二木麻里のレビュー一覧

  • 夜間飛行
    全編連なる散文詩のような美しさ+小型飛行機のパイロットなど経験したこともない人にも伝わる臨場感+スリリングで切り替わりが多いのに混乱しない構成…本物の才能って怖いほどすごいと思った作品。
  • 夜間飛行
    「星の王子さま」で有名なサン=テグジュペリによる小説。飛行機乗りの経験を活かしたリアリズムにあふれる作品。

    夜間の飛行がまだ非常に危険だった時代。新事業に命をかける男たちの、尊厳と勇気の物語。事業の責任者であるリヴィエール社長の、あまりにも厳格なやり方は、強い信念によるものだった、というお話。個人...続きを読む
  • 夜間飛行
    郵便空輸の黎明期に夜間飛行を切り拓いたパイオニア達を、行間で語るような静謐で美しい自然描写とともに描く。

    個人の自由が重視されすぎている今、
    生きることと仕事との関係性を考えさせる。

    美しい小説だった。なんども読み返しそう。
  • 夜間飛行
    圧倒的だった。読み終わるまで息をつく間がなかった。厳格で、容赦ない指示と処罰を科すリヴィエールが抱える苦悩と義務、人間的な苦しみ(老いや自分の行っていることが個人の幸福よりするべきことなのだろうかという問い)。若い操縦士ファビアンが死の前にみた美しい情景。
    この作品が、夜間飛行の黎明期だったことで、...続きを読む
  • 夜間飛行
    いやー、面白かった!普通小説というのは、語り手は主人公やナレーター一人によるものが一般的だと思う。多くても主人公と準主人公から見た視点などの2、3人であろう。しかし、夜間飛行ではナレーター、社長、複数の操縦士、妻など様々な視点からその人目線で多く書かれている。この手法を成し得たのも、サン=テグジュペ...続きを読む
  • オンディーヌ
    ジロドゥの戯曲。
    水の精オンディーヌと、騎士ハンスの恋を描く。

    オンディーヌの奔放すぎるキャラクターが強烈だが、それは本心とは裏腹な社交辞令や政治に満ちた貴族の社交界と対比させるためのものなのだろうか。

    展開が読めずイライラする場面もあったが、大六場、第七場での物語の畳み方は素晴らしかった。最後...続きを読む
  • 夜間飛行
    サン=テグジュペリの「人間の土地」を読んだのは、大学生のころか?会社に入ってただろうか?
    いずれにしろ20代前半か半ばだっただろう
    当時もかなり感動した記憶がある。
    素晴らしい本だった。だから本屋で「夜間飛行」や「人間の土地」がおいてあるといつも気になってた。

    というのもあって、江古田で担々麺屋の...続きを読む
  • 夜間飛行
    ロマンティックなタイトルだが、語られているのは、自然の脅威であったり、冒険であったり、あるいは、不屈の精神であったりする。サン=テグジュペリ、イコール「星の王子様」とだけ思っていたが、最近読んだ「戦う操縦士」を含め、危険に立ち向かいながら自らの進路を切り開いていく人間精神という極めて崇高なテーマを描...続きを読む
  • 夜間飛行
    名作と呼ばれるのも問答無用に納得。素晴らしい。文章は平易で美しく、内容もややこしさがない。そのうえ短いので、本を読まない人にも勧められる作品として私の中では暫定第1位です。
    パイロットも指揮官もどちらも貴高い。彼らのような強い志を持った人が人類の繁栄を担ってきたのだと思うと感慨深い。山上に神殿を築い...続きを読む
  • 夜間飛行
    厳しく時には断固たる手段をとるリヴィエールが、内面では常に自問自答しながら己の職務を遂行してゆく姿に、上に立つ者の苦悩と仕事に取り組む本質を見た。彼のやり方には反発もあるだろうが、それでも部下が従っていくのは使命感や厳しさの先の労働の強い喜びを知っているからなんだな。
    楽な方へ流れやすい自分の甘さが...続きを読む
  • オンディーヌ
    私にとって一番好きなパターンなので、いつも以上に冷静さを欠いてしまいます。きっと感じたこと全てを誰かに話したら「何言ってんだコイツ?」と思われるのは間違いないでしょう。そのくらい、好きなタイプの物語です。どこか間の抜けたキャラクターたちが笑わせて、その台詞を良く考えると裏があって考えさせられて、気が...続きを読む
  • オンディーヌ
    オンディーヌ、純粋無垢で明るくてキラキラしてて本当にいい子で。
    最終的には悲恋だけど愛ってこういうものだよなって思いました。
    小説で久々に泣いちゃった。
  • オンディーヌ
    裏表紙の説明文には「究極の愛」とあった。異種婚姻譚という物語のパターン自体が究極の愛と結びつきやすいと思うけど、その中でも確かに「究極の愛」と呼ぶのにふさわしい作品だった。


    あまりに純粋で偉大すぎる魂とあまりに卑小な魂とが惹かれあってしまったことがそもそもの悲劇の始まりなんだろう。


    でも卑小...続きを読む
  • オンディーヌ
    ジロドゥといえばルイ・ジュヴェで、解説にはジャン・ルイ・バローも登場するから、「映画に恋して」に配架。王妃に語るオンディーヌの言葉『そこでは最初にむかえた男が、つねにただひとりの男です。』と、ラストが哀しいですね。最初にベルトランに会えたらよかったのに。そうしたら、お話が成り立ちませんが。えっ、ハン...続きを読む
  • 夜間飛行
    <その夜を、越えられるか>

    サン=テグジュペリの名を世に知らしめた作。1931年原著初版刊行。アンドレ・ジッドの序文が添えられている。

    南米大陸で、新事業である夜間郵便飛行に挑む男たちの物語。
    南米各地からブエノスアイレスへと荷物を運び、それを各地へ、また欧州へと運ぶ。
    黎明期の事業の存続は綱渡...続きを読む
  • フランス革命についての省察
     「保守」とはなにか、そんな疑問に答えてくれる名著が本書である。著者エドマンド・バークはイギリス出身で、ホイッグ党所属の政治家として長年政治に携わった。ちなみにホイッグ党とは、議会を重視する政党であり、ゆえに昨今の議会政治のあり方を考えるうえで重要な本である。
     エドマンド・バークは「保守主義」とし...続きを読む
  • 夜間飛行
    「夜間飛行」というタイトルにひかれて手に取った。夜間に広い南米大陸を飛行機で郵便配達する話ということで、静かでロマンチックな話かと思いきや、まったく違った。
    20世紀前半は飛行機の性能、無線通信技術、運行管理などが当然ながら現在ほどではなくて、天候の急変が襲ったり、パタゴニアやアンデス山脈の暴風が吹...続きを読む
  • フランス革命についての省察
    革命勃発後わずか半年の段階で、その後の革命の進展をほぼ正確に予言している洞察力にまず大きく驚く。フランス革命のような世界史出来事を同時代で経験すると、まず熱に浮かされたような興奮に包まれてしまって、冷静にモノゴトを見れなくなりそうなものだが、イングランドの老政治家の人間世界に対する眼力の凄さには敬服...続きを読む
  • 夜間飛行
    星の王子様があまりにも有名なのでこちらも読んでみた。

    4人の飛行士たちの物語。2時間のフライトの出来事がそれぞれ組み合わさっていて、情報量が多い。
    薄い本だからと軽い気持ちで手にとったら内容の濃さに驚いた。

    自分の読書量では時系列がよく掴めなくて今誰の話なんだろうとところどころ戻りながら読んだ。...続きを読む
  • 夜間飛行
    描かれた夜空の情景。飛行機の黎明期の話なので、パイロットと空の距離の近さに恐れも抱きつつ、サン=テグジュペリも同じような感慨を抱いて夜空を飛んでいたと思うと、彼の追体験を味わうようで、不思議な浮遊感を覚えた。