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謎の暗号文を苦心のすえ解読したリーデンブロック教授と甥の助手アクセル。二人は寡黙なガイド、ハンスとともに地球の中心へと旅に出た。そしてそこで三人が目にしたものは……。地底世界を驚異的な想像力で自在に活写し、常識的な感覚を揺さぶる究極のSF小説を圧倒的な臨場感あふれる新訳で贈る。(『VOYAGE AU CENTRE DE LA TERRE』改題)
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Posted by ブクログ
「どちらに?」 「私は地球の中心を指差した」 「地下室に?」 「いや、もっと下だ」 どんな時代のどんな場所に行くことも出来るし、人間の想像力ってすごいと、この小説を読んで改めて感じた。 本の中には地底世界さながら、果てしない世界が広がっているから、読書は一生ごとの楽しみになると思う。
専門知識がないと楽しめないのかな、と思いながら読んだけど、全然そんなこともなく。 ファンタジーだと思えばスラスラ読める。 冒険にありがちの危機的状況が何度か起こって、退屈させないストーリー。
秀逸で分かりやすく面白い。 物語としても素晴らしく、翻訳も本当に素晴らしい。 ただ語学的にただしく訳しただけでは作品にならない。音符通りに正確に弾いただけでは音楽にならないのと同様に、という言葉に痺れた。 そこに、翻訳の「美学」を感じる。 物語に登場する博士に対して、不安や恐怖からそん...続きを読むなことはあり得ないと批判を繰り返していた博士の甥が、そんなあり得ないことが現に自分の目の前に起こってしまった時の頭の中の感情と思考のメーターの振り切れようが半端ではない。 否定していた人間が今度は打って変わって、先陣をとって博士をも置き去りにする勢いで突き進む人間になってしまった。 反動で余計に勢いがつく。 その変わりようと言えば滑稽で仕方がない。 それまでひたすらビビりまくっていたその甥が言う。 「叔父にしては生ぬるい」と。 人間というのは、 頭の中の思い込みである常識を断固として譲らないが、目の前にそれに反する事実が露わになった瞬間に、こうも態度がガラリと180度変わるのかというのを作者のヴェルヌは面白く描き出してくれている。 科学というのは、コロコロと更新されて変わる。 ニュートンは地球の年齢を5万年と見積もっていたが、現在では45.5億年とされている。 空想科学小説であり、その科学の論理の元に書かれた小説の中で、科学などの合理主義を本質的には否定しているという、ただの文学でもなく、ただのSF小説でもない、何層にも深みが感じられる秀逸な物語。
2018年30冊目。 小学生の頃、ヴェルヌの『海底二万里』を渡されて、ほとんど読まずに放棄していたことを思い出す。 これだけ想像力が刺激され、未知の世界にワクワクできるヴェルヌの作品を逃していたことを後悔。 『地底旅行』は、大人になって読んでも心踊る、素晴らしい本だった。 危険な地底への旅に邁進...続きを読むする鉱物学者の叔父リーデンブロック教授のキャラクターが強烈。 科学者でありながら、旅にとって不都合で、旅を差し止めるような危険性を示唆する理論には真っ向から反対。 自分が進むべき理由だけを盲信して突き進む。 なんだかドン・キホーテみたいだなと思いながら読んでいたら、役者あとがきにも同じことが書かれていて「やっぱり!」と嬉しくなった。 こういう盲信の力には憧れがある。 地底だけでなく、海底や月世界の想像上の旅まで書き上げているヴェルヌの想像力に脱帽。 どれも読んでみたい。
地層を遡ることで過去への知見は広がります。 地底旅行は、地層を遡ることで過去を体感することになります。 高度な科学技術などは現れませんが、古生物学・地質学等に焦点を当てた風変りなSF小説と言えるでしょう。 科学は絶対であるとしていた教授が、間もなく理論などどうでも良いとする様が、変化を許容する科学と...続きを読むいう存在そのものであると感じられます。 比較的長編と思いますが、話がなかなか進まない部分と劇的な速度で進む部分が現実的であり、読者を飽きさせません。
ヴェルヌ恐るべし。 読みやすく、またヴェルヌらしく見せ場もきちんと用意されている。とにかく科学的知見の造詣が深い。 解説には科学、哲学、宗教学にも影響を与えると書いてあり、なんだかヴェルヌが途轍もない人間として書かれてる。しかし本編でプレートテクトニクス論を思わせる箇所があり、もしかしたら彼は大陸移...続きを読む動説を当時考えていたのかもと、ヴェルヌをより途轍もない人間なのではと考えてしまった。
p.482 「あたりまえじゃ! 人間は心臓が鼓動を打つかぎり、肉体を動かすことができるかぎり、希望を失ってはならん。絶望に身をゆだねてはならん。わしはそう思うぞ」
出口治明さんの本に紹介されていて読んだけれど、科学的知識がふんだんに詰まった小説でとても面白かった。解説とセットで読むことでこの小説の醍醐味を理解できたような気がした。もともとSF小説はあまり好きではなかったけれど、科学知識の延長だと捉えられるようになったことで、ほかのSF作品にも興味をもてそうな気...続きを読むがした。
久々の再読。やっぱり面白かった&読みやすかった。 地底に広がるセンス・オブ・ワンダー。このイマジネーションに驚きつつも、すべてにそれなりの科学的説明をつけているジュール・ヴェルヌの知的能力の高さに感心します。 変人のリーデンブロック教授に振り回される常識人のアクセル少年という安定した話型をベース...続きを読むにしつつ、時おり浮かれて暴走してしまうアクセル少年の行動もきいてます。
空想科学小説とは」…巻末にある解説が面白い。 現代の地球科学の定説から見ると、ヴェルヌのこの小説は荒唐無稽すぎてちょっと引いてしまうかもしれない。 でも冒険物語として読むと、「映画」ではインディ・ジョーンズシリーズもハムナプトラシリーズも、古くはロマンシングストーンシリーズだって「ありえない」が...続きを読む満載。 同じようなストーリーを持つSF映画「ザ・コア」(地球の核へ冒険する映画、2003年公開)だって、21世紀にないってからにもかかわらず、かなり怪しい。 でも、みんな楽しんでいる。 ディズニーシーのアトラクション「センター・オブ・ジ・アース」は、この小説をもとにした映画からできているじゃない♪ さらに、巻末の解説を読めばこの物語が当時の科学レベルからして、十分にSF小説として成り立つことがわかる(今だって、誰も地球の中心を見たことはないし……)。 児童書の枠を外して『海底二万里』に次いで『地底探検』を改めて読んでみると、科学に対する探究心とは、常識を疑うことと突き進み続ける力であることが浮かび上がる。 リーデンブロック教授の作中での“爆裂”ひと言集 「それがなんじゃ。わしは信じぬ」 「人ができて自分にできないわけがない」 「科学は間違ってばかりだ。だからこそ進歩する」 さあ、あなたならどう読むか。
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