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17世紀ニューイングランド、幼子をかき抱いて刑台に立った女の胸に付けられた「A」の文字。子供の父親の名を明かさないヘスター・プリンを、若き教区牧師と謎の医師が見守っていた。不倫の罪を背負いながらも毅然と生きる女、罪悪感に苛まれ衰弱していく牧師、復讐心に燃えて二人に執着する医師――各々の罪を抱えた三つの魂が交わるとき、緋文時の秘密が明らかに! アメリカ文学屈指の名作登場。(『THE SCARLET LETTER』改題)
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Posted by ブクログ
みなさんは海外の作品を読むときに翻訳家というものをどの程度意識されているでしょうか え?★5付けといてまた関係ない話し始めるの?と思ったみなさん 安心してください この素晴らしい名作は光文社の他に多彩な出版社から刊行されていて それぞれに素晴らしいレビューが存在しています そっち読めばいーじゃん!...続きを読む(清々しい開き直り) というわけで話し進めますね 翻訳家さんです 翻訳家さんにもっと注目して読書生活を送ってみませんか?という新生活の提案です かくいうワタクシも、そこまで翻訳家さんを気にしていたわけではないんですが 今回のように気が付くと小川高義さん祭りになっていたりしてあれこれはどういうことかと思いつつ(今回もヘミングウェイの小川高義さん訳をよんですぐにホーソーンを読んでるんですが全く意図してませんでした) データ好きのワタクシはちまちまと翻訳家さんのタグ付け作業を営みつつ振り返ってみたのです ※せっかくデータ取ったので2023年5月27日現在の既読翻訳家さんベスト5〜〜 1位 池田真紀子さん 25冊 全体のベスト5にも顔を出す翻訳家さん ジェフリー・ディーヴァーを中心にいろいろなミステリーやSFなど本当に長く活躍している方です 2位 安田均さん 15冊 ドラゴンランスシリーズの翻訳家で、今なお日本ファンタジー界の中心で活躍を続けるレジェンドです 3位 成川裕子さん 10冊 大好きなミネット・ウォルターズは全てこの方 4位 柳沢由美子さん 9冊 北欧ミステリ、刑事ヴァランダーシリーズとエーレンデュル捜査官シリーズを手掛ける 方やスウェーデン方やアイスランドです 言語違うはずなんですがどうなってるんでしょう? 5位 山田蘭さん 7冊 アンソニー・ホロヴィッツを手掛ける 5位 三角和代さん 7冊 カーソン・ライダーシリーズはこの方 まぁ、シリーズで読んでる作品を扱ってる方が上位に来ちゃうんで順位づけはあまり意味がないかもしれませんが圧倒的に女性が多いですね なにか理由があるんでしょうか? そして調べてる過程で、今回の小川高義さんもそうなんですが、何故か同じ翻訳家さんの作品を続けて読むということがけっこうありました 原作は全然違う人なのにです これまたどういうことか あまり同じ人の作品は続けて読みたくないけど、深層心理で似たような作品を求めている? とにかくなにか翻訳家さん個人に惹かれるものがあるのかもしれません もちろん原作というモノはしっかりとあるんですが日本語で読む以上、そこに翻訳家さんの色が出ないわけがないですもんね そしてみなさんにお勧めしたいのが、翻訳家さんで検索をかけることです 面白い!と思った海外の作品の翻訳家さんの別の翻訳作品から思いもよらないあなただけ傑作を見つけ出すことができるかもしれませんよ! 余談ですがアンソニー・ホロヴィッツの『絹の家』(コナン・ドイル財団が認定したホームズの新作という位置づけ)を訳した駒月雅子さんはもともと本家ホームズシリーズの訳者さんだったりって知れたりしました
胸が締め付けられる。 出てくる登場人物の誰もが、少しの悪と、沢山の苦しみと愛を持ち合わせていた。 それにしても、悔恨が心身にもたらす影響力の強さよ。 アメリカ(特に田舎)には、素朴さや真面目さが感じられるけれど、それはピューリタンの流れを汲む歴史が脈絡と受け継がれているのだろうと思った。 ヨー...続きを読むロッパの小説と違い、ヘスターが強い女として描かれているのが印象的だった。 時に牧師や医者に対し、強い意志やその壮絶で孤独、しかし思考が自由に解き放たれた女として、力強く、優しい言葉を発する。 ヨーロッパの小説だと、彼女はもっと弱々しい存在として描かれたんじゃないかな。 最後のラストは薄々感づくのに、その場面に遭遇したくて、はやる気持ちを抑えながらページをめくった。 19世紀の小説だけど、とても読みやすいのは、小川高義さんの訳によるところも大きいと思う。 名著だった。
最後まで読み、「辛い」と声が出た。結局、牧師と神との間で交わされる神聖な対話や関係の前では、子供を産んだヘスターは無力だ。森での美しいヘスターも歯が立たない。牧師は、「ヘスターの苦しみを痛いほど知っていた(だからこそ辛かった!)、他人に罪人であることを隠して苦しんだ!、死ぬ前に罪について告白するのだ...続きを読む!(その直前に壮大な説教をして大衆を心酔させている)、ヘスターに自分達は永遠に結ばれないと彼女を戒める!」という論理を展開していく。牧師は、神の采配で、迷いから救われたという。宗教的には勝利したのだろう。でも、ヘスターは。。。神との誓いを優先して、美しい信仰心を讃えて先に死ぬ牧師。残されたヘスターは、複雑な思いを抱えながら生きていくようだ。妊娠、出産、子育て全てをたった一人でやり遂げたヘスター。彼女には、牧師のような自己陶酔的な宗教的正義の境地には至れなかった。観念的な世界だけで完結できない日常がある。そのかわり、ヘスターには、パールがいる。女性らしい美しさを、隠し否定して生きなくてはならなかったヘスターだが、娘には美しい衣装を着せて育てた。「成熟した未来に、神聖な愛が人を幸福にするものだということを、うまくいった実例として、証明できる人」が、パールであればよいな、と思う。最後に、、、上記に書いたような、こんな単純な話ではない小説だと思いました。一気に短時間で速読したので、大切なポイントがごっそり抜けてる気もします。パールや緋文字の意味など、気になりながらも、深く分析することなく、読み終えました。後日、改めてじっくり読みたいと思う作品となりました。
面白かった。 話がシンプルな作りで、加えて細かい章に分けられていて読み進めやすかった。 現代の日本の感覚なら不倫程度でこんなに罪になるか?と思ってしまうが、アメリカの当時の価値観なのだろうな。 牧師とヘスターがどのように罪を犯したのかはほぼ描写がないが、それは敢えての事なのだろう。 最後の最後...続きを読むで牧師により破滅の運命から逃れられた場面が印象的。罪を背負う辛さの描写が生々しい。
17世紀ボストン。姦淫により裁かれた女、教区で慕われる若き牧師、謎の老医師。三者の隠された関係を通し愛と罪を問う米国文学の代表作。小細工無しのストレートな展開が胸を打つ。序文の用い方がユニークで、そこから本文への入りを含めて全体の構成に演劇的要素有り。ヴェンダースの撮った映画版も何れ観てみたい
最初の税関はなかなか読み進められなかったが本編は講談のような語りで読みやすい。ただし税関の内容は、今の仕事がしっくりこないと思う現代人にも共感できるものがあり親しみを感じる。割と早い段階で事実が暗示され、何も語らず世間と対峙するヒロインに対し、世間体や周囲の期待に押しつぶされ罪を隠している男の良心の...続きを読む呵責が哀れで可笑しくすらある。
罪の象徴の緋文字が、やがてはその元々の目的が薄まっていく。 不倫の罪を裁かれ、緋文字を生涯付けることを余儀なくされたヘスター・プリン。彼女は誰が相手かを決して口外することなく、人々の冷たい視線も受け入れて、毅然と生きていく。不倫によって生まれた娘パールを育てながら。 よほどの理由があったにせよ、自...続きを読む分が犯した罪は罪として受け入れる。でも、それに押しつぶされないで、黙々と、毅然と生きていく。それはいいのだが、もう少し、ヘスターと牧師のことを掘り下げて書いて欲しかったと思う。
CL 2021.12.10-2021.12.18 新訳でとても読みやすくなっている。 7年も自分だけ罪を隠して、隠しておけなくなったら死んでしまうディムズデール牧師は情けない男ではないか。 ヘスター・プリンはその間もずっと幼い子どもを抱えて世間から拒絶され、差別され、たったひとりで敢然と生きてきたと...続きを読むいうのに。 我が子パールへの責任もかけらも果たさず、ただただ己の都合、思いだけで、ひとり逝ってしまうとは。 たとえこれが1600年頃のアメリカの話だとしても、男の情けなさに怒れてくる。 現代的な基準では語れないのは承知の上で、それでも素直な感想は上記のとうり。
作品は1850年に発表されたものだが、舞台はさらに200年も遡ったアメリカのニューイングランド。 そこはピューリタンの町で、当然ながら厳格な信仰が守られているコミュニティだ。 タイトルの緋文字とは、そこで姦通の罪を犯した女性への罰として、その衣服の胸のところに常に着けるように定められた緋色のAの文字...続きを読むのこと。 その女性は、町で尊敬を集めている牧師と関係を持ち子をなしてしまうが、彼女には夫がいたため、罪とされた。一方牧師の方はその関係がバレずにいた。 後から町にやってきた夫は、医師に身をやつし町の中で一定の位置に居座るようになるが、二人に執拗に復讐をしようとしていく。 キリスト教をベースにしているため、罪とか罰という観念が、現代から見ると大きく異なっている気もする。正直、そこまで苦しまなくとも、とさえ。 しかしそれが当時の空気感であり、それがいわゆる「世間」であったということを思えば、一概に昔話にしてしまうこともできない。 よくも悪くも、一定の規律やルールを定めずにはおれない、そしてそれに縛られることを自ら望むのが人間ということか。 また、物語の後半でも描かれるのだが、罰を受けるがゆえに聖性を帯びてくるという展開も、キリスト教的なものと言えまいか。 しかしこの論理は極めて危険なものであるということは、歴史が示しているとおり。それをあえて19世紀半ばに描くという点は、もう少し深掘りできることかもしれない。
私に宗教の観点が欠けているので、 牧師の苦しみがもどかしく感じる。 そこまで罪の意識に苛まされるのだったら手を出すなと。
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