件。競馬界内部の不正と仕組まれた罠にいどむ十津川警部の名推理。長編小説。
  • スキマワラシ
    3.6
    1巻1,089円 (税込)
    白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現れる都市伝説の“少女”とは?――太郎と散多は古道具店を営む兄弟。ものに触れるとそこに宿る記憶が見えるという散多は、古いタイルからこれまでにないほど強烈なイメージを受ける。そこに映し出されたのは幼い頃に亡くした両親の姿だった。タイルと両親にまつわる謎と、廃ビルで目撃された少女の都市伝説が交差するとき、時を越えた物語の扉が開く……。再開発予定の地方都市を舞台に、兄弟のひと夏の不思議な冒険を描くファンタジックミステリー長編。
  • 栞と嘘の季節
    3.9
    ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編! 直木賞受賞第一作 猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。 高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。 ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。 小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。 持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。 そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。 誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。 「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。 直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!
  • 人形たちの白昼夢
    4.1
    声が出なくなってしまった私は、見知らぬ相手からの招待状に誘われ、レストランを訪れる。給仕人にうながされ料理を口にすると、さまざまな情景が浮かんできて――。(「スヴニール」)荒廃した世界。空爆から身を潜め、不思議な「声」に導かれて目を開けると、自動機械人形(オート・ドール)が現れた。豪奢で美しい、暗殺用の人形に連れられて向かった先には――。(「リューズ」)『魚神』『男ともだち』の著者が贈る、リアルと幻想が溶けあうような12のショートストーリー。
  • 猫だまりの日々 猫小説アンソロジー
    3.7
    仕事を失った青年の願いを叶えるべく、彼を訪ねてきた猫。かつて飼っていた猫に会えるという噂のある、ちょっと不思議なホテル。猫飼い放題の町で出会った彼と彼女の恋。猫が集まる縁結びの神社で起きた、恋と友情にまつわる出来事。死後に猫となり、妻に飼われることになった男――。人気作家が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。全五編を収録。 【目次】ハケン飯友 椹野道流/白い花のホテル 谷 瑞恵/猫町クロニクル 真堂 樹/縁切りにゃんこの縁結び 梨沙/神さまはそない優しない 一穂ミチ
  • チア男子!!
    4.3
    大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に誘われ、大学チア初の男子チームを結成することになるが、集まってきたのは個性的すぎるメンバーで……。チアリーディングに青春をかける男子たちの、笑いと汗と涙の感動ストーリー!
  • メルカトルと美袋のための殺人
    3.8
    推理作家の美袋三条は、知人の別荘で出会った佑美子に刹那的に恋をする。しかし彼女は間もなく死体で発見され、美袋が第一容疑者とされてしまった! 事件に巻き込まれやすい美袋と、「解決できない事件など存在しない」と豪語する魔性の名探偵・メルカトル鮎が挑む巧緻な謎の数々。脱出不能な密室殺人から、関係者全員にアリバイが成立する不可能犯罪まで――奇才が放つ、衝撃本格推理集。
  • 嗤う名医
    3.5
    脊柱管狭窄症で尿道に管を入れられ自宅で寝たきりの状態を強いられている男性は、嫁に浣腸を頼むのが憂鬱だ。あげくに嫁は看護婦や医師にわたしが痴呆だと嘘をついて嫌がらせをしている。きっと施設送りにしようと企んでいるに違いない。そんなことはさせないと叫ぶが――「寝たきりの殺意」。豊胸手術に失敗した運の悪い女を描いた「シリコン」他、現役医師による背筋が凍るミステリー全6篇。
  • 絆 走れ奇跡の子馬
    4.0
    拓馬の家は福島県南相馬の競走馬生産牧場だ。2011年3月11日、東日本大震災の津波で牧場は壊滅。愛馬シロは子馬を産み落とし事切れた。恋人も失った拓馬に唯一残された希望である子馬は「リヤンドノール(北の絆)」と名付けられる。競走馬として成長して迎えた日本ダービー。拓馬の、福島の思いを背負うリヤンは奇跡を起こすのか。伝統の祭、相馬野馬追の地を舞台に描く、人と馬の祈りの物語。
  • 新釈 グリム童話 ―めでたし、めでたし?―
    3.3
    老舗ホテルの一人娘として生まれた「眠り姫」は、経営不振の実家を救うためにお見合いをすることに。「ヘンゼルとグレーテル」は廃屋から届くケーキの注文に戸惑っていた。自分こそが学年一の美少女だと思っている「白雪姫」は、同じくらい美しい無愛想な少女の存在が気になっていて……。誰もが知る“グリム童話”を大胆にアレンジ! 人気作家の作品、全六編を収録。
  • 推し飯研究会
    4.3
    推し飯――自らが全力で愛し、応援する人物・キャラクターの好物といった、その人を想起させる食べ物のことである。この春から一人暮らしを始めたものの、料理嫌いの佳奈子が、ひょんなことから入った大学のサークルは、その名も『推し飯研究会』。メンバーそれぞれの「推し」への愛を語り、「推し」にまつわる食べ物を手作りのうえ食し、「推し」がいかに尊いのかを実感するという不思議な活動だったが、意外と居心地が良くて……? 「愛ゆえにたまごトースト」「ストイック素うどん」「適当極みクッキー」「懐深いカレー」そして「背徳の炭水化物パーティー」……推し飯、召しあがれ! 食べれば、ますます「尊い……!」
  • 上毛化学工業メロン課
    4.3
    一流化学企業に勤めるはるのは、憧れの先輩・南が率いる群馬の研究所に異動になった。意気揚々と出勤したが、なんとそこは問題社員を集めたいわゆる「追い出し部屋」。天才研究員と謳われた南はやる気をなくして酒浸りになっていた。「来年度までにメロンを収穫しないと全員クビ」と言い渡されたはるのは、課の存続と南を再生させるべくメロン栽培に乗り出すが!?
  • ダービーパラドックス
    3.0
    実業家・堂林の所有馬が次々と故障。競馬記者の小林が疑惑を追う中、堂林の馬ジェメロがデビューを迎える。小林が魅了されるほどの素質馬だが、惨敗した上に故障も判明。そんな折、先輩記者の沢村が謎の死を遂げ、小林自身も危険を感じるようになる。競馬界で何が起こっているのか。誰を信じればよいのか。北の大地で小林が見た真実とは!? 現実を超えるリアリズム、これが21世紀の競馬ミステリー。
  • 怪しい隣人
    3.9
    6人の隣人、6回分の罠。さえない中年男の、親友の未亡人に寄せるほのかな恋心がとんでもない結末を生む「妻と未亡人」。夫の上司の娘を預かることになった主婦が、知りたくもない事実を知らされる「本当のこと」。思いがけない事件をきっかけに妻と愛人の間で孤立してゆく男を描く「隣の他人」ほか、ありふれた人々の、少し歪んだ思惑が交錯するとき、日常にぽっかりと開く恐怖の落とし穴。心の闇を暴くサスペンス6編。
  • きょうの日はさようなら
    4.1
    2025年7月。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、いとこがいること、彼女と一緒に暮らすことを父から唐突に知らされる。ただでさえつまらない夏休み、面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。いとこの存在に、なんの楽しみも期待もない。退屈な日常はひたすら続いていく。けれど、彼女――今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生だった…。
  • ハコブネ
    3.7
    十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
  • また君と出会う未来のために
    4.4
    仙台の大学に通う爽太には秘密があった。9歳のころに海で溺れ、遠い未来――2070年の世界へと時を超えて迷い込んだことがあるのだ。現代に戻ったあとも、未来で助けてくれた女性を忘れられずにいたが、アルバイトがきっかけで知り合った八宮和希という青年に「おれは過去から来た人に会ったことがある」と告げられて…? 出会いと願いを描いた感動作!
  • ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが
    4.0
    ある事情から、極端に食が細くなってしまった大学生の碧。とうとう貧血で倒れたところを、「ゆきうさぎ」という小料理屋を営む青年、大樹に助けられる。彼の作る料理や食べっぷりに心惹かれた碧は、バイトとして雇ってもらうことに! 店の常連客や、お向かいの洋菓子店の兄妹、気まぐれに現れる野良猫(?)と触れ合ううち、碧は次第に食欲と元気を取り戻していく――。
  • オロロ畑でつかまえて
    3.5
    1~2巻495~605円 (税込)
    【第10回小説すばる新人賞受賞作】人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった! ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる――。ユーモア小説の傑作。
  • ドラキュラ記念吸血鬼フェスティバル(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    4.0
    とある企業の記念イベントに出演予定のゲストが不祥事で逮捕され、あわや中止に。急遽変更されたテーマ〈ドラキュラ生誕五百年〉に合わせ、企業の取引先〈クロロック商会〉の雇われ社長にして「正統な」吸血鬼のフォン・クロロックに出演依頼が舞い込むが、クロロックは依頼主とドラキュラの知り合いではないらしく……。おまけにこのイベント、どこか訳ありで!? 表題作ほか、うだつのあがらないサラリーマンの口座に突然二億八千万円が振り込まれ…(「吸血鬼の給与明細」)、観光バスのツアー中、乗員乗客全員が謎の眠気に襲われてしまい…(「吸血鬼の迷路旅行」)の2編を収録!
  • 我が家のヒミツ
    4.2
    結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。ある日、勤務先に憧れの人が来院し…(「虫歯とピアニスト」)。ずっと競い合っていた同期のライバル。53歳で彼との昇進レースに敗れ、人生を見つめ直し…(「正雄の秋」)。16歳の誕生日を機に、アンナは実の父親に会いに行くが…(「アンナの十二月」)。など、全6編を収録。読後に心が晴れわたる家族小説。
  • 御不浄バトル
    3.3
    僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!? 過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが……。芥川賞作家の話題作。
  • 政と源
    3.9
    東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。当年とって七十三歳の国政と源二郎は、正反対の性格ながら、なぜか良いコンビ。水路のある下町を舞台に老人パワーを炸裂させるふたりの、痛快で心温まる人情譚! 【目次】一、政と源/二、幼なじみ無線/三、象を見た日/四、花も嵐も/五、平成無責任男/六、Y町の永遠
  • 牙

    5.0
    ふとしたことで事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが! そして祖父が襲われ、死んだ。いまわのきわに残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫りくる組織の魔手、陰にひそむ大物に、一幸の復讐が始まる。
  • 若葉のころ(凜一シリーズ)
    4.3
    京都の大学に進学し、二度目の春を迎えた凛一。氷川と逢える平穏で幸福な日々がようやく訪れたかに思えたが、三年ぶりに帰国した有沢が、再び凛一の心に波紋を広げていくのだった。そんなおり、大学フットボール部の主将として活躍する氷川に関する情報を外部に漏洩しているという疑いが凛一にかけられる。ふたりはこのまま逢うことができなくなるのか……。好評シリーズついに完結。
  • 旅屋おかえり
    4.2
    あなたの旅、代行します! 売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった――。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
  • 歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会
    4.7
    将棋に挫折し、無気力な日々を送っていた元天才少女の歩は、将棋同好会を立ち上げた元陸上部エース・涼の熱意に負け、将棋を再開する。元ライバルの奈津子、師匠だった父、挫折の原因となった天才棋士・龍也…。将棋盤に向き合うたびに、過去の痛みに立ち向かっていく歩の隣には、いつも涼がいて…。ひたむきに盤上を駆ける少女達の、ひと夏のガール・ミーツ・ガール。
  • てのひらの未来 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season:アナザーストーリー
    4.6
    オーストラリアから緊急帰国し、かれんとの未来を模索する勝利。一方、二人を見守ってきた丈や星野りつ子、中沢、アレックス……彼らもまた、それぞれの想いと時間を胸に、悩みながらも新たな一歩を踏み出そうとしていた。そして帰国から一年。かれんと勝利に思いもよらない報せが届いて――。一人一人の願いが織りなす最終巻の裏側と、その後の彼らの姿を描く、宝物のようなもう一つの物語。550万人がときめいた恋愛小説の金字塔、〈おいコー〉シリーズにファン必読、感動のアナザーストーリーが登場!――「本編のラストよりもほんの少し先の世界に、読者の皆さんが今よりちょっと安心していただけたなら……」(村山由佳)
  • 忘れない男 ~警視庁特殊能力係~
    4.2
    警察学校を卒業したばかりの麻生瞬。憧れの捜査一課に配属されたが、そこは「特殊能力係」という部署。どうして自分が? 戸惑う瞬だったが、上司の徳永に言われて気がついた。一度見た顔は忘れない、というのはどうやら普通ではないらしい…? 瞬はその記憶力で早速成果をあげはじめるが、なぜか命を狙われるように――。15年前の代議士死亡事故との関係とは!?
  • 姉の結婚
    3.5
    結婚のご祝儀をめぐる、若い夫婦の人には言えない悔しい思い「御祝儀袋」。給料手取り十三万五千円のOLが家賃八万円のマンションに住むために、日々一円との闘いに明け暮れる倹約生活のなかで生まれる意外な感想「家賃」。普通と平凡が合体したような男と結婚した姉。たちまち破局がやってきて、目ざましい姉の変貌ぶりが可笑しい表題作。ささやかな見栄を支えに明るく生き抜く女たちの物語。
  • 雨の塔
    3.9
    その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女――高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。
  • 魚神
    4.3
    かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。
  • 殺しのバンカーショット
    2.0
    ビッグトーナメント直前に〈この大会中に、あいつを殺してやる〉という脅迫状が届いた。日本ゴルフ連合会理事・吉田は、警察に警備を依頼する。十津川は早速捜査にあたるが、吉田は交通事故で死に、そしてトーナメント中に殺人が起こる。これはトッププレイヤーの有藤を狙ったものなのか。ゴルフ界の複雑な人間関係のなかで、次々と起こる奇妙な殺人の謎に挑む十津川警部の名推理。長編ミステリーサスペンス。
  • 少女は卒業しない
    4.1
    今日、わたしは「さよなら」をする。図書館の優しい先生と、退学してしまった幼馴染と、生徒会の先輩と、部内公認の彼氏と、自分だけが知っていた歌声と、たった一人の友達と、そして、胸に詰まったままの、この想いと――。別の高校との合併で、翌日には校舎が取り壊される地方の高校、最後の卒業式の一日を、7人の少女の視点から描く。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
  • 鉄道員(ぽっぽや)
    4.2
    娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた……。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録した傑作集。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラーに、あらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。
  • 窓

    -
    一流会社に就職が内定した隅野弘之は、出世の妨げになることを恐れ、遊び半分のガールフレンドと別れる決心をする。別れ話がこじれないよう一計を案じるが――。欲と保身のための計画が、連続殺人事件の発端に! 新宿署・牛尾刑事の忍耐強い追跡がはじまる。大都会にうごめく人々の錯綜する人生を描く、ヒューマン・ミステリーの力作。
  • 家鳴り
    3.9
    妻が際限なく太っていく─。失業中の健志を尻目に、趣味で始めた手芸が世間の注目を集め、人気アーティストとなった治美。夫婦の関係が微妙に変化するなか、ストレスとプレッシャーで弱った妻のために健志が作り始めた料理は、次第に手が込み、その量を増やして…(「家鳴り」)。些細な出来事をきっかけに、突如として膨れ上がる暴力と恐怖を描いたホラー短篇集。表題作を含む7篇を収録。
  • 消せない告白 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season III
    3.9
    楽しい焼肉パーティー…のはずだった。オーストラリアから一時帰国した秀人さんを囲んだ、にぎやかな会が、一転激しい兄弟ゲンカに。さらに運の悪いことに、仲裁に入った勝利の頬に強烈なパンチが入った。顔面が腫れ、歯を失い、部活を休んだ勝利のもとを星野りつ子が見舞いに訪れ、これまでとは違う一面を見せる。一方、かれんはひとり悩みを抱えているが…。セカンドシーズン第3弾。
  • 星月夜
    5.0
    1巻506円 (税込)
    日本語教師として東京の大学で働く台湾人の柳凝月(りゅうぎょうげつ)と、新疆ウイグル自治区出身の留学生・玉麗吐孜(ユルトゥズ)。恋人同士の彼女たちだが、柳がともに日本で暮らす未来を思い描く一方で、玉麗吐孜の心は揺れ動いていた。家族、政治、セクシュアリティー。共通の言語を持ち、幾夜も語り合ったはずなのに、柳は彼女が背負うものの重さを知らずにいたことに気がつき……。「ここでなら、自由になれると思った」――新日本語文学の旗手が描く、異国の地で出会った二人の女性の静かな祈りの物語。
  • 僕らの夏 おいしいコーヒーのいれ方 II
    3.5
    5歳年上のいとこのかれんとその弟の丈と同居して1年。大学生になった勝利の毎日は不安と焦りでいっぱい。恋人でもあるかれんとの仲が、なかなか進展しないからだ。ファースト・キスはかわしたけれど、彼女はホントに僕のことが好きなのだろうか? 強力なライバルの出現、大学での新たな人間関係…と勝利の心は休まるヒマもない。シリーズ第二弾。かれんと勝利、ふたりの夏がはじまる!
  • アッシュベイビー
    3.5
    キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと些細なきっかけから同居を始めた。彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
  • 今夜、ロマンス劇場で
    4.3
    映画監督を夢見る青年・健司は、ある嵐の夜、行きつけの映画館・ロマンス劇場で一人の女性と出会う。彼女は健司がずっと憧れていた映画のなかのお姫様・美雪だった! モノクロ映画の世界から飛び出した美雪は、カラフルな現実の世界に興味津々で、わがままな彼女に健司は振り回されてばかり。共に過ごすうち、惹かれあうふたりだが、美雪には秘密があった……。極上のラブストーリー。
  • 愛しても届かない
    3.9
    「恋」という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった。好きになった彼にはすでに恋人がいた。あきらめきることができない七々子のとった行動は、彼の恋人、美咲に近づき、友達になることだった。嘘をつき、おとしいれ、そうまでして手に入れた恋。一途に思う心には偽りはなかったはず、だけど……。女心の深淵をえぐる恋愛長編。
  • 渋谷ルシファー
    4.1
    桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。そんな一夜…映子18歳が突如、訪れたことから、桜町みずから封印していた苦い出来事が強烈によみがえる。迷路にはまりこんだ青春、凄絶で不器用な愛と別れ――。さまざまな恋のありさまを、ブルースの旋律にのせて描く。
  • 路傍
    3.7
    【第11回大藪春彦賞受賞作】俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。定職にも就いてない。同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み、泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。輝いて見えるものなど何もなかった。人生はタクシーに乗っているようなもので、全然進まなくても金だけはかかってしまう。そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。
  • 恋する短歌
    3.5
    ほんの少し勝ってほんの少し負けて 恋はいつでも少し悲しい――揺れうごく女性の気持ちを描き、共感をあつめる新鋭歌人・佐藤真由美が贈る、短歌+ショートストーリー集。初めてのデート、切なくて眠れない夜、見送る朝の光のまぶしさ…。恋が始まり、そして終わるまでの一瞬一瞬を鮮やかに切りとった、22篇の物語。
  • ハニー ビター ハニー
    3.7
    陽ちゃんは親友の沙耶香の彼氏だ。でも、わたしは彼と寝ている。沙耶香のことは大切だけれど、彼に惹かれる自分を止められない――(「友だちの彼」)。ライブでボーカルの男性に一目惚れし、誘われるままにホテルへ。初体験。…あたしは本当にこういうことがしたかったの?(「もどれない」)甘やかで、ほろ苦く、胸のちぎれるような切なさをたたえた全9話。人気歌人初の恋愛小説。
  • 雨やどり
    4.1
    舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など8編を収録。
  • 夫の妹
    3.3
    二十五歳のOL知花は両親の猛反対を押し切って、先妻と死別した五十歳の上司・国元公二と結婚した。後妻の立場と大きな年齢差が懸念されたが、それよりも問題は夫の妹にあった。四十五歳の義妹・小恵子は、二十も年下の兄嫁を「お姉さま」と呼んで慕い、洋服の趣味から髪型、さらに口癖・習慣に至るまで、知花のすべてを模倣しはじめる。そこには公二の先妻の死とも絡む大きな秘密があった。
  • 光媒の花
    3.9
    一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界――。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄弟が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束……。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。
  • さよならをするために
    3.5
    約束の時間から1時間。彼はきっと来ない、来るわけはない。恋はいつしか壊れていくもの…。終わった恋にエンドマークを打つために勇気をふりしぼって一歩を踏み出した女の子たち。そして、それは新しい恋の始まり…五つの恋が壊れていくありさまを切なく描く恋愛小説集。人は、さよならをするために恋をするの?
  • 碧空(凜一シリーズ)
    4.3
    高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凜一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凜一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凜一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は……。好評シリーズ第2弾。
  • 彼等(凜一シリーズ)
    4.1
    東京で受験生としての日々を送る凜一。京都の大学でフットボール部の主力選手として活躍する享介。遠く離れていてもこの思いは伝わっているはず―そう信じていた凜一だったが、京都を訪れた折りに、享介の意外な姿を見てしまう……。絡み合う周囲の人々の思惑、行き違いやためらいをのりこえて、ゆっくりと心は結ばれていく。二度とない、ふたりの季節を描く、好評シリーズ第3弾。
  • 白昼堂々(凜一シリーズ)
    4.1
    1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凜一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに……。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。凜一の希みは叶えられるのか。少年たちの切ない恋を描く好評シリーズ第1弾。

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