マンのレビュー一覧
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だまされた女、という題名と、裏表紙の説明から
初老の女性が、若い男性に骨抜きにされて社会的に、そして金銭面でだまされるのだと思っていたら違っていた。彼女が愛していた自然に裏切られたんだと分かった時には思わず声をもらしました。なるほど、そういう事だったんだ・・・。
すげかえられた首、二人の男と女が出...続きを読むPosted by ブクログ -
そのとらえどころない美を掴もうとする言葉の奔流は僕の琴線に触れた。
詐欺師クルルが自分の世界漫遊見聞を饒舌に語るという、トーマス・マンが生涯書き綴って、結局第一部しか完成しなかった作品。
だけど、神は細部に宿る。
読んでいるこちらもオイオイと思う程の饒舌な語りから立ち表れるのは、愛について、生命につ...続きを読むPosted by ブクログ -
「女」しゃがんだ時にズボンとシャツの間から肌が見える現象をセクシーと捉えるのか、だらしないと捉えるのか。イケメンが俺と同じ事言っても、俺はセクハラで向こうはカッコいいとかお前ら言うんだろー?とか、なんかそういう厳しさね。岩山ですっころぶよりも、膝に来る。
「首」インド神話。ツマブキさとしと中村シドウ...続きを読むPosted by ブクログ -
ユングやアーレントなど、ドイツ語圏の本を読んでいるうちに、なんとなくトーマス・マンにたどりつく。
マンは、北杜夫経由で読み出して、高校時代にハマっていたのだが、だんだん重厚長大な感じに疲れて、長らく遠ざかっていた。
光文社ででているエロス3部作?(「ベニスに死す」「だまされた女/すげかえられた首...続きを読むPosted by ブクログ -
幼少時から生来の美貌と感受性で人に取り入り、とある貴族の子息に成りすまして世界中を漫遊した詐欺師クルルの半生…のはずなのだが、しかし、小説はクルルが出発地であるリスボンをようやく出発しようかというところで未完に終わる。もっとも、マンがこの小説を書き始めたのが35歳、その後、中断と再開を繰り返しながら...続きを読むPosted by ブクログ
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マンが生涯通して書き、遂に完成しないままとなった作品。
タイトルの通り、フェーリクス・クルルの独白形式の本で、序盤の幼少期の回想は多少読み進めづらい。それでも中盤以降にある、パリ・リスボンの街並みやそこでの人々をクルルの視点で観察・分析しているところなどは、具体的かつ詩的で読んでいてとても惹かれる...続きを読むPosted by ブクログ