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Posted by ブクログ
「小説は問題を提起しても答えは与えない」というチェーホフのスタンスが相変わらず(他の作品と同じで)示されている。教訓となるわけでも無いし、決して登場人物に共感できるわけでもない。にも関わらず、チェーホフ作品に惹かれるのは、彼の生きた時代におけるチェーホフのスタンスが現代に通じる点にあると思う。革命前夜の時代、教養はあるが社会で実際に役割を持つことはできない貴族、貧しい暮らしに喘ぐ下層階級、誰もが今の社会に不満を持っているのに、どうにもならないという諦観を持ってしまっている(直接的な批判を加えることをことごとく避けているチェーホフ作品において「しまっている」という表現はそぐわないかもしれない)。作品の中にこのような人々の姿が現れているが、これは問題に答えを与えないチェーホフにも同様である。チェーホフの作品にはこの時代のロシアの抱える問題が忠実に描かれているが、そこには革命への意欲などは全く感じられない。淡々としているのである。これが現代にも通じると思い、作品には共感しないがチェーホフには共感してしまうのだ。今の時代に問題ならいくつも挙げられる。だがそれをどう解決するかといえばお手上げ。自分の無力を漠然と感じるしかない。チェーホフ作品には「冷めた」現代人に通ずるところがある気がするのだ。
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