マンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初ドイツ文学、ずっと読みたかったトーマス・マン完読。
言葉にならないこの衝撃。
「だまされた女」は、初老の未亡人が若い男性に激しく恋焦がれる話。未亡人がその娘に自身の恋心を告白する場面が圧巻。そして衝撃のラスト。「だまされた女」ってそういうこと!?と想像を絶する展開に一気読み。
「すげかえられた首」は、優れた頭脳を持つ青年と見事な肉体を持つ青年、美しい女性の3人が織りなす物語。2人の青年の首と体が入れ替わるというあり得ないストーリーなのだけど、生々しい愛欲の表現が見事すぎてこれまた一気読み。こちらも、そうなる!?という衝撃のラスト。
意味がわからず退屈な場面がちょこちょこあって時々停滞する -
Posted by ブクログ
詩を愛する内向的な少年が小説家の青年となり、旅先でかつて愛した少年少女の幻を見る…この短い物語の骨子はそのように単純なものだが、その最もドラマティックな箇所は意図的に曖昧に描写され、主人公トニオが出会ったのは本当にかつての恋人たちなのか、あるいは他人の空似というやつなのか、判然としないまま幕を閉じる。
30歳前後の、芸術至上主義的でどこか青臭い文学青年が、ふと思春期のありふれた恋の記憶に再会し、画家の友人から突きつけられたある言葉の意味に目覚めるビルドゥングスロマンとして、鮮烈な作品である。
長年、この作品はそのように読まれ続け、支持されてきたようだ。現代ではジェンダー的視点からの解釈もあり興 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ベニスに死す」というタイトルの映画としても知られている作品。(原作)
初老の主人公・アッシェンバッハは、若いうちから才能を発揮した威厳ある作家であり、長年仕事一筋だった。
そんな彼は、旅先のヴェネツィアで美しい少年・タッジオに出会い、少しずつ変わっていく。
アッシェンバッハはタッジオを宿泊先のホテルで見かけるたびに、その美しさを褒めたたえていた。
それはだんだんエスカレートし、神を想うような言葉でタッジオを礼讃していく。
ただ目が合うだけの存在。
互いのことは知っているのに、わざとそうしているかのようにそっけなくし、言葉を交わさない。
そんな微妙な関係が続く中で、タッジオはアッシェンバ -
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だまされた女、という題名と、裏表紙の説明から
初老の女性が、若い男性に骨抜きにされて社会的に、そして金銭面でだまされるのだと思っていたら違っていた。彼女が愛していた自然に裏切られたんだと分かった時には思わず声をもらしました。なるほど、そういう事だったんだ・・・。
すげかえられた首、二人の男と女が出てくるという事で、今度こそ女が騙されて首をはねられ、首と身体を男二人がわけて愛でるのかなと思っていたら違っていました。
この話は・・・なんていうか、シーターの我儘さが際立っていたような気がします。二人の男の友情の熱さに緩和されそうになっているけれど、なんて酷い女なんだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ理性の象徴のように尊敬されてきた人物が、実は俗物としての本性を抱えていたことが見える。彼は少年に対する自分の感情を一般的な好意と思い込み、老いらくの恋であることを自覚していない。このような孤独な人間ほど現実逃避に走りやすく、進展しない関係性に勝手に舞い上がってしまうものだ。コレラにかかり死ぬ間際でさえ、美しい少年に思いを馳せていた。最後に情熱を注げる相手に出会えたことは本人にとっては幸運だったのかもしれない。交流を避けたことで幻滅することなく、理想像にしたてあげ、勝手に死んだので、結末としては十分だ。恋は叶わないからこそ永遠であり、少年と関わらないことで美しく終える。
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Posted by ブクログ
昔、岩波文庫で読んだ。新しい訳の本が出ていたので読んでみた。
ハンス・ハンゼン、インゲボルク・ホルム、君たちのことはちゃんと覚えていましたよ!君たちに対するトニオの報われない気持ちも。
しかし後半のことは全く覚えていなかった。おそらく私も若かったので、好きな相手に自分が思うほどは大切にされないという気持ちは身につまされて共感したのだろう。後半の大人になったトニオが作家として成功し、故郷に帰ったりデンマークに行ったりするのはどうでも良かったんだろうな。若さ故の読み込みの浅さ。
実際には後半もなかなか良かったし、『ブッデンブローク家の人々』や『ベニスに死す』にも通じるものがあって、トーマス・マンと -
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トーマス・マンの傑作。
20代の頃は、若者に恋する年寄りって、身の程知らずだし醜いよなぁと思っていたけど、30代になって、少し気持ちがわかる。
若い身体、美しさってそれだけですごく輝いていて(まじで光輝いてる)、眩しくて、憧れてしまうし、自分の若い時代を振り返り、みすみす無駄にしたと悔やんでしまうものだ。
きっともっとしわくちゃになれば、更に思うのだろう。
最近、老いを受け入れる等の考えが急に増えているし、30代でも若いと言われ、公共交通機関を見渡すと、確かに40代以上ばかりで、さすが高齢化社会だと思うことも多いが、反面トルコに行って、若い人の多さに驚いた。
若い、というだけでエネルギーが -
Posted by ブクログ
ユングやアーレントなど、ドイツ語圏の本を読んでいるうちに、なんとなくトーマス・マンにたどりつく。
マンは、北杜夫経由で読み出して、高校時代にハマっていたのだが、だんだん重厚長大な感じに疲れて、長らく遠ざかっていた。
光文社ででているエロス3部作?(「ベニスに死す」「だまされた女/すげかえられた首」)が面白くて、その勢いで「詐欺師フェリークス・クルルの告白」に進む。
こちらも、なんだかエロスな話しで、面白いです。マンの重厚長大、質実剛健なイメージがかなり書き替えられたな。
この小説は、1910年に構想され、書き始めるのだけど、別の作品のアイディアがでてくると、執筆がとまり、落ちついたらま