光文社古典新訳文庫作品一覧

  • 日陰者ジュード
    4.0
    学問の道を志す貧しいジュードは、本を取り寄せて自学しつつ、生活のために石工の見習いとなる。進学の見込みもないうちに、奔放なアラベラと結婚するものの、その関係はすぐに破綻してしまう。そして今度は知的で進歩的な考えを持つ従妹スーに惹かれ、ふたりは同棲を始めるが……。近代人の悲劇的運命を描いたハーディの代表作。
  • 三十棺桶島
    3.9
    悪名高い伯爵と結婚した末に、幼い息子と実父を一度に失う悲劇に見舞われたヴェロニク。14年後、彼女は悲しみを忘れるべく遠くの町で働き成功していたが、偶然見た映画の一場面で、見知らぬ土地の小屋に自分のサインが刻まれていることに気づく。探偵の情報をもとにその小屋に行ってみると、中には男性の遺体が! それは新たな惨劇の始まりに過ぎなかった。不吉な伝説と企みに満ちた島を舞台とした、怪盗ルパンシリーズの傑作。
  • ボヴァリー夫人
    -
    19世紀フランスを代表する小説。田舎医者シャルルとの平凡で退屈な結婚生活にエマは倦んでいた。理想と現実とのギャップ。満たされない心……。彼女はやがて夫の目を盗んで情事を重ね、散財を繰り返し、膨大な借金を抱えてしまう。センセーショナルな内容から発表当時は不道徳の廉で訴えられて裁判沙汰になったが、その効果もありベストセラーになった。作家の深意、意向、意図を可能なかぎり反映させた忠実な翻訳。
  • 弁論術
    -
    説得力のある言論の考察を通じ、説得の技術としての弁論術を論じた『弁論術』。修辞学やスピーチ術を学ぶ伝統のある欧米諸国では必読書とされている方法論だ。善や美、不正などの概念から説き、すぐれた洞察力で人間の感情と性格を分類して、比喩等の修辞など表現の技巧について考察を深める。感情論と性格論の論考は説得力抜群で、表現論はすぐにも使える実践的なものばかりだ。後世に多大な影響を与えた最強の説得術。
  • 論語
    -
    「学んだ知識を自分のものにしていく。そこに喜びがうまれてこないだろうか」。自由で愛にあふれ、厳しくも温かい孔子の人間像が、弟子たちとの迫真の対話を通して浮かび上がる。伊藤仁斎、荻生徂徠をはじめ、日本で長い間親しまれ、受容されてきた論語に新風を吹き込む現代語訳。仏訳、英訳、現代中国語訳『論語』などを踏まえ、かつてない世界文学的な視点からの果敢な註釈を添えて刊行。「生きるヒントとなる索引」付き。
  • エミール 1
    3.0
    1~3巻1,650~1,760円 (税込)
    『人間不平等起源論』『社会契約論』で知られ、フランス革命を導いた思想家ルソーが小説の形式で書いた教育論。エミールという架空の人物を設定し、みずからの思想を盛り込んで、一人の人間を「自然」という偉大な教師のもとで、自律した自由な人間に育てる方法を論じた。現代にも通じる普遍的価値をもつ子育て物語。全3巻。
  • 楽しい川辺
    5.0
    ボート遊びで友情を育む、純朴なモグラと人生経験豊かなカワネズミ。そして、流行に目がなく、後先を考えずに行動するヒキガエルが巻き起こす騒動のゆくえは? 英国の田園地帯を舞台に小さな動物たちの冒険を描く児童文学。定評あるジョン・バーニンガムの挿絵80点余りを収録。
  • 同調者
    4.4
    マルチェッロが殺人を犯したのは13歳のとき。以来、日常生活のなかでは「正常」であろうと努め、果てはファシズム政権下のイタリアにて政治警察の一員に。人並みな結婚を目前にある暗殺計画に関わることになるが、任務中に思わぬ欲望が芽生えて……。映画『暗殺の森』原作としても知られる、20世紀最大の小説家の一人による円熟期の代表作。
  • 城

    4.0
    ある冬の夜ふけ、測量士Kは深い雪のなかに横たわる村に到着する。城から依頼された仕事だったが、城に近づこうにもいっこうにたどり着けず、役所の対応に振りまわされてしまう……。絶望せず、へこたれない測量士Kの奇妙な、喜劇的ともいえる日常のリアルを描いたカフカ最後の未完の長編。最新の史的批判版にもとづく解像度の高い決定訳で贈るカフカの最高傑作。
  • ノーサンガー・アビー
    NEW
    -
    ゴシック小説に夢中な十七歳のキャサリンは、逗留先のバースで社交界デビューを果たす。舞踏会で知り合ったヘンリー・ティルニーに惹かれ、彼の妹とも懇意になる。親友の兄ジョン・ソープの身勝手な妨害のために、関係が危うくなりもしたが、ついにティルニー家の自宅に招かれることに。そこは小説の舞台さながらの古い元僧院だと聞き、キャサリンの期待はいやがうえにも高まるが……。夢見がちな女子の成長と恋愛を描く。
  • モンテ=クリスト伯1
    -
    将来を嘱望された若き船乗りエドモン・ダンテスは、嫉妬した同僚に陥れられて、海に浮かぶおぞましい監獄で14年もの獄中生活を送ることに。絶望の中、他の囚人が壁を削る音に気づいた彼は……。息をつかせぬ展開と冒険、劇画風で情感豊かな描写。フランスの文豪デュマの心躍る代表作を、鮮烈な新訳で。各巻には作家や作品の周辺情報などを紹介する「読書ガイド」を収録。(全6巻)
  • 消しゴム
    3.6
    殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往左往する始末。だが関係者たちの思惑は図らずも「宿命的結末」を招いてしまうのだった。〈ヌーヴォー・ロマン〉の旗手、ロブ=グリエの代表作。
  • 椿説弓張月5
    NEW
    -
    絶体絶命の危機を脱出した為朝と寧王女は巴麻島へと渡り、神仙の導きで舜天丸と家来の紀平治と再会する。また鶴と亀は因縁の敵である託女、阿公を天孫廟で討ちとる。こうして為朝と舜天丸はふたたび首里を攻めて曚雲と雌雄を決する。その後為朝は八頭山にのぼって神仙と出会い、また残った舜天丸はついに琉球王となる。登場人物それぞれの因縁、生前と死後のことなどがすべて明かされる最終巻。全5巻完結!
  • 人間の権利
    値引きあり
    -
    アメリカ独立の推進力となった『コモン・センス』の著者ペインが、E・バークによるフランス革命批判に反駁したのが本書『人間の権利』だ。ペインはフランス革命を擁護するだけでなく、祖国イギリスの君主制を徹底批判する。また「生存権」という観点から、貧困問題の解決、福祉政策などの政治改革を主張した。その急進性ゆえ発禁処分となった本書は、政治思想はもちろん、経済思想的にもあらためて注目されている重要古典である。
  • 未来のイヴ
    値引きあり
    4.5
    魅惑的な美貌と肉体を持ったアリシアを運命の恋人としたエウォルド卿は、やがて彼女のあまりの軽薄さに幻滅してしまう。絶望の淵にあった彼に手をさしのべたのは、エジソンだった。偉大な発明家はついに、アリシアを完璧に模した肉体に高貴な魂をそなえた機械人間〈ハダリー〉を生み出すが……。アンドロイドSFの元祖、待望の新訳!
  • 椿説弓張月3
    -
    平清盛を討とうと九州から上洛中の海上で、為朝親子と主従は暴風雨に遭い遭難してしまう……。そして舞台は琉球に代わる続編。尚寧王に男子の世継ぎがいないことから王位継承争いが勃発。王妃と結託して国政を乗っ取ろうとする高官、利勇と、寧王女を盾に国を守ろうとする忠臣、毛国鼎。妖術使いの曚雲国師と詫女の阿公、毛国鼎の子ども鶴亀兄弟と忠義を尽くす真鶴など。深い因縁も絡んだ壮絶な争いを描く「琉球編」。
  • 椿説弓張月2
    5.0
    中国と日本の歴史書ほか膨大な資料を援用し、琉球王国にまつわる伝承に絡めて壮大なスケールで書かれた『椿説弓張月』。第2巻は、伊豆大島を実質統治していた為朝が官軍に攻め込まれ、決死の戦で敗走。そして崇徳院の墓参りにと讃岐国へ赴いたところ、一人の旅人との不思議な縁から肥後国へ導かれ、そこで……。臨場感あふれる戦いの場と、登場人物それぞれの運命が絡み合う愁嘆場も読みごたえ十分な新訳。
  • 椿説弓張月1
    5.0
    『保元物語』に登場する強弓の武将源為朝を主人公とし、日本と琉球を舞台に琉球王国再建の秘史を描く史伝物読本。読本作者・馬琴の出世作であり、『南総里見八犬伝』と並ぶ代表作。北斎の挿画を全点収録する全5巻構成。第1巻は、九州に下っていた為朝が保元の乱で崇徳院方に加わり奮戦するものの敗れ、伊豆大島に流されるが……。各巻に解説を付けて刊行する。
  • チャタレー夫人の恋人
    値引きあり
    4.0
    上流階級の令夫人コニーは、戦争で下半身不随となった夫の世話をしながら、生きる喜びのない日々を送っていた。そんなとき屋敷の森番メラーズに心奪われ、逢瀬を重ねることになるが……。身分や地位を超えて激しく愛し合う男女を描いた至高の恋愛小説。過激な性描写ばかりが注目されてきた従来の作品イメージを覆す新訳。登場人物たちの苦悩や絶望はきわめて現代的であり、今を生きる我々にとって隣人とも呼べる存在だ。
  • ラブイユーズ
    値引きあり
    4.5
    元近衛竜騎兵のフィリップは、酒や賭博に興じ、勤め先や家族の金を使い込んだ挙げ句、軍の謀議に関与して収監される始末。息子を溺愛する母は、釈放に必要な金を工面しようと実家の兄に援助を求めるが、そこでは美貌の家政婦とその恋人が家長を篭絡して実権を握っていたのだった……。
  • アルハンブラ物語
    値引きあり
    5.0
    神秘的な秘宝伝説、恋の巡礼者となった王子の伝説、三人の美しい王女たちの悲恋物語、異教徒との友情、そして武勇伝……。アメリカ公使館員として訪れたアルハンブラ宮殿の美しさに魅了された作家アーヴィングが、かつての住人、ムーアの王族の栄光と悲嘆の歴史に彩られた宮殿に纏わる伝承とスケッチ風の紀行をもとに紡いだ壮大な歴史ロマン。異国情緒あふれる物語は、発表以来、ヨーロッパに一大ブームを巻き起こした。
  • ドラキュラ
    値引きあり
    3.9
    トランシルヴァニア山中の城に潜んでいたドラキュラ伯爵は、獲物を求めて英国ロンドンへ向かう。嵐の中の帆船を意のままに操り、コウモリに姿を変えて忍び寄る魔の手から、ロンドン市民は逃れることができるのか。吸血鬼文学の不朽の名作。
  • オリバー・ツイスト
    値引きあり
    4.1
    生まれ育った救貧院でも、徒弟として売られた葬儀屋でも、人間的な扱いを受けたことのない孤児オリバー。道端で会った気さくな少年が、ロンドンで住居や仕事の世話してくれる人物を紹介するというが……。苛酷な運命に翻弄される少年とそれを取り巻く人々の思惑をドラマチックに描いた、ディケンズの出世作。挿絵多数!
  • ラ・ボエーム
    値引きあり
    3.8
    安下宿に暮らす音楽家ショナールは、家賃滞納で追い出される寸前。金策の途上で出会った詩人ロドルフ、哲学者コリーヌ、突然現れた画家マルセルと意気投合し……。気の多い女ミミ、金持ちの愛人ミュゼットらも加わり展開される、自由放埒で甘美な物語。本邦初、23の連作小説の全訳!
  • 崩れゆく絆
    4.2
    古くからの呪術や習慣が根づく大地で、黙々と畑を耕し、獰猛に戦い、一代で名声と財産を築いた男オコンクウォ。しかし彼の誇りと、村の人々の生活を蝕み始めたのは、凶作でも戦争でもなく、新しい宗教の形で忍び寄る欧州の植民地支配だった。全世界で1000万部のベストセラー、アフリカ文学の父アチェベの記念碑的傑作待望の新訳!(『THINGS FALL APART』改題)
  • 十五少年漂流記~二年間の休暇~
    値引きあり
    3.7
    ニュージーランドの寄宿学校の生徒ら十五人が乗り込んだ船は、太平洋を漂流し、無人島の浜に座礁する。過酷な環境の島で、少年たちはときに仲違いしながらも、協力して生活基盤を築いていくが……。原書初版に収録された図版約90点も収録。
  • 今昔物語集
    値引きあり
    4.0
    芥川龍之介『鼻』『羅生門』の原話のみならず、エロに下卑た笑い、有名人の噂にスキャンダルの宝庫! 平安時代末期の民衆や勃興する武士階級、人間味あふれる貴族、僧侶らの姿をリアルに描く、「美しい生ま々々しさ」(芥川)に満ちた日本最大の仏教説話集。「仏教」説話だから抹香臭いお行儀の良い話が集められているかといえば、大違い。この世のありとあらゆる「業」にまつわる面白い物語が目白押し。
  • 聊斎志異
    値引きあり
    4.0
    中国清代の作家蒲松齢が、科挙に落第しつづける中、古来の民間伝承などをもとに豊かな空想力と古典の教養を駆使し、仙女、女妖、幽霊や精霊、昆虫といった異能のものたちと人間との不思議な交わりを描いた怪異譚。目の中に住みついた小人同士の会話、愚鈍なイケメンのドッペルゲンガー、金持ち狐の復讐、菊好きな男に惚れた菊の精、仙術修行は壁抜けの術、酒好き幽霊の恩返し、美女幽霊二人の誘惑に負けなかった男など43篇を収録。
  • 八月の光
    値引きあり
    4.3
    お腹の子の父親を追って旅する女、肌は白いが黒人の血を引いているという労働者、支離滅裂な言動から辞職を余儀なくされた牧師……近代化の波が押し寄せる米国南部の町ジェファソンで、過去に呪われたように生きる人々の生は、一連の壮絶な事件へと収斂していく。ノーベル賞受賞作家の代表的作品。20世紀アメリカ文学の傑作!
  • モーリス
    4.7
    凡庸な少年時代から、モーリスは自分の願望を知ってはいた。ケンブリッジ大学の学舎で知的なクライヴと懇意になり、戯れに体が触れあううち、彼の愛は燃え上がる。クライヴもまた愛の言葉を口にするが……欲望のままに生きることが許されない時代に生きる青年の苦悩と選択を描く。執筆当時は同性愛が犯罪であったため、著者の死後に発表された禁断の恋愛小説。(解説・松本朗)
  • 世界を揺るがした10日間
    値引きあり
    5.0
    1917年11月。ロシア革命のさなか、アメリカの若きジャーナリスト、ジョン・リードが、革命の指導者(レーニン、トロツキーら)から兵士、農民、さらには反対派(ケレンスキー)までを取材。当時のビラや新聞などの資料も駆使して、冬宮の占拠など刻一刻と変動する革命の緊迫した現場を臨場感あふれる筆致で克明に描いた20世紀最高のルポルタージュ。ロシア革命100周年企画第2弾!
  • 死の家の記録
    値引きあり
    4.6
    “人間離れ”した囚人たちの異様さが、抑制の効いた訳文だからこそ際立つ。だがここに描かれている彼らは、まさに「人間そのもの」と言っていいだろう。本書はドストエフスキー自らの体験をもとにした“獄中記”であり、『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』など後期作品の原点でもある。
  • すばらしい新世界
    3.9
    西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め……驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!(『BRAVE NEW WORLD』改題)
  • キム
    値引きあり
    4.2
    植民地時代のインド。英国人孤児のキムは現地民に溶け込み逞しく暮らしていたが、チベットから聖なる川を探しに来たという老僧に感化され、弟子として同道する。だが現地語と変装が得意な彼は英国軍の目にとまり、やがて重大な任務を担うことになる……。ノーベル賞作家の代表長篇。
  • 絶望
    3.6
    ベルリン在住のビジネスマンのゲルマンは、プラハ出張の際、自分と“瓜二つ”の浮浪者を偶然発見する。そしてこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるのだが……。“完全犯罪”を狙った主人公がみずからの行動を小説にまとめ上げるという形で書かれたナボコフ初期の傑作!
  • フランス革命についての省察
    値引きあり
    4.3
    革命の進行するさなかに書かれ、理性を絶対視した革命政府の過激な改革を宗教、財政、軍事面にいたるまで痛烈に批判。その後の恐怖政治とナポレオンの登場までも予見した。ホッブズ、ロックに連なるイギリスの政治思想における重要書目であり、のちに保守主義の源泉と呼ばれるようになった歴史的名著。
  • 傍迷惑(はためいわく)な人々~サーバー短編集~
    3.7
    子どもの頃から不器用で、工作すれば傷だらけ、車は毎度エンストの「なんでも壊す男」。偶然手にとったシェイクスピアを読むミステリー小説マニアの暴走がおかしい「マクベス殺人事件」。思わずくすりと笑わせるイラストを、作者自ら大真面目に分析する「本棚のうえの女」。味のあるイラストと軽妙な文章で愛され続ける作家サーバーの縦横無尽の妄想力が炸裂。各種の笑いを取りそろえた短篇集。本邦初訳2篇を含む20篇を収録。
  • 椿説弓張月4
    -
    王位継承をめぐる争いから内乱の様相を呈し始めた琉球王国。曚雲国師の妖術に惑わされた暗愚な尚寧王のもと、廉夫人、忠臣毛国鼎らは命を落とした。寧王女の絶体絶命の危機を救った為朝は、曚雲を討つべく南風原へと赴き利勇と対面する。そして生き延びた毛国鼎の子、鶴と亀は因縁の敵である阿公と対決。曚雲、利勇、為朝、知略と謀略がぶつかり合う三つ巴の戦いを描く。
  • 郵便局
    4.6
    仕事は楽勝、配達先で女ともヤレて……のはずが、試験を受けて代用の郵便配達人になってみるとむちゃくちゃキツい。正職員の連中はひどい雨の日や配達量が多い日には欠勤しちまうし、ボスは意地悪だ。それでも働き、飲んだくれ、女性と過ごす、そんな無頼生活を赤裸々に描いた自伝的長篇。
  • 枕草子
    値引きあり
    4.0
    「この草子、目に見え心に思ふ事を」。栄華を誇った中宮定子を支えた女房・清少納言は、なぜ膨大な言葉を書き残さなければいけなかったのか……。痛快な批評が笑いや哀感と同居する、平安朝文学を代表する随筆。ユニークな視点と鋭く繊細なまなざしですくい取った世界観を、歯切れ良く瑞々しい新訳で。「ここにもあった、いとをかし」。解説、年譜のほかに、位階、装束、牛車、建物などの図版資料を含む、宮廷生活ガイド付き。
  • 世間胸算用
    -
    一年の収支決算日である大晦日その日の事件を軸に、貧乏に追われる庶民の悲喜劇を描いた「連作短編小説」。六軒の裏長屋住人のその日暮らし、正月飾りのことで息子を叱る隠居婆、亭主の入れ替わりで借金取りから逃れようとするもの、絶望にたえる貧者とその女房の夫婦愛など。落語のようなオチを交え、無名の人々の滑稽さや可笑しさを、愛情にみちたまなざしで掬い取った傑作をリアルにストレートに伝える関西弁での現代語訳。
  • ネコのムル君の人生観(上)
    値引きあり
    3.7
    人のことばを理解し、読み書きを習得した雄ネコのムルが綴る自伝と、架空の音楽家クライスラーの伝記が交差する傑作長編。上巻はムルの生い立ちから、友だちのプードル犬ポントとの友情、美猫との恋話など青春時代まで。愛猫家必読! 豊富な訳注と抜群に読みやすい訳文で、奇才ホフマンが放つ、世界に冠たるネコ文学の世界を堪能する。
  • 判断力批判(上)
    値引きあり
    -
    知性と理性のはたらきについて自然の認識の可能性を示した『純粋理性批判』。人間の道徳的なあり方の可能性を示し、道徳哲学の根幹を構築した『実践理性批判』。カントはこの二つの領域を媒介する能力として判断力を提起する。上巻は美と崇高さを考察し、美的な判断力について論じる。
  • 政治学(上)
    値引きあり
    3.5
    「人間は国家を形成する動物である」。この有名な定義で知られるアリストテレスの主著の一つで、後世に大きな影響を与えた政治哲学の最重要古典。王制と独裁制(単独者支配)、貴族制と寡頭制(少数者支配)、共和制と民主制(多数者支配)。六つの国制を基盤に現実的な最善の国制を探究する。
  • ユダヤ人問題に寄せて/ヘーゲル法哲学批判序説
    値引きあり
    -
    急進的な民主主義者からプロレタリアートによる革命を目指す共産主義者へ。青年マルクスは、宗教批判から現実の政治変革としてヘーゲルの法哲学批判へと向かい、そしてユダヤ人問題、すなわち「貨幣」に支配される社会を変革することなしに、真の人間解放はあり得ないと喝破する。独創性あふれる「初期マルクス」の最重要論文集に、詳細かつ丁寧な解説を付す。
  • アルプスの少女ハイジ
    値引きあり
    4.2
    両親を亡くしたハイジは、アルプスの山小屋で暮らす祖父のもとに預けられる。月の光が差す干し草の寝床、山羊たちとの触れ合いなど、山の生活を満喫するハイジだったが、ある日、足の不自由な令嬢の遊び相手を務めるため、下山して都会の裕福な家に住み込むことに……。これまで世界各国で翻訳され、その総売上部数は5000万部以上というスイス文学の傑作。味わい深いミュンガーの挿画も50点以上収録した完訳版!
  • すべては消えゆく~マンディアルグ最後の傑作集~
    3.5
    パリの地下鉄、隣の席で化粧を始めた女の姿態に目を奪われたユゴーは、慎みとは無縁な彼女の手に思わず接吻してしまうが……。芳醇な性の悦楽が思わぬ展開を見せる表題作、美少女との甘い邂逅から一気に死の淵へと投げ出される「クラッシュフー」など、シュルレアリスム最後の小説家独自の世界観きわだつ3篇。
  • ドン・カズムッホ
    値引きあり
    4.3
    「いつもいっしょ……」「こっそりと……」「もし二人が恋仲にでもなったら……」。彼女は視線をゆっくり上げ、私たちは互いにみつめあった……。みずみずしい描写で語られる愛と友情。美少女と美少年の美しくせつない「恋」と「疑惑」の物語。小説史上まれにみる魅力的なヒロインが、こんなところに隠れていた。一見「普通の」温かな回想記のような印象を与えるが、画期的な文学技法上で書かれたブラジル文学の傑作。
  • シークレット・エージェント
    値引きあり
    3.0
    ロンドンの片隅で雑貨店を営むヴァーロックは、某国大使館に長年雇われたシークレット・エージェントである。彼はその怠惰を雇い主に咎められ、グリニッジ天文台の爆破事件を起こすよう命じられるのだが……陰鬱な社会とアナキストたちをめぐる人間模様を皮肉な筆致で描いた小説。
  • ぼくのことをたくさん話そう
    3.0
    眠れぬ夜の寝床に霊が現れ、ぼくの手を取って飛び上がり、地獄から煉獄、天国まで、「あの世」への旅にいざなう……。『自転車泥棒』『ひまわり』など20世紀イタリアを代表する映画の脚本家が、ユーモラスで味わい深い物語を連作掌編とでもいうべき手法で紡いでいく小説。
  • 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~
    3.7
    官能的な寓話「薔薇とハナムグリ」、眠り続けるモグラの怪物の夢に操られる島民の混乱を描く「夢に生きる島」。ほかに「部屋に生えた木」「ワニ」「疫病」「蛸の言い分」など、シュルで風刺のきいた世界が堪能できる20世紀を代表する作家モラヴィアの傑作短篇15作。「読まねば恥辱」級の面白さ!
  • ステパンチコヴォ村とその住人たち
    値引きあり
    4.4
    都会で暮らす私は、育ての親であるおじの召使いから、故郷での異常事態について知らされる。祖母に取り入った居候が口八丁を弄して家庭の権力をほしいままにしているというのだ。彼と対決すべくかの地に向かうが、癖のある客人や親戚たちの思惑にも翻弄され、予想外の展開に……。
  • ブラス・クーバスの死後の回想
    値引きあり
    4.0
    死んでから作家となった書き手がつづる、とんでもなくもおかしい、かなしくも心いやされる物語。カバにさらわれ、始原の世紀へとさかのぼった書き手がそこで見たものは……。ありふれた「不倫話」のなかに、読者をたぶらかすさまざまな仕掛けが施される。斬新で型破り、スーザン・ソンタグやハロルド・ブルームなどの高名な批評家も高く評価する、ブラジル文学の頂点に座す作家の最高傑作。
  • イタリア紀行(上)
    値引きあり
    4.0
    ヴァイマール公国での公務を放り出し、長年の憧れであるイタリアへ旅立ったゲーテ37歳。旺盛な好奇心と鋭い観察眼で、ヴェネツィアからローマ、ナポリ、シチリアなどを経めぐり、美術や自然にふれ、人びとの生活に身を置いて感じたことなどを書き留めた。下芸術家ゲーテの土台を築いた青春の旅の記録。
  • 感情教育(上)
    値引きあり
    3.6
    法律を学ぶためにパリに出た青年フレデリックは、帰郷の船上で美しい人妻アルヌー夫人に心奪われる。パリでの再会後、美術商の夫の店や社交界に出入りし、夫人の気を惹こうとするのだった。夫人への一途な想いと高級娼婦との官能的な恋愛、そして打算の恋……。アンビバレントな恋愛感情に揺れ動く青年の精神を、激動する時代とともに描いた傑作長編。『ボヴァリー夫人』と並ぶフローベールの代表作を流麗かつ優美な新訳で。
  • 地底旅行
    値引きあり
    4.5
    謎の暗号文を苦心のすえ解読したリーデンブロック教授と甥の助手アクセル。二人は寡黙なガイド、ハンスとともに地球の中心へと旅に出た。そしてそこで三人が目にしたものは……。地底世界を驚異的な想像力で自在に活写し、常識的な感覚を揺さぶる究極のSF小説を圧倒的な臨場感あふれる新訳で贈る。(『VOYAGE AU CENTRE DE LA TERRE』改題)
  • オペラ座の怪人
    値引きあり
    3.8
    怪人の噂が囁かれるパリ・オペラ座で死体が見つかり、美しき歌姫は演目中に姿を消す。怪人が歌姫に抱く狂おしいほどの愛はさらなる惨劇を招き、オペラ座は死の迷宮と化す――ノンフィクション風の小説手法に、ミステリー、怪奇、ユーモア、ロマンスを織り込み、容貌も能力も人間離れした異形の怪人エリックの人間的な悲劇を描く傑作小説を待望の新訳で!
  • うたかたの日々
    4.0
    青年コランは美しいクロエと恋に落ち、結婚する。しかしクロエは肺の中に睡蓮が生長する奇妙な病気にかかってしまう……。愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、このうえなく悲痛に、美しく描き切ったラブストーリー。ヴィアンの代表作であり、20世紀フランス文学の「伝説の作品」が、鮮烈な新訳で甦る! 映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』原作。
  • 説得
    値引きあり
    4.0
    准男爵家の次女アン・エリオットは、若い海軍士官ウェントワースと婚約するが、先方の経済力が不満な周囲の説得にあい、結婚を取りやめてしまう。八年後、エリオット家は転居を機に、出世して裕福になったウェントワースと付き合うことに。気まずさのなか、初めはよそよそしく振る舞う二人だが、胸のうちは穏やかではいられない。そんなとき不意に事故が起こり……。揺れ動く大人の心情を細やかに描いたオースティン最後の長篇。
  • 黒馬物語
    値引きあり
    3.6
    黒くて美しい馬ブラックビューティ。母馬と牧場で過ごした幸せな仔馬時代、優しいご主人の厩舎での成長や活躍、都会の新たな主人のもとで体験した虐待、見聞きした仲間の馬たちの物語まで、その波乱に満ちた一生を、馬自身の視点から描いた動物文学の名作(小学5年以上の漢字は総ルビ)。
  • 人間のしがらみ(上)
    値引きあり
    3.5
    幼くして父親と母親を亡くした少年フィリップ。寄宿学校での経験から自由を求め、外国生活に憧れてハイデルベルクの下宿屋へ、芸術家になることを夢見てパリの美術学校へ、就職するべくロンドンの医科大学へと、理想と現実の狭間をもがき進む。そのなかでの様々な出会いに翻弄され……。友情と恋愛、そして人生のままならなさと尊さの両面を描き切る文豪モームの自伝的長編小説。
  • ブレシアの飛行機/バケツの騎士
    -
    カフカの5作目となる本作に収録したのは、38編のうち24編が、「カフカがカフカになった」と言われる傑作『判決』以前の小品、初期の習作です。カフカで一般的にイメージされる深刻さ、不条理といった色眼鏡を外せば、若書き特有のぎこちなさの奥にある原石の輝きが味わえます。「長編の助走かな」、「ん? これ、カフカ?」と思うような“青いカフカ”も垣間見えて、「カフカは一日にして成らず(?)」を実感できるでしょう。
  • シッダールタ
    4.5
    バラモンの息子シッダールタは、早くから精神修養の修業を積んでいたが、心の渇きは癒されず、身分を捨てて親友ゴーヴィンダとともに苦行の旅に出る。托鉢生活では、すでに悟りを開いていたゴータマ・ブッダに出会い、彼の説法を聞くものの、シッダールタは満足しない。むしろブッダや親友から離れ、俗世で遊女カマラーとの快楽に溺れ、そのための金を商売で稼ぐようになるが……。自己の解放と世界の真理を求めた青年の魂の旅路。
  • 月と六ペンス
    4.2
    新進作家の「私」は、知り合いのストリックランド夫人が催した晩餐会で株式仲買人をしている彼女の夫を紹介される。特別な印象のない人物だったが、ある日突然、女とパリへ出奔したという噂を聞く。夫人の依頼により、海を渡って彼を見つけ出しはしたのだが……。創造の悪魔に憑かれた男ゴーギャンをモデルに、最期まで絵筆を手放さなかった男の執念と情熱を描く、20世紀の大ベストセラー小説を決定訳で。
  • ロビン・フッドの愉快な冒険
    値引きあり
    3.5
    中世イングランド、おたずね者となった弓の名手ロビンはシャーウッドの森の奥に隠れ住む。棒術の名人、吟遊詩人、飲んだくれの修道僧など個性豊かな強者たちを仲間に引き入れながら、強欲な役人や聖職者らを相手に痛快な戦いを繰り広げるロビンだが……。著者による挿絵全点収録!
  • ニコマコス倫理学(上)
    値引きあり
    3.7
    自分のまっとうな努力で得た徳(アレテー)のみが人の真の価値と真の幸福の両方を決める。そして徳(アレテー)の持続的な活動がなければ人は幸福ではない。と考えたアリストテレス。上巻では幸福とは何かを定義し、勇気と節制、正義、また気前の良さ、志の高さなど、人柄の徳(アレテー)について考察する。若者が自分の人生を考え抜くための書物、倫理学史上もっとも重要な古典です。
  • カメラ・オブスクーラ
    4.3
    裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。ひそかに縒りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘をも失い、奈落の底に落ちていく……。あの『ロリータ』の原型であるナボコフ初期の傑作。英語版と大きく異なるロシア語原典の独特の雰囲気を活かし、細部の緻密な面白さを際立たせた野心的な新訳。
  • 小公女
    値引きあり
    4.7
    裕福なクルー大尉の娘セーラは、預けられた寄宿学校でも特別待遇を受け、「プリンセス」と呼ばれていた。だが、ある日父の急逝と破産が知らされるや、すべてが取り上げられ、寒い屋根裏部屋で下働きとして暮らすことに。持ち前の聡明さと空想力、プリンセスの気位で仕打ちに耐えるが……。小3以上の漢字は総ルビ。大人も子供も楽しめる新訳。1905年初版時のカラー口絵8点も収録。(解説・安達まみ)
  • ミドルマーチ1
    値引きあり
    4.0
    知的で美しいドロシア・ブルックは二十歳前の娘だが、自分の人生を偉大な目的に捧げることを熱烈に願い、温厚でハンサムな准男爵を退けて、学究生活に打ち込んでいる厳めしい五十がらみの牧師と婚約する……。地方都市ミドルマーチを舞台に緻密な人間描写で織りなす壮大な物語。「偉大なイギリス小説100」第1位(2015年、BBC調べ)に選ばれた、英国小説の最高峰、ついに開幕。〈全4巻〉
  • 若草物語
    値引きあり
    4.1
    メグ、ジョー、ベス、エイミー。感性豊かで個性的な四姉妹と、南北戦争に従軍する父親に代わり家を守る堅実な母親との、1年間の物語。隣家のローレンス氏や少年ローリーらとの交流を通し、少女たちは大人に近づいていく。ティーンエイジャーの日常を生き生きと描く。150年の間、世界中の女子が夢中で読んできた、今も全世界で愛されるベストセラーを、鮮度抜群の新訳で贈る。
  • ゴリオ爺さん
    値引きあり
    4.4
    出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界に潜り込む。そこで目にした令夫人は、実は同じ下宿に住むみすぼらしいゴリオ爺さんの娘だというのだが……。バルザックが描く壮大な小説絵巻《人間喜劇》の代表作を、鮮烈な新訳で。(解説・宮下志朗)
  • くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女
    値引きあり
    3.4
    クリスマス・イヴに贈られたくるみ割り人形。その導きで、マリーは不思議の国の扉を開ける……珠玉のメールヘン「くるみ割り人形とねずみの王さま」。役者ジーリオとお針子ジアチンタの恋を軸にして巻き起こる騒動。奔放な想像力が炸裂する「ブランビラ王女」。ホフマン円熟期の傑作2篇を収録。(解説・識名章喜)
  • ヒューマン・コメディ
    4.2
    第二次世界大戦中、カリフォルニア州イサカのマコーリー家では、父が死に、長兄も出征し、14歳のホーマーが学校に通いながら電報配達をして家計を助けている。彼は訃報を届ける役回りに戸惑いを覚えつつも、町の人々との触れあいの中で成長していく……。大人たちと子供たちの悲喜交々を笑いと涙で描き、懐かしさと温かさに包まれる長篇。
  • 天使の蝶
    4.1
    先史時代の鳥類のような奇怪な骨を見つけたのは、廃墟と化した大戦後のベルリンのアパートの一室だった……化学者でもあったプリーモ・レーヴィの世界観が凝縮された表題作「天使の蝶」をはじめ、傑作「ケンタウロス論」、「転換剤」「完全雇用」など15篇。アウシュビッツ体験を核に問題作を書き続け、ついに自死に至った作家の、本邦初訳を多数収録した傑作短編集。
  • ご遺体
    3.5
    英国出身でペット葬儀社勤務のデニスは、友人の葬儀の手配のためハリウッドでも評判の葬儀社〈囁きの園〉を訪れ、そこのコスメ係と恋に落ちる。だが彼女の上司である腕利き遺体処理師もまた、奇怪な方法で彼女の気を引いていたのだった……容赦ないブラック・ユーモアが光る中編佳作。
  • カーミラ~レ・ファニュ傑作選~
    値引きあり
    3.0
    舞台はオーストリアの暗い森にたたずむ古城。恋を語るように甘やかに、ときに情熱的に妖しく迫る美しい令嬢カーミラに魅せられた少女ローラは、日に日に生気を奪われ、蝕まれていく……。ゴシック小説の第一人者レ・ファニュの代表作である表題作と怪奇幽霊譚五編を収録。五編は「緑茶」「マダム・クロウルの幽霊」「幽霊と接骨師」「シャルケン画伯」「チャペリゾッドの幽霊」。
  • 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~
    値引きあり
    4.0
    一線を越えた、妖しい恋が始まる! フローベール、ボードレールらに愛された「文学の魔術師」ゴーティエによる官能の奇譚集。聖職者としての人生が始まる瞬間に絶世の美女の悪魔に見初められた男を描く「死霊の恋」、人妻に片思いする青年がインドの秘術を使ってその夫の肉体を乗っ取ろうと企てる「化身」、火山が残した乳房の型への恋心が青年を滅びたはずのポンペイの町に迷い込ませる「アッリア・マルケッラ」の3篇を収録。
  • アンクル・トムの小屋(上)
    値引きあり
    4.5
    正直で有能、分別と信仰心を持つ奴隷頭のトムは、ケンタッキーのシェルビー農園で何不自由なく暮らしていたが、主人の借金返済のために、奴隷商人に売却されることに。トムが家族との別離を甘受する一方、幼子を売られることになった女奴隷イライザは、自由の地カナダへの逃亡を図る。
  • 法王庁の抜け穴
    値引きあり
    3.6
    奇蹟によってカトリックに回心したフリーメーソン会員のアンティムと、幽閉されたローマ法王を救い出すという詐欺を企てる《百足(むかで)組》の首領プロトス。そして、予期せぬ莫大な遺産を手にしながらも「無償の行為」に走る19歳の青年ラフカディオ。登場人物それぞれに起こる偶然の出来事が複雑に絡み合う。時代を画したジッドの傑作「犯罪小説」。
  • ロビンソン・クルーソー
    値引きあり
    4.4
    船に乗るたびに災難に見舞われるロビンソン。無人島漂着でさすがに悪運尽きたかに思えたが、住居建設、家畜の飼育、麦の栽培、パン焼きなど、試行錯誤しながらも限られた資源を活用して28年も暮らすことになる……創意工夫と不屈の精神で生き抜いた男の波瀾の人生を描いた傑作。
  • 資本論 第一部草稿~直接的生産過程の諸結果~
    値引きあり
    -
    マルクスは当初、『資本論』を「商品」から始まり「商品」で終わらせる予定だった。資本主義的生産過程の結果としての「商品」は単なる商品ではなく、剰余価値を含み資本関係をも再生産する。この「生産物が生産者を支配する」という転倒した姿を克明に分析することで見えてくる資本主義の全貌。『資本論』では十分に語られなかった独自の論点が展開される、『資本論』のもう一つの結末がここにある。
  • いまこそ、希望を
    3.7
    1980年、サルトルの死と時を同じくして「朝日ジャーナル」に掲載され大反響を呼んだ対談の新訳。対談相手のレヴィは、鋭い批判でサルトル最晩年の思想に立ち向かう。生涯にわたる文学、哲学、政治行動などをふりかえりつつ、サルトルは率直に、あたたかく、誠実に、自らの全軌跡を語る。人生を歩んでいくなかで、社会や世界を見つめるなかで、立ち止まって考えるとき、確実な対談相手となりうるのがサルトルだ。
  • 傾城(けいじょう)の恋/封鎖
    3.6
    離婚後、没落した実家に戻っていた白流蘇(パイリウスー)。異母妹の見合いに同行したところ英国育ちの青年実業家に見初められてしまう「傾城の恋」。封鎖中の路面電車のなかでの男女の行きずりの恋を描いた「封鎖」。占領下の香港と上海が舞台の恋物語と自伝的エッセー「戦場の香港」ほかを収録。
  • 母アンナの子連れ従軍記
    4.0
    あの“肝っ玉おっ母”が新訳で生まれ変わった! 十七世紀、三十年戦争下のドイツ。父親の違う三人の子供を抱えながら、軍隊に従って幌車を引き、戦場で抜け目なく生計を立てる女商人アンナ。度胸と愛嬌で戦争を生きぬく母の賢さ、強さ、そして愚かさを生き生きと描いた、劇作家ブレヒトの代表作を待望の新訳で贈る。キャリアウーマンでシングルマザーで女盛り、母アンナはこんなにも魅力的だった!
  • ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~
    値引きあり
    4.0
    こころと向き合うすべての大人に響く、悩める文豪による迫真の短篇! 世話になった屋敷の娘との別れ際、どうも心が動かない青年を描く「ヴェーロチカ」、精神科病棟の患者とのおしゃべりに愉しみを見出すも周囲との折り合いが悪くなっていく医師を描く「六号室」など、作家としての転換期の最中、人間の内面を深く覗き込んだチェーホフならではの傑作を収録。
  • 神学・政治論(上)
    値引きあり
    5.0
    スピノザは本書で聖書のすべてを絶対的真理とする神学者たちを批判し、哲学と神学を分離し、思想・言論・表現の自由を確立しようとする。スピノザの政治哲学の独創性と今日的意義を、画期的に読みやすい訳文と豊富な訳注、詳細な解説で読み解く。『エチカ』と並ぶ主著、70年ぶりの待望の新訳!
  • ハックルベリー・フィンの冒険(上)
    値引きあり
    4.2
    トム・ソーヤーとの冒険で大金を得た後、まっとうな(でも退屈な)生活を送っていたハック。そこに息子を取り返そうと飲んだくれの父親が現れ、ハックはすべてから逃れようと筏で川に漕ぎ出す。身を隠した島で出会ったのは主人の家を逃げ出した奴隷のジムだった……。小中学生から楽しめる内容でありながら、大人の読者はこの物語の世界観と奥深さに魅了され、アメリカ文学の最高傑作と称される理由を知ることができるでしょう。
  • 緋文字
    値引きあり
    3.9
    17世紀ニューイングランド、幼子をかき抱いて刑台に立った女の胸に付けられた「A」の文字。子供の父親の名を明かさないヘスター・プリンを、若き教区牧師と謎の医師が見守っていた。不倫の罪を背負いながらも毅然と生きる女、罪悪感に苛まれ衰弱していく牧師、復讐心に燃えて二人に執着する医師――各々の罪を抱えた三つの魂が交わるとき、緋文時の秘密が明らかに! アメリカ文学屈指の名作登場。(『THE SCARLET LETTER』改題)
  • スッタニパータ~ブッダの言葉~
    値引きあり
    4.4
    インド北部に生まれた王子は、人の苦しみを乗り越える道を探るべく、29歳で裕福な生活を捨て、修行の旅に出る。そして6年ののちに「目覚めた人」すなわちブッダとなると、残りの生涯を説法に捧げた。人々の質問に答え、有力者を教え諭すブッダのひたむきさが、いま鮮やかに蘇る。
  • 小公子
    値引きあり
    3.8
    心優しく美しい少年セドリックは、ニューヨークで母親と暮らしていたが、7歳のある日、自分が英国の貴族ドリンコート伯爵の唯一の跡継ぎフォントルロイ卿であることを知らされる。渡英して祖父の住む城で教育を受けることになるが……。格調高くて読みやすい新訳と、C・E・ブロックによる壮麗な挿絵・口絵で蘇る不朽の名作。
  • マルテの手記
    値引きあり
    3.5
    大都会パリをあてどなくさまようマルテ。「見る」ことを学ぼうと、街路の風景やそこに暮らす人々を観察するうち、その思考は故郷での奇妙な出来事や、歴史的人物の人生の中を飛び回り……。「都市で浮遊する彼の精神がとらえた不安げで不確定な世界の印象を、ぜひ味わっていただきたい。……テクストの空間的・時間的拡がりを楽しみながら、マルテを追跡していただければ幸いである」(訳者まえがきより)
  • レーニン
    値引きあり
    3.7
    「巨人の全貌を映し出すには、巨大な鏡が必要」であり、その鏡となりうる唯一の人物だったトロツキーが、熱い共感と冷静な観察眼で鮮やかに描き出した「人間レーニン」。レーニンの死の直後、本書の主要部分はスターリンによる迫害の予感のなかで書かれた。「ソ連共産党とソ連全体が全体主義の悪夢に飲み込まれてしまう」直前だからこそ「等身大」に描きえた、珠玉の回想録。ロシア語原典からの初めての翻訳。
  • 永続革命論
    値引きあり
    4.0
    「プロレタリアートによる権力の獲得は、革命を完成させるのではなく、ただそれを開始するだけである」。自らが発見した理論と法則によって権力を握り、指導者としてロシア革命を勝利に導いたのち、その理論と法則ゆえに最大級の異端として、もろとも歴史から葬り去られたトロツキー。その革命思想の理論的核心を展開した最重要の著作を、ロシア語原典から訳出。付録として本邦初訳の「レーニンとの意見の相違」ほか5論稿収録。
  • ソクラテスの思い出
    値引きあり
    3.7
    アテナイ出身の軍人・文筆家クセノフォンが、師であるソクラテスの日々の姿を自らの見聞に忠実に記した追想録。師への告発に対する反論と、徳、友人、教育、リーダーシップなどについて哲学するソクラテスを、同世代で同門のプラトンとは異なる視点で描いた、もうひとつの「ソクラテスの対話」。対話篇のソクラテスは相手を問い詰めてちょっとおっかない感じがしますが、ここでは教育者としての師の姿が描かれています。
  • とはずがたり
    値引きあり
    4.0
    後深草院の寵愛を受け、14歳で後宮に入った二条は、その若さと美貌ゆえに多くの男たちに求められるのだった。そして御所放逐。尼僧として旅に明け暮れる日々……。書き残しておかなければ死ねない、との思いで数奇な運命を綴った、日本中世の貴族社会を映し出す「疾走する」文学!
  • ロレンザッチョ
    値引きあり
    -
    メディチ家の暴君アレクサンドル。放蕩の手先を務め腹心となって主君の暗殺を企てる従弟のロレンゾ。義妹チーボ侯爵夫人へのアレクサンドルの恋を利用して権力を握ろうとするチーボ枢機卿……。謎に満ちた暗殺事件を、二人の若者の間に交錯する権力とエロスを軸に描いたミュッセの代表作。日本で初めて上演(1993年)してから23年。満を持して完全版の新訳での刊行!
  • 実践理性批判1
    値引きあり
    5.0
    「人間が真の意味で自分を自由であると認識できるのは道徳法則があるからであり、また自由が存在しなければ道徳的な法則をみいだすことはできなかった。」本書は、思弁的な理性を批判した『純粋理性批判』につづくカントの第二批判書であり、倫理学史上、最も重要な古典である。
  • 詩学
    値引きあり
    3.4
    「カタルシス」「模倣」の概念を用いて古代ギリシャ悲劇を定義し、ストーリー創作としての詩作の要になる「逆転」「再認」「受難」などについて分析した最古の芸術論。「語学」の幻の喜劇論との関連が注目される『コワスラン論考」の全訳を、詳細な解説とともに付す。後世に与えた影響は巨大であり、現代に至るまで、およそ芸術を論じた西洋の文学者や思想家で『詩学』をまったく参照しなかった人物は見当たらないくらいの必読書。
  • ゴルギアス
    値引きあり
    4.6
    古代ギリシャの演説の技術、弁論術をめぐり、ソクラテスがゴルギアスら3人と交わした対話篇。人びとを説得し、自分の思い通りに従わせることができるという弁論術の正体をあきらかにすべく、ソクラテスは弁論術教師のゴルギアスと弟子ポロス、アテネの若き政治家カリクレスを相手に厳しい言葉で問い詰め、論駁する。理想政治を追い求めるプラトンが、この時代の社会と政治の現実に対して投げかけた、告発と批判の書。
  • テアイテトス
    値引きあり
    3.0
    知識とは何か、ほんとうに知っているとはどういうことかを主題に、ソクラテスの助産術などのエピソードをまじえ、知識と知覚について、相対主義批判、記憶や判断、真の考えなどとの関係について対話を重ね、若き天才数学者テアイテトスを「知識の哲学」へと導く、プラトン絶頂期の最高傑作。みずから考え、学ぶことの大切さを考えさせるスリリングな対話篇。

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