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Posted by ブクログ
ネタバレクセノフォンの知る、ソクラテスがいろいろな人と話した思い出を集めた本。プラトンの書く、一見非常識的なことを言い、真理の探究と「魂の配慮」を求めるソクラテスとはだいぶ違い、世俗的なことのアドバイスが多く、かなり常識的なソクラテスになっている。善や美、知恵などの徳についての問答をしていても、アポリアに陥るという様子もなくあっという間に結論に達する。ふざけて「犬にかけて」とか言ったりせず、ちゃんと「ゼウスにかけて」「ヘラにかけて」って言うし(笑)。
クセノフォンのソクラテスは人間が追及するもののなかで最上のものは成功(何かを学習しかつ練習することによってうまく成し遂げること)と言い切り、生まれつき -
Posted by ブクログ
本書オビに“プラトン対話篇とは一味違う”とあるように、確かに、本書を読んで抱いたソクラテス像は、プラトンを読んでのソクラテスの印象とは随分違ったものだった。
プラトン対話篇に登場するソクラテスは、正に、智を愛し、真理を探究する哲学者であるが、本書のソクラテスは、生き方を教える人というイメージが強い。
著作を残さなかったソクラテスの思想や人物像を、彼について語った証言、文章から再構成することはできるのか、それを「ソクラテス問題」というらしいが(本書解説で知った)、一般読者としては、プラトンやクセノフォンが師ソクラテスを、どのように見、著作に表したのかを楽しみながら読めば良いのではないだろ