二木麻里のレビュー一覧

  • 夜間飛行

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    『星の王子さま』に続いて、サン=テグジュペリの作品を開いてみました。
    選んだのは『夜間飛行』です。

    とにかく文章が美しい。

    テグジュペリ自身がパイロットだったとはいえ、
    目に映る情景をここまで見事に言葉に昇華するのは並大抵のことではありません。

    そして非常事態に直面したシリアスな人間ドラマにおいては、読者を緊迫と葛藤に巻き込むような、リアリティのある筆致。

    テグジュペリの作家としての力量もさることながら、翻訳も見事です。

    この名作は、きっとまた読む。

    そんな確信を抱かせる読書体験でした。

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    2025年12月05日
  • 夜間飛行

    匿名

    購入済み

    星の王子様だけでサン=テグジュペリを語っていた私を殴りたい。パリ旅行に行った祖母にお土産でゲランの夜間飛行もらい、「昔、読んだのよ」とこの本を教えてもらいました。王子様はとは全く違う生身の人間のドラマに圧倒されました。他の作品も読んでみようとおもいます。

    #切ない

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    2025年03月20日
  • フランス革命についての省察

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    自然に形成されたものへの信頼、人工的に形成されたものへの警戒。制度の基礎は歴史の知恵(慣習・文化)や伝統。社会は人工的に作られるものではなく、成長するもの。人間は自然に従い家族を形成した。しかし家族と家族を繋げる自然な契機は存在しないので、法を制定し国家を形成した。国家とは死んだ人、生きている人、まだ生まれない人を共に結ぶ協同体▼マグナカルタ・権利請願・権利章典、世代を超えて多くの人々の努力と工夫によって培われてきた制度や慣習こそ英の国体(constitution)であり、安易な改変に慎重であるべき。慣習の中にある観念(すでに判断されたものprejudice)を拠り所とし、慣習にもとづいて権利

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    2025年02月27日
  • 夜間飛行

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    南米で郵便飛行機を運行する会社のオフィスとパイロットの1つの事件を取り巻く一部始終が描かれている。半日にも満たない、夕方から未明にかけての短時間のみで1冊が書かれており、特に後半はゆっくり読むとリアルタイムと同じくらいのペースで時が流れる、臨場感溢れる力強い作品だった。

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    2024年12月27日
  • 夜間飛行

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    ネタバレ

    ぼくは死んでしまったようにするだろう。でもそれは本当じゃない。

    欲しいのは個人の幸せではなくて、もっと先にあるもの

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    2024年07月25日
  • 夜間飛行

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    全編連なる散文詩のような美しさ+小型飛行機のパイロットなど経験したこともない人にも伝わる臨場感+スリリングで切り替わりが多いのに混乱しない構成…本物の才能って怖いほどすごいと思った作品。

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    2023年06月10日
  • 夜間飛行

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    ネタバレ

    「星の王子さま」で有名なサン=テグジュペリによる小説。飛行機乗りの経験を活かしたリアリズムにあふれる作品。

    夜間の飛行がまだ非常に危険だった時代。新事業に命をかける男たちの、尊厳と勇気の物語。事業の責任者であるリヴィエール社長の、あまりにも厳格なやり方は、強い信念によるものだった、というお話。個人の幸不幸に心を揺らしつつも、あくまで全体の進歩のために意志を貫く。ここに深いテーマ性があり、その勇気に感動を覚えた。

    作者自身が飛行機乗りだっただけに、飛行にまつわる描写は詳しい。嵐におそわれたパタゴニア便の、燃料が切れるまでのタイムリミットによる緊張感は、テレビ番組の飛行機事故再現映像を見ている

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    2022年06月29日
  • 夜間飛行

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    郵便空輸の黎明期に夜間飛行を切り拓いたパイオニア達を、行間で語るような静謐で美しい自然描写とともに描く。

    個人の自由が重視されすぎている今、
    生きることと仕事との関係性を考えさせる。

    美しい小説だった。なんども読み返しそう。

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    2022年04月12日
  • 夜間飛行

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    圧倒的だった。読み終わるまで息をつく間がなかった。厳格で、容赦ない指示と処罰を科すリヴィエールが抱える苦悩と義務、人間的な苦しみ(老いや自分の行っていることが個人の幸福よりするべきことなのだろうかという問い)。若い操縦士ファビアンが死の前にみた美しい情景。
    この作品が、夜間飛行の黎明期だったことで、自然の脅威、幸福だけでなく、政治的な圧力やそれを乗り越えて戦うもの、などが手に取るようにわかる。
    素晴らしい作品だと思う。

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    2021年12月24日
  • 夜間飛行

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    いやー、面白かった!普通小説というのは、語り手は主人公やナレーター一人によるものが一般的だと思う。多くても主人公と準主人公から見た視点などの2、3人であろう。しかし、夜間飛行ではナレーター、社長、複数の操縦士、妻など様々な視点からその人目線で多く書かれている。この手法を成し得たのも、サン=テグジュペリの多様な経験、またそれぞれの立ち場に近しい人との交流のおかげであろう。ぜひ、他の訳者である堀口大学さんの本も読んでみたい。文体がより堅い気がして好みではあるけれどまだ読み切れていない。この訳者の本の巻末にはあとがきや解説、背景などが十分すぎるほど載っており、背景などは読む前に読んでおくべきだったか

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    2021年02月10日
  • オンディーヌ

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    ジロドゥの戯曲。
    水の精オンディーヌと、騎士ハンスの恋を描く。

    オンディーヌの奔放すぎるキャラクターが強烈だが、それは本心とは裏腹な社交辞令や政治に満ちた貴族の社交界と対比させるためのものなのだろうか。

    展開が読めずイライラする場面もあったが、大六場、第七場での物語の畳み方は素晴らしかった。最後のセリフが強烈に残る作品。

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    2019年08月22日
  • 夜間飛行

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    サン=テグジュペリの「人間の土地」を読んだのは、大学生のころか?会社に入ってただろうか?
    いずれにしろ20代前半か半ばだっただろう
    当時もかなり感動した記憶がある。
    素晴らしい本だった。だから本屋で「夜間飛行」や「人間の土地」がおいてあるといつも気になってた。

    というのもあって、江古田で担々麺屋の行列に並びながら読んでた「メルロ・ポンティ「眼と精神」を読む」(富松保文)に出てきたサン=テグジュペリの「戦う操縦士」からの引用がとてもよくって急に読みたくなって、光文社古典新訳文庫から出てるのもあって、池袋ジュンク堂と三省堂をめぐって、「夜間飛行」「人間の土地」「戦う操縦士」「小さな王子」をまとめ

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    2018年11月18日
  • 夜間飛行

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    ネタバレ

    ロマンティックなタイトルだが、語られているのは、自然の脅威であったり、冒険であったり、あるいは、不屈の精神であったりする。サン=テグジュペリ、イコール「星の王子様」とだけ思っていたが、最近読んだ「戦う操縦士」を含め、危険に立ち向かいながら自らの進路を切り開いていく人間精神という極めて崇高なテーマを描く作家として、これまでの読まず嫌いを反省している。特に、本書は、簡潔な記述の中に様々な余韻を残していて、それでいて生々しく、何とも言えない強い印象を受けた。

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    2018年07月08日
  • オンディーヌ

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    私にとって一番好きなパターンなので、いつも以上に冷静さを欠いてしまいます。きっと感じたこと全てを誰かに話したら「何言ってんだコイツ?」と思われるのは間違いないでしょう。そのくらい、好きなタイプの物語です。どこか間の抜けたキャラクターたちが笑わせて、その台詞を良く考えると裏があって考えさせられて、気がつけば目が潤んでいる事に気付く結末。喜劇なのか悲恋なのか。オンディーヌとハンスは、私にとって愛すべきキャラクターとなりました。ただ、この戯曲をもし演じる機会があるとすればやってみたいのはベルタの役ですけれどね。

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    2013年03月20日
  • オンディーヌ

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    ネタバレ

    オンディーヌ、純粋無垢で明るくてキラキラしてて本当にいい子で。
    最終的には悲恋だけど愛ってこういうものだよなって思いました。
    小説で久々に泣いちゃった。

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    2014年03月18日
  • オンディーヌ

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    裏表紙の説明文には「究極の愛」とあった。異種婚姻譚という物語のパターン自体が究極の愛と結びつきやすいと思うけど、その中でも確かに「究極の愛」と呼ぶのにふさわしい作品だった。


    あまりに純粋で偉大すぎる魂とあまりに卑小な魂とが惹かれあってしまったことがそもそもの悲劇の始まりなんだろう。


    でも卑小な魂といっても、それは人として普通にもつ魂。人としてまともであるがゆえに、水の精オンディーヌの魂には及ぶべくもなく卑小なんだと思う。だから、オンディーヌが愛したハンスは、日と一般にまで拡大できて、人それ自体がいかに卑小なものなのかを思い知らされる。


    そして、一方の純粋で偉大な魂は、決して神のよう

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    2010年09月10日
  • オンディーヌ

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    ジロドゥといえばルイ・ジュヴェで、解説にはジャン・ルイ・バローも登場するから、「映画に恋して」に配架。王妃に語るオンディーヌの言葉『そこでは最初にむかえた男が、つねにただひとりの男です。』と、ラストが哀しいですね。最初にベルトランに会えたらよかったのに。そうしたら、お話が成り立ちませんが。えっ、ハンスって自然を踏みにじる人類の代表なの!?

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    2011年10月11日
  • 夜間飛行

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    ネタバレ

    南米の地で夜間に飛行機で郵便物を運ぶ新事業に従事するパイロットたちと、ブエノスアイレスで彼らを待つ責任者の一夜の小説。突然の大嵐に見舞われた一機がわずかな燃料を残して通信途絶するという緊迫した展開、冷徹な判断を旨とする責任者リヴィエールの苦悩からくる緊張感はこの短い小説が進むにしたがって張りつめてくる。非常に完成度の高い小説だ。
    だが、私がこの小説に心をつかまれたのは空の世界の幻想的にうつくしい描写だった。冒頭から夕暮れの光に満たされる平野が眼下に広がっていて、時に草原にポツンと漂流する一軒家にパイロットは翼で挨拶すると語られる。もうそこで、捕まえられたな、という感じがした。
    一番印象的なのは

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    2025年09月21日
  • 夜間飛行

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    ネタバレ

    郵便物を運ぶ飛行機に乗るパイロットと、それを指揮する会社を回す人たちの話。

    序章がネタバレのために本編の後ろに回されているが、そこに書かれている時代背景を知らずに読んだので、ただ単にパイロットが使いつぶされた話のようにも思えた。彼らの基準では名誉ある死だったのか、あるいは単なる犬死にのどちらだったんだろうかなどと思った。

    主に空を飛んでいるパイロットと、地上でその動向を見守る社長のシーンを行ったり来たりしながら進むが、どちらも緊迫感が感じられる。ただやはり、パイロットの描写の方が好みだった。

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    2025年06月27日
  • 夜間飛行

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    圧巻の文章でした。
    小型の飛行機で飛んだことなんて無いけど、その情景、危機、孤独がありありと目に浮かんできた。

    人生の意味というか、そんな深いところまで踏み込んだ作品。皆孤独の中戦っているのだ。

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    2025年04月18日