永田千奈のレビュー一覧

  • 女の一生

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    ネタバレ

    未来への希望と共に修道院を出るも次々に打ち砕かれる希望
    登場人物みんな不倫してる
    「人生ってのは、みんなが思うほど良いものでも、悪いものでもない」

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    2025年11月11日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    ルソーって、社会の教科書に出てきた『社会契約論』とかの、あのルソーだよね…?
    と思うくらい、偉人が晩年に書いた作品というより、本当にひとりの老人の「孤独な散歩者の夢想」そのものだった。
    こんなにも自分には悪意がないとか他者がいなければというようなことを言えるのはそれが夢想だからなのだと、解説や訳者あとがきのおかげで分かった。
    幸福のこと。
    人は結局そこに行き着くのだろうなと、そこに行き着くまでに沢山のまわり道をするのが人生なのだなと感慨深かった。
    反面、どうして学校で、あなたたちが生きていくときっとこんな風に感じるようになりますよ、って教えてくれないのかな、とも思った。
    何百年経っても人の想い

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    2025年10月26日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    それ以下でも、それ以上でもない。人生のありのままを描いている。

    突き放されたり、ひょんなことに救われたりそんなことばかりだ。
    夫に浮気されること、可愛がってくれる両親に愛されること、宗教にすがったり諦めたりすること、息子に捨てられること、ロザリが恩を返し助けてくれること。

    夢もなく恐れもなく( nec spe nec metu )がある。期待を予見するでもなく、なにかに怯えるでもなく、ただただ日々を生きる。ロザリが最後に残した言葉の延長線に、こんな考えを持てるのではないかと感じた。

    それにしても女性の心の機微を描くのが上手い。初夜の夜など、恐怖と苦しさとわずかな期待と、どの女性もひそかに

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    2025年08月18日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    わぁーーーもう、めっちゃ好き。
    最初の一文で惹きつけられて、最後の一文が本当に最高。単純に面白いのでもっと色んな人に読んで欲しいし、広まって欲しい。

    まずこの本を選んだきっかけは、昨今の日本社会があまりにもギスギスしていると感じて現代の日本文学を読む気になれなくて、せめて精神的にでも外国にトリップしたくて(笑)候補に挙げたのが『月と六ペンス』と『椿姫』。
    読みたい度が高かった『月と六ペンス』に8割ほど決定していたけれど、とりあえず冒頭を読んで決めようとしたら、圧倒的に『椿姫』の方がするすると頭に入ってきた。こちらの方が堅苦しい印象があったのでぐいぐい読み進められてびっくりした。

    『椿姫』は

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    2025年06月06日
  • 椿姫

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    フレーズの一つ一つが心に染み渡ってくる。オペラで知っている(オチを知っている)状態でこれほど心を揺さぶってくる作品はなかなか巡り会えない。

    恋と哀れみが入り混じって、ある女性のことをずっと考えてしまい、自分の手で守りたいと思う純粋な優しさと、自分のものにしたいという独占欲が爆発している状態。マルグリットのような女性に出会ったことも、これに似た大恋愛をしたこともないのだが、アルマンの気持ちが痛いほどわかる。

    一方で、マルグリットが嘘をついていると疑い、彼女が困るようなこともしてしまうアルマンの未熟さに苛立ちもした。大量の男を相手する娼婦が、胸の中で本当は何を考えているのかは男性には完全に理解

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    2024年12月28日
  • 椿姫

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    アレクサンドル・デュマの『椿姫』です
    と言っても『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』で有名なアレクサンドル・デュマじゃなくて息子の方です
    光文社では作者名はデュマ・フィスとなっていますね
    フィスはフランス語で息子という意味だそうですが、自分には「大デュマ」「小デュマ」って言い方のほうが馴染みがあります
    昔はそう言ってたよね
    デュマ・フィスなんて小洒落た言い方はしてなかったな〜

    はい、まぁ中身ね
    まぁ、あまりに有名なので今さらなんですが、悲しい!あまりに悲しい!

    それにしても19世紀のフランスが舞台なのに、もう主人公たちの気持ちが分かる!痛いほど分かる
    だからもうつらい!苦しい!

    しっかり哲

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    2024年11月22日
  • 椿姫

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    1848年発刊。映画はもちろん、オペラや演劇、バレエやミュージカル、はてはマンガにとさまざまなメディア化がされている本作。フィクションでありながら、著者自身が二十歳の頃に、高級娼婦マリ・デュプレシスに惚れ込んで散財した経験がもとになっており、彼女の最後を知るにいたり、いったいどこまでが事実なのだろうと、読後は考えさせられました。ちなみに、著者は『モンテクリスト伯』で有名な、アレクサンドル・デュマの非嫡出子。この小説は23歳のときの処女作ゆえ、マリとの恋愛にかかる金銭は、父に助けてもらったのかもしれないですね。

    話しは、作者(私)が街の通りでポスターを見かけたことから始まります。そこには高級娼

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    2024年11月10日
  • 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~

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    ゴーティエの傑作幻想譚を三篇収録。「死霊の恋」は聖職者としての人生が始まる瞬間、悪魔的な美女に見初められる話。聖職者としての清貧でつまらない生活と、美女と享楽に溺れる快楽的な生活という二重生活が次第に彼を蝕んでいきます。官能と美が混じり合う素晴らしい作品でした。

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    2023年10月05日
  • 女の一生

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    ジャンヌ結婚までの流れが早すぎて、残りページ数を考えても、悲劇が起きる予感はしていた。

    ジャンヌがジュリアンへの愛が揺らぐシーンから雲行きが怪しくなっていった。新婚旅行でチップをあまり渡さなかったり、急に態度を変えたり。

    夫婦の仲がだんだん冷めていく様子がリアル。ジュリアンの行動がいちいち蛙化現象を誘う行動なの勘弁してくれ…

    ジュリアンもポールも控えめに言ってゴミクソ。ただ、ジャンヌの不幸を引き立てているという意味では一役買っている。

    虚無な生活とはおそらくこういうジャンヌのような生活を指すのだろう。しかし、最後の最後でポールの赤ちゃんを連れてきたロザリのセリフからは、ほんの少しだけ希

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    2023年08月29日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    夢あふれる貴族の少女ジャンヌ。幸せな結婚に恵まれて順風満帆に進んでいくかと思われた人生航路だが……。

    世間知らずで受け身な女性主人公に、あまりにも男運がないとこうなる、というようなペシミズムあふれる一作。下世話な展開が興味を引くのと、ノルマンディーという舞台のゆえなのか風景描写が魅力的で、非常に読み応えがある。吝嗇すぎる夫と借金を重ねる放蕩息子の対比、夫にも息子にも恵まれたロザリとジャンヌの対比が、人生の真実の一端を見せてくれたと思う。

    自らの不幸を宿命や運命のせいにし、生きる意欲を失うジャンヌを、ロザリが叱りつけるシーンが印象深い。年をとってもあまりに世間知らずなジャンヌに読者としては幻

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    2022年11月14日
  • 椿姫

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    軽い気持ちで読み始めたら思いの外すごくよかった。アルマン……仕方のないやつ……。

    解説に載っていて覚えておきたいと思った言葉。477ページ。
    『ジャンルとしての小説には固有の知恵があり、その知恵は個々の小説家よりもすこしばかり聡明である。そしてこの「小説の知恵」に耳を傾けず、みずからの小説よりも聡明たらんとする小説家がいるとすれば、その小説家は職業を変えるべきだという。』

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    2022年06月26日
  • 椿姫

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    19世紀、著者の実体験を元にした恋愛小説。金持ちを相手に享楽的な生活を送る高級娼婦が真実の愛に目覚める。

    ズバリ泣ける話だ。冒頭からもう、悲劇のニオイがぷんぷん。一体何があったのかと興味を引く、聞き手を配して一人称で語らせる構造もうまい。エンタメの洪水に慣れすぎている現代人にとってはベタな展開といえるかもしれないが、この手の物語の源流のひとつなのだろう。

    父親によって諭される、恋愛における現実的な視点が痛烈。若いころは先のことを考えられなくなるほど燃え上がる情熱も、何年もたてばどうなるか。娼婦であるがゆえの社会的なハンデ。さらに家族の問題を出してトドメをさしてくるが、この父親は人格者であり

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    2022年06月16日
  • クレーヴの奥方

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    1678年初版の宮廷恋愛小説。恋愛と結婚の二律背反に苦悩する三角関係を描き、その結末が物議を醸した名作。

    16世紀のフランス宮廷が舞台ということで、序盤はたくさんの人名が出てきて戸惑うが、いざ物語の本筋に入るとほぼ主要人物3人の話なので読みやすい。恋愛感情に伴う男女のあらゆる心の機微と、結婚という義務と責任で揺れる苦悩が生々しい。背景にこの時代の貴族社会の特殊性があるとはいえ、状況自体は舞台をどこに移してもありえそうな、というか普通によくある話ではある。この小説が特別なのは内面・心理の描写の細やかさと、ヒロインのとった決断と行動にあるのだと思う。この結末が読む人それぞれに賛否あるのは当然で、

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    2022年05月27日
  • 女の一生

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    受け身で悲しい女の一生。
    モーパッサンは絶対に女性だと思ったが、男性だった。
    思春期の女性が感じる、訳もなく心がときめく瞬間の描写が女性的ですばらしい。

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    2022年04月07日
  • 女の一生

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    ずっと読んでみたかった古典
    最近この光文社古典新訳文庫の本をよく手に取ります
    すごく読みやすい
    他の訳を読んだことないので、この作品が特に読みやすいのかもしれないけど

    純潔に育てられたジャンヌが、恋をし結婚、夫の不貞行為に悩み、親の死も経験する
    愛する息子は、手紙で金を無心してくる
    ジャンヌが過酷な人生を生き抜く

    リゾン叔母さんが良い役どころで、
    ジュリアンがジャンヌに優しく
    「足が冷たくはありませんか」と尋ねたことに
    「私は、誰からも、一度もそんなことを言ってもらったことがない」
    と泣く姿が哀れな印象があったけど
    最後の方になると、独り身は極端な不幸に会うこともなく、自由に動けることが、

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    2021年11月26日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    まさに激動の女の一生の物語。ジュリアンのくずっぷりにややイライラしながらも次はどうなることかとページを繰る手が止まらなかった!
    そうしたハラハラドキドキの波瀾万丈な人生に寄り添うレプープルの風景を甘美な情景にも寂寥とした情景にも描いているのが巧みだと思った。ジャンヌの心情の変化を暗示しているのはもちろんのこと、波乱に満ちた一人の女の人生とそこに変わらずあり続ける自然を対比しているのかしら。
    それから、この作品の面白いところは19世紀の貴族の女性を主人公にしながらも、現代にも十分つながる物語であること。結婚後ふとした時に感じる夫との価値観の相違には「わかるわかる」と、まるで女友達と話す時のように

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    2021年10月18日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    悲恋です。

    主役のアルマンと高級娼婦のマルグリットが出会い、激しく燃え上がる恋愛をし、一時的に穏やかな生活を送り、家柄の関係で引き裂かれ、生きている間に二度と再会できなかったお話です。
    妹の婚約者であり、結婚相手が「彼らが仲たがいしないのならば妹とは結婚しない(=親族に娼婦がいるような家の娘とは婚姻しない)」と言い出したことが彼らの関係に終止符をうつ結果を生み出したところが憎らしいです。実質手を下したのはアルマンの父親でマルグリットが真実アルマンを愛していたこと、彼女が娼婦を生業にした過去があったとしても今は、たただひとりの男を愛する善良な女でしかないことを理解しても「別れてくれ」としか言え

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    2021年10月12日
  • 椿姫

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    泣ける。マルグリットは悪女だ、という風に描かれることも多いけど、どちらかというと娼婦という人生を歩まないといけない女性が、その中でどうやって愛を貫くかのお話だった。
    いつの時代も、相手にちゃんと話さないこと、ミスコミュニケーションにより起こる悲劇は鉄板だなと。意外と自分の人生でも起こるんだよなぁ。

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    2021年09月27日
  • 椿姫

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    La Dame aux camélias.
    アルマンとマルグリットの恋愛物語。
    筆者がアルマンの話とマルグリットの日記を元にこの小説を書いているという設定。
    二人の純愛と、高級娼婦という肩書の為にその関係が崩れてしまうという悲劇的な物語を書いている。読みやすく、いつの時代も変わらない男女の純粋な心が描かれている。マルグリットのモデルはマリ・デュプレシス。1824年にノルマンディーの貧しい家に生まれ、父にロマの一団に売られ、パリにたどり着き、高級娼婦となる。彼女は貴族に劣らない気品と教養を身に着けていた
    。教養を与え、美意識を育てたのは彼女を見初めた青年貴族ギュッシュ公爵。かなりの部分が筆者アレ

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    2021年07月26日
  • 狂女たちの舞踏会

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    『パリ、女性差別に翻弄される狂女たちの足掻き』

    19世紀末のパリを舞台に、「狂っている」と診断されて入院中の女性患者と看護婦が、父や恋人、医師など男性から受ける女性軽視の風潮の中でもがく姿を描く。100年ほど昔のパリが、これほどの女性蔑視社会だったことがとても意外だった。読み始めるとすぐに物語に引き込まれ、一気読みでした。

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    2021年06月15日