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Posted by ブクログ
物語の筋や整合性を追うよりも、ひたすら「人間にとって愛とは何か?」を考えさせる作品だと思いました。
前半の長大な独白は斜め読みしつつも、ハダリーが登場するあたりからは、その鮮明な描写に一気に引き込まれました。
時代性を感じる女性蔑視の記述については、あえて男女を逆転させ「現代の男性にも同様の事例はあるな」と身近な人物に当てはめて読んでみましたが、これが非常に面白い試みとなりました。
昨今の倫理観の高まりを好ましく思う一方で、剥き出しの言葉に触れることが思考を深める重要な契機になり得ると実感できたことは、私にとってここ数年で最も忘れがたい読書体験となりました。
Posted by ブクログ
1886年(和暦にすると明治19年)に書かれたアンドロイドSFモノの祖。初めてこの作品を読みましたが、訳者さんの訳文も読みやすくてとても面白かった!
今読んでもいろいろ刺さるエジソンの言葉の数々や、ハダリーを構成する機構の科学的な説明など(顔の表情の作り方とか、今のCGでやってるモーションキャプチャーそのものじゃないかとか)130年前の作品なのに全く古くささのない世界観。そして贅を尽くした『地底の楽園』の美しさ。
『神の領域』への挑戦というテーマで繰り広げられたドラマ、ラストの展開まで含めて余韻まで楽しめる作品でした。
読んでて「おや?」と思ったところは巻末の解説や訳者さんのあとがきで触れていたので納得できたし。訳者あとがきで訳文にかけるスタンスとかこの作品の翻訳にあたってのあれこれまで知れたのがさらによかった。先達の歴史的仮名遣い版とかも読んでみたくなります。
Posted by ブクログ
原著1886年作。
ヴィリエ・ド・リラダンは昔読んだ『残酷物語』の訳が古めかしすぎてどうも今ひとつだった。そもそも和訳された作品の少ない作家と思えるが、本作(「新訳」)を読んでみていろいろ驚いた。
当時の状況ならではだが、肖像権を無視しトマス・エジソンを主人公に据え、すさまじい「想像」の飛翔を駆使しまくる作品で、ある意味ぶっとんだ、「とんでもない」文学作品だと思う。
要するに電気仕掛けのアンドロイド/アンドレイドを製造し、これを(もちろん男性視点からの)理想的な恋人/女性として誕生させようという、なかなかに不埒な企みのいきさつが描かれている。
ここでの主人公エジソンはやたら饒舌で、さまざまな「思想」を組めども尽きぬ泉のように呈示してやまない。そこには無論こんにちのジェンダー観からはおおいに非難するべき点も多いし、アンドロイドの機械仕掛けに関してはこんにちのテクノロジーを幾らかでも知っている立場から見ればおそろしく幼稚で、トンデモな感じだとしても、なんとなくこの激しいパロールの奔流には目眩させられるものがある。リラダンの(当時としては、の)博識さも凄い。
この圧倒的にぶっとんだ物語は、やがて、「科学的」説明の枠組みをはるかに超えて、ある種のオカルティズムに突入していくのだが、そのへんが圧巻。リラダン、全体的にどんな作家だったのだろう。
なるほど、この作品なら「略式」の世界文学史年表に入れてもおかしくない。是非とも読んでおくべき小説だと思う。
いまのSF作家なら、理論的背景ももっと緻密に・高度に描写できるのだろうが、そうした小説文化の遙かなる祖先として、本作は君臨していると言えるかもしれない。
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