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Posted by ブクログ
最高。なんか、泣ける。
高野秀行氏と言えば、いつも無茶苦茶なことに自ら突っ込んだり時に巻き込まれたりして大変な思いをしつつ、それを面白さに変換しながら、やりたいことをやって、したたかに生きる人だ。
簡単に言えば、自由で柔軟な人。読者は、そこに憧れるんだと思う。ほんとうは私だってこんなふうに生きてみたい、と。
本書は、著者の自伝的一冊で、タカノ青年があるアジア系新聞社"エイジアン"で働くことになった数年の顛末を描いている。スタッフはほとんどがアジア系のメンバーで、著者以上に自由でしたたかで驚くほどいい加減である。そもそも読者にとって高野秀行氏こそがもっとも変で魅力的な生き物であるのだが、この新聞社には、彼を圧倒するパワーと奔放さを持ったさまざまな人々が集まっている。あのタカノ青年が、振り回されっぱなしである。エピソードのすべてが、日本の会社ではあり得ないもので、普通の日本人ならついていけないものばかりだ。だがそこにタカノ青年は魅力を感じ、新聞づくりに奔走する。
タイトルの"アジア新聞屋台村"とは、この新聞社を指すもの。屋台村のように、それぞれの特色を活かしたさまざまの料理を提供する。ある料理が不評ならすぐにやめて別のものを出す。客が少なければ座席を減らすし、増えれば拡張する。自由で柔軟である。
だからこそ発生してしまう、ヘンテコな状況を彼らはどう切り抜けるか?見事と言うほかない無茶苦茶さとしたたかさに、読者は爆笑しながら時に涙することになる。
全六章プラスエピローグからなる本で、もう全編最高におもしろいのだが、とくに第六章の盛り上がりはグッとくる。エピソードの強さに目が行きがちだが、それを生かす著者の筆力があってこそである。渦中にはまり込んで右往左往したあと、それをちゃんと検証し直す冷静さがある。その冷静さこそが、"なんか泣ける"奇妙な味わいを生んでいると思う。
Posted by ブクログ
ワセダの三畳間で燻っていた若者が、ひょんなことからアジア系新聞社に関わり、多国籍な仲間たちと新聞作りに振り回されていく自伝的ノンフィクションです。
読んでいてまず感じたのは、“昔のアジア雑居ビルみたいな熱気”でした。台湾人社長、中国人編集者、タイ人記者、怪しいブローカーみたいな人物まで入り乱れていて、新聞社なのにどこか屋台街みたいな胡散臭さがあります。
特に印象に残るのは、みんな理想や夢を語るのに、現実はかなり適当で泥臭いところでした。
原稿は飛ぶし、金もないし、トラブルも絶えない。それでも、不思議と前へ進んでしまう勢いがあり、90年代アジアの雑多なエネルギーがそのまま閉じ込められている感じがあります。
著者らしい“危ない場所ほど面白がってしまう視点”がずっと心地よく、異文化交流というより、“カオスの中で人間同士が雑に繋がっていく面白さ”が残る一冊でした。
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