小説 - 集英社作品一覧
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4.4美しい海沿いの景色と裏腹に陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻く鎌倉幕府。その若き三代将軍・源実朝のもとに、都から摂関家の姫・信子が嫁いできた。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子は、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。一方、自分のために鎌倉へ来てくれた妻を生涯大切にしようと誓った実朝は、信子の導きで和歌の魅力を知り、武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、否応なく二人を悲しみの渦に巻き込んでいくのだった……。悲劇の将軍の葛藤と信念、そして運命に翻弄された夫婦の切実な愛を描く歴史恋愛小説。第32回小説すばる新人賞受賞作。
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4.2
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4.0三十代半ばの高橋泉は、別居を続ける夫との行き詰った関係に苦しんでいた。仕事帰りのある日、泉は駅のホームで女子高生の島原千代子と出会う。千代子は自由な生き方を認めない両親との関係に悩み、命を絶とうとしていた。心の痛みを分かち合ううち、ふたりは恋に落ちる。お互いをかけがえのない存在だと気づいたふたりは、泉の一人息子を連れて、星がきれいな山里「マチュピチュ村」へと駆け落ち。やがて千代子は、泉と出会う前に関係を持った男性との間の子どもを出産。長女が加わり一家は四人に。ゲストハウス開業、念願の結婚式とハネムーンツアー、千代子の闘病、そして……。喜びと悲しみに彩られた十六年間の軌跡を辿る、新たな家族小説の誕生。
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3.9
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4.5地方の大衆食堂で働く厨師の千花は常連の貧乏皇族である玄覇から、ある仕事を持ち掛けられた。それは皇帝の“やとわれ寵姫”。何の因果か皇帝に即位することになった女嫌いの玄覇は、女除けに千花を寵姫と偽り後宮に置きたいという。王都に店を持つことが夢の千花は開店資金を報酬に期間限定で後宮に入るのだが、そこは権力と寵愛を求める女の欲望と嫉妬が渦巻いており……。「私は厨師。包丁一本あればどこででも生きていける、たとえ後宮でも」――一筋縄ではいかないトラブルも嫌がらせも美味しく調理! 敵の攻略も味方づくりも料理次第!! 果たして千花の運命は? ひと味違う、中華シンデレラストーリー!
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3.6「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」 三〇代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。 だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。 望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。 今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。 愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。 「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!
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3.9草原の民アルタナの娘、シリンとナフィーサ。異母姉妹ながら共に育ち、容姿も双子のように瓜二つの二人。ある日、族長である父は姉妹を本当の双子に仕立て上げ、南方の大国・濫に輿入れさせることを告げる。濫国は双子信仰が盛んであり、折しも現在の皇帝も双子だった。長い旅の末、濫国の王城にたどり着いた偽りの双子姫。シリンは弟帝の暁慶の後宮に迎え入れられ、「杏妃」なる名を与えられたが、初夜の床で「未来永劫、お前を抱くつもりはない」と言い放たれる。花嫁衣装も、名前も、全てを奪われ、体を繋がぬまま濫の妃となったシリンの運命は、やがて濫国とアルタナを巡る、大いなる時代の奔流に呑み込まれていく――。歴史に翻弄される人々を、壮大なスケールで描くデビュー作!
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3.8千景が帰国後はじめてのクリスマスが訪れようとしている。昔はクリスマスが苦手だったが、いまは千景を笑顔で迎えてくれる異人館画廊に集う人たちがいるおかげでまったく違う風景に感じられる。だが一方で千景は恩師から再渡英を意味する博士論文の執筆を勧められており…。そんななか不可解な強盗事件に、呪われた絵画が関わっているらしいと京一から相談を受けた千景と透磨は、カラヴァッジョに憑りつかれるように魅せられた男と、父との軋轢に苦しみ続けた女の奇妙な接点に気づいた。見る者の心揺さぶるアウトサイダー・アートの謎を追う中、千景が見つけた自身の過去と未来を照らす「答え」とは? 『異人館画廊』第一部・完結!
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4.0結婚式直前、婚約者が駆け落ち。裏切られた上に、それが社交界新聞に載ってしまう屈辱を味わった名門の娘エリカは、ひと目を忍んでひっそりと王立図書館で働いていた。そこへある日、垢抜けない眼鏡男子が「伝説の魔導書」を探しにやって来た。その手助けをしている最中、目当ての本に触れたとたんにエリカは気を失い、気がつくと眼鏡男子の家に! 彼は伝説の美しすぎる魔法使いミルチャ・アントネスクだった。ところが魔導書がらみの「竜化の呪い」にかかってしまったエリカの頭には小さな角が生えてきて……。呪われ令嬢と伝説の魔法使いによる恋と呪いのドラコニック・ファンタジア!
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3.9
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4.0青森の長閑で美しい景色のなか、キッチンカー「&」は今日もまた店を開ける。無愛想な店主の柴田は、悩める客一人ひとりのために選んだ具材で、できたてのおむすびをそっと差しだす。その味は、お客の背中を後押ししてくれるような不思議な優しさに満ちている。市川茉奈もまた、仕事の行き詰まりが元来の小食に拍車をかけるなか、キッチンカーに出会う。一見ぶっきらぼうな店主に面喰らいながらも、おむすびを握る姿は穏やかそのもの、しかも味はとびきり美味しい! その丁寧な仕事ぶりに感動すら覚える茉奈に突然、店主は「お前、市川だろ」と言い放つ。すでに茉奈のことを知っているようで!?
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3.7みんな生きている。例えばチンパンジーに後穴の純潔を奪われたとしても(「GangBang The Chimpanzee」)、前人未到、脳大陸発見の遊びに夢中になっても(「あむんぜん」)、ウンゲロの末、透明になっても(「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」)、捜査方法が異端でも(「報恩捜査官夕鶴」)、推しがどぷゅリンでも(「ヲタポリス」)、どっこいみんな生きている。“くだらなさ”を積み重ねた先に待ち受ける強烈なインパクト。この物語は絶望か? 希望か? 平山夢明ワールド全開の短編集。電子特別版として「1995とN.Y.とシスターとブルース」(小説すばる2015年5月号掲載)も収録!
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4.5駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で愛にあふれた同棲生活を送っている。家族のいない日菜に「夢の家」を建ててあげたい、そのために建築家として名を上げたいと願う誠だったが、ある雨の日、日菜と一緒にバイク事故で瀕死の重傷を負ってしまう。目を覚ました彼らの前に、“案内人”と名乗る喪服姿の男女が現れる。そして誠と日菜は、二人合わせて二十年の余命を授かり、生き返ることに。しかしそれは、互いの命を奪い合うという、あまりにも苛酷で切ない日々のはじまりだった――。この恋の結末に、涙せずにはいられない。『桜のような僕の恋人』の著者が贈る、胸打つ長編小説。
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5.0「――金魚、飼っていい?」ある日、専業主婦・24歳のさくらは、出勤前の夫に勇気を出してそう尋ねてみた。夫は冷たく「好きにすれば?」と気のない返事。熱烈に恋われて結婚したのに、最近の夫からは愛が感じられない…。心がふさいでいきそうな時、さくらの足は自然と商店街の「金魚のとよだ」に向かう。キャリコ琉金、オランダ獅子頭、水泡眼……鱗をきらめかせ尾びれを翻しながら泳ぐ金魚たちの様子を夢中になって眺めていると、心がいつしか満たされていく。店をひとりで切り盛りする店長は、金魚を見に日々通ってくるさくらをいつも笑顔で温かく迎えてくれて。【目次】金魚妻 平賀さくら・24歳 専業主婦 あの日、私は金魚が欲しかった――。/出前妻 岡崎杏奈・29歳 蕎麦屋手伝い あの時、電話がかかってこなければ――。/弁当妻 保ヶ辺朔子・27歳 タワマン暮らし 夫以外に男を知らない――。/見舞妻 河北真冬・23歳 ヤンママ 息子を授かったのは15の冬でした――。 グランドジャンプで連載され、コミックスが爆発的にヒットした、大人の恋の叙情詩を小説化。1巻に収録された「金魚妻」「出前妻」「弁当妻」「見舞妻」に切々と綴られた人妻たちの禁断愛。妻たちはなぜ、一線を越えたのか……?
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-地味で平凡なところを買われ、大手化粧品メーカー・最川堂に入社した朝井詩央が配属されたのは総務部。単調な業務の合間に社員の愚痴を聞いているうち、いつしか『愚痴聞き地蔵』のあだ名で呼ばれるようになる。ある日、社長直々に呼び出された詩央は、その存在感のなさと聞き上手を武器に「次期社長候補三名の調査をせよ」と密命を下される。提示された特別報酬に目がくらみ、アイドル的人気を誇る営業部の若手エース・七星悠馬、どんなクレーマーも美声で黙らせる敏腕コールセンター所長・兵藤光淳、革新的なアイデアでブランド刷新を推し進める商品開発部のエリート・唐飛龍の隠密調査に乗り出すが!?
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4.3海洋研究所に勤めるイーサンと飼育委員のノアのもとに、世界環境を救う貴重なキャニスターを、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという依頼が舞い込んだ。間もなくシャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。しかしここに来る前、セブンは従姉のエルと共に捕獲された経験があった。ある日、セブンはエルが苦境にあることを知り不調に陥る。イーサンは、苦心の末にその原因を突き止め、ミッション終了後にシャチたちを海に帰すことを決意するが…。シャチと人間の愛と絆を描く感動の海洋冒険小説! 小説すばる新人賞受賞作!!
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4.0数えで12歳となった白菊丸は、母と離れて勿径(もっけい)寺へと入った。さる貴き方の落胤である白菊丸は寺で修業し、ゆくゆくは僧侶となるのだ。始まった寺での日々。同じように預けられた稚児たちと一緒に学び、幅広い教養を身に着けていく白菊丸は、ある日、先輩稚児たちに声をかけられた。曰く、勿径寺の宝蔵には力ある物の怪たちの骸が封印されている。新しく寺に入った者は、胆力を鍛えるため、夜中にひとりでその宝蔵に行かなければならない、と。新人いびりとも知らず、その夜、白菊丸が宝蔵を訪れるとそこには白い毛皮をまとった物の怪がいて…。稚児たちがつぎつぎと騒動に巻き込まれるなか、和尚には何やら隠し事があるようで?
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3.7仕事を失った青年の願いを叶えるべく、彼を訪ねてきた猫。かつて飼っていた猫に会えるという噂のある、ちょっと不思議なホテル。猫飼い放題の町で出会った彼と彼女の恋。猫が集まる縁結びの神社で起きた、恋と友情にまつわる出来事。死後に猫となり、妻に飼われることになった男――。人気作家が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。全五編を収録。 【目次】ハケン飯友 椹野道流/白い花のホテル 谷 瑞恵/猫町クロニクル 真堂 樹/縁切りにゃんこの縁結び 梨沙/神さまはそない優しない 一穂ミチ
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4.3推し飯――自らが全力で愛し、応援する人物・キャラクターの好物といった、その人を想起させる食べ物のことである。この春から一人暮らしを始めたものの、料理嫌いの佳奈子が、ひょんなことから入った大学のサークルは、その名も『推し飯研究会』。メンバーそれぞれの「推し」への愛を語り、「推し」にまつわる食べ物を手作りのうえ食し、「推し」がいかに尊いのかを実感するという不思議な活動だったが、意外と居心地が良くて……? 「愛ゆえにたまごトースト」「ストイック素うどん」「適当極みクッキー」「懐深いカレー」そして「背徳の炭水化物パーティー」……推し飯、召しあがれ! 食べれば、ますます「尊い……!」
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4.1ミュージシャンの夢を捨てきれず、親からの仕送りで怠惰に暮らす、29歳無職の宮路。ある日、余興の時間にギターの弾き語りをするために訪れた老人ホーム・そよかぜ荘で、神がかったサックスの音色を耳にする。演奏していたのは年下の介護士・渡部だった。「いた、天才が。あの音はきっと、俺を今いる場所から引っ張り出してくれる」――神様に出会った興奮に突き動かされ、ホームに通うようになった宮路は「ぼんくら」と呼ばれながらも、入居者たちと親しくなっていく。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編!
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3.5南京虐殺事件を中国の知識人の視点から記した『時間』、時代を冷静に見つめる観察者を描いた『方丈記私記』『ゴヤ』などの評伝、『インドで考えたこと』『上海にて』などアジア各国を歴訪して書いた文明批評など、数多くの優れた作品を残した作家、堀田善衞(一九一八~一九九八)。堀田が描いた乱世の時代と、そこに込めた思いは、混迷を極める現代社会を生きる上での「羅針盤」として、今なお輝きを放つ。堀田作品は、第一線で活躍する創作者たちにも多大な影響を与え続けている。堀田を敬愛する池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿が、堀田善衞とその作品の魅力、そして今に通じるメッセージを読み解く。 【目次】はじめに 『方丈記私記』から 富山県 高志の国文学館・館長 中西 進/第一章 堀田善衞の青春時代 池澤夏樹/第二章 堀田善衞が旅したアジア 吉岡 忍/第三章 「中心なき収斂」の作家、堀田善衞 鹿島 茂/第四章 堀田善衞のスペイン時代 大高保二郎/第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎 駿/終章 堀田善衞 二十のことば 富山県 高志の国文学館/おわりに/【年表】堀田善衞の足跡/付録 堀田善衞 全集未収録原稿──『路上の人』から『ミシェル 城館の人』まで、それから……
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