Posted by ブクログ
2016年05月31日
表題作は今から40年前の直木賞受賞作らしい。半村良の伝奇SFを好んで読んでいた時代があったが、まだ若かった故に、本作のようなオトナの世界を描いた作品には手を出さなかった。まあ、あの時代に読んでとしても面白さは解らなかったと思う。
何とも良い雰囲気を醸し出している連作短篇集である。新宿の歌舞伎町でバ...続きを読むーのオーナー兼バーテンダーの仙田を中心に様々な人間模様が描かれる。
最初の短篇『おさせ伝説』はエロチックな伝説SFのような結末で、この作品全体がこのトーンで進むのかと思ったら、『ふたり』からしっかりとオトナの世界が描かれる。やはり、表題作の『雨やどり』が絶品。ラストに見せた男らしい未練の描写はなかなか描けるものではない。
全8編を収録。