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Posted by ブクログ
イボ社会を英語で執筆し、日本語に訳された。
解説や訳者あとがきも含めて、全部読んでから、改めて原題を見た。
THINGS FALL APART
しっくり来た。
訳者あとがきまで読んでから再読すると、挿入されているイボ社会の口承が、何を暗示しているのか、感じることが変わっていくだろう。
もともとの豊かな文化と高度に機能していた社会、そこにある多くの矛盾には入り込み、傷口を無理やり開くかの如く侵入していったキリスト教社会。
植民地教育を受けていた著者ならではのフィクション。この読後を表現するのは難しい。
以前読んだ別のナイジェリア人の作家を思い出す。アフリカ文学に、さらに興味が強くなる。
Posted by ブクログ
アフリカ文学というくくりが正しいのか、自信が持てないが、疑いの余地なく、優れた文学である。
未知の世界。加えて、読みにくい、非直線的な書き口。私から見ると、非情で、矛盾を感じる文化。
しかし、最後まで読み通し、その言われようのない悲劇的結末に接し、全てに予期せぬ意図を感じたのだ。人間社会、人間とはいかに信頼に値しないか。
社会分裂、変化、崩壊の触媒としてのキリスト教。
『ルーツ』で書かれた世界は一面に過ぎなかった。
語り手が、登場人物の視点が、内と外を往還し、不条理をあぶり出す。その文学性に感嘆した。
くり返すが、深い次元で声を失った作品であった。
Posted by ブクログ
辛かったけど面白かった。移民社会の到来や選択的夫婦別姓の導入などにおいて、現代日本社会でも積極的に読まれるべきだと思う。
と同時に、おそらく大多数の日本人が植民者目線でこの本を読むんじゃないかと思った。私たちはオコンクォのことを愚かで分からずやの頑固者だと憐れみを持って見つめるけれど、そのまなざしって……内面化された植民地主義とその優劣、過度なエキゾチシズムみたいなものから一向に抜け出せてないよね。いくらポストコロニアリズムを叫んだとて、結局のところ未だ私たちは、植民地支配の思想的影響を完全に抜きにしてアフリカ文学を楽しめないのかと思うと悲しい。リアリズム小説とマジックリアリズム小説の二派閥みたいになってるのも悲しい、混じり合ってるはずなのに。なんなんだろうこの気持ちは……。
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思っていた本の新訳が発刊されており、やっと読むことができた。
本書はアフリカ文学の古典として非常に有名であり、ナイジェリアの東部、イボ人の作家、アチェベ(Chinuo Achebe)によって書かれた作品であり、1958年に出版されたものである。
アフリカ全体として独立の機運が高まっていた前夜に出版され、植民地支配がどのようにナイジェリアの社会、国家に浸透していったのか、そして、それらがどのように変化してしまったのかを見事に描いている。タイトルが表わす通り(原著はThings Fall Apart)、社会、共同体での慣習が徐々に侵され、人々の絆が崩れていく。
結末は虚をつかれるほど、唐突だった。
ただ、植民地となる以前のナイジェリア、特にイボの社会が民族誌として読まれている、と言われるのもうなずけるほど、詳しく描かれている。
そこには私たちにはなじみのない、慣習や呪術、社会のあり方が表現されているが、アチェベ自身も植民地のエリート教育を受けた知識人の一人であり、自らの社会のルーツを求め、描いたそうだ。
また、後半に描かれる、イギリスがどのようにナイジェリアの社会に浸透していったのか、その様子が非常に興味深い。
一見、強固に見えるイボの村落の伝統や習慣、人々の絆であるが、その社会が孕む矛盾や問題、そこから排除された人々をキリスト教徒は取り込むことに成功している。当初、キリスト教の信仰者はそのような社会からはみ出したものの集まりとして徐々に勢力を増していっている。
主人公のオコンクウォは頑強に村落の伝統や習慣をまもろうとするが、それは皮肉な形で終わってしまう。
さまざま、考えさせられる小説だった。また読み直してみたいと思う。
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小説・文芸
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