アチェベの作品一覧

「アチェベ」の「崩れゆく絆」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 崩れゆく絆

    崩れゆく絆

    小説・文芸

    4.2
    1巻1,232円 (税込)
    古くからの呪術や習慣が根づく大地で、黙々と畑を耕し、獰猛に戦い、一代で名声と財産を築いた男オコンクウォ。しかし彼の誇りと、村の人々の生活を蝕み始めたのは、凶作でも戦争でもなく、新しい宗教の形で忍び寄る欧州の植民地支配だった。全世界で1000万部のベストセラー、アフリカ文学の父アチェベの記念碑的傑作待望の新訳!(『THINGS FALL APART』改題)

ユーザーレビュー

  • 崩れゆく絆

    Posted by ブクログ

    まさに既存アフリカ感を覆す作品。読んで本当に良かった。もちろんこれはあくまで小説でありノンフィクションではないわけだが、オコンクォとその一族に起きた事は、似たようなことが実際に何千何万と起きたのだろう事は想像に難くない。
    それにしてもこの作品が発表されたのは1958年。当時アチェベが覆そうとした既存のアフリカのイメージ。70年経った極東日本の私が、この作品を読んで目から鱗が落ちるような気になった事。いかに白人により作り上げられた世界観が未だ生きているか、という事になろうと思う。恐ろしい。

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    2026年08月17日
  • 崩れゆく絆

    Posted by ブクログ

    本作は、さまざまな読み方が可能であるという点で名作だと感じた。解説でも触れられているが、私はこの作品における「西洋化」を、一直線に進む時間観への回帰として読んだ。

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    2026年06月01日
  • 崩れゆく絆

    Posted by ブクログ

    一夫多妻制における男尊女卑、アミニズムや呪術といった文化的慣習、それらを野蛮・未開と断じ植民地支配を正当化した欧州への痛烈な批判が、著者の辣腕で精緻に編まれている
    この反駁が西洋近代の表現形式である「小説」によって果たされた点が究極的にユニークだと思った

    アフリカ文学の最高傑作である本作がここまで胸に迫るのは、訳者の寄与も大きい
    遠い大地の風や土の匂い、言葉の奥に宿る鼓動を掬い取り、情熱と誠実さをもって日本語に息を吹き込んだのだろう

    瑞々しく鮮やかなアフリカの情景描写が残響し、今もまだ目を閉じると闇夜にさざめく虫たちの声が聴こえる

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    2026年02月12日
  • 崩れゆく絆

    Posted by ブクログ

    イボ社会を英語で執筆し、日本語に訳された。
    解説や訳者あとがきも含めて、全部読んでから、改めて原題を見た。
    THINGS FALL APART

    しっくり来た。

    訳者あとがきまで読んでから再読すると、挿入されているイボ社会の口承が、何を暗示しているのか、感じることが変わっていくだろう。

    もともとの豊かな文化と高度に機能していた社会、そこにある多くの矛盾には入り込み、傷口を無理やり開くかの如く侵入していったキリスト教社会。

    植民地教育を受けていた著者ならではのフィクション。この読後を表現するのは難しい。

    以前読んだ別のナイジェリア人の作家を思い出す。アフリカ文学に、さらに興味が強くなる。

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    2025年09月30日
  • 崩れゆく絆

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    近代アフリカ文学の原点と称されるアチェべの名作小説。

    舞台はヨーロッパ人によるアフリカの植民地化がはじまりつつあった19世紀後半の西アフリカ(現ナイジェリア)。
    絶え間ない努力と武勇によって若くして富を築いたイボ人の男、オコンクウォを中心に物語は進む。

    オコンクウォはレスリングのチャンピオンとして名をあげ、それからも堅固な意志と絶え間ない勤労により富を築いた。何人もの妻を抱え、村人からの信頼も厚い。
    オコンクウォは自分だけではなく他人にも非常に厳しい性格で、頑迷な一面も持つ。揺るぎない自分の正義を持つが、それに従わないのであれば妻も子供も殴って言うことを聞かせるというかなりの男性主義思想の持ち主でもある。

    オコンクウォを含む集落の人々は伝統を守り、アニミズムを信仰することで強固な絆を築き、平穏な日々を謳歌していた。
    しかし、ある日オコンクウォは事故により集落を7年間追放されることとなる。
    母の故郷で7年間の贖罪を務め、やっと集落に戻ってきたオコンクウォ。しかし、そこで見たのはヨーロッパからやってきたキリスト教に侵食され、人々の絆がバラバラになってしまった姿だった。

    これが本書のあらすじ。

    シンプルなストーリーだが、回想が急に挟まったり反復が多かったりして読みやすい本ではない。言語・文化面のギャップも当然大きいので、序盤は読み進めるのに時間が掛かった。

    しかし、読み終えると非常に示唆的な内容だったと感じる。

    本作が発表されたのは1958年、アフリカ諸国が長く続いたヨーロッパの支配から脱却して自立に向かって歩を進める、不安と期待に満ちた激動の時代。
    そんな中、アチェべは敢えて植民地化前に存在していた複雑で成熟したイボ人の社会を描くことで独立前夜の同志たちを奮い立たせたと言える。

    また、侵略が必ずしも真正面からの戦いによって行われるものではないというメッセージを発していると感じた。
    本作でも、ヨーロッパ人によるはじめの侵攻は武器ではなく宗教を使って行われた。まずキリスト教の宣教師たちを送り込み、徐々にイボ人のコミュニティを分断していった。これは実際に起こった話でもある。

    これは現代においても普遍的なメッセージだと思う。正々堂々とした侵略などないし、多くの人がそれに気付いた頃にはもう手遅れなのだ。

    さらに、アチェべは本作でイボ人の社会において陰となっていた人々にもスポットを当てる。
    作中では「オス」と呼ばれるイボ人の村から隔離され迫害されていた人々が、キリスト教の最初の担い手となり自分たちを迫害していたコミュニティを壊す一役を担う。
    初めから内部に抱えていたある種の「ひずみ」が、外部からの変化によって浮き彫りとなり内部の瓦解に繋がる。このあたりの描写もよくできている。

    内部のひずみを抱えるという面では、オコンクウォその人も同じだ。
    彼は物語の終盤でヨーロッパ人に良いようにされる故郷を見て、ヨーロッパ人、さらにそれを諦観する村の人々に対する怒りを抱えきれなくなる。そして、彼はヨーロッパ人を殺し、自らも命を絶つことになる。結果、オコンクウォは新しい社会にも、古い社会にも居場所はなくなり、「犬のように」埋められてしまう。

    この最期は悲劇である。しかしこれはオコンクウォの中にある暴力性、頑迷さが暴走した結果でもある。彼の性質は、基本的には対話と調和を重んじるイボ人社会と大きく乖離していたのだ。
    これも、彼の内部に抱えたひずみが表出化した結果だと読み取れるだろう。

    このように、本作はアフリカの歴史に大きな影響を与えた歴史的な作品でありながら、現代にも通ずる普遍的なメッセージを与えてくれる名作である。
    注釈、解説も充実しており、いろいろな読み方ができる。おすすめの一冊。

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    2023年10月10日

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