Posted by ブクログ
2021年07月13日
『スモール・ワールズ』で知った作家一穂ミチさんの長編小説。
フォロワーさんに教えていただきました。ありがとうございます。
時は2025年。高校二年生の夏休み。
明日子と双子の弟の日々人と父親が暮らす家にいとこの今日子が居候としてやってきます。
実は彼女は冷凍睡眠から目覚めたばかりの三十年前の女子高...続きを読む生でした。
家族は火事で全員亡くなり、ただ一人生き残ったのだと説明を受けますが…。
三十年前(二十八年前)の高校生を彷彿とさせるアイテムがたくさん登場します。
ポケベル、ソックタッチ、ガングロなどの言葉も飛び出してやっぱりあの頃の特徴といえば女子高生だな~と思いました。
そして今日子は二十八年前ちょっと好きになりかけていた沖津くんという同級生がいました。
明日子たちは沖津くんが今、何をしているか探し出してあげて、今日子は高校の制服姿で沖津くんの働いている姿を勤務先のデパートに見に行きます。だけどただそれだけです。
そしてまた、明日子たちは今日子の家族が亡くなった理由が火事ではなく無理心中だったことを知ってしまいます。今日子の家系には無理心中を図るような重大な秘密がありました。
一方沖津くんの方もセーラー服姿の今日子に気が付いて昔のことを懐かしく思い出します。だけどやっぱりただそれだけです。
そして日々人は今日子に本気で恋をします。でも今日子はまた、未来へと旅立ってしまいます。
ひと夏のちょっと不思議なキュンとする物語でしたが、たしかに堂上今日子はそこにいたのだと思いました。