文春文庫作品一覧

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  • 宗教が往く 上
    3.9
    1~2巻673~733円 (税込)
    松尾スズキの自伝的要素を含んだ初の長編小説がついに電子化! 巨頭の少年フクスケは15歳にして生家を追われ、未知の大都会東京へと旅立つ。そこで出会った男のいざこざに巻き込まれ、伝染病が蔓延する中、死体の供養をしながら混乱と衰退と過剰が支配する日常を過ごしていた。そして、25歳になったフクスケは、『劇団大人サイズ』を結成する。 純愛・絶笑・神様! 因果の禍にまみれたフクスケの、文学史上類を見ない純愛冒険奇譚がいま始まる。
  • はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
    3.9
    科学の発展の先にあるものを描く、現代の黙示録! レアメタル入りのウナギ、蘇生した縄文時代の寄生虫、高性能サル型ロボット…。 科学技術に翻弄される人類の幸福はどこにあるのか!? 駿河湾で揚がった巨大ウナギを食べた人間が食中毒にかかった。 原因はウナギの体内に残留していたレアメタルのパラジウム。 非鉄金属を扱う会社の社員・斎原は、そのウナギが日本の資源確保の切り札になると確信し、生息地を追ったが……(「深海のEEL」)。 科学技術に翻弄される人間たちを描く、現代の黙示録。
  • 下衆の極み
    3.6
    週刊文春連載エッセイ第30弾! 大河ドラマ「西郷どん」の原作者として、作家活動も新境地に。トランプ大統領、SMAP解散、ゲス不倫、ショーンK問題、小池百合子都知事から母親の介護まで、大騒ぎの世の中を揺るがぬ視点で見つめる。 相変わらず“持ってる女・ハヤシマリコ”は健在。 柴門ふみさんとの対談「『不倫』はやっぱり文化だ!」も収録。
  • 鉱石倶楽部
    4.3
    美しい石から生まれた不思議なファンタジー 放課後の理科室で古びた図鑑を見つけた少年は、不思議な夜間学級に出席する――短篇「ゾロ博士の鉱物図鑑」を収録。紫水晶、白雲母、月長石など数々の鉱石から生まれた物語は、葡萄狩り、天体観測、寝台特急と場面を変えながら美しく煌いている。幻想的な多数の鉱石写真も必見の愛蔵版!
  • 死んでいない者
    4.0
    通夜が奇跡の一夜に。芥川賞受賞作 ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集った。 子、孫、ひ孫三十人あまり。 縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、 重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。 「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。 解説・津村記久子
  • ありきたりの痛み
    -
    直木賞作家の魂の叫びが、ここにある 幼いころ過ごした台湾の原風景、 直木賞受賞作『流』のモデルになった祖父の思い出、 サラリーマンになりたての頃の愚かな喧嘩、 マエストロの資格を取るほど惚れ込んだテキーラ、 そして、愛する本と音楽と映画のこと――。 売れなかった時代も、受賞直後の狂騒の日々も、この人の姿勢は変わらない。 作家の魂に触れるエッセイ集。
  • 赤川次郎クラシックス 幽霊心理学
    -
    女子大生の夕子と宇野警部が活躍する〈幽霊シリーズ〉第4弾 デート中のレストランで殺人事件の容疑者と鉢合わせ!? 今日だけは「殺人」だの「凶器」だの色気のない話は抜きにし、恋人同士として食事を楽しもう――。 レストランで向き合う宇野警部と女子大生の永井夕子だが、つい周りのテーブルを観察してしまう。 すると一家皆殺しの容疑で手配中の男が目に入り、案の定デートどころではなくなってしまう……。 表題作ほか「影のような男」「美女は二度殺される」「幸福なる殺人」「銀座の殺しの物語」の4篇を収録。
  • 落日の轍 小説日産自動車
    4.2
    1巻764円 (税込)
    日産自動車の“病巣”に切り込む記録小説、緊急復刊! かつて日産自動車に君臨し“天皇”と畏怖された男・塩路一郎。 組合員二十三万人の労働組合の総帥として、社長人事に影響を及ぼし、 経営を歪め、社内紛争を長引かせる一方、豪華クルーザーで遊び、 愛人を囲い、私利私欲を極めた。 なぜ彼は権勢をほしいままにできたのか。 大企業の病巣に切り込む迫真の実録小説。 自動車労連会長にして、社長人事をも左右した男の正体に迫り、同社の企業体質を炙り出す。
  • 「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語
    4.5
    第43回大宅壮一ノンフィクション賞(2012年)受賞作。 ベストセラー『つなみ 被災地のこども80人の作文集』を企画取材したジャーナリストが描く、7つの家族の喪失と再生の物語。平成最大の災害を、子どもたちは「書くこと」でどう乗り越えたのか?「あれから八年間の日々に」を大幅増補。 解説・細谷亮太 「あの震災後、熊本地震や北海道胆振東部地震、北関東や西日本での豪雨災害など未曾有の災害が頻発し、日本中で自然災害で厳しい体験をする人が増えている。被害後をどのように生き、どのように克服していくかは、先人の声に耳を傾けるのがふさわしい。作文を書いてくれた子たちも、取材に応じてくれた家族たちも、おそらくは心のどこかでそんな思いをもっていたことだろうと思う」 (「あとがき」より)。
  • 亡国スパイ秘録
    4.0
    「スパイ天国・日本よ、目を覚ませ」──初代内閣安全保障室長をつとめ、「危機管理」という言葉を創った男が、最後の告発! 少年時代にゾルゲ事件に関与。警察官僚として米国でスパイ研修を受け、007のように華麗にはいかないスパイ捜査や、ハニー・トラップの実態を学ぶ。国際インテリジェンス・オフィサーとして、戦中戦後の日本を見つめてきた著者の「インテリジェンスなき国家は亡びる」という遺言の書。 解説・伊藤隆 【本書で明かされた佐々淳行の“スパイ大作戦”】 ・少年時代に見た、父佐々弘雄と「ゾルゲ事件」 ・ワシントンで、CIA、FBIの秘密スパイ研修を受けた ・「ラストボロフ事件」で対ソ協力者に政界・財界の大物が ・外国人スパイを運用し、MI5に監視される ・我が友、MI6のフォーサイス ・各国諜報機関のハニー・トラップの実態 ・大物スリーパーとして瀬島龍三をマークしたが── 【本書は単行本『私を通りすぎたスパイたち』を文庫化にあたり改題したものです】
  • ローマへ行こう
    3.0
    忘れえぬ記憶の中で、男は、そして女も、生きたい時がある。 あれは夢だったのだろうか――大切な人々に思いを馳せる珠玉の十話。 誰もいない家に入って、花を替えテープレコーダーのスウィッチを入れてくる、それだけのこと。小百合が依頼された不可思議な仕事はいったい誰のため?(家族の風景) アンブラッセという言葉を教えてくれたのは、相沢さんだった。フランス語で「抱擁する」という、その意味も――。(めぐりあいて) 夫に怪しい女がいるらしい、何か相談がなかったか、と友人の妻から詰め寄られたが。(ローマへ行こう) たわむれに田舎に向かう幸一が出会ったひとりの行商。見たい夢を見せてくれるという男の誘いに思わず乗った彼の脳裏に現れたのは……。(夢売り) 上記ほか、「第三の道」「文学散歩人」「くちなしの夢」「鈍色の記憶」「夢は嘘つき」「赤い月の夜に」収録。 解説:内藤麻里子 【本書は単行本『アンブラッセ』を文庫化にあたり改題したものです】
  • 傷痕
    3.1
    偉大なるスター、キング・オブ・ポップが51歳で急逝。子供時代、二人の兄、一人の姉と共にグループでデビュー後、独立して類稀な歌と踊りで世界の救世主となっていた。 遺されたのは11歳の娘、名前は“傷痕”。だがその出生は謎に包まれ、ポップスターの本当の子供なのかどうかさえ明らかではなかった。色めき立つイエロージャーナリズムの記者や、遺族を名乗る者たち。彼女は、世界は、カリスマの死をどう乗り越えるのか――。 解説・尾崎世界観
  • 逆転の大中国史 ユーラシアの視点から
    -
    〈中華は漢民族の国〉は幻想だ! 今の中国を解くキーワードは「コンプレックス」、正しい中国史を正視しない限り中国は歴史に復讐されるだろう。 中華人民共和国「内モンゴル」で生まれ、北京で文化人類学を学んだ著者は、「漢民族」が世界の中心だという中華文明の価値観に、次第に違和感を覚える。 日本に留学し梅棹忠夫氏に師事、ユーラシア草原を調査するうち、従来の常識とは全く違う、価値観の逆転した中国史が形成された。 それは「中国四千年の歴史」という漢民族中心の歴史観からの逆転である。 大陸を縦横に駆け、開かれた文明を担ってきたスキタイ、匈奴、鮮卑、ウイグル、チベット、モンゴルといった周辺の遊牧民こそ、この地の歴史を作り上げてきた主役なのだ。 黄河に文明が花開いたころ、北の草原にはまったく別個の独立した文明が存在した。 漢人がシナを支配して「漢帝国」を称していた時代にすら、北方には別の国家が存在していた。 我々が漢民族国家の代表、中国の代名詞と考える「唐」ですら、実は鮮卑の王朝である。 現在の中国人は、こうした真実の歴史を覆い隠し、自分たち「漢民族」が世界の支配者であったという幻想にしがみついている。 絶えざる批判精神と綿密な実地調査で描き出す、諸民族が織り成す雄大な歴史絵巻! 解説・川勝平太
  • 繭と絆 富岡製糸場ものがたり
    3.0
    世界遺産・富岡製糸場の誕生秘話が満載! 初代工場長・尾高惇忠と娘・勇の感動の物語。 明治3年春、渋沢栄一の義兄、尾高惇忠は渋沢に富岡製糸場の初代工場長に就任するよう懇願された。 3年前に飯能戦争で官軍と戦い、弟を亡くしていた尾高だが、官営工場の必要性を痛感していたため、葛藤を乗り越えて工場長を拝命する。 だが、悪徳業者たちが質の悪い噂を流したため、肝心の女工が集まらない尾高は婚約が整ったばかりだった娘・勇を、女工第一号として製糸場へ連れて行く決意をする――。 明治の日本を支えた基幹産業・製糸業を隆盛へ導いた富岡製糸場の誕生には、彰義隊に集まった旧幕臣たちが深く関わっていた。 歴史の襞に埋もれた父娘の物語を掘り起こした傑作時代小説。 解説・田牧大和
  • 速すぎるニュースをゆっくり解説します Fast News,Slow Journalism
    5.0
    誰もがスマホに追われている今だからこそ、「スロー」なジャーナリズムを! 慌ただしい日々のニュースの塵を払ってゆっくり解説しなければ、世界の変化の本質は見えません。トランプ登場、英EU離脱のきっかけは? 米朝首脳会談や北方領土問題など、どう状況が変わった? 数年間の情報をまとめて池上彰が解説します。半藤一利、エマニュエル・トッド、出口治明との対談も収録。 【目次より】 第1章 アメリカ激変──トランプイズムとは何か 第2章 EU崩壊──自国ファーストと女帝メルケルの挫折 第3章 ロシアの覇権──“皇帝”プーチンの新・帝国主義 第4章 中東の火種──大国サウジvsイランの時代に 第5章 中国の成長痛──習近平、“皇帝”への道 第6章 韓国・北朝鮮の新展開──「シン・冷戦」の結末は 第7章 沈む日本──安倍一強のひずみ
  • 冬の光
    3.5
    四国遍路の帰路、冬の海に消えた父。 家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。 企業戦士だけれど、子煩悩だった父。だが父は、二十年間ひとりの女性を愛し続けていた。 一度は夫の裏切りを許し、専業主婦として家庭を支えて生きてきた母は、父の退職後に発覚した事実に打ちのめされる。 それなりに安定した幸せな家庭を作ってくれた父が、四国の遍路を終えた時、冬の海に飛び込んだのは何故なのか。 家庭の外にもう一つの世界を持っていたその心中とは? 次女の碧は職場に休暇願いを出し、父の最後の旅を辿ろうと決めた。 日本の標準的で幸せな一人の企業戦士の、切なく普遍的な人間心理。 四国遍路のリアルな光景を辿るうち、読者も自身の人生、男と女の根源的関係に思いを馳せることになるに違いない。 変容し続ける作家・篠田節子の到達点。 解説・八重樫克彦
  • バベル
    3.5
    新型ウイルスの出現によって、日本中がパニックに―― ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、 救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのびより……。 感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか? 日本政府はある対策を講じる決断をする。 近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル! 毎年インフルエンザの季節が到来するとマスクの人が増え、自分の周囲にインフル患者が出た途端に緊張感が高まりますが、この小説は、インフルどころではない最強のウィルスが日本国内に発生してしまうという、「もしかして、ひょっとしたらありえるんじゃないか」という危機感さえ感じさせる緊迫した内容となっています。 極小サイズだけど、人間を恐怖のどん底に陥れる「ウィルス」によって、日本は恐ろしい事態に陥ります。追い詰められた人々は、どのような手を打つのでしょうか? 読み始めたら、最後まで止まることができません。
  • 黒面の狐
    4.1
    あの真っ暗闇の奥から、何かが私を凝っと覗いている! ホラーミステリーの旗手による新シリーズ、ここに開幕。 戦後まもない混乱期。 主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。 波矢多は同じ炭鉱で働く美青年・合里光範(あいざと・みつる)と意気投するが、彼もまた朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。 やがて同室の合里が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。 現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され……。 敗戦に志を折られた波矢多は、相次ぐ変死体と“狐面の女”の謎を解けるのか。 細密な炭坑の描写の中から、じわじわと迫ってくる恐怖と連続する密室殺人の謎。 本格ミステリとホラーの魅力を併せ持った、著者の本領発揮の傑作長篇。 解説・辻真先
  • ラヴレターズ
    4.0
    作家、女優、映画監督、映画、タレント……豪華26人が「恋文」を競作! 史上最高の執筆陣が放つ、心を鷲づかみにする名文集 あなたはラヴレターを書いたことがありますか? 恋心ほどやっかいで愛しいものはない。 かつての同級生、年齢の離れた伯父、昔自分を弄んだ男、 はたまたオンビニエンスストアなど、贈り先は多種多様。 史上最高の執筆陣による、他の追随を許さない異色の恋文アンソロジー! 〈アンソロジー執筆者 以下、掲載順〉 吉本ばなな 川上未映子 二階堂ふみ 西川美和 壇蜜 小池真理子 横尾忠則 山本容子 俵万智 桐野夏生 小島慶子 姫野カオルコ 山中千尋 松尾スズキ 加藤千恵 松田青子 村田沙耶香 春風亭一之輔 砂田麻美 中江有里 島田雅彦 岩下尚史 高樹のぶ子 皆川博子 橋本治 長塚京三
  • 西洋菓子店プティ・フール
    4.0
    1巻713円 (税込)
    下町の西洋菓子店を舞台にしたキュートな連作短編集 下町の西洋菓子店の頑固職人のじいちゃんと、その孫であり弟子であるパティシエールの亜樹。甘やかで、ときにほろ苦い連作短編集。 フランス菓子作りを修業したパティシエールの亜樹は、 菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。 女ともだち、恋人、仕事仲間、そして店の常連たち―― 店を訪れる人々が抱えるさまざまな事情と、それぞれの変化を描く連作短編集。 巻末にパティシエール・岩柳麻子との対談を収録。 解説・平松洋子
  • フランダースの帽子
    3.6
    あのころ知りあいのだれもがなにかしらのウソをついて暮らしていた―― 長く潜伏したあとでひょっこり姿をあらわした、良く似た姉妹による巧妙なウソ。 郵便受けに届いた1枚の葉書が呼び起こした、弟との30年前の秘密。 「語りとは騙りのことである」とうそぶく読書会の主宰者。 賢治の童話やフランドル派の絵画に秘められた寓意。 そして、記憶を失った青年たちと、自らの物語に生きる老婦人たち――。 消えゆく記憶の彼方、不在の人物の輪郭から、おぼろげに浮かび上がる6つの物語。 解説・東直子
  • 銀河の森、オーロラの合唱
    4.0
    優しい愛があふれる天体系日常ミステリー 地球へとやってきた愛にあふれる宇宙人モーンガータと、北海道陸別町でともに暮らす少年少女が出会うちょっとだけ不思議な日常の謎。 オーロラの見える町、北海道陸別町へやってきた宇宙人アウロラ。 自らに向けられる愛情を「糧」に生きるモーンガータ星人は、同じ星の仲間だけでなく、地球人にも優しい。 そんなアウロラは事情を抱える子どもの母代わりとなっている。 日常で出会う謎を、科学の力と「愛」で解きながら成長していく子どもたちを描く青春小説。
  • 王朝懶夢譚
    3.7
    イケメンの貴公子と恋をしたい! ドラマティック恋を求めて突き進む月冴姫とやんちゃな妖怪たちの王朝ファンタジー。 内大臣の美しい姫君・月冴姫は東宮の妃として入内を待つ身。 ある夜、屋敷の者が寝静まった頃、ひとり舞っていた月冴姫だが、ひとしきり舞い、休んでいると涙があふれて止まらない。 そこへ童子の姿をした天狗・外道丸が現れた。 入内する予定だった東宮が急死し、第二皇子が立太子されたが、御年まだ3歳。 入内まで10年あまり、恋もできず尼のような生活を送らなければならないので、毎日気分が滅入って仕方がない。 それが月冴姫の涙の理由だった。 「イケメンの貴公子と恋をしたい」と強く願う月冴姫の前に、妖怪たちが現れる。 化けるのが得意な狐の紫々、河童の猩々、鮫と人との間に生まれた人魚のような姿の鮫児……。 彼らの助けを借りながら、運命の恋に突き進んでいくヒロインの平安ファンタジー。 解説・木原敏江
  • 日本人はどこから来たのか?
    4.0
    日本人の祖先は、どのようにこの列島に渡ってきたのか。この課題に徹底的な科学調査によって迫り、アフリカから日本までの「グレートジャーニー」の道筋を浮かび上がらせる。 従来の「人類の祖先は海岸沿いに移動した」という説によれば、日本人の祖先は太古、海面が低かった陸続きの時代に歩いて日本列島にやってきた、と考えられていた。この定説に疑問を抱いた、著者を中心とする「国立科学博物館人類史研究グループ」は、ユーラシア大陸全体より出土した遺跡のデータを集め、その年代と、そこより出土した人骨のDNAを、地図上に再現した。 その重層的な調査の結果見えてきたのが、日本人の祖先はユーラシア大陸の北と南、さまざまなルートをたどって日本にやってきた、という事実。そして最終的に「対馬ルート」「沖縄ルート」「北海道ルート」の三つの入り口から日本列島に到達したことが明らかになる。そのとき、対馬はすでに海峡であり、沖縄は列島であった。すなわち、最初の日本人は、歩いてではなく「航海」によってこの日本列島にやってきたのだ。 3万8000年前、われわれの祖先は、偶然の漂流によってではなく、強い意志を持った航海者として、日本列島に移住してきたのだ。 単行本が発行されたのち、著者を中心とする研究グループによってクラウドファウンディングが立ち上げられた。当時の船を手作りし、黒潮に乗って沖縄の島から島へと航海する挑戦の様子は、NHKスペシャル「人類誕生」で取り上げられ大きな話題を呼んだ。2019年夏、いよいよ台湾から与那国島への、日本人誕生を再現する航海に挑む。
  • 君がいない夜のごはん
    4.1
    電車の中で読んではいけない絶品エッセイ集 料理が出来ず味オンチと自覚する穂村さんが日常で見出した「食べ物」に関する六十編。深くて笑えて思い当たる。傑作エッセイ集。
  • 火と汐
    3.8
    八月十六日、京都“大文字”の夜。興奮にざわめく人混みのなかを、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。 同じ時、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして男の家のすぐ近所で人妻の遺体発見。鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。 ほかに「証言の森」、「種族同盟」(映像作品「黒の奔流」原作)、「山」の計四篇を収録。 ※この本は1976年2月に刊行された文春文庫の新装版です。 解説・大矢博子
  • 橋を渡る
    3.6
    吉田修一からの挑戦状。ノンストップ長篇! ビール会社課長、明良。都議会議員の妻、篤子。TV報道ディレクター、謙一郎。 それぞれの悩みや秘密を抱えながら、2014年の東京で暮らす3人が人生の中で下した小さな決断が驚愕のラストへとつながる―― 「週刊文春」連載時から話題沸騰。 吉田修一史上、最も熱い議論を呼んだ意欲作を文庫化。
  • 死仮面
    3.3
    亡くなった夫はいったい何者だったのか? 奇妙な小説の世界と現実の事件が共鳴する、折原ワールド全開の長篇ミステリー! かつてDVによる離婚を経験した秋月雅代。 週末だけ同棲していた内縁の夫・十津根麻里夫が突然病死した。 葬式を出すために夫の身元を調べるが免許証も保険証もなく、勤務先をあたるが、そんな人物は存在しないと否定されてしまう。 数少ない遺品の中に大学ノートがあり、そこに記されていたのは『マリオネット』という奇妙な小説だった。 そこには、埼玉県北部のある町で連続少年失踪事件が起こり、死体を発見した中学三年の「僕」が犯人を追って謎の館を訪ねる冒険を描かれていた。 この小説に手掛かりがあると直感した彼女は、夫が何者なのかを探る旅を始める。 だが、彼女自身もストーカー化した前夫につきまとわれ、命の危険にさらされるのだった。 彼女と「僕」の並行する二つの物語が重なった時、事件は意外な展開を見せる! 解説・末國善己
  • 連続殺人犯
    3.8
    小野さんは殺人犯を描き尽くすことで、我々の内なる「魔」の姿を、闇の中から掘り出してくれた――重松清氏、推薦!  人が人を殺す「その理由」を直接取材しつづけた、傑作ノンフィクション。 21世紀の10大殺人の深い闇に、事件現場と拘置所の面会室で迫る! CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】 CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】 CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】 CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】 CASE 5 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】 CASE 6 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】 CASE 7 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】 CASE 8 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】 CASE 9 角田美代子【尼崎連続変死事件】 CASE 10 筧千佐子【近畿連続青酸死事件】 解説・重松清 本書は単行本『殺人犯との対話』(2015年11月・文藝春秋刊)を改題、加筆修正のしたものです。 *単行本に収録された〈宇野ひとみ【高槻養子縁組保険金殺人事件】〉は入っておりません。かわりに〈筧千佐子【近畿連続青酸死事件】〉を収録。
  • 日本史の探偵手帳
    3.8
    いまの日本と日本人の問題を歴史的につきつめていくと「江戸時代のこと」を考えざるをえなくなる。戦国時代の最強教育、殿様のベストセラー本、乃木希典の理想の軍人像……当代随一の歴史学者が、好奇心の赴くままに古文書を徹底調査。膨大な近世の古文書から、新時代を生き抜く知恵と人生において本当に大切なことを伝える。 【目次】 まえがき 第1章 中世の武士と近世の武士の違い 江戸から読み解く日本の構造/大失業時代は幕末武士に学べ/サムライ時代のエコノミクス 他 第2章 歴史を動かす英才教育 幸村の天才軍略遺伝子 武田+上杉+秀吉の知謀を引き継いだ男/くの一は江戸時代のハニートラッパーだった/明治維新を起こした奇才 頼山陽 他 第3章 古文書を旅する 「震災離婚」事始め/江戸の「会いに行けるアイドル」/イケメン大名の悲劇/幕末の男性不妊治療 他 第4章 歴史を読む 家康のコイを食った男/将軍が愛したウナギ/西郷隆盛が古文書偽造!? 他 初出一覧
  • 女子漂流
    3.6
    女の業を体現し続ける作家・中村うさぎと、女戦線からの離脱を切に願う作家・三浦しをんによる、赤裸々すぎる対談集! 人生という大海原に漕ぎ出してみたものの、たどり着くべき岸からは遠ざかるばかり。 いつしか己が漂流していることに気付いた女子二名。女子高、恋愛、エロ、結婚、仕事、買い物依存症、隠遁願望。正反対の漂い方をしてきた二人による、時に笑えて時に赤裸々すぎるトークの行き着く先は!? 自分らしい生き方が見えてくる一冊。 ・誤った選択 ・シダ植物のように ・男は違う生き物 ・エロへの目覚め ・片づけられない女 ・一人は恥ずかしくない ・ブスの壁 ・評論好きな男、創作する女 (目次より)
  • ムーンナイト・ダイバー
    4.1
    慟哭の夜から救済の光さす海へ。 3・11後のフクシマを舞台に、鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作。 ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、秘密の依頼者グループの命をうけて、亡父の親友である文平とともに立入禁止の海域で引き揚げを行っていた。 光源は月光だけ――ふたりが《光のエリア》と呼ぶ、建屋周辺地域を抜けた先の海底には「あの日」がまだそのまま残されていた。 依頼者グループの会が決めたルールにそむき、直接舟作とコンタクトをとった眞部透子は、行方不明者である夫のしていた指輪を探さないでほしいと告げるのだが……。 巻末に著者によるエッセイ、「失われた命への誠実な祈り(文庫版あとがきに代えて)」を収録。
  • ママがやった
    3.8
    或る家族の半世紀を描いた、愛をめぐる8つの物語。 小料理屋の女主人・百々子(79歳)と、若いころから女が切れない奇妙な魅力をもった夫・拓人(72歳)。半世紀連れ添った男を、ある日水で濡らしたタオルを顔にかぶせ、その上に枕をおき全体重で押さえ、殺した。 急きょ集まった三人の子供たちに向かって「あんたたち、お昼食べていくんでしょう」と、百々子は米をとぎはじめる。 「ママはいいわよ。べつに、刑務所に入ったって」警察に連絡するしないでもめている三人に、のんびりした口調で話す。 死体処理の相談をする姉たちは弟・創太にブルーシートを買ってくるよう命じるが、創太の足は父親との思い出の店・小鳥屋へ向いていた―― 表題作ほか、「五、六回」「ミック・ジャガーごっこ」「コネティカットの分譲霊園」「恥」「はやくうちに帰りたい」「自転車」「縦覧謝絶」の全八篇。 解説:池上冬樹
  • 姉・米原万里
    4.3
    アレルギーを起こすほど卵好き、お便所に三回落ちたなど、「トットちゃんより変わっていた」伝説のロシア語会議通訳、米原万里。プラハでの少女時代を共に過ごした三歳年下の妹が、名エッセイの舞台裏やさまざまな武勇伝の真相を明かす。「旅行者の朝食」「ハルヴァ」など食をめぐる美味しい話と秘蔵写真満載! 解説・福岡伸一 【目次】 卵が大好き 米原家の大食い伝説 プラハの黒パン クネードリキ ソビエト学校のキャンプ 赤いエリートの避暑地 父の料理、母の料理 大好きな写真 米原万里が詩人だったころ 職業は「踊り子」 きれいな一重まぶた 飲まない万里のまっ茶な真実 毛深い家族 わたしは料理の道へ いつも本を読んでいた 「旅行者の朝食」 あとがき 文庫版のためのあとがき 解説 福岡伸一 文庫版のための付録、その1、その2
  • 剣豪夜話
    4.0
    剣道三段、抜刀道五段の著者が描く武人の魂。 歴史に名を刻んだ剣豪、現代に生きる伝説的な武人の壮絶な技と人生を通じて日本人の武とは何かを考える、著者最後の一冊。 歴史に名を刻んだ名剣士と、現代に生きる各流派の伝説的な武人。 その壮絶な技量と圧倒的な人生を通して、日本人の武を考え抜く。 著者の津本陽氏は、日本を代表する歴史、時代作家であるだけでなく、自ら剣道三段、抜刀道五段の腕前であり、武芸への造詣も大変深い作家。 本書には、津本氏本人の剣術修行の様子も詳細に描かれ、氏の「体験的武道入門」ともいえる内容である。 われわれの先人がいかに武を磨き、乱世を生き抜いてきたのか。 津本氏は、戦中、戦後直後の殺伐とした空気のなかで、日本人の攻撃性は維持されたという。 いま、テロに代表されるような「暴力の時代」が、再び訪れようとする予兆がある。 武の心得とは何か、と問うときに、本書の持つ意味は大きいはず。 [目次] 第一話 近藤勇と比肩した男 第二話 永倉新八の竜尾の剣 第三話 明治政府の剣豪 第四話 江戸幕府最後の侍と明治維新 第五話 薩摩隼人と示現流 第六話 龍馬暗殺現場の試斬 第七話 見事の死にざま 第八話 柳生新陰流の極意 第九話 大東流・佐川先生の俤 第十話 夜半の素振り
  • キッドナッパーズ
    3.3
    オール讀物推理小説新人賞を受賞した幻のデビュー作「キッドナッパーズ」と書籍未収録作品で編んだオリジナル短篇集! 「大声をだすな」 宅配便を装って侵入してきた男は、健次郎の腹にナイフを突きつけてきた。 平凡な日常に突如押し入ってきた犯罪者は声が甲高く、背が低く、野球帽をかぶった……小学生と見まがわんばかりの中学生!? 少年は「これは誘拐だ」と断じた。だが被害者は健次郎ではなく犯人であるはずの少年自身だという。 摩訶不思議な誘拐事件は二転三転し、ラストで意外な結末が待っていた! オール讀物推理小説新人賞受賞の表題作ほかを6篇収録。 解説・宇田川拓也 【オール讀物推理小説新人賞「選評」から】 「これこそ逆転に次ぐ逆転の連続で、着地がどうなるのかまったく予想できなかった。」(高橋克彦委員) 「何とか読者を面白がらせ、驚かせようとする創意工夫が、今回の作品に結実した」(宮部みゆき委員) 【収録作品】 キッドナッパーズ 目刺し 架空の風景 十字架ジュース ごとんがたん べつばら おなじ本でも
  • チャックより愛をこめて
    4.7
    Instagramで話題のNY留学の写真も多数収録した トットちゃんの初エッセイ集が新装版に! 仕事を休んで、友達に別れを告げて、そうして旅立ったNYで出会ったのは、 魅力的な人たちと、未来を考える時間だった――。 絵本を読むのが上手なお母さんになりたかったけれど、思いがけず「女優」という職業に就いた。テレビに舞台にと働きづめの15年が過ぎて、「演劇の勉強がしたい」と仕事を休んでまで決意したNY留学。長い休暇も海外生活も一人暮らしも、何もかもが初めての経験で……。 喜怒哀楽と出会いに満ちた1年を生き生きと描いた著者の初エッセイが新装版に。平成版あとがきやInstagramで話題となった当時の写真も収録。
  • 孫と私のケッタイな年賀状
    4.7
    親しい知人だけに送った“伝説の年賀状”全記録。 真面目くさった挨拶を年賀状に書くのは億劫だ。文言代わりに私らしい写真を送れば楽でいい――そう思った結果、書くよりも何倍もメンドくさいことに! 孫・桃子相手の扮装写真は、その成長と共にトトロ、幼稚園児、コギャル、泥棒、生首となぜか過激になるばかり。やがて反抗期を迎えた孫の運命は……。 解説・阿川佐和子氏「佐藤家の孫に生まれたかった!」 汗と涙の20年を振り返る、母娘三代の座談会付き。 娘・響子 「桃子、この二十年間の記録を今、客観的に振り返ってみてどうなの?」 孫・桃子 「これを客観的には見られないよ」 娘・響子 「あんたトラウマになってるの? ひょっとして(笑)」 孫・桃子 「これに関する記憶があんまりない(笑)」 祖母・愛子「だから、いま見てどう思うのよ!」 (本文「年賀状 鼎談講評」より)
  • 管理職降格
    4.2
    1巻896円 (税込)
    職場で左遷、妻の不倫、娘は万引き…… あなたならどうする? 競合デパートとしのぎを削る大松屋銀座店の法人外商部課長・津川直二郎は、 突然、大口顧客から取引停止を通告される。 年商二億円の商権を失う危機に、左遷を仄めかす上司。 津川が挽回に奔走する最中、妻は不倫に走り、娘は万引き事件を起こし、 家庭にも深刻な亀裂が。 人生最悪の逆風に直面した男の選択とは?
  • わたしの宝石
    4.0
    不思議なノスタルジーが胸に迫る、愛の短編集。 「僕らの愛は、悲劇的な終わり方をした」憧れの女性との幸福な結婚生活に潜んでいた切ない真実(「彼女の宝石」)、大切な人たちの首元にふと現れる不思議なモノ(「さみしいマフラー」)他、アイドルへの一途な愛、巨大でピュアで惚れ惚れするような愛の姿が、一つ一つ心に染みわたる。 名手が放つ、切なさと爽快感いっぱいの直球六編! 解説・植田泰史
  • ジーヴズの事件簿 大胆不敵の巻
    3.7
    美智子様もお気に入りの傑作ユーモア・ミステリー! いまも世界中で愛される「ジーヴズ」の傑作選第2弾。 時は20世紀初頭。 ロンドンのマンションの一室に、執事ジーヴズは今朝も流れるように紅茶を携えやってくる。 村の牧師の長説教レースから実らぬ恋の相談まで、ご主人バーティの難題をややいじわるな脳細胞が華麗に解決(?)。 バーティたちが通うドローンズ倶楽部の愉快な面々も少し顔をのぞかせる、ユーモア小説傑作選第2弾。
  • ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻
    3.5
    美智子様もお気に入りの傑作ユーモア・ミステリー! いまも世界中で愛される「ジーヴズ」の傑作選。 時は20世紀初頭のロンドン。 気はいいが少しおつむのゆるい金持ち青年バーティには、厄介ごとが盛りだくさん。 親友ビンゴには浮かれた恋の片棒を担がされ、アガサ叔母は次々面倒な縁談を持ってくる。 だがバーティには嫌みなほど優秀な執事がついていた。 どんな難題もそつなく解決する彼の名は、ジーヴズ! 世界的ユーモア小説の傑作選。
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
    4.0
    大泉洋主演で映画化! 話題の映画のノベライズ。 鹿野靖明、34歳。 難病の筋ジストロフィー患者で、 一人では寝返りも打てない。 だけど、自由に生きたい! 自ら集めたボランティアに支えられての 自宅暮らしはわがまま放題。 バナナが食べたくなったら、 たとえ真夜中でも我慢しない。 病院で、天井を見つめて ただ生きているだけなんて、意味がない。 そのわがままは命がけだった。 壮絶ながらも、命の輝きに満ちた日々を描く 笑って泣ける話題の映画のノベライズ版。 大宅賞、講談社ノンフィクション賞をW受賞した 原作から生まれた映画のノベライズ版。
  • 飛鳥IIの身代金
    -
    豪華客船がシージャック……犯人の狙いは何だ? テロ情報を掴んだ十津川警部は豪華客船「飛鳥II」に乗船。平穏な日本一周の船旅は、船内に響き渡る爆発音とともに急転、乗客乗員1000名は突如人質となってしまう。姿見せぬ犯人の正体とは、その要求とは? 十津川は彼らとの交渉に乗り出すが……。 国際問題を背景とした社会派ミステリー。
  • 考証要集 秘伝! NHK時代考証資料
    3.6
    これ一冊で、あなたも立派な時代考証通! NHK番組の時代考証を手がける著者が、身内の恥をかえりみずに指摘する「間違いだらけの歴史常識」。 NHKのドラマ、ドキュメンタリー番組で時代考証を担当する大森洋平氏(NHK職員)が書きためた「考証メモ」の集大成。 番組での誤用例やエピソードをひきながら、間違いだらけの歴史の常識を丹念に覆してゆきます。 あいうえお順に約500項目が並ぶ「歴史薀蓄事典」。 事典形式ではありますが読み物としても面白く、時代小説ファンの副読本にも最適です。 あなたの歴史力が、ぐーんとアップします。 たとえば、こんなクイズはどうでしょう。 ◎次のうち、江戸時代劇に出してはいけないものはどれか?   (1)鍋焼きうどん (2)栗饅頭 (3)あんみつ ◎あかがみ(赤紙) 朝の連ドラ『カーネーション』でヒロインの夫・勝に赤紙が来る。 この宛名が「陸軍歩兵二等兵 小原勝」となっていたが、これが大間違い。 どうして? ◎イライラ 大河ドラマ『江』に「あ奴を見ているとイライラするわい」という台詞。 視聴者から「あの時代にイライラなんて言葉はないはず」とクレームがあったが、この台詞はありなのです。 なぜなら…。 答えはすべて本書の中に。 目からウロコの薀蓄が満載です。
  • 完全黙秘 警視庁公安部・青山望
    3.6
    1~12巻682~866円 (税込)
    財務大臣がパーティ会場で刺殺された。現行犯逮捕された男は「完全黙秘」。身元不明のまま起訴される。警視庁長官の特命により捜査にあたる警視庁公安部・青山望は、類似の完黙事件を知る。福岡、京都、歌舞伎町、そして永田町。青山は刑事部、組対部の同期と連携しながら捜査をすすめるうちに、政治家と暴力団、芸能界が絡み合う壮大な「戦後の闇」に突き当たる。捜査手法、情報戦の実態など公安出身者にしか書けない圧倒的なリアリティで描く、警察小説の新シリーズ第1弾。
  • 眠れない凶四郎(一) 耳袋秘帖
    3.6
    不眠症に悩む同心が、夜の定廻りに! 同心の妻が上野の出会い茶屋で何者かに惨殺された。 以来土久呂凶四郎は不眠症に。みかねた奉行の根岸は彼を夜専門の同心に任命。 南町奉行所の定町回りの同心土久呂凶四郎は、池の端の出合い茶屋の殺しの現場で、 妻の阿久里が無残に惨殺されていたのを目撃してしまった。 何故妻がこのような所で、一体誰に? 以来凶四郎は不眠症になってしまい、勤めに支障をきたすことに。 見かねた奉行の根岸は凶四郎に夜廻りを命じた。 不穏な新章、いよいよスタート!
  • 「空気」の研究
    3.8
    昭和52年の発表以来、40年を経ていまだに多くの論者に引用、紹介される名著。 日本人が物事を決めるとき、もっとも重要なのは「空気」である。 2018年3月にも、NHK Eテレ「100分deメディア論」で、社会学者・大澤真幸氏が本書を紹介し、大きな反響があった。 日本には、誰でもないのに誰よりも強い「空気」というものが存在し、人々も行動を規定している……。 これは、昨今の政治スキャンダルのなかで流行語となった「忖度」そのものではないか! 山本七平は本書で「『気』とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」「この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。 それから40年、著者の分析は古びるどころか、ますます現代社会の現実を鋭く言い当てている。 「空気を読め」「アイツは空気が読めない」という言葉が当たり前に使われ、誰もが「空気」という権力を怖れて右往左往している。 そんな今こそ、日本人の行動様式を鋭く抉った本書が必要とされている。 『「水=通常性」の研究』『日本的根本主義(ファンダメンタル)について』を併録。 日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著である。 解説・日下公人
  • 強父論
    3.9
    「俺が死んでも讃える追悼記など書くな」という父・阿川弘之の遺言に、「お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか。周囲がどれほどひどい目に遭わされたか。思い出すかぎり、精根込めて書いてみる」とエッセイストの娘が綴る、前代未聞の追悼記。 94歳で大往生した破天荒な父の「強父語録」を挙げてみると──。 ・老人ホームに入れたら自殺してやる! ・のたれ死のうが女郎屋に行こうが勝手にしろ ・勉強なんかするな。学校へ行くな ・結論から言え、結論から ・今後、誕生日会を禁止する! ・大学でサムシングを学んでこい ・戦後教育が悪いからバカが育つ ・お前の名前はお墓から取った ・知ったかぶりをした文章を書くな ・朝日の手先になりやがって ・お前は俺にそっくりだ あまりの暴言に震え、時折のユーモアに笑いつつ、いつしか父と娘の不思議な情愛に胸が熱くなる。 解説・倉本聰
  • 本・子ども・絵本
    4.0
    「生まれてきて良かった」と子どもに思わせたい。 絵本で豊かな心の体験をした子は、人生に希望と自信を持ちます。 ロングセラーが待望の文庫化! 巻頭16頁にわたり、撮り下ろしの写真やイラストをカラーで追加しました。子育て中のお母さんお父さんなど、子どもと向き合う全ての方へ贈る名エッセイ。 物心つく頃から本に夢中になり、沢山の本を読んで育った中川李枝子さん。長年務めた保育士時代は、子どもたちに絵本の読み聞かせをしました。「本は子どもに人生への希望と自信を与える」と信じる中川さんが、信頼を寄せる絵本や児童書を紹介し、子どもへの向かい方などアドヴァイスを綴っています。 「ぐりとぐら」でおなじみの山脇百合子さんの可愛いイラストも多数掲載。 小川洋子さんの解説も必読です!
  • 獅子吼
    3.8
    稀代のストーリーテラーにして短篇の名手でもある浅田次郎の一球入魂の傑作短篇集。 時代に翻弄される名もなき人々の美しい魂を描いた、心ゆさぶる6篇。 「決して瞋るな。瞋れば命を失う」 父の訓えを守り、檻の中で運命を受け入れて暮らす彼が、太平洋戦争下の過酷に苦しむ人間たちを前に掟を破るとき――。 それぞれの哀切と尊厳が胸に迫る表題作ほか、「帰り道」「流離人(さすりびと)」「九泉閣へようこそ」「うきよご」「ブルー・ブルー・スカイ」を収録。 あの時、あの場所にいなければ降りかかってこなかったはずの過酷な運命に、彼らは勇気をもって立ち向かい、優しさをもって受け入れようとする――。 直球ど真ん中、華と涙の作品集です。 解説・吉川晃司
  • 「御宿かわせみ」ミステリ傑作選
    3.5
    「御宿かわせみ」は江戸人情だけじゃない、ミステリも侮れない! これまで発表された全作品の中から、ミステリとしても秀逸な作品を厳選してお届けします。 物理トリックに心理トリック、フーダニットにホワイダニット……。 「御宿かわせみ」には、びっくりするほど秀逸なミステリ作品が多い。 書評家・大矢博子が悩みに悩んで7作品を厳選しました。 巻末には著者に創作の裏話を語ってもらったインタビューも掲載した、読み応えたっぷりの一冊です。 【収録作品】 倉の中(『御宿かわせみ』所収) 風鈴が切れた(『水郷から来た女』所収) 藤屋の火事(『白萩屋敷の月』所収) 矢大臣殺し(『雨月』所収) 残月(『かくれんぼ』所収) 三日月紋の印籠(『佐助の牡丹』所収) 築地居留地の事件(『新・御宿かわせみ』所収)
  • 三国志博奕伝
    3.0
    呂布・董卓と超立体双六や巨大コオロギで闘う! 渡辺仙州による書き下ろし新感覚歴史小説。 三国時代の呉を舞台に、博奕の力・イーリーを持った男と、不思議な呪術で甦った三国志の英雄たちが奇想天外なギャンブル対決をする。
  • あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る
    5.0
    俳優、エッセイスト、俳人、放浪藝の研究者、ラジオパーソナリティなどなど。 鬼才の藝と生き方を、ラジオ「あしたのこころだ」の筋書作家が描き出す。 俳号は変哲(へんてつ)、昭和ヒトケタの戦中派。蒲田で育った少年期、ハモニカ吹かせりゃ名人で、お医者ごっこもお手のもの。 早稲田大学でオチケンを創設し、新劇役者を志す。 映画や舞台に大忙しで、不惑を過ぎてはこの国の放浪藝を探求し、ラジオじゃ「あしたのこころだ」と叫びつづけて40年。 俳優、エッセイスト、俳人、ラジオのパーソナリティと多彩な才能を発揮した“異能の人”小沢昭一について、ラジオ番組「小沢昭一的こころ」の筋書作家をつとめた著者が記した一冊。 向島、下諏訪温泉、蒲田、亀戸天神など、小沢昭一が愛した馴染みの場所を訪ね、その足跡をたどる。 盟友の加藤武、劇評家の矢野誠一と著者による鼎談を巻末に収録した決定版。
  • おんなの城
    3.0
    女には女の戦い方がある! 結婚が政略であり、嫁入りが人質と同じだった戦国時代。各々の方法で城を守ろうとした4人の女城主がいた。 美濃国・岩村城を守る信長の叔母珠子。能登国・七尾城で息子・畠山義孝とともに上杉と戦う佐代。筑後国・柳川城で夫・立花宗茂の留守を預かるぎん千代(ぎん:門構えに言)。そして、今川と武田という強敵に囲まれた遠江の井伊谷城の城主であり、2017年NHK大河ドラマのヒロインとなった井伊直虎。時代に翻弄された女たちの運命を描く歴史中編集。 解説・島内景二
  • スキン・コレクター 上
    4.6
    「このミステリーがすごい!」第一位の傑作 ボーン・コレクターの模倣犯か。毒の刺青で被害者を殺す殺人者がNYの地下で犯行を繰り返す。 現場では、科学捜査の天才リンカーン・ライムが解決したボーン・コレクター事件に関する書籍の切れ端が発見された。殺人者はあの連続殺人犯の手口とライムの捜査術に学び、犯行に及んでいるのか? 名探偵ライムシリーズを代表する名編。
  • 犬と私の10の約束
    4.2
    1巻662円 (税込)
    「私を信じてください。それだけで私は幸せです」 「私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください」 ゴールデンレトリバーのソックスを飼う時、母は幼いあかりに10の約束をさせた。 しかし大人になるにつれその関係に微妙な変化が生まれ……。 「あなたには学校もあるし友だちもいます。  でも私にはあなたしかいません」 愛犬と少女の絆を描く、涙なくしては読めない感動物語。
  • 女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。
    3.7
    「女でいる」ための鎧を着込んだすべての同志へ! 「都会で働く大人の女」でありたい! そのために、心と身体にゴテゴテと甲冑を身につける。たとえばヨガ、赤い口紅、オーガニック生活。手を出してみては、うっかりはまったり、しっくりこなかったり。ややこしき自意識と世間の目に翻弄されながら、日々を果敢かつ不毛に戦う、本音しかないエッセイ集。 解説・中野信子
  • 透き通った風が吹いて
    3.8
    おれはなんで、こんなに空っぽなんじゃ――野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年生の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになるが……あさのあつこが故郷・美作を舞台に描く“直球”青春小説。書き下ろし短篇「もう一つの風」を収録。
  • そしてだれも信じなくなった
    4.0
    謝罪会見シミュレーション、大学の七不思議、敬語の存在意義、やたら待たされる銀行、○○するだけダイエット、習慣がもたらす弊害、愛のかけらも感じられない妻との日々。「だれも信じられない」出来事の数々(あるいはだれにも信じられない自身)に出会った哲学者が生み出す極上のユーモア・エッセイ集。  解説・荒井泰子
  • 緊急重役会
    3.0
    戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とは――(表題作)。 高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。 【目次】 緊急重役会 ある倒産 形式の中の男 前々夜祭 解説・楠木建(一橋大学教授)
  • ファザーファッカー
    4.2
    私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。 今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。 ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。 養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。 衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「me,too」と精神科医を受診する勇気を与えたという。 解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。 25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
  • 愛の顛末 恋と死と文学と
    4.5
    悲恋、秘められた恋、ストーカー的熱情など、文学者たちの知られざる愛のかたちを追った珠玉のノンフィクション。 ●小林多喜二――沈黙を貫いて亡くなった小林多喜二の恋人、田口タキ。多喜二に深く愛されながらも、自分は彼にふさわしくないと身を引き、それゆえ伝説的な存在になった。 ●近松秋江――女性に対する尋常でない恋着を描いて明治・大正の文学史に特異な足跡を残した近松秋江。いまでいうストーカーのごとき執着と妄執は、「非常識」「破廉恥」と評された。 ●三浦綾子――旭川の小学校教師であった三浦綾子は、敗戦による価値観の転倒に打ちのめされ退職、自死を図る。光を与えたのはクリスチャンである一人の青年だったが、彼は結核で逝き――。 ●中島敦――母の愛、家庭のぬくもりを知らずに育った中島敦が選んだ女性は、ふくよかで母性的な人だった。だが彼女には親同士が決めた婚約者がいた。そこから中島の大奮闘が始まる。 ●原民喜――最愛の妻を失ったときから、原民喜はその半身を死の側に置いていた。だが広島で被爆しその惨状を目の当たりにしたことで、彼は自らの死を延期したのだった。 ●梶井基次郎――宇野千代をめぐって、その夫、尾崎士郎と決闘-そんな噂が流れるほど話題になった梶井基次郎の恋。では、千代はどう思っていたのか。二人の出会いから別れを丹念にたどると、恋多き女の心情が浮かび上がる。 他に取り上げたのは、鈴木しづ子、中城ふみ子、寺田寅彦、八木重吉、宮柊二、吉野せい。 解説・永田和宏
  • 天才 藤井聡太
    4.7
    「ひふみん」こと加藤一二三九段とのデビュー戦から、新記録となる破竹の29連勝。 棋界のトップ、佐藤天彦名人、羽生善治竜王を連破して 全棋士参加の「朝日杯将棋オープン戦」で優勝。 わずか1年余りで四段から七段へ異例の三段階昇段……。 史上最年少でプロ棋士となった藤井聡太の活躍は、私たちの想像のはるか上を行く。 幼い日から彼を育んだ師匠・杉本昌隆、迎え撃つ王者・羽生善治、渡辺明、 斎藤慎太郎、永瀬拓矢、三枚堂達也をはじめとする 精鋭揃いのライバルたちの証言が明らかにする天才の素顔。 文庫化にあたり、原稿用紙100枚、60ページの書き下ろし新章を収録! 【目次】 第一章 師匠・杉本昌隆との九年間 文●中村徹 完全保存版 不滅の二九連勝を辿る 文●松本博文 第二章 【連続インタビュー】若手棋士たちの矜持 文●松本博文 第三章 迎え撃つ王者 羽生善治「すごい人が現れた」 渡辺明「底の見えないものに一般論は通じない」
  • 文字通り激震が走りました
    4.0
    誤用が多くてイラッとくる「文字通り」、芸能人の結婚報告以外でほぼ聞いたことがない「かねてよりお付き合い」、「今どきの」という意味合いなのに昭和臭さえ漂う「平成の○○」ほか、「しぇしぇしぇのしぇー」、「氣愛と喜愛で♪ノリノリノリカ」、「逃げよう」、「ジェネリック萩の月」、「どヘンタイ大募集」……。 議員、力士、タレントから容疑者まで幅広い発言をチェックし、「週刊文春」誌上で毎週とらえ続けた「言葉尻」約3年半分、149ワードを一挙大放出! 人気企画「炎上ワードベストテン」も収録。
  • 世界を売った男
    4.1
    一夜にして6年間の記憶を失った刑事が“昨日まで追いかけていたはずの事件”の真相に迫る。 『13・67』で華文ミステリーの時代を切り拓いた陳浩基の、島田荘司推理小説賞を受賞した長篇デビュー作! 車の中で目覚めた刑事。つい先日起きた夫婦惨殺事件を捜査していた……はずが、警察署に向かえば建物も仲間の顔ぶれも全く変わっている。 そこに現れた女性記者から、事件は6年前に起きたもので犯人は逃走中に事故死、事件はすでに解決していると知らされる。 「自分は6年間の記憶を失っている?」 しかし、刑事にはなぜか確信があった。「死んだ男は、真犯人ではない!」 事件の真相を求め、女性記者とともに香港島、九龍、新界と、かつての事件関係者を訪ね歩く。 次々に出くわす意外な事実、そして不可思議な違和感、そして自分は何者なのか? 最先端と前近代の町並みが混在したエネルギッシュな過密都市を、「記憶を失った男」が、事件の真相を追って疾走する。 第2回島田荘司推理小説賞受賞作。 解説・恩田陸
  • ミスター・メルセデス 上
    4.1
    「恐怖の帝王」がデビュー40年目にして初めてミステリーを書いた! 暗い霧雨の朝。仕事を求める人々の列に、何者かが駆る暴走車が突っ込んだ。多数の死傷者を残して車は走り去り、事件は未解決に終わった。 そして今、退職刑事ホッジズのもとに犯人からの挑戦状が届く。 「こいつをこの手で捕らえてやる」。決意したホッジズは、孤独な調査を開始する――。 退職刑事VS卑劣な殺人鬼。米最高のミステリー賞・エドガー賞を受賞した巨匠の傑作。
  • 明智光秀
    3.9
    2020年NHK大河ドラマ「麒麟がくる」をより愉しむために! 光秀の運命は尽きず、秀吉、家康の生涯を左右する。 美濃国主・土岐氏に連なる家に生まれた明智光秀。 浪々の身となり諸国を流れ巡り、やがて尾張の織田信長の家臣となる。 歌道や故実式目、軍学を究めていた光秀は瞬く間に織田家の出世頭となる。 やがて城持ち大名にまでなるが、比叡山焼き討ちをきっかけに信長と対立、ういに信長を討つべく立ち上がった。 本能寺の変の後、光秀は秀吉に破れ死んだと思われたが、じつは……。 光秀は生きていた! それからの光秀は秀吉と家康、二人の天下人の運命に決定的にかかわっていくのだった。 光秀の知られざる波瀾の生涯を描く、伝奇歴史小説の傑作が待望の復刊。 解説・縄田一男
  • マンガホニャララ
    3.8
    「どの指摘にも、なるほど!」――ピエール瀧さん 『美味しんぼ』は、結婚・出産奨励マンガだった? 「少年ジャンプ」の主人公は草食男子化してきている? 90 年代の女性コミックにおけるフローリングの丹念な表現の意味とは? 最強スーダラ・コラムニストの考察が冴えわたる。『ドラえもん』スネ夫の148 連発全自慢表と、電気グルーヴ・ピエール瀧さんとの対談も収録。
  • 龍馬残影
    4.0
    初航海の途中、海援隊のいろは丸は事故で沈んだ。相手船、紀州藩籍の明光丸艦長高柳は、いろは丸の代表者、才谷梅太郎のとらえどころのない対応に不安を覚える。激動の時代、野心と志のために手段を選ばず行動する男たちと、藩の生き残りのため奔走する男たちを背景に、坂本龍馬のしたたかな策略家ぶりを描く異色の幕末小説。
  • 武の心
    4.0
    剣豪小説の第一人者にして剣道・抜刀術の高段者である著者が、古武道の真髄に迫る! 古来より伝わる六つの流派に取材した出色の対談集。 徒らに勝敗にこだわる昨今の武道は技法に浮薄のそしりを免れないのではないか。 剣道三段、抜刀術五段を誇る剣豪小説の雄が、現代に息づく古来の「武」の精神を辿る。 柳生新陰流、香取神道流、馬庭念流、竹内流、柳生心眼流、諸賞流の六流派の訪問記と、二木謙一、秋山駿、安西水丸、勝新太郎との対談、薩南示現流や豊臣秀吉などについて書かれたエッセイを収録。 豪華な随筆・対談集。
  • のるかそるか
    -
    明智光秀、宮本武蔵、蜂須賀小六、塚原卜伝、木下藤吉郎、近藤勇、竹中半兵衛、坂本龍馬、前田利家、山岡鉄舟、黒田官兵衛、清水次郎長、佐々成政、紀伊国屋文左衛門、織田信長、渋沢栄一、豊臣秀吉、徳川慶喜、徳川家康……。 いずれも時流に乗り、運を開いた男ばかり。 ある者は天下を取り、ある者は財を成し、ある者は天下の剣豪となった。現代にも通じる処世とその決断。だから歴史はこうなった。
  • 春風無刀流
    -
    幕末から明治にかけて一刀正伝無刀流を拓き、明治維新では勝海舟、西郷隆盛らと親交をかさね、大政奉還後の官軍と幕軍の衝突を防ぐべく身を挺した山岡鉄舟。彼は、剣の人であると同時に天皇側近の人でもあった。剣豪小説で定評のある著者が、剣の奥義をきわめた鉄舟の「無我」で虚心、その悠然たる生涯を描く。
  • 柳生十兵衛七番勝負
    -
    家光の密命を受け、諸国を巡り将軍家に仇なす者を討つ。 新陰流、剣の真髄ここにあり! 徳川将軍家の兵法師範をつとめる柳生宗炬の嫡男・十兵衛は、家光公の近習として幼少より仕える。 しかし二十歳の頃、十兵衛は突然、家光の勘気にふれ追放となる。 実はこの追放劇、彼を隠密として野に放つための狂言であった。 十兵衛は諸国武者修行と称し、徳川家に仇なす者を討つ旅を続ける。 若き十兵衛の隠密旅と名勝負をドラマチックに描いた、剣豪小説の決定版! 解説・多田容子
  • 明治撃剣会
    5.0
    魂消える、作品集。 語り草となった太刀風がよみがえる、剣豪小説の醍醐味をいま再び! 明治七年、和歌山へきた撃剣興行一座の一番の遣い手に賭け試合を挑まれた旧幕臣の腕の冴えを描く表題作ほか、著者が剣豪作家として活躍する契機となった、現代の道場破りに息を呑む「孤独な武者振り」、新撰組外伝といえる「祇園石段下の血闘」など全八篇。太刀風鋭い剣技描写が光る、新鮮で骨太な作品集。
  • 雑賀六字の城
    4.5
    負ければ皆殺し。生きのこりをかけた戦いがはじまった! 元亀元(1570)年9月。大坂石山本願寺から反信長の檄文が各地に発せられ、紀州雑賀の荘も立ち上がった。得意の海上船や銃撃戦で抵抗する雑賀衆に、信長は圧倒的な軍兵をもってひねりつぶしにかかる。雑賀衆頭領の息子・七郎丸は、将来を約した幼馴染おみつを想いながら銃弾と血風のなかで成長していく。
  • 薩南示現流
    4.0
    幕末京都の地で、勇猛とおそれられた示現流は、開祖・東郷重位が16世紀末、薩摩の地に定着樹立させた。京の禅院天寧寺で僧侶善吉の教えを受け、研鑽を積んだ重位の峻烈な生きざまを描いた表題作のほか、示現流達人たちの鋭き太刀風を現代に伝える剣豪小説集。「不敗の剣法・示現流」のすべて、ここにあり。 解説・武蔵野次郎
  • 剣のいのち
    4.0
    時代を駆け抜けた心形刀流の若き志士がいた! 時は幕末。紀州藩の22歳の若き藩士にして心形刀流の名手、東使左馬之助は藩の腐敗をただすために脱藩、京都に乗り込み、志士たちとともに尊攘の機運に乗ずることを決意した。新撰組や坂本龍馬、勝海舟たちとの交流を深め、剣ひと筋に生きる男をさわやかな筆致で描く青春剣豪小説。 解説・安西水丸
  • 巨人伝 上
    3.0
    1~2巻479円 (税込)
    本邦の博物学、生物学の草分け、知の巨人にして奇人 南方熊楠の生涯を同郷の著者が描き切る! 南方熊楠は慶応三年、和歌山の金物商・南方弥兵衛の次男に生まれた。 日本一のエリート校であった大学予備門に入学したが、型破りの性格は大学になじまず退学。 以後、渡米、南米放浪、英国での学究生活を経て、郷里和歌山で独学で研究に没頭した。 奇行・博覧強記と背中合わせの孤独。 巨人の全体像に同郷の著者が迫った大河巨編。
  • 草笛の剣 上
    -
    1~2巻561円 (税込)
    「しい、しい、しいびびびい」 笛豆の音に思い出すのは、月見草の茂る故郷、紀伊の海辺……。秀吉に滅ぼされた傭兵隊・雑賀鉄砲衆の遺児、孫二郎は根来衆の頭領に育てられ逞しい若者に成長する。因縁をつけられた浅野家の家臣を斬った孫二郎は、追手を逃れ大阪から京へ。天涯孤独の若者の成長と友情を描いた剣豪ロマン小説。
  • 合気を極めた男・佐川幸義 孤塁の名人
    3.0
    指1本で大男を吹き飛ばす合気を極めた男・佐川幸義。 「大東流合気柔術」を実際に体験した著者が名人の生涯と合気の秘密に迫る。 わずかに身体を動かすだけで、つかみかかる猛者たちを宙に吹き飛ばす「大東流合気柔術」。 その創始者である武田惣角から直伝を受け、さらに高みを目指した伝説的師範・佐川幸義。 彼の魔法のような強さはどこから来たのか? 1998年に95歳で亡くなるまで、10年にわたって師事した著者が、高弟たちの証言をもとに描いた本格評伝。
  • お庭番吹雪算長 上
    3.0
    服部半蔵の命を受け東海道を行く伊賀忍者・吹雪算長のすさまじき任務! 開幕直後。江戸は大都市建設の景気に沸きかえるも、いまだ整わぬ街には盗賊たちも跋扈していた。 治安維持にあたる伊賀二百人組の吹雪算長は、次々と襲いかかる強大な敵との闘いに明け暮れる。 もと北条家臣の鳶沢甚内、関八州を牛耳る風摩小太郎、そして脇差で頭蓋骨をも打ち破る坂崎出羽守。津本陽が描く、迫力の伝奇長編!
  • 親鸞聖人の生涯 無量の光 上
    -
    平安末期、親鸞は、比叡山延暦寺に入門する。源平の戦いや大規模な飢饉により、日本中が苦しみに喘ぐ中、親鸞は激しい修行に打ち込むものの納得がいかない。ついに二十年修行した叡山を下り、専修念仏を説く法然に弟子入りする。自らも門徒である著者が描くその偉大なる一生!
  • 宮本武蔵
    3.0
    山中で棒を振り回していた少年は、十三歳にして試合相手の頭蓋をかち割った! 自身も剣の達人である著者が描く凄絶なる歴史長編 宮本武蔵は幼少より武術に頭角をあらわし、生まれ持っての膂力と父の激しい指南にこたえ、13歳にして真剣の立会に打ち勝った。 血なまぐさい試合にあけくれた青春時代、京都郊外、一乗寺下り松での吉岡一門との死闘、関門・船島での佐々木小次郎との血闘など、いくたの修羅場でつねに勝利をおさめた孤高の剣聖の凄絶なる生涯を描破する。 吉川英治版『宮本武蔵』とそれを原作とした人気コミックの影響もあり、内省的な宮本武蔵像が一般化した現代。 だからこそ津本陽描く、本能で動き、野獣味のある武蔵像は読者にいまも新鮮な驚きを与える。 解説・桶谷秀昭
  • 幻の声 髪結い伊三次捕物余話
    3.9
    髪結いを本業とする傍ら、北町奉行の定廻り同心・不破友之進のお手先をつとめる伊三次。芸者のお文に心を残しながら、銭にならない岡っ引き仕事で今日も江戸の町を東奔西走する。呉服屋の一人娘を誘拐した下手人として名乗り出た元芸者の駒吉は、どうやら男の罪を被っているらしく……(表題作より)。伊三次とお文のしっとりとした交情、法では裁けぬ浮世のしがらみ。人情味溢れる五編を収録。選考委員満場一致でオール讀物新人賞を受賞した渾身のデビュー作!
  • わたしのグランパ
    4.2
    中学校の珠子の前に、とつぜん現れた祖父・謙三はなんと刑務所帰りだった。侠気あふれるグランパは、町の人たちから慕われ、珠子の周囲の問題を次々に解決していく。しかし、グランパの秘密を知った珠子と、彼女を慕う紀子に大事件が襲いかかる──。 石原さとみのデビュー映画の原作で、読売文学賞を受賞した傑作ジュブナイル!  解説・久世光彦
  • 君と放課後リスタート
    3.8
    僕は、どんな人間だったのか。どんな君を好きだったのか――。 「理想の三組」と呼ばれた高校のクラス全員が、ある日突然記憶喪失に。すべての人間関係についての記憶が失われた状態で生まれてきた謎を、主人公の「僕」は解き明かせるのか。「僕」・九瀬永一とクラスメートの叉桜澄は今は全く性格が合わないが、記憶を失う前は付き合っていたようで……。 残されたSNSや日記からふたたび理想の姿を取り戻せる日は来るのか――。 主人公自らも記憶喪失というハンデを抱えながら、さまざまな謎を、やはり記憶を失ったクラスメートで恋人(だったらしい)叉桜とともに解き明かしていく。 「謎好き乙女」シリーズや「今夜、君に殺されたとしても」で話題沸騰の著者による、待望の新シリーズ!
  • 「ない仕事」の作り方
    3.8
    「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅん。とはいえ、「テレビや雑誌で、そのサングラス&長髪姿を見かけるけれど、何が本業なのかわからない」「どうやって食っているんだろう?」と不思議に思っている人も多いのでは? 本書では、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアのひらめき方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説していきます。 「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書として話題となり、ロングセラーを続ける本書がいよいよ文庫に。 文庫版オリジナル企画として、「スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん」も掲載。
  • リップヴァンウィンクルの花嫁
    4.1
    「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」 秘密を抱えながらも愛情を抱きあう女性二人の関係を描き、黒木華、Cocco主演で映画化された、岩井美学が凝縮された渾身の一作。 皆川七海は、仕事をクビになり、SNSで手に入れた結婚も浮気の濡れ衣を着せられた。 行き場をなくした七海は、月に百万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。 主のいない屋敷にいたのは、破天荒で自由なもう一人のメイド、里中真白。 ある日、真白はウェディングドレスを着たいと言い出すが……。 現代の嘘と希望と愛の物語。
  • ギブ・ミー・ア・チャンス
    3.6
    1巻754円 (税込)
    「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。 人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。 尾行しても、すぐに気づかれてしまう残念な元相撲取りの探偵。 (「探偵には向かない職業」) 超人気連載マンガのアシスタントを務めながら、連載の終了におびえるマンガアシスタントの苦悩。 (「夜明けはスクリーントーンの彼方」) テレビに出る夢をかなえたい……こどもの頃の夢に突き進む元柔道少女。 (「追いしれの国の女王様」) CAからグリーン車のキャビンアテンダントに転職した女性の奮闘。 (「アテンションプリーズ・ミー」) 小柄ゆえ不人気ゆるキャラ「たけぴよ」の""中の人""に決まった若手公務員の話。 (「たけピヨサイドストーリー」) 営業のドサ回りをする売れない演歌歌手の本当の夢。 (「冬燕ひとり旅」) 夫の殺害方法を考えながらミステリー新人賞に応募し続ける妻。 (「リリーベル殺人事件」) 相方を失っても、コンビニのバイト中にツッコミ練習を続けるお笑い芸人。 (「ギブ・ミー・ア・チャンス」) 短篇8編に著者書き下ろしの「あと描き」も特別収録!
  • トランプがローリングストーンズでやってきた USA語録4
    4.0
    世界のバカはアメリカをめざす! 過激で“使えない”新語・失言がてんこ盛り! サブカルから政治まで、マッドなアメリカがほとばしる 「週刊文春」連載「言霊USA」をまとめた人気シリーズ、文庫化第4弾。 アメリカ在住映画評論家の町山智浩氏が、いまアメリカで起きているおバカな出来事、日本では考えられないハチャメチャなニュースを、現地で流行ったスラング、失言、名言をもとに面白おかしく、かつ歴史的な背景も絡めながら解説。 鋭い毒舌、切れ味抜群のギャグが、よりいっそう過激に炸裂!澤井健氏のイラストも完全収録。 今回は2015年3月からの一年間の掲載分をまとめている。大統領候補に名乗りを挙げたトランプの姿がようやくチラホラと現れ始めるが、町山氏もまだこの頃はトランプを本気で大統領になるとは思っていなかった。しかし、そうしたマッドな事態が起こりうる予兆は、この頃すでにアメリカを満たしつつあったのだ。 フランスのテロ、スターウォーズの新作映画(『フォースの覚醒』)や移民排斥問題など、ホットな話題が満載。また、ショーン・ペンのメキシコ麻薬王訪問の舞台裏や、知る人ぞ知るテキサスの「おっぱいレストラン」、ハッパでキメながら大統領選に立候補宣言したカニエ・ウェストなど、サブカルから政治まで、筆者の幅広い持ち味、ユーモアが存分に詰まった、ファン必読の一冊。
  • ガンルージュ
    3.7
    「あたしたち、最強の相棒。」 韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!? ・あらすじ 韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。 事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。 日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。 祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。 因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。 ・著者コメント 「(アクションorサスペンスor興奮に)手に汗を握りつつ、泣いて笑ってしんみりと。 私の持てる技術をありったけ投入した、あなたのためのエンターテインメントです」 解説・大矢博子
  • アンソロジー 捨てる
    3.6
    親の遺品、夫や姑、目の前の現実……。 あなたには、捨てたいモノ、ありますか? 9人の人気女性作家が、それぞれの持ち味を存分に発揮しながら「捨てる」を題材に豪華競作! 女性作家ならではの視点で、人の心の襞をすくいとり丁寧に紡がれた9篇は、いずれも傑作ぞろい。 ミステリー、ファンタジー、恋愛、ホラー……。さまざまな女たちの想いが交錯する、珠玉の短編小説アンソロジーをお楽しみください。
  • 池波正太郎と七人の作家 蘇える鬼平犯科帳
    4.3
    永遠のヒーロー「鬼平」再来! 人気作家7名が、伝説の男に新たなる命を吹き込みます。 池波正太郎が長谷川平蔵を主人にした短篇小説「浅草・御厨河岸」を書いたのは、昭和42(1967)年のこと。 オール讀物12月号に掲載されたその短篇は大きな反響を呼び、「鬼平犯科帳」としての連載が始まりました。 「鬼平」誕生50周年を迎えた2017年。この記念すべき年に、7人の作家が「鬼平」へ新たな命を吹き込みます。 逢坂剛は「逢坂・平蔵シリーズ」の特別版、上田秀人は武家という官僚社会で生きる平蔵の立場を、諸田玲子は妖盗・葵小僧と鬼平の再対決、風野真知雄は人気シリーズ「耳袋秘帖」鬼平版。 門井慶喜が木村忠吾の食欲の夏を描けば、土橋章宏は平蔵と料理人の味対決、梶よう子は史実の長谷川平蔵に迫ります。これらの短篇に加え、池波正太郎が自らベスト5に選んだ鬼平作品の中から「瓶割り小僧」を特別収録。 各作品に池波正太郎のカット画を使用した、豪華な競作短編集をお楽しみください。
  • 十二人の死にたい子どもたち
    3.7
    2019年1月に衝撃の映画化! 廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「集団安楽死」をすること。 決を取り、全員一致でそれは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか? 「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは……? 解説・吉田伸子
  • 怒鳴り癖
    -
    旅行代理店を経営する五十代の男が、ある晩仕事帰りに待ち伏せされ、二人組の男に暴行を受けた。物盗りの犯行ではない。怒鳴り散らす癖のある男は自分に恨みがある者の犯行ではと疑うが……。 表題作の「怒鳴り癖」をはじめ痴漢冤罪に熟年離婚など、中年を過ぎて老境に入った男たちが、突如危機に遭遇する様を描く短篇集。危機は、日々の暮らしの延長に思いもよらぬ姿で忽然と現れる。直木賞作家が描く、日常に潜む陥穽に落ちた男たちの運命とは──。解説・吉野仁。
  • フェルメール最後の真実
    3.9
    2018年秋から2019年にかけて、日本史上最大規模のフェルメール展が東京と大阪で開催される。代表作「牛乳を注ぐ女」を筆頭に初来日の作品もあり、大きなフェルメール・ブームとなりそうだ。 オランダのデルフトという小さな街に生まれ、当初はまったく注目されていなかった寡作な画家が、なぜこのように人気を集めるのか。その魅力はどこにあるのか。日本におけるフェルメール展の企画プロデューサーであり、ノンフィクション作家でもある著者が、その謎に迫る。 本書では、フェルメールの評価の変遷を全作品の解説と共に紹介し、作品を動かす「フェルメール・マン」と呼ばれる15人の男たちのシンジケートの存在を初めて公開する。世界的に知られた美術館の花形学芸員たちが虚々実々の交渉を繰り広げ、ある条件が揃ったときにだけ、フェルメールは旅に出る……。読めば、展覧会を観る目が180度変わる画期的なドキュメント。全作品をカラー写真で掲載。全点踏破をめざす人に、保存版ルートガイド付き。
  • みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記
    5.0
    海を渡った宣教師と、命を賭した信徒たち。 殉教をめぐり400年の時を駆ける旅へ! 16世紀後半、織田信長の時代にローマに送られた天正遣欧使節の4人の少年たちは、帰国後、秀吉による伴天連追放令。キリシタンが迫害される世に何を思い、どう生きたのか。 また、日本で布教に携わって殉教した外国人の神父たちは、どんな思いで最期を迎えたのか――。 あらゆる資料・文献を丁寧に読み込み、自ら迫害にまつわる土地を旅して、当時のキリシタンの生き方に迫る。 長崎、島原城、日野江城、原城跡、大村、鈴田牢……さらには、殉教した外国人神父たちの故郷であるスペインの小さな村の教会まで。 果たして、日本人にとってキリシタンとは何だったのか――。 著者は4人の少年たちが8年にわたる訪欧の旅から戻った直後に、秀吉の前で奏でたリュートに強く興味をひかれ、東(日本)と西(ヨーロッパ)の狭間で翻弄された少年たちの気持ちに近づくために、自らリュートを習得した。 400年前、その時代を切実に生き抜いたキリシタンの息吹を新たな視点で現代に伝える野心作。 解説・若松英輔 「時空と距離を超えて、人々の心が結びつく瞬間が、著者の情熱によって到来する」(三浦しをん)
  • 捏造の科学者 STAP細胞事件
    4.0
    iPS細胞を超える夢の万能細胞として、華々しく発表されたSTAP細胞。そのニュースに日本中が熱狂したのも束の間、論文には次々と疑義が浮上する。一流科学者が揃いながら、なぜ捏造が起きたのか。そしてSTAP細胞の正体とは。独自取材を重ねた記者が掴んだ全貌。大宅賞受賞作に新章を追加した完全版。解説・緑慎也
  • 拳の先
    4.3
    1巻1,223円 (税込)
    ボクシング雑誌の休刊を機に、念願の文芸部門に異動した那波田空也。久々に鉄槌ジムを訪れると、ジムの花形選手の立花やいじめられっ子の小学4年生・ノンちゃんに出会う。彼らはそれぞれの恐怖を抱きながら、「拳」をふるって戦っていた。 不安になって、傷ついて、怖がって、逃げたくなっても、きみたちはなぜ戦うのか。前作『空の拳』に続き、ボクシングを通して本気で生きるとは何かを問う青春エンタテインメント! 解説・中村航

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