永田千奈のレビュー一覧

  • 女の一生

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    ネタバレ

    この本は大学生くらいまでによんだほうがいい!とおもいながら
    ありきたりなタイトル?からは想像もつかない普遍でありそうでないような展開。
    本の帯もあらすじもなにもなくよんだほうがいいとおもう。
    最後のロザリの境地になれるのは相当な晩年かもな。これは語りたい。とおもいました。

    にしても,主人公ジャンヌは40代半ば。作者は33歳のときに、これを書いている。どういう事?とおもいました。
    物語でない素顔の人間の姿。というかんじ。宗教観や村の様子もこんなかんじだったんだろうな。だれが悪いとかいいとかでなく社会制度やお金に振り回されていてはらはらした。

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    2026年01月30日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    未来への希望と共に修道院を出るも次々に打ち砕かれる希望
    登場人物みんな不倫してる
    「人生ってのは、みんなが思うほど良いものでも、悪いものでもない」

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    2025年11月11日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    ルソーって、社会の教科書に出てきた『社会契約論』とかの、あのルソーだよね…?
    と思うくらい、偉人が晩年に書いた作品というより、本当にひとりの老人の「孤独な散歩者の夢想」そのものだった。
    こんなにも自分には悪意がないとか他者がいなければというようなことを言えるのはそれが夢想だからなのだと、解説や訳者あとがきのおかげで分かった。
    幸福のこと。
    人は結局そこに行き着くのだろうなと、そこに行き着くまでに沢山のまわり道をするのが人生なのだなと感慨深かった。
    反面、どうして学校で、あなたたちが生きていくときっとこんな風に感じるようになりますよ、って教えてくれないのかな、とも思った。
    何百年経っても人の想いはそんなに変わらない。

    解説の、
    「このように、夢想にふけることは、たんに自分の想像力のうちで、好みの宇宙をつくりだし、そこに閉じこもることを意味しない。他者が作りだした宇宙のうちで、他者の宇宙を追体験し、他者を理解するという機能もまたはたしうるのである。」
    という部分に、私自身の夢想のあり方を明確に示してもらえた気がした。
    この本を読むまで「夢想」という言葉も概念も意識したことが一度もなかったけれど、書かれたものを読んだり音楽を聴いたりする行為はこういうことだったのだと納得した。
    推しの宇宙のうちでの夢想の、幸福感たるや。

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    2025年10月26日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    それ以下でも、それ以上でもない。人生のありのままを描いている。

    突き放されたり、ひょんなことに救われたりそんなことばかりだ。
    夫に浮気されること、可愛がってくれる両親に愛されること、宗教にすがったり諦めたりすること、息子に捨てられること、ロザリが恩を返し助けてくれること。

    夢もなく恐れもなく( nec spe nec metu )がある。期待を予見するでもなく、なにかに怯えるでもなく、ただただ日々を生きる。ロザリが最後に残した言葉の延長線に、こんな考えを持てるのではないかと感じた。

    それにしても女性の心の機微を描くのが上手い。初夜の夜など、恐怖と苦しさとわずかな期待と、どの女性もひそかに抱えている思いが詰まっているのではないだろうか。そんなふつふつと心で煮え切らなかった部分を物語で言語化してくれてなんだかすっきりしたような気持ちになった。

    恋愛の話。恋はどうわきあがり、恋にどう失望し、結婚にどう折り合いをつけて行くか。

    家族の話。親、配偶者、子供、ペット。

    お金の話。日々をどう生きるか、お金をどうやりくりするか。資産をどうするか。

    社会階層の話。身分の違い。男爵、公爵、使用人、農民、聖職者。

    景色。家の家具や、匂い。庭の並木道。海があったり、岩があったり、森があったり。日常に囲まれた景色ってこうだよなあと引っ越しのシーンで共感した。雨が降ったり、波が荒れたりして、都会に住む私は自然と共にある景色とか生活って素敵だなあって感じた。(と同時にそんなに綺麗じゃなかったり大変な季節もあるのだろうけど)

    あと人生でたくさん旅行したいなと思った

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    2025年08月18日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    わぁーーーもう、めっちゃ好き。
    最初の一文で惹きつけられて、最後の一文が本当に最高。単純に面白いのでもっと色んな人に読んで欲しいし、広まって欲しい。

    まずこの本を選んだきっかけは、昨今の日本社会があまりにもギスギスしていると感じて現代の日本文学を読む気になれなくて、せめて精神的にでも外国にトリップしたくて(笑)候補に挙げたのが『月と六ペンス』と『椿姫』。
    読みたい度が高かった『月と六ペンス』に8割ほど決定していたけれど、とりあえず冒頭を読んで決めようとしたら、圧倒的に『椿姫』の方がするすると頭に入ってきた。こちらの方が堅苦しい印象があったのでぐいぐい読み進められてびっくりした。

    『椿姫』はオペラで有名だからか元々なんとなく聞いたことはあって、過去に読んだ『グレート・ギャツビー』が面白かったので、(ギャツビーはアメリカだけど)近代ヨーロッパの貴族や社交界の世界をもっと覗きたくて購入し、積読していたのだと思う。

    それにしても光文社古典新訳文庫は偉大だ。私は古めかしく日本語が破綻したような不自然な翻訳が本当に無理で、海外文学を読みたくても文体で拒否感が出てしまうことがよくある。
    本屋で何社も読み比べて、困ったら光文社で探すことにしているけれど、やっぱり訳が生き生きとしていて安心して読める。

    椿姫の舞台は19世紀のフランスだけれど、これ今ドラマや映画化しても通用するんじゃないかと思うほど、よくある恋愛のやり取りが現代と同じ感覚で描かれている。
    ただ私は19世紀の文化や生活習慣等を全く知らなかったので、逐一調べていたら楽しくて寄り道しまくっていた。
    パンチ、ボンボン、食べてみたい。モンマルトル墓地、行ってみたい。19世紀って、遠いような近いような、微妙に手が届きそうな気がする過去。約180年前、フランス革命からそんなに経っていない頃にこのような人々が生きていたのだなぁと思うと不思議だ。

    『マノン・レスコー』や大デュマの作品は、映画では見たことがあるけれど小説でも読んでみたい。

    驚いたのが、手紙を現代のチャットかのように頻繁にやり取りしていたこと。スマホがなくてもやっていけそう。お金持ちだからかな。馬車は今の車そのもの。

    この物語、デュマ・フィスの実話に基づいて書かれているらしいけれど、語り手が入ることで所々辻褄が合わなくなるので、私は「限りなく実話に近い」という体で読んでいた。

    最初なかなか主人公アルマンが出てこなくて、やっと出てきたと思ったら墓暴きをしだして度肝を抜かれた(笑)リアルな死体の描写から始まる恋愛小説、斬新。

    アルマンの話を聞いていると、早々にマルグリットもアルマンもプライドがめちゃめちゃ高いと気付いた。出会いの場面ではマルグリットの方が失礼で嫌な奴だな、でもアルマンもなかなか・・・と思っていたけれど、読むにつれて完全にアルマンの傲慢さや天邪鬼、計算高く粘着質で陰湿でストーカーで完璧主義・・・みたいなところにイライラしていた(爆笑)
    特に夜中ずっとマルグリットの家を見張っていたり、毎日お見舞いに来たことを知らせず具合だけ尋ねたり、周りの人間から情報を集めまくっておいて本人にはそれを知られないように装ったり、読んでいる方はもはやドン引き。

    お互い若いし、未熟だから仕方ないとも思うけれど、お似合いだなぁこの二人と思った。マルグリットの方はおそらく女だし立場的に舐められたり危険な目に遭うのを避けるための処世術でもあるのだろうけれど。

    やっと両想いになっても問題が山積みで、マルグリットの愛人や、借金や、病気や、アルマンの父や・・・最後まで読んで思ったけど、最初からこの二人の関係は詰みだったと思う。
    もしマルグリットが健康で借金もなくアルマン一筋だったとしても、アルマンの父が娼婦という立場を許さないから。娘婿からの婚約破棄とか色々理由を付けていたけれど、結局父が世間体を気にしていた。
    父の言葉を聞いて、もしかして毒親?と思っていたら訳者の方も書かれていて確信した。

    最後、父と妹は家族の幸せを守れたのかもしれないが、それはアルマンの恋愛を破綻させ、マルグリットの寿命を縮めるほど大事な事だったのか?
    息子とその恋人を犠牲にした上での幸せは、果たして長続きするのか。

    二人の短い恋人期間の中でもブージヴァルでの半年は、マルグリットにしたら人生のほんの一瞬の安らぎだったのだろうな。あんなに豪華なパリでの生活を送っていても、本当の意味で心が満たされる訳ではないのだ。
    これって今の時代でも同じで、見かけは華やかで贅沢で人から羨ましがられる暮らしをしていても、誰かに愛されることや、自分を大切にする幸せには敵わない。

    とは言え実際はデュマ・フィスとマリ・デュプレシスは正に金の切れ目が縁の切れ目で別れたようなので、お金と同じくらい人との繋がりや愛情は大切、ということだろう。


    この物語、登場人物がすぐ嘘をついたりはぐらかしたりするので、真相が気になってまるでミステリーかのように読んでいた。
    特にマルグリットがブージヴァルからいなくなった時は、ハラハラと緊張しながら読んだ。

    そしてその後のアルマンの行為、手のひら返しはもう別人のようで、本当に嫌悪感がすごかった(笑)
    プライドが爆高なので、自尊心を傷付けられたら仕返ししないと気が済まないんだろうな。やっぱりこういう人と関わるのは怖い。
    相手は身分も低い死にかけの病人だということを忘れたのかと思うような仕打ち。少し前まで大切に愛情を注いでいた相手に、自分の気が収まらないからと徹底的にやり返す。これは相手より何より、自分のことが一番大事だと思っている証拠。まぁあの毒親に育てられたのだからそうもなるかと納得した。
    マルグリットの最後に会えなかったのも、自業自得としか思えない。

    ただこのアルマンだけが唯一、マルグリットの病気を本気で心配し、自分の財産を分け与えてまで一緒になりたいと思っていたのも事実。だからこの二人は色んな意味で釣り合っていたのだ。


    マルグリットの日記はもう、最後が分かっているだけにハッピーエンドになりようがなく、読み進めるのも怖かった。
    ずっと思っていたけれど、マルグリットの話し方や文体を見ていると、さすが高級娼婦なだけあって上品だし、頭の回転が速いんだろうなと分かる。それもあって貴族達を魅了していたのだなと。
    あれだけ私がアルマンに感じていた怒りが気付いたらスッと消えて清らかな気持ちになっていた。

    旅先のアルマンから手紙が届いたことは少し救われる。あんな別れ方のままで死ぬことがなくて良かった。あとはジュリー・デュプラという心優しい友人がいたことも。
    ここで一番最初に読んだマルグリットの手紙の意味が全部分かって、涙なしでは読めない。

    壮絶な最期は目を背けたくなるほど臨場感がありぞっとした。
    結核って今は治る病気だと思うと何とも切なく残念な気持ちになる。間違った治療法で更に寿命を縮めたであろうことも想像がつく。


    デュマ・フィスは娼婦について「悪徳」と書いてはいるけれど、憐れに思ったり同情するような描写もある。
    たとえキリスト教の教え故であったとしても、娼婦に限らず立場の弱い人々に対して、無関心ではなかった。
    生まれや育ちで身分が決められる時代、彼自身も非嫡出子でいじめられたそうなので、その気持ちが分かるのだろう。
    ものすごい格差社会だったであろうこの時代に、娼婦の内情を描くような作品を書いて、それが現在も読めることが、とても尊い。

    20250605

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    2025年06月06日
  • 椿姫

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    フレーズの一つ一つが心に染み渡ってくる。オペラで知っている(オチを知っている)状態でこれほど心を揺さぶってくる作品はなかなか巡り会えない。

    恋と哀れみが入り混じって、ある女性のことをずっと考えてしまい、自分の手で守りたいと思う純粋な優しさと、自分のものにしたいという独占欲が爆発している状態。マルグリットのような女性に出会ったことも、これに似た大恋愛をしたこともないのだが、アルマンの気持ちが痛いほどわかる。

    一方で、マルグリットが嘘をついていると疑い、彼女が困るようなこともしてしまうアルマンの未熟さに苛立ちもした。大量の男を相手する娼婦が、胸の中で本当は何を考えているのかは男性には完全に理解しきれないのだろうが、マルグリットに関しては、一貫して素直に思った事を口にしていたことに気づけたはずだ。

    馴れ初めは嫌な感じの印象だったが、再開した時には素直に謝ったし、まだアルマンを愛していない時期には、自分の気持ちはまだわからないことを正直に伝えていた。公爵に嫉妬したアルマンに対しては、嘘はつかず、なぜ公爵との関係を切れないか素直に全て話していた。

    唯一アルマンに嘘をついていたのは、アルマンを愛するようになり、アルマンを思いやる時だけだった。借金返済のために、自分の馬や宝石を売ったことを黙っていた時。そして、父親の懇願でアルマンに別れを切り出した時。

    アルマンが復讐のためにマルグリットに新しい彼女を見せつけるような仕打ちをしたにもかかわらず、マルグリットにはその魂胆がわかっていて、むしろ今でも自分を愛してくれている証拠だと思って喜んでいたことも、泣けてくる。

    読者としては、元凶となったアルマンの父親への怒りが込み上げてきそうなものだが、最終的にお互いに敬意を払っていたことが伝わってくるので、怒ろうにも怒れない。ただただ悲しさだけが込み上げてくる。

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    2024年12月28日
  • 椿姫

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    アレクサンドル・デュマの『椿姫』です
    と言っても『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』で有名なアレクサンドル・デュマじゃなくて息子の方です
    光文社では作者名はデュマ・フィスとなっていますね
    フィスはフランス語で息子という意味だそうですが、自分には「大デュマ」「小デュマ」って言い方のほうが馴染みがあります
    昔はそう言ってたよね
    デュマ・フィスなんて小洒落た言い方はしてなかったな〜

    はい、まぁ中身ね
    まぁ、あまりに有名なので今さらなんですが、悲しい!あまりに悲しい!

    それにしても19世紀のフランスが舞台なのに、もう主人公たちの気持ちが分かる!痛いほど分かる
    だからもうつらい!苦しい!

    しっかり哲学的な話込め込めのTheフランス文学!なので苦手な人も多いかもしれないけど、やっぱめちゃくちゃに読みやすいので、フランス文学に興味がある人はここから始めてみてもいいかも

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    2024年11月22日
  • 椿姫

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    1848年発刊。映画はもちろん、オペラや演劇、バレエやミュージカル、はてはマンガにとさまざまなメディア化がされている本作。フィクションでありながら、著者自身が二十歳の頃に、高級娼婦マリ・デュプレシスに惚れ込んで散財した経験がもとになっており、彼女の最後を知るにいたり、いったいどこまでが事実なのだろうと、読後は考えさせられました。ちなみに、著者は『モンテクリスト伯』で有名な、アレクサンドル・デュマの非嫡出子。この小説は23歳のときの処女作ゆえ、マリとの恋愛にかかる金銭は、父に助けてもらったのかもしれないですね。

    話しは、作者(私)が街の通りでポスターを見かけたことから始まります。そこには高級娼婦が亡くなり、彼女が抱えた借金の返済のため、遺品が競売に出されるとのこと。彼女の名前はマルグリット・ゴーティエと言い、作者(私)は小説『マノン・レスコー』を競り落としました。その本を開くとアルマン・デュバルなる人物が、マルグリットに本を送った献辞が書かれていました。競売が終わり、家も貸家となって数日後、そのアルマンが落札者名簿を見て訪ねてきて、彼女との思い出のため譲って欲しいとのこと。作者(私)は落札額も顧みずに譲り渡しました。後日、アルマンのもとを訪ねた作者(私)は、アルマンがかつてマルグリットと恋仲であり、その純愛と悲劇の恋物語の顛末を聞かされたのでした……。

    『マノン・レスコー』に影響されつつも、こちらはヒロインのマルグリットの容姿が書かれていたり、心の内も垣間見ることができ、マノンのような不思議ちゃんのまま終わっていないのがいいですね。また、ここに書かれいるのは、普遍的な純愛ですが、相手が高級娼婦ゆえに、時代背景を考えたときに幸せな結末が見えない男女の心の葛藤が、よく描かれている傑作だと思いました。ただし、終盤に近づくに従い、まるでアルマンがフォースの暗黒面に落ちてしまったかのような、胸が悪くなるクズっぷりに萎えましたけど……。マルグリットが高級娼婦という職業のため、恋が成就してもなお疑念を持ち、まるで子供のような振る舞いでマルグリットを傷つけて追い詰めて行くのは、読んでいてつらいものがありましたね。

    正誤(初版)
    P196の14行目:
    間違いではないですが、”溶接”という言葉が出てきます。1848年に、現代で一般的に思い浮かぶような溶接技術は確立されていませんし、”溶接”という言葉もありませんでした。ちなみに手元に岩波文庫があるのですが、こちらは”蝋(ろう)づけ”です(94刷 P140の18行目)。ちょっと違和感を感じたので書いてみましたが、”蝋(ろう)づけ”で訳して注釈に「溶接のようなもの」とでも書いてあればいいのにと思いました。


    追記:
    古典の海外文学は、出版社違いや翻訳者違いが存在します。『椿姫』も複数社から出版されていますが、手元に岩波文庫があるので、マルグリットのセリフを掲載しておきますので、違いを感じていただけたらと思います。

    岩波文庫 :
    1934年8月15日 第1刷発行
    1971年1月16日 第42刷改版発行
    2014年4月4日 第94刷発行
    P112の3行目から
    「だけどあなた、いったいだれを相手にしていらっしゃるおつもりなの? あたしは処女(きむすめ)でもなければ公爵の奥様でもありませんわ。あなたとはきょう初めておちかづきになったばかしだし、なにもあなたからあたしのすることをかれこれ言われるって法はないわ。仮りにもし、あたしがいつかあなたの言うことをきくようになったところで、あなたのほかにまだまだ好きな男が何人もあったんですからそのことは必ず承知していてくださいよ。今からもうやいているんじゃ、この先どうなるんでしょう。あなたのような方あたし見たことはないわ。」

    光文社古典新訳文庫
    2018年2月20日 初版第1刷発行
    P158の8行目から
    「私を誰だと思っているの? 私は純情無垢な少女でも、公爵夫人でもないのよ。今日知り合ったばかりのあなたに、私の行動についてとやかく言われる筋合いはないわ。たとえ、いつか、私があなたの愛人になる日が来るとしても、あなた以外の男性と関係を持ちつづけることだけは覚悟しておいていただかなくてはね。こんなふうに初対面のうちから嫉妬(しっと)なさるようでは、先が思いやられるわ。まあ、この先もおつきあいが続けばの話ですけれど。あなたみたいな人、初めて見ました」

    岩波文庫の方が高級娼婦ぽい語り口調です。雰囲気も良くでてると思います。ただ、平仮名が多すぎて読みにくいですね。あと、戦前の翻訳本で戦後に改版はされていますが 」 の前に句点(。)があるなど古さを感じます。
    一方、光文社古典新訳文庫は、若々しいお嬢様のようです。これはこれでアリかな。新訳というだけあって読みやすかったですよ。

    ご参考に。

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    2024年11月10日
  • 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~

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    ゴーティエの傑作幻想譚を三篇収録。「死霊の恋」は聖職者としての人生が始まる瞬間、悪魔的な美女に見初められる話。聖職者としての清貧でつまらない生活と、美女と享楽に溺れる快楽的な生活という二重生活が次第に彼を蝕んでいきます。官能と美が混じり合う素晴らしい作品でした。

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    2023年10月05日
  • 女の一生

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    ジャンヌ結婚までの流れが早すぎて、残りページ数を考えても、悲劇が起きる予感はしていた。

    ジャンヌがジュリアンへの愛が揺らぐシーンから雲行きが怪しくなっていった。新婚旅行でチップをあまり渡さなかったり、急に態度を変えたり。

    夫婦の仲がだんだん冷めていく様子がリアル。ジュリアンの行動がいちいち蛙化現象を誘う行動なの勘弁してくれ…

    ジュリアンもポールも控えめに言ってゴミクソ。ただ、ジャンヌの不幸を引き立てているという意味では一役買っている。

    虚無な生活とはおそらくこういうジャンヌのような生活を指すのだろう。しかし、最後の最後でポールの赤ちゃんを連れてきたロザリのセリフからは、ほんの少しだけ希望が見えた気がした。

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    2023年08月29日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    夢あふれる貴族の少女ジャンヌ。幸せな結婚に恵まれて順風満帆に進んでいくかと思われた人生航路だが……。

    世間知らずで受け身な女性主人公に、あまりにも男運がないとこうなる、というようなペシミズムあふれる一作。下世話な展開が興味を引くのと、ノルマンディーという舞台のゆえなのか風景描写が魅力的で、非常に読み応えがある。吝嗇すぎる夫と借金を重ねる放蕩息子の対比、夫にも息子にも恵まれたロザリとジャンヌの対比が、人生の真実の一端を見せてくれたと思う。

    自らの不幸を宿命や運命のせいにし、生きる意欲を失うジャンヌを、ロザリが叱りつけるシーンが印象深い。年をとってもあまりに世間知らずなジャンヌに読者としては幻滅してしまうが、金の無心ばかりする息子を溺愛する姿は悲しくて責められない。夢破れて失望のままに生きる彼女の最後のよすがなのだ。いっぽうで夢を見ることさえない身分であったがゆえに、夢破れることもないロザリの堅実さ。女の一生とは、と考えさせられる。そして、最後の一文が深く胸にしみた。

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    2022年11月14日
  • 椿姫

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    軽い気持ちで読み始めたら思いの外すごくよかった。アルマン……仕方のないやつ……。

    解説に載っていて覚えておきたいと思った言葉。477ページ。
    『ジャンルとしての小説には固有の知恵があり、その知恵は個々の小説家よりもすこしばかり聡明である。そしてこの「小説の知恵」に耳を傾けず、みずからの小説よりも聡明たらんとする小説家がいるとすれば、その小説家は職業を変えるべきだという。』

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    2022年06月26日
  • 椿姫

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    19世紀、著者の実体験を元にした恋愛小説。金持ちを相手に享楽的な生活を送る高級娼婦が真実の愛に目覚める。

    ズバリ泣ける話だ。冒頭からもう、悲劇のニオイがぷんぷん。一体何があったのかと興味を引く、聞き手を配して一人称で語らせる構造もうまい。エンタメの洪水に慣れすぎている現代人にとってはベタな展開といえるかもしれないが、この手の物語の源流のひとつなのだろう。

    父親によって諭される、恋愛における現実的な視点が痛烈。若いころは先のことを考えられなくなるほど燃え上がる情熱も、何年もたてばどうなるか。娼婦であるがゆえの社会的なハンデ。さらに家族の問題を出してトドメをさしてくるが、この父親は人格者であり読者も憎めないと思う。青年アルマンによって純粋な愛に目覚めた高級娼婦マルグリットがとる決断と行動。愛憎が絡み合うすれ違い。日記という形で伝えられる本心が、涙なしには読めない。清らかな愛は往々にしてお金の問題や社会という現実に押しつぶされるものだ。美しい心根を受容できないこんな世の中こそ、非劇の温床というべきだろう……。

    作中では頻繁に「マノン・レスコー」が引き合いに出される。登場人物たちにとって重要な本であり、ネタバレもされてしまうので、本作の前に読んでおいたほうが良い。
    さらに本作「椿姫」の光文社古典新訳文庫版は、翻訳者の違う2バージョンが存在するので注意が必要。今回は最新の永田千奈訳を選んだ。

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    2022年06月16日
  • クレーヴの奥方

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    1678年初版の宮廷恋愛小説。恋愛と結婚の二律背反に苦悩する三角関係を描き、その結末が物議を醸した名作。

    16世紀のフランス宮廷が舞台ということで、序盤はたくさんの人名が出てきて戸惑うが、いざ物語の本筋に入るとほぼ主要人物3人の話なので読みやすい。恋愛感情に伴う男女のあらゆる心の機微と、結婚という義務と責任で揺れる苦悩が生々しい。背景にこの時代の貴族社会の特殊性があるとはいえ、状況自体は舞台をどこに移してもありえそうな、というか普通によくある話ではある。この小説が特別なのは内面・心理の描写の細やかさと、ヒロインのとった決断と行動にあるのだと思う。この結末が読む人それぞれに賛否あるのは当然で、彼女の選択肢には絶対的な正解などあるわけもない。かのスタンダールは否定派で、彼女は○○すべきだったと書いているとのこと。真の愛情とは?女性の幸せとは?女性の自律とは?出会いのタイミングという運命の理不尽さ。感情と理性の葛藤。色々と考えさせられるが、自分はクレーヴの奥方に拍手喝采した。なによりもクレーヴ公に同情した……。

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    2022年05月27日
  • 女の一生

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    受け身で悲しい女の一生。
    モーパッサンは絶対に女性だと思ったが、男性だった。
    思春期の女性が感じる、訳もなく心がときめく瞬間の描写が女性的ですばらしい。

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    2022年04月07日
  • 女の一生

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    ずっと読んでみたかった古典
    最近この光文社古典新訳文庫の本をよく手に取ります
    すごく読みやすい
    他の訳を読んだことないので、この作品が特に読みやすいのかもしれないけど

    純潔に育てられたジャンヌが、恋をし結婚、夫の不貞行為に悩み、親の死も経験する
    愛する息子は、手紙で金を無心してくる
    ジャンヌが過酷な人生を生き抜く

    リゾン叔母さんが良い役どころで、
    ジュリアンがジャンヌに優しく
    「足が冷たくはありませんか」と尋ねたことに
    「私は、誰からも、一度もそんなことを言ってもらったことがない」
    と泣く姿が哀れな印象があったけど
    最後の方になると、独り身は極端な不幸に会うこともなく、自由に動けることが、
    もしかして幸せかもしれないと読んでいて思えました

    そして最後のロザリのセリフ
    「人生ってのは、皆が思うほど良いものでも、悪いものでもないんですね」

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    2021年11月26日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    まさに激動の女の一生の物語。ジュリアンのくずっぷりにややイライラしながらも次はどうなることかとページを繰る手が止まらなかった!
    そうしたハラハラドキドキの波瀾万丈な人生に寄り添うレプープルの風景を甘美な情景にも寂寥とした情景にも描いているのが巧みだと思った。ジャンヌの心情の変化を暗示しているのはもちろんのこと、波乱に満ちた一人の女の人生とそこに変わらずあり続ける自然を対比しているのかしら。
    それから、この作品の面白いところは19世紀の貴族の女性を主人公にしながらも、現代にも十分つながる物語であること。結婚後ふとした時に感じる夫との価値観の相違には「わかるわかる」と、まるで女友達と話す時のようにジャンヌに同調したくなったし(決して夫はあんなクズじゃないけど)、子どもを拠り所にするあまり過保護になる様子は今でいう「毒親」そのもの。橋田壽賀子が描くドラマにありそうだと思った(笑)
    職業柄なのかつい物語に因果を求めて読んでしまう癖があるようで、ジャンヌの運命の残酷さの要因を清廉潔白さに求めたり、最後の結末に「なんとか報われたね」と思ったりした。だからこそ、ロザリの「人生は良いものでも悪いものでもないですね」という最後の言葉にはハッとさせられた。

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    2021年10月18日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    悲恋です。

    主役のアルマンと高級娼婦のマルグリットが出会い、激しく燃え上がる恋愛をし、一時的に穏やかな生活を送り、家柄の関係で引き裂かれ、生きている間に二度と再会できなかったお話です。
    妹の婚約者であり、結婚相手が「彼らが仲たがいしないのならば妹とは結婚しない(=親族に娼婦がいるような家の娘とは婚姻しない)」と言い出したことが彼らの関係に終止符をうつ結果を生み出したところが憎らしいです。実質手を下したのはアルマンの父親でマルグリットが真実アルマンを愛していたこと、彼女が娼婦を生業にした過去があったとしても今は、たただひとりの男を愛する善良な女でしかないことを理解しても「別れてくれ」としか言えなかった現実にやるせなさを感じました。
    マルグリットはアルマンと関係を解消した後、彼からひどい仕打ちを受けますが、それでも彼を憎むこともできなければ忘れられることもできません。病に侵されベッドの上でひとり、昼夜襲いくる息もできないほどの壮絶な苦しみを味わいながら再び愛した人が来てくれることを期待し待ち続けながら…この世を旅立ちます。
    物語の後半は、このマルグリットの日記を呈した文章なのですが悲しい気持ちでいっぱいになり泣きながら読みました。

    あまりにも切ない男と女の話でした。

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    2021年10月12日
  • 椿姫

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    泣ける。マルグリットは悪女だ、という風に描かれることも多いけど、どちらかというと娼婦という人生を歩まないといけない女性が、その中でどうやって愛を貫くかのお話だった。
    いつの時代も、相手にちゃんと話さないこと、ミスコミュニケーションにより起こる悲劇は鉄板だなと。意外と自分の人生でも起こるんだよなぁ。

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    2021年09月27日
  • 椿姫

    Posted by ブクログ

    La Dame aux camélias.
    アルマンとマルグリットの恋愛物語。
    筆者がアルマンの話とマルグリットの日記を元にこの小説を書いているという設定。
    二人の純愛と、高級娼婦という肩書の為にその関係が崩れてしまうという悲劇的な物語を書いている。読みやすく、いつの時代も変わらない男女の純粋な心が描かれている。マルグリットのモデルはマリ・デュプレシス。1824年にノルマンディーの貧しい家に生まれ、父にロマの一団に売られ、パリにたどり着き、高級娼婦となる。彼女は貴族に劣らない気品と教養を身に着けていた
    。教養を与え、美意識を育てたのは彼女を見初めた青年貴族ギュッシュ公爵。かなりの部分が筆者アレクサンドルデュマフィスとマリ・デュプレシスの実話。本書の二人の手紙のやり取りなども、ほぼ同じ内容のものが確認されている。胸が熱くなる一冊。

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    2021年07月26日