読んでいる間、全身にGを感じまくりだった航空小説。
ほとんど航空機に関しての予備知識・造詣が無い私にすらもビシビシ伝わって来る程に、とにかく戦闘機周りの描写が緻密。飛行中の挙動、コックピット内の様子や敵機を追い込む際の一瞬の思考。
ロマン脳汁がダダ漏れで拭くのが大変。
「敵機が自機の後方一〇〇フィ
...続きを読むート近くにまで食らいついてきた時にパイロットにできることは少ない。ハイG横転はそのうちの一つだ。(略)ぐるぐるとラセン状の飛行を続けながら、しかも上昇する。」(p140、p141)
どうです、カッコ良くないですか?
しかも何が素晴らしいって、上記抜き出し部分もそうだが、世界観を妨げない程度に適度な補足説明がまぶされているので、私みたいな飛行機素人でも何がどうなっているのか付いて行けるというのは非常に大切。
白いコートの謎の東洋人や〈商人〉スメルジャコフとの因縁、国家間の陰謀…と持ち越しの伏線多数。
巻末に収録されたときわ書房本店・宇多川氏とさわや書店フェザン店・田口氏とのスペシャル対談ももれなく熱い。確かに工藤秀三整備班長の「マニュアルはオレだ」(p107)は燃える名台詞。
また新しいジャンルへの扉を開いてしまった…。
1刷
2022.9.11