Posted by ブクログ
2018年11月10日
吉川英治文学賞受賞作で、渾身の社会派サスペンスとの謳い文句に、数十年ぶりに赤川次郎作品を。
著者の特徴である、情景描写が少なく会話主体の文体ゆえ、文庫本617頁の長編であるが、たちまち読み終えた。
ストーリーは、市民は自由を奪われ、「暗黒の中世」とも呼ばれる警察国家が管理する近未来が舞台。
そこでは...続きを読む要注意人物の顔はすべて登録され、監視カメラが張り巡らされ、マスコミに警察や検察の言うことに反抗する者はない。
そんな兆候が萌し始めたことを危惧する著者が、現代日本人に警告する意図で、著したのだろう。
同時に、若い人々に「あなたの未来は変えられる」と呼びかける希望の物語という、著者の思いがあるからか、あまりシリアス感は感じられなかった。