作品一覧

  • トニオ・クレーガー
    4.0
    1巻836円 (税込)
    同級生の男子ハンスや、金髪の少女インゲボルクに思い焦がれながらも、愛の炎には身を捧げられず、精神と言葉の世界に歩みだしたトニオ。だが大人になり小説家として成功してなお、彼の苦悩は燻っているのだった。若者の青春と新たな旅立ちを描いた、ノーベル賞作家の自伝的小説。
  • ヴェネツィアに死す
    4.0
    1巻704円 (税込)
    高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアへと旅立つ。美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオにつよく惹かれていく。おりしも当地にはコレラの嵐が吹き荒れて……。『魔の山』で著名なトーマス・マンの思索と物語性が生きた、衝撃の新訳。
  • だまされた女/すげかえられた首
    3.9
    1巻775円 (税込)
    アメリカ人青年に恋した初老の未亡人は、再び男性を愛する喜びに目覚めたのだが……(「だまされた女」)。インドの伝説の村、頭脳の優れた青年と見事な肉体の若者が美しい腰の娘に出会う。娘は女になり、目覚めた愛欲が引き起こす混乱の結末とは(「すげかえられた首」)。女盛りに向かって上りつめる女と、老いのなかでいまいちど情熱に燃える女の、対照的なエロスの魔力。
  • 詐欺師フェーリクス・クルルの告白(上)
    4.0
    1~2巻1,152円 (税込)
    武器は天与の美貌、爽やかな弁舌、鮮やかな模倣の才。貧しい青年クルルは子供の頃のずる休みと同様、仮病をつかって徴兵検査をくぐり抜け、憧れのパリで高級ホテルのエレベーターボーイとして雇われる。そして宿泊客の美しい女性作家に誘惑され、彼女の寝室に忍びこむと……。冴えわたる筆で繰り広げられる厖大な語りと騙り、これぞマンの真骨頂。『魔の山』と好一対の傑作ピカレスク・ロマン。この圧倒的な面白さ!

ユーザーレビュー

  • だまされた女/すげかえられた首

    Posted by ブクログ

    初ドイツ文学、ずっと読みたかったトーマス・マン完読。

    言葉にならないこの衝撃。
    「だまされた女」は、初老の未亡人が若い男性に激しく恋焦がれる話。未亡人がその娘に自身の恋心を告白する場面が圧巻。そして衝撃のラスト。「だまされた女」ってそういうこと!?と想像を絶する展開に一気読み。
    「すげかえられた首」は、優れた頭脳を持つ青年と見事な肉体を持つ青年、美しい女性の3人が織りなす物語。2人の青年の首と体が入れ替わるというあり得ないストーリーなのだけど、生々しい愛欲の表現が見事すぎてこれまた一気読み。こちらも、そうなる!?という衝撃のラスト。

    意味がわからず退屈な場面がちょこちょこあって時々停滞する

    0
    2025年09月20日
  • トニオ・クレーガー

    Posted by ブクログ

    詩を愛する内向的な少年が小説家の青年となり、旅先でかつて愛した少年少女の幻を見る…この短い物語の骨子はそのように単純なものだが、その最もドラマティックな箇所は意図的に曖昧に描写され、主人公トニオが出会ったのは本当にかつての恋人たちなのか、あるいは他人の空似というやつなのか、判然としないまま幕を閉じる。
    30歳前後の、芸術至上主義的でどこか青臭い文学青年が、ふと思春期のありふれた恋の記憶に再会し、画家の友人から突きつけられたある言葉の意味に目覚めるビルドゥングスロマンとして、鮮烈な作品である。
    長年、この作品はそのように読まれ続け、支持されてきたようだ。現代ではジェンダー的視点からの解釈もあり興

    0
    2025年02月10日
  • ヴェネツィアに死す

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新訳シリーズということで読みやすさを期待して開いたが、翻訳文学を読み慣れた人でないと疲れるかも。映画を知っていれば楽しめると思う。映画の描写のように、何か常に劇的なことが起こる物語ではないので、夜、眠りにつく前に読むと、心地よい。
    クリエイターや表現者、美を好む人の心に響く作品。美しい死にざまの一つだと思う。

    0
    2023年12月05日
  • ヴェネツィアに死す

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「ベニスに死す」というタイトルの映画としても知られている作品。(原作)

    初老の主人公・アッシェンバッハは、若いうちから才能を発揮した威厳ある作家であり、長年仕事一筋だった。
    そんな彼は、旅先のヴェネツィアで美しい少年・タッジオに出会い、少しずつ変わっていく。

    アッシェンバッハはタッジオを宿泊先のホテルで見かけるたびに、その美しさを褒めたたえていた。
    それはだんだんエスカレートし、神を想うような言葉でタッジオを礼讃していく。

    ただ目が合うだけの存在。
    互いのことは知っているのに、わざとそうしているかのようにそっけなくし、言葉を交わさない。
    そんな微妙な関係が続く中で、タッジオはアッシェンバ

    0
    2022年04月21日
  • ヴェネツィアに死す

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    同性愛の要素はあるけれども、
    決して露骨なものではなく、
    美の象徴、といった感じのもの。

    その時代ではピークを過ぎた作家が
    出会うことになった輝ける存在。
    その魔力ゆえに、彼は彼が感じえていた
    動物的勘を鈍らせて、結局は最悪の
    事態を招いてしまいます。

    人は誰しもがこういった危険をはらむもの。
    こういった例ではないにしろ、
    いつ、どういったことで、「どうしてこうなった」
    になることか。

    だけれども、最悪の事態と引き換えに、
    堪能できた一時の夢は、美しいものでした。

    0
    2014年07月12日

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