「星の王子さま」で有名なサン=テグジュペリによる小説。飛行機乗りの経験を活かしたリアリズムにあふれる作品。
夜間の飛行がまだ非常に危険だった時代。新事業に命をかける男たちの、尊厳と勇気の物語。事業の責任者であるリヴィエール社長の、あまりにも厳格なやり方は、強い信念によるものだった、というお話。個人
...続きを読むの幸不幸に心を揺らしつつも、あくまで全体の進歩のために意志を貫く。ここに深いテーマ性があり、その勇気に感動を覚えた。
作者自身が飛行機乗りだっただけに、飛行にまつわる描写は詳しい。嵐におそわれたパタゴニア便の、燃料が切れるまでのタイムリミットによる緊張感は、テレビ番組の飛行機事故再現映像を見ているかのような迫力があった。そして、「これラピュタ?」と思わせるような場面があり、実際この小説は参考にされているのではないかと思った。
リアリティあふれる本作は、飛行機というものが世の中に現れて間もない時代の、貴重な記録であり、その時代を生きた人々の勇気を感じられる偉大な作品だ。「星の王子さま」を読んで育った子どもたちが、大人になって次に手にとれるよう、いつまでも読みつがれることを願う。