作品一覧 2023/08/18更新 女の一生 試し読み フォロー 海賊と資本主義 国家の周縁から絶えず世界を刷新してきたものたち 試し読み フォロー 黄色い笑い/悪意 試し読み フォロー 狂女たちの舞踏会 試し読み フォロー 京都に咲く一輪の薔薇 試し読み フォロー クレーヴの奥方 試し読み フォロー 孤独な散歩者の夢想 試し読み フォロー 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~ 試し読み フォロー 椿姫 試し読み フォロー 1~9件目 / 9件<<<1・・・・・・・・・>>> 永田千奈の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~ テオフィル・ゴーティエ / 永田千奈 ゴーティエの傑作幻想譚を三篇収録。「死霊の恋」は聖職者としての人生が始まる瞬間、悪魔的な美女に見初められる話。聖職者としての清貧でつまらない生活と、美女と享楽に溺れる快楽的な生活という二重生活が次第に彼を蝕んでいきます。官能と美が混じり合う素晴らしい作品でした。 Posted by ブクログ 女の一生 ギ・ド・モーパッサン / 永田千奈 ジャンヌ結婚までの流れが早すぎて、残りページ数を考えても、悲劇が起きる予感はしていた。 ジャンヌがジュリアンへの愛が揺らぐシーンから雲行きが怪しくなっていった。新婚旅行でチップをあまり渡さなかったり、急に態度を変えたり。 夫婦の仲がだんだん冷めていく様子がリアル。ジュリアンの行動がいちいち蛙化現...続きを読む象を誘う行動なの勘弁してくれ… ジュリアンもポールも控えめに言ってゴミクソ。ただ、ジャンヌの不幸を引き立てているという意味では一役買っている。 虚無な生活とはおそらくこういうジャンヌのような生活を指すのだろう。しかし、最後の最後でポールの赤ちゃんを連れてきたロザリのセリフからは、ほんの少しだけ希望が見えた気がした。 Posted by ブクログ 女の一生 ギ・ド・モーパッサン / 永田千奈 夢あふれる貴族の少女ジャンヌ。幸せな結婚に恵まれて順風満帆に進んでいくかと思われた人生航路だが……。 世間知らずで受け身な女性主人公に、あまりにも男運がないとこうなる、というようなペシミズムあふれる一作。下世話な展開が興味を引くのと、ノルマンディーという舞台のゆえなのか風景描写が魅力的で、非常に読...続きを読むみ応えがある。吝嗇すぎる夫と借金を重ねる放蕩息子の対比、夫にも息子にも恵まれたロザリとジャンヌの対比が、人生の真実の一端を見せてくれたと思う。 自らの不幸を宿命や運命のせいにし、生きる意欲を失うジャンヌを、ロザリが叱りつけるシーンが印象深い。年をとってもあまりに世間知らずなジャンヌに読者としては幻滅してしまうが、金の無心ばかりする息子を溺愛する姿は悲しくて責められない。夢破れて失望のままに生きる彼女の最後のよすがなのだ。いっぽうで夢を見ることさえない身分であったがゆえに、夢破れることもないロザリの堅実さ。女の一生とは、と考えさせられる。そして、最後の一文が深く胸にしみた。 Posted by ブクログ 椿姫 デュマ・フィス / 永田千奈 軽い気持ちで読み始めたら思いの外すごくよかった。アルマン……仕方のないやつ……。 解説に載っていて覚えておきたいと思った言葉。477ページ。 『ジャンルとしての小説には固有の知恵があり、その知恵は個々の小説家よりもすこしばかり聡明である。そしてこの「小説の知恵」に耳を傾けず、みずからの小説よりも聡...続きを読む明たらんとする小説家がいるとすれば、その小説家は職業を変えるべきだという。』 Posted by ブクログ 椿姫 デュマ・フィス / 永田千奈 19世紀、著者の実体験を元にした恋愛小説。金持ちを相手に享楽的な生活を送る高級娼婦が真実の愛に目覚める。 ズバリ泣ける話だ。冒頭からもう、悲劇のニオイがぷんぷん。一体何があったのかと興味を引く、聞き手を配して一人称で語らせる構造もうまい。エンタメの洪水に慣れすぎている現代人にとってはベタな展開とい...続きを読むえるかもしれないが、この手の物語の源流のひとつなのだろう。 父親によって諭される、恋愛における現実的な視点が痛烈。若いころは先のことを考えられなくなるほど燃え上がる情熱も、何年もたてばどうなるか。娼婦であるがゆえの社会的なハンデ。さらに家族の問題を出してトドメをさしてくるが、この父親は人格者であり読者も憎めないと思う。青年アルマンによって純粋な愛に目覚めた高級娼婦マルグリットがとる決断と行動。愛憎が絡み合うすれ違い。日記という形で伝えられる本心が、涙なしには読めない。清らかな愛は往々にしてお金の問題や社会という現実に押しつぶされるものだ。美しい心根を受容できないこんな世の中こそ、非劇の温床というべきだろう……。 作中では頻繁に「マノン・レスコー」が引き合いに出される。登場人物たちにとって重要な本であり、ネタバレもされてしまうので、本作の前に読んでおいたほうが良い。 さらに本作「椿姫」の光文社古典新訳文庫版は、翻訳者の違う2バージョンが存在するので注意が必要。今回は最新の永田千奈訳を選んだ。 Posted by ブクログ 永田千奈のレビューをもっと見る