【感想・ネタバレ】ソクラテスの思い出のレビュー

あらすじ

アテナイ出身の軍人・文筆家クセノフォンが、師であるソクラテスの日々の姿を自らの見聞に忠実に記した追想録。師への告発に対する反論と、徳、友人、教育、リーダーシップなどについて哲学するソクラテスを、同世代で同門のプラトンとは異なる視点で描いた、もうひとつの「ソクラテスの対話」。対話篇のソクラテスは相手を問い詰めてちょっとおっかない感じがしますが、ここでは教育者としての師の姿が描かれています。

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Posted by ブクログ

人生訓としてだけではなく、規範的な国家統治・リーダーシップ論として勉強になる。時代が進んでも、人間のあるべき姿の本質は変わっていないということを思い知らされた。

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2023年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クセノフォンの知る、ソクラテスがいろいろな人と話した思い出を集めた本。プラトンの書く、一見非常識的なことを言い、真理の探究と「魂の配慮」を求めるソクラテスとはだいぶ違い、世俗的なことのアドバイスが多く、かなり常識的なソクラテスになっている。善や美、知恵などの徳についての問答をしていても、アポリアに陥るという様子もなくあっという間に結論に達する。ふざけて「犬にかけて」とか言ったりせず、ちゃんと「ゼウスにかけて」「ヘラにかけて」って言うし(笑)。

クセノフォンのソクラテスは人間が追及するもののなかで最上のものは成功(何かを学習しかつ練習することによってうまく成し遂げること)と言い切り、生まれつき徳に恵まれた者(しかも徳の内容は学習能力、人と付き合う能力のこと)を求めるというのだから、徳に対するプラトンとクセノフォンの捉え方の違いが鮮明だ。
「ソクラテスの告発」に対する反論という面があるにしても、著作での二人の反論の仕方というかソクラテスの性格も大きく違う。ソクラテスが実際に死刑になっているということは民衆に好かれてはいなかっただろうから、プラトンの書くような非常識な面がソクラテスにはあったと思うのだが、実際どういう人だったのだろうなあ。

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2024年12月14日

Posted by ブクログ

 本書オビに“プラトン対話篇とは一味違う”とあるように、確かに、本書を読んで抱いたソクラテス像は、プラトンを読んでのソクラテスの印象とは随分違ったものだった。
 プラトン対話篇に登場するソクラテスは、正に、智を愛し、真理を探究する哲学者であるが、本書のソクラテスは、生き方を教える人というイメージが強い。

 著作を残さなかったソクラテスの思想や人物像を、彼について語った証言、文章から再構成することはできるのか、それを「ソクラテス問題」というらしいが(本書解説で知った)、一般読者としては、プラトンやクセノフォンが師ソクラテスを、どのように見、著作に表したのかを楽しみながら読めば良いのではないだろうか。

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2023年01月18日

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