作品一覧

  • 食卓にきた犬

    食卓にきた犬

    小説・文芸

    3.8
    1巻3,740円 (税込)
    犬との日々が老作家を変える、フェミナ賞受賞作 老いを意識し、創作への不安を抱える作家ソフィのもとに、モップのような毛並みの若い犬が現れる。信頼と愛情を向けてくる犬と森を歩き、自然と向き合う時間が、彼女に作家として、女性としての自分を見つめ直すきっかけをもたらした。フェミナ賞受賞の感動作
  • 私が本からもらったもの 翻訳者の読書論

    私が本からもらったもの 翻訳者の読書論

    小説・文芸

    -
    1巻1,760円 (税込)
    あなたが本からもらったものは何ですか? 「光文社古典新訳文庫」創刊編集長の駒井稔を聞き手に、8人の翻訳者が語る本にまつわる数々の思い出。 「WATERRAS BOOK FES」の「翻訳者×駒井稔による台本のないラジオ」待望の書籍化! 「最も原始的なタイムマシン、あるいは書物の危険な匂い」(貝澤哉)と「本箱の家」(永田千奈)、2つのエッセイも収録。 本は人生最高の贈り物である。読書のおもしろさを語り尽くした一冊。(書肆侃侃房) 【目次】 はじめに 駒井稔 第1夜 鈴木芳子(ドイツ文学) 第2夜 貝澤哉(ロシア文学) 第3夜 永田千奈(フランス文学) 第4夜 木村政則(英米文学) 第5夜 土屋京子(英米文学) 第6夜 高遠弘美(フランス文学) 第7夜 酒寄進一(ドイツ文学) 第8夜 蜂飼耳(日本文学) あとがき 駒井稔 【著者】 駒井稔 1956年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1979年光文社入社。広告部勤務 を経て、1981年「週刊宝石」創刊に参加。ニュースから連載物まで、さまざまなジャンルの記事を担当する。1997年に翻訳編集部に異動。2004年に編集長。2年の準備期間を経て2006年9月に古典新訳文庫を創刊。10年にわたり編集長を務めた。 著書に『いま、息をしている言葉で。──「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』(而立書房)、編著に『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)がある。現在、ひとり出版社「合同会社駒井組」代表。 鈴木芳子 1987年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ文学者・翻訳家。『ベビュカン』にて独日翻訳賞マックス・ダウテンダイ・フェーダー・東京ドイツ文化センター賞受賞。訳書にショーペンハウアー『読書について』『幸福について』、フォイヒトヴァンガー『宮廷画家ゴヤ』、ヒュルゼンベック編著『ダダ大全』、ローゼンクランツ『醜の美学』ほか多数。 貝澤哉 1963 年東京生まれ。早稲田大学大学院ロシア文学専攻博士課程単位取得退学。早稲田大学文学学術院教授。著書に『引き裂かれた祝祭 バフチン・ナボコフ・ロシア文化』(論創社、2008 年)、共編著『再考ロシア・フォルマリズム 言語・メディア・知覚』(せりか書房、2012年)。翻訳に、ゴロムシトク『全体主義芸術』(水声社、2007 年)、ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』『絶望』『偉業』(光文社古典新訳文庫、2011、2013、2016 年)など。 永田千奈 1967 年東京生まれ。フランス語翻訳者。訳書にシュペルヴィエル『海に住む少女』、ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』(光文社古典新訳文庫)、ロマン・ガリ『凧』(共和国)など。 木村政則 英米文学翻訳家。著書に『20 世紀末イギリス小説──アポカリプスに向かって』(彩流社)。訳書にミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』『ブロディ先生の青春』『あなたの自伝、お書きします』(河出書房新社)、サマセット・モーム『マウントドレイゴ卿/パーティの前に』、D・H・ロレンス『チャタレー夫人の恋人』、ラドヤード・キプリング『キム』(光文社古典新訳文庫)、クリストファー・イシャウッド『いかさま師ノリス』(白水社)など。 土屋京子 翻訳家。1956年生まれ。東京大学教養学部卒。訳書に『ワイルド・スワン』(ユン・チアン)、『EQ~こころの知能指数』(ゴールマン)、『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』(トウェイン)、『ナルニア国物語』全7巻(C・S・ルイス)、『仔鹿物語』(ローリングズ)、『秘密の花園』『小公子』『小公女』(バーネット)、『あしながおじさん』(ウェブスター)、『部屋』(ドナヒュー)ほか多数。 高遠弘美 1952年3月、長野県生まれ。現在明治大学商学部・大学院教養デザイン研究科教授。著書に『物語 パリの歴史』(講談社新書)『七世竹本住大夫』(講談社)『乳いろの花の庭から』(ふらんす堂)他、翻訳に『珍説愚説辞典』(国書刊行会)ロミ『完全版 突飛なるものの歴史』(平凡社)レアージュ『完訳 Oの物語』(学習研究社)プルースト『失われた時を求めて』(光文社古典新訳文庫、全14巻予定。個人全訳中)、最新刊にF・ピション『プルーストへの扉』(白水社)があるほか著作多数を数える。 酒寄進一 1958 年生まれ。ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。2021 年、コルドンの〈ベルリン〉3 部作で日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞受賞。主な訳書にヘッセ『デーミアン』、ヴェデキント『春のめざめ ―子どもたちの悲劇』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、 シーラッハ『犯罪』『罪悪』『刑罰』『コリーニ事件』、ザルテン『バンビ 森に生きる』、フィツェック『乗客ナンバー23の消失』、ゼーターラー『キオスク』ほか多数。 蜂飼耳 1974 年神奈川県生まれ。詩人。立教大学文学部教授。詩集に『食うものは食われる夜』『顔をあらう水』『現代詩文庫 蜂飼耳詩集』など。文集に『孔雀の羽の目がみてる』『空を引き寄せる石』『秘密のおこない』『空席日誌』『おいしそうな草』など。書評集に『朝毎読』、絵本に『うきわねこ』(絵/牧野千穂)など、童話集に『のろのろひつじとせかせかひつじ』など。古典文学の現代語訳に『虫めづる姫君 堤中納言物語』『方丈記』がある。
  • 死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~

    死霊の恋/化身~ゴーティエ恋愛奇譚集~

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,364円 (税込)
    一線を越えた、妖しい恋が始まる! フローベール、ボードレールらに愛された「文学の魔術師」ゴーティエによる官能の奇譚集。聖職者としての人生が始まる瞬間に絶世の美女の悪魔に見初められた男を描く「死霊の恋」、人妻に片思いする青年がインドの秘術を使ってその夫の肉体を乗っ取ろうと企てる「化身」、火山が残した乳房の型への恋心が青年を滅びたはずのポンペイの町に迷い込ませる「アッリア・マルケッラ」の3篇を収録。
  • 京都に咲く一輪の薔薇

    京都に咲く一輪の薔薇

    小説・文芸

    3.5
    1巻2,640円 (税込)
    全世界で200万部超『優雅なハリネズミ』のフランス人著者が贈る、京都を舞台にした長篇小説 フランス人のローズは、一度も会ったことのない日本人の父が他界したという報せを受け、京都にやって来た。美術商だった父のアシスタント、ポールと出会い、恋に落ちるが――。ひとりぼっちだった女性が、古都に癒され自分を見つめ直し、人生の意味を見出す。
  • 黄色い笑い/悪意

    黄色い笑い/悪意

    小説・文芸

    -
    1巻3,696円 (税込)
    翻訳文学を求める熱心な編集者に告げておく。ピエール・マッコルランは、現代に復活させてしかるべき作家である。マッコルランを出す勇気と機略のある編集者がいたら、私はそのひとに敬意を表するだろう。——澁澤龍彦 アントナン・アルトー、レイモン・クノー、ボリス・ヴィアンらも熱愛してやまなかったフランスの小説家ピエール・マッコルラン。 奇妙で、ファンタスティックで、ユーモアに溢れるその傑作を集大成した、本邦初の3冊本選集がついに刊行。 第1回配本は、奇妙な笑い病のパンデミックがこの世を滅亡させる、世界終末論的疫病小説『黄色い笑い』。マルセル・シュネデールがマッコルランの最高傑作と絶賛したマンドラゴラ幻想小説『悪意』。長編2編を収録。ともに本邦初訳。

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  • 狂女たちの舞踏会

    狂女たちの舞踏会

    小説・文芸

    4.0
    1巻2,640円 (税込)
    19世紀末、パリ。少女ウジェニーは「霊が見える」と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが「狂気」と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。
  • 椿姫

    椿姫

    小説・文芸

    4.8
    1巻1,188円 (税込)
    パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る美貌の高級娼婦マルグリット。彼女はある日、青年アルマンと出会う。初めて真実の愛に目覚めた彼女は、これまでの享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人は暮らし始めるのだが、そこへ訪ねてきたのはアルマンの父だった。そしてアルマンを愛するがゆえにマルグリットが下した決断は……。フランス恋愛小説、不朽の名作。
  • クレーヴの奥方

    クレーヴの奥方

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,056円 (税込)
    フランス宮廷に完璧な美を備えた女性が現れた。彼女は恋を知らぬままクレーヴ公の求婚に応じ人妻となるが、舞踏会で出会った輝くばかりの貴公子ヌムール公に心ときめく。夫への敬愛と初めて知った恋心。葛藤の日々に耐えられなくなった夫人は、あろうことかその恋心を夫に告白してしまうのだった……。あえて貞淑であり続けようとした女性心理を描いた、フランス心理小説の嚆矢を清新な新訳で贈る。
  • 孤独な散歩者の夢想

    孤独な散歩者の夢想

    ビジネス・実用

    3.6
    1巻1,089円 (税込)
    晩年、孤独を強いられたルソーが、日々の散歩のなかで浮かび上がる想念や印象をもとに、自らの生涯を省みながら自己との対話を綴った10の“哲学エッセイ”。ここにはあの“偉人ルソー”はいない。迫害妄想に悩まされたのち訪れた平穏のなかで書かれた、ルソー最後の省察。「思索」ではなく、「夢想」に身をゆだねたその真意は? 他作品との繋がりにも言及した中山元氏による詳細な解説が付く。
  • 女の一生

    女の一生

    小説・文芸

    4.2
    1巻921円 (税込)
    男爵家の一人娘に生まれ何不自由なく育ったジャンヌ。彼女にとって、人生は夢が次々と実現していくものであるはずだった。しかし、現実はジャンヌを翻弄し続ける。乳母妹だった女中のロザリが妊娠し、その相手が自分の夫であることを知った時、彼女は過酷な現実を生き始めた――。感情移入を抑えて、現実を美化せずにありのままを描く自然主義文学の真髄ともいえる傑作。

ユーザーレビュー

  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本は大学生くらいまでによんだほうがいい!とおもいながら
    ありきたりなタイトル?からは想像もつかない普遍でありそうでないような展開。
    本の帯もあらすじもなにもなくよんだほうがいいとおもう。
    最後のロザリの境地になれるのは相当な晩年かもな。これは語りたい。とおもいました。

    にしても,主人公ジャンヌは40代半ば。作者は33歳のときに、これを書いている。どういう事?とおもいました。
    物語でない素顔の人間の姿。というかんじ。宗教観や村の様子もこんなかんじだったんだろうな。だれが悪いとかいいとかでなく社会制度やお金に振り回されていてはらはらした。

    0
    2026年01月30日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    未来への希望と共に修道院を出るも次々に打ち砕かれる希望
    登場人物みんな不倫してる
    「人生ってのは、みんなが思うほど良いものでも、悪いものでもない」

    0
    2025年11月11日
  • 孤独な散歩者の夢想

    Posted by ブクログ

    ルソーって、社会の教科書に出てきた『社会契約論』とかの、あのルソーだよね…?
    と思うくらい、偉人が晩年に書いた作品というより、本当にひとりの老人の「孤独な散歩者の夢想」そのものだった。
    こんなにも自分には悪意がないとか他者がいなければというようなことを言えるのはそれが夢想だからなのだと、解説や訳者あとがきのおかげで分かった。
    幸福のこと。
    人は結局そこに行き着くのだろうなと、そこに行き着くまでに沢山のまわり道をするのが人生なのだなと感慨深かった。
    反面、どうして学校で、あなたたちが生きていくときっとこんな風に感じるようになりますよ、って教えてくれないのかな、とも思った。
    何百年経っても人の想いはそんなに変わらない。

    解説の、
    「このように、夢想にふけることは、たんに自分の想像力のうちで、好みの宇宙をつくりだし、そこに閉じこもることを意味しない。他者が作りだした宇宙のうちで、他者の宇宙を追体験し、他者を理解するという機能もまたはたしうるのである。」
    という部分に、私自身の夢想のあり方を明確に示してもらえた気がした。
    この本を読むまで「夢想」という言葉も概念も意識したことが一度もなかったけれど、書かれたものを読んだり音楽を聴いたりする行為はこういうことだったのだと納得した。
    推しの宇宙のうちでの夢想の、幸福感たるや。

    0
    2025年10月26日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    それ以下でも、それ以上でもない。人生のありのままを描いている。

    突き放されたり、ひょんなことに救われたりそんなことばかりだ。
    夫に浮気されること、可愛がってくれる両親に愛されること、宗教にすがったり諦めたりすること、息子に捨てられること、ロザリが恩を返し助けてくれること。

    夢もなく恐れもなく( nec spe nec metu )がある。期待を予見するでもなく、なにかに怯えるでもなく、ただただ日々を生きる。ロザリが最後に残した言葉の延長線に、こんな考えを持てるのではないかと感じた。

    それにしても女性の心の機微を描くのが上手い。初夜の夜など、恐怖と苦しさとわずかな期待と、どの女性もひそかに抱えている思いが詰まっているのではないだろうか。そんなふつふつと心で煮え切らなかった部分を物語で言語化してくれてなんだかすっきりしたような気持ちになった。

    恋愛の話。恋はどうわきあがり、恋にどう失望し、結婚にどう折り合いをつけて行くか。

    家族の話。親、配偶者、子供、ペット。

    お金の話。日々をどう生きるか、お金をどうやりくりするか。資産をどうするか。

    社会階層の話。身分の違い。男爵、公爵、使用人、農民、聖職者。

    景色。家の家具や、匂い。庭の並木道。海があったり、岩があったり、森があったり。日常に囲まれた景色ってこうだよなあと引っ越しのシーンで共感した。雨が降ったり、波が荒れたりして、都会に住む私は自然と共にある景色とか生活って素敵だなあって感じた。(と同時にそんなに綺麗じゃなかったり大変な季節もあるのだろうけど)

    あと人生でたくさん旅行したいなと思った

    0
    2025年08月18日
  • 椿姫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    わぁーーーもう、めっちゃ好き。
    最初の一文で惹きつけられて、最後の一文が本当に最高。単純に面白いのでもっと色んな人に読んで欲しいし、広まって欲しい。

    まずこの本を選んだきっかけは、昨今の日本社会があまりにもギスギスしていると感じて現代の日本文学を読む気になれなくて、せめて精神的にでも外国にトリップしたくて(笑)候補に挙げたのが『月と六ペンス』と『椿姫』。
    読みたい度が高かった『月と六ペンス』に8割ほど決定していたけれど、とりあえず冒頭を読んで決めようとしたら、圧倒的に『椿姫』の方がするすると頭に入ってきた。こちらの方が堅苦しい印象があったのでぐいぐい読み進められてびっくりした。

    『椿姫』はオペラで有名だからか元々なんとなく聞いたことはあって、過去に読んだ『グレート・ギャツビー』が面白かったので、(ギャツビーはアメリカだけど)近代ヨーロッパの貴族や社交界の世界をもっと覗きたくて購入し、積読していたのだと思う。

    それにしても光文社古典新訳文庫は偉大だ。私は古めかしく日本語が破綻したような不自然な翻訳が本当に無理で、海外文学を読みたくても文体で拒否感が出てしまうことがよくある。
    本屋で何社も読み比べて、困ったら光文社で探すことにしているけれど、やっぱり訳が生き生きとしていて安心して読める。

    椿姫の舞台は19世紀のフランスだけれど、これ今ドラマや映画化しても通用するんじゃないかと思うほど、よくある恋愛のやり取りが現代と同じ感覚で描かれている。
    ただ私は19世紀の文化や生活習慣等を全く知らなかったので、逐一調べていたら楽しくて寄り道しまくっていた。
    パンチ、ボンボン、食べてみたい。モンマルトル墓地、行ってみたい。19世紀って、遠いような近いような、微妙に手が届きそうな気がする過去。約180年前、フランス革命からそんなに経っていない頃にこのような人々が生きていたのだなぁと思うと不思議だ。

    『マノン・レスコー』や大デュマの作品は、映画では見たことがあるけれど小説でも読んでみたい。

    驚いたのが、手紙を現代のチャットかのように頻繁にやり取りしていたこと。スマホがなくてもやっていけそう。お金持ちだからかな。馬車は今の車そのもの。

    この物語、デュマ・フィスの実話に基づいて書かれているらしいけれど、語り手が入ることで所々辻褄が合わなくなるので、私は「限りなく実話に近い」という体で読んでいた。

    最初なかなか主人公アルマンが出てこなくて、やっと出てきたと思ったら墓暴きをしだして度肝を抜かれた(笑)リアルな死体の描写から始まる恋愛小説、斬新。

    アルマンの話を聞いていると、早々にマルグリットもアルマンもプライドがめちゃめちゃ高いと気付いた。出会いの場面ではマルグリットの方が失礼で嫌な奴だな、でもアルマンもなかなか・・・と思っていたけれど、読むにつれて完全にアルマンの傲慢さや天邪鬼、計算高く粘着質で陰湿でストーカーで完璧主義・・・みたいなところにイライラしていた(爆笑)
    特に夜中ずっとマルグリットの家を見張っていたり、毎日お見舞いに来たことを知らせず具合だけ尋ねたり、周りの人間から情報を集めまくっておいて本人にはそれを知られないように装ったり、読んでいる方はもはやドン引き。

    お互い若いし、未熟だから仕方ないとも思うけれど、お似合いだなぁこの二人と思った。マルグリットの方はおそらく女だし立場的に舐められたり危険な目に遭うのを避けるための処世術でもあるのだろうけれど。

    やっと両想いになっても問題が山積みで、マルグリットの愛人や、借金や、病気や、アルマンの父や・・・最後まで読んで思ったけど、最初からこの二人の関係は詰みだったと思う。
    もしマルグリットが健康で借金もなくアルマン一筋だったとしても、アルマンの父が娼婦という立場を許さないから。娘婿からの婚約破棄とか色々理由を付けていたけれど、結局父が世間体を気にしていた。
    父の言葉を聞いて、もしかして毒親?と思っていたら訳者の方も書かれていて確信した。

    最後、父と妹は家族の幸せを守れたのかもしれないが、それはアルマンの恋愛を破綻させ、マルグリットの寿命を縮めるほど大事な事だったのか?
    息子とその恋人を犠牲にした上での幸せは、果たして長続きするのか。

    二人の短い恋人期間の中でもブージヴァルでの半年は、マルグリットにしたら人生のほんの一瞬の安らぎだったのだろうな。あんなに豪華なパリでの生活を送っていても、本当の意味で心が満たされる訳ではないのだ。
    これって今の時代でも同じで、見かけは華やかで贅沢で人から羨ましがられる暮らしをしていても、誰かに愛されることや、自分を大切にする幸せには敵わない。

    とは言え実際はデュマ・フィスとマリ・デュプレシスは正に金の切れ目が縁の切れ目で別れたようなので、お金と同じくらい人との繋がりや愛情は大切、ということだろう。


    この物語、登場人物がすぐ嘘をついたりはぐらかしたりするので、真相が気になってまるでミステリーかのように読んでいた。
    特にマルグリットがブージヴァルからいなくなった時は、ハラハラと緊張しながら読んだ。

    そしてその後のアルマンの行為、手のひら返しはもう別人のようで、本当に嫌悪感がすごかった(笑)
    プライドが爆高なので、自尊心を傷付けられたら仕返ししないと気が済まないんだろうな。やっぱりこういう人と関わるのは怖い。
    相手は身分も低い死にかけの病人だということを忘れたのかと思うような仕打ち。少し前まで大切に愛情を注いでいた相手に、自分の気が収まらないからと徹底的にやり返す。これは相手より何より、自分のことが一番大事だと思っている証拠。まぁあの毒親に育てられたのだからそうもなるかと納得した。
    マルグリットの最後に会えなかったのも、自業自得としか思えない。

    ただこのアルマンだけが唯一、マルグリットの病気を本気で心配し、自分の財産を分け与えてまで一緒になりたいと思っていたのも事実。だからこの二人は色んな意味で釣り合っていたのだ。


    マルグリットの日記はもう、最後が分かっているだけにハッピーエンドになりようがなく、読み進めるのも怖かった。
    ずっと思っていたけれど、マルグリットの話し方や文体を見ていると、さすが高級娼婦なだけあって上品だし、頭の回転が速いんだろうなと分かる。それもあって貴族達を魅了していたのだなと。
    あれだけ私がアルマンに感じていた怒りが気付いたらスッと消えて清らかな気持ちになっていた。

    旅先のアルマンから手紙が届いたことは少し救われる。あんな別れ方のままで死ぬことがなくて良かった。あとはジュリー・デュプラという心優しい友人がいたことも。
    ここで一番最初に読んだマルグリットの手紙の意味が全部分かって、涙なしでは読めない。

    壮絶な最期は目を背けたくなるほど臨場感がありぞっとした。
    結核って今は治る病気だと思うと何とも切なく残念な気持ちになる。間違った治療法で更に寿命を縮めたであろうことも想像がつく。


    デュマ・フィスは娼婦について「悪徳」と書いてはいるけれど、憐れに思ったり同情するような描写もある。
    たとえキリスト教の教え故であったとしても、娼婦に限らず立場の弱い人々に対して、無関心ではなかった。
    生まれや育ちで身分が決められる時代、彼自身も非嫡出子でいじめられたそうなので、その気持ちが分かるのだろう。
    ものすごい格差社会だったであろうこの時代に、娼婦の内情を描くような作品を書いて、それが現在も読めることが、とても尊い。

    20250605

    0
    2025年06月06日

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