二木麻里のレビュー一覧
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裏を書いてサン=テグジュペリです
何に対しての裏やねんっていうね
サン=テグジュペリと言えばもちろん『星の王子さま』なんですが、あえての『夜間飛行』
まぁ、こちらも代表作っちゃあ代表作なんですけどね
うーん、まぁ色々あるんだけどね
色々あるんだけどめんどくさいんで1個だけ
物語の筋としてはなんてことはないんですよ(いや実際はほんと色んなふうに読み取れてなんてことなくはないんだが)
割と簡単な話なんです
郵便配達する飛行機が『夜間飛行』するんですが、嵐に遭遇して結局行方不明、地上でその会社の社長がヤキモキするっていう話です
冒涜レベルで短くまとめましたが、まぁだいたいそんな感じ
そんな中、詩的表現がマジでエグい
飛行機が空飛んでるだけなのに、めちゃくちゃいっぱい言葉詰め込んでくるのよ
しかも一個一個がほんと詩のよう
でだいたいそういうのってあまりやりすぎると邪魔くさく感じるんだけどサン=テグジュペリにはそれがないんよね
不思議〜 -
Posted by ブクログ
<その夜を、越えられるか>
サン=テグジュペリの名を世に知らしめた作。1931年原著初版刊行。アンドレ・ジッドの序文が添えられている。
南米大陸で、新事業である夜間郵便飛行に挑む男たちの物語。
南米各地からブエノスアイレスへと荷物を運び、それを各地へ、また欧州へと運ぶ。
黎明期の事業の存続は綱渡りだった。民間の商業航空が生き延びるには、夜間の定期便を飛ばすよりほかなかった。
一方で、当時の飛行機の性能はさほど安定しておらず、通信も万全ではなかった。暗黒の中に飛び立つには危険が大きい。
しかし。
夜を越えねば未来はない。
物語の舞台は主に、空を飛ぶ若きパイロットの飛行機と、地上支援を行う老いた社長のいる事務所である。午前0時から2時のわずか2時間の出来事が主である。
この夜、ブエノスアイレス上空は晴れていた。しかし、パタゴニアから飛んだ機は激しい嵐に見舞われていた。
パイロットは必死に奮闘する。しかし、燃料は限られており、時間の猶予はない。
帰らぬ機を待つ社長は苦悩する。この機の荷を移し、欧州便を飛ばさねばならないのだ。夜間飛行には反対の声も多く、ここで失敗すれば事業自体がつぶれてしまう。
嵐に揉まれ、荒れ狂う海に翻弄されるかのような中で、パイロットはふと見えた上空の星を目指す。雲の上に出た彼が見たのは、星がちりばめられた、信じられぬほど美しい光景だった。
だが、それはつめたい宝石に囲まれた場所、誰ひとり生きていない世界でもあった。
静謐で美しい絶望。
制限時間が過ぎた中、地上の社長は1つの決断をする。
彼らは果たして、それぞれの夜を越えられたのだろうか。
ジッドをして、絶賛の序文を書かしめた一作。
簡素にして緊迫感に満ち、美しい。
後年、サン=テグジュペリは、第二次大戦中、飛行機で偵察に出て、消息を絶つ。自殺も疑われたが、ドイツ機による撃墜が真相のようである。
飛行機を愛し、飛行機乗りに愛された作家は、自身、空の上の夢のような世界を見ただろうか。あるいは今でもその空を飛び続けているのだろうか。 -
Posted by ブクログ
「保守」とはなにか、そんな疑問に答えてくれる名著が本書である。著者エドマンド・バークはイギリス出身で、ホイッグ党所属の政治家として長年政治に携わった。ちなみにホイッグ党とは、議会を重視する政党であり、ゆえに昨今の議会政治のあり方を考えるうえで重要な本である。
エドマンド・バークは「保守主義」としてあるべき条件として、①壊さないこと②今あるものをうまく活かす、この2つが大切である。つまり、「革新」のように、全てを一気に変えるわけではないが、かといって、全てのものを変えないわけではない。重要なのは、変えていくべき箇所は適宜修正すべきであり、もし修正した箇所がある場合、慎重に検討を重ねて実行しなければならないのである。段階的に政策を進めていくのが、保守系政治家としてあるべき姿なのである。
また、本書の最後に人気取りの政治、いわゆるポピュリズムに関して批判してるのが興味深い。たしかに政治家にとって、より多くの有権者に投票されることを望む。しかし、そのために政治家同士が不毛に争うのは、国家構築に役立たないと指摘している。
上記以外にも、財政、軍事など、昨今の政治経済に繋がる箇所があるので、今読んでも十分な価値がある。 -
Posted by ブクログ
「夜間飛行」というタイトルにひかれて手に取った。夜間に広い南米大陸を飛行機で郵便配達する話ということで、静かでロマンチックな話かと思いきや、まったく違った。
20世紀前半は飛行機の性能、無線通信技術、運行管理などが当然ながら現在ほどではなくて、天候の急変が襲ったり、パタゴニアやアンデス山脈の暴風が吹けば、途端に命の危険に晒されるという状況が前半で提示される。
そして後半で...という展開。
一見非情とも思える運行管理者の言動にも考えさせられる。航空機輸送が鉄道や船舶に劣後していた時代、ルーチンワークの中で重大トラブルが発生したとして、管理者はその業務を止められるのか。自分ならどうするかみたいなことを考えた。
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革命勃発後わずか半年の段階で、その後の革命の進展をほぼ正確に予言している洞察力にまず大きく驚く。フランス革命のような世界史出来事を同時代で経験すると、まず熱に浮かされたような興奮に包まれてしまって、冷静にモノゴトを見れなくなりそうなものだが、イングランドの老政治家の人間世界に対する眼力の凄さには敬服しかない。
本は、フランスの青年貴族に当てた書簡の形で進む。(実際に出された手紙が元になって出版されている。)従い、章番号や小見出しは原著にはないが、翻訳版では理解を助けるために追加されている。その見出しから。
P397 予言 — 君主政が復活すれば専制になる可能性がたかい。
P453 予言 — いまの司法制度は寡頭政治への道具になる。
P457 予言 ー 国の支配者は軍部から現れる(ナポレオンの出現
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ネタバレ時代を思わせる夜間郵便配達の過酷な状態とそれに従事する人々の矜持と心理。
部下に危険を回避するのは臆病で懲罰ものだ、と鼓舞する指導は、現在における日本の雇用の考え方では、亡くなられた遺族の訴訟や再演防止策の策定などで仕事が確実に滞ることもあり、危険なことはさせない。それに対し、ありえないくらい危機管理が希薄だが、現代に置いても戦争をしている当事国なら今もこんな考え方に至ることもあるのかと考える。
後半、郵便配達パイロットのファビアンの消息について、緊迫した情景描写とともに描かれ、最後まではらはらさせる読ませ方は上手い。
郵便配達パイロットの目線での人々の営みを観察し、思いを馳せるところは、皆がそれなりに心のなかで感じている事であり、共感する。
運行業務責任者であるリビィエールの苦悩と孤独も、管理者の辛さを浮き彫りにする。
以前、新潮文庫版の読みにくさに途中で投げ出したが、本作ではとても読みやすく、かつより豊かな表現で描かれていると感じた。
翻訳小説は、役者の方針でかなり変わると痛感させられる。 -
購入済み
じわじわ来る
クローズアップされる人物が場面ごとに入れ替わって
それぞれの立場で考えさせられる
良い小説だと思います。
人類の自然に対する挑戦の物語なのかな。
そう言ってしまうと古くさくなってしまうけど。
それでもその挑戦する精神は色褪せないのだと思います。
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保守思想の古典との評価の高い本書について、バークの思想といった形では良く取り沙汰されているので、何となく知識はあるといった状況ではあったが、漸く完読することができた。
まずもって、本書がフランス革命勃発の一年後、1790年に発表されていることに驚かされた。革命が急進化して、国王一家の処刑、反対派の粛清といった恐怖政治に至ったところを批判していたのであろうと勝手に思っていたのだが、そうではなく、かなり初期の段階から、革命に潜む問題状況を洞察していたことを知った。
国民議会の性格や、宗教、司法、財政、軍事に渡る改革について、その問題点を一つひとつ具体的に解き明かしていく各論も鮮やかであるが、理性万能思想に対する懐疑、伝統を尊重せず破壊に走る傾向性に対する忌避といった骨太の思想に強く感銘を持った。
バークがこのような思想を持つことができた背景には、故国イギリスにおけるマグナ・カルタから清教徒革命、王政復古、そして名誉革命に至る歴史を踏まえた、憲法及び議会制に対する深い思索があったのではないかと、本書全体を通読して学ぶことができた。
つまみ食いではなく、頑張って通読することが、特に古典には必要だと、改めて思ったところである。 -
Posted by ブクログ
水妖記の戯曲版としてあまりにも有名であり、ラストシーンは傑作である。
水の精霊オンディーヌと騎士ハンスの悲劇的な恋愛を描いた物語で、人と人に非ざる者との恋は始まりから破局を予感させる。
これは東西の異類婚の物語同様、予定調和ともいえる筋書なのであろうか。
水の精霊といえば人魚姫を思い出すが、オンディーヌのように悲劇的な結末を辿る。人魚姫ばかりでない。日本の昔話で言えば、「鶴女房」「天女の羽衣」「雪女」など、異類婚の行く先は幸せなものではない。
ハッピーエンドに終わる物語は果たしてあっただろうか?(美女と野獣は元々どちらも人間だし)
人は異種と結ばれるということにロマンを感じる一方、心の底で「禁忌」を覚えるものだ。禁忌だからこそ惹かれ、また、激しく拒絶する。そのような相反した心理が数多くの異類婚譚を生むのではないか。
そしてこの物語は単なる異類婚による祖語だけにはとどまらない。魂というものは決して分かち合うことが出来ない、永遠にわかり合うことの出来ない男女の虚無的な愛がある。
女の純粋さは自らの魂の死を招く。オンディーヌは自分の魂を破壊することにより、愛から救われるのである。
この物語は愛からの救済なのだろうか?冷たく横たわるハンスを艶然とした表情で見つめるオンディーヌ。そこに果たして希望はあるのだろうか。
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フランスの文人ジロドゥ(1882-1943)の手に為る恋愛悲劇、1939初演。フーケーの「ウンディーネ」を下敷きにしているが、ジロドゥの描く水の精は、この19世紀ドイツの作家のそれよりも、もっと奔放で天真爛漫で、魅力的だ。幾分砕けた躍動感のある訳文が、ジロドゥ作のオンディーヌの性格をうまく表現していると思う。僕はオンディーヌのこの口調が好きだ。
幼子のように裏表の分裂のない、"永遠の15歳"である精霊の言動は、「みんなの大きな魂を、ほんとうに愚かに、こまぎれにしてしまった」人間社会に在っては、喜劇的に響いてしまう。この、動物的とさえ云える無邪気さ一途さが、オンディーヌだ。しかし、透明で純粋な魂こそが、我々の社会の中では、悲劇を引き寄せてしまう。
透明で純粋な自他未分離の愛情に忘我することを、人間は一方で求めているようでありながら、他方では確かにそれを恐れている。それは死の際の一瞬に於いてのみ可能となる、成就ならざる成就。
騎士は死に、精霊は忘却する。永遠に隔てられた二人の間に、オンディーヌの嘗てと変わらぬ無邪気な言葉が響くのが、切ない。