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母親から育児放棄されかけている幼い兄と妹は、花火大会の夜にデパートでわざと迷子になる。公園で出会った女に連れて行かれたマンションで待っていたのは、甘いケーキと、そして……(迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル)。「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」など誰もが知る西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡いだ、美しくも恐ろしい7編を収録した短編集。
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Posted by ブクログ
一気に読みました。 おとぎ話の新しい解釈だけれども、話の筋は崩していない。 キラキラした物語もあれば、 人間て怖いな、 ホラー小説の方が怖くないのでは? と思う作品もあり、中に引き込まれる感じがした。 本当はこんなこと無いよね?と思うけれども実際にはどっかであるのでは? とも思わせてくれる部分もあり...続きを読む、一気に読んだことを少し後悔しました
童話の良さ
童話を見事に現代のお話にアレンジされてました。童話をもう一度読みたくなりました
西洋童話を現代風にした短編集。 モチーフは、ヘンゼルとグレーテル、みにくいアヒルの子、白雪姫、シンデレラ、マッチ売りの少女、ハーメルンの笛吹き男、いばら姫。 この目次をパッと目にした時、可愛いお話ばかり!と思うかもしれないが、千早先生にかかるととてもダークでゾッとするお話に変わってしまう。 でもち...続きを読むゃんと元の童話は生きていて、答え合わせしながら「これはあの部分か!」と謎解きしていける楽しさがあった。
一癖も二癖もある作品だった。お伽話のようにキラキラした世界ではなく、どちらかというと仄暗い性質をもつ作品たちだが、魅了されたのか一気に読み進めた。
あなたは、日本昔話と西洋童話のどちらが好きでしょうか? いつもながら唐突な質問で恐縮です。どちらもそれぞれに魅力があると思いますが、「桃太郎」や「かぐや姫」、「花咲か爺さん」といった、むかしむかしの日本昔話と、「白雪姫」に「シンデレラ」、「みにくいアヒルの子」のような西洋童話はどこか纏っているもの...続きを読むが違うようにも感じます。 日本昔話は自然やコミュニティの大切さを強調し、善悪が曖昧な登場人物が多いのに対して、西洋童話は善悪が明確で、道徳的な教訓が強調され、王子やお姫さまなどの典型的なキャラクターが登場することが多い、大雑把な見方かもしれませんがそんな印象も受けます。特に子どもにとっては西洋童話はこんな思いに繋がっていく場合もあるかもしれません。 『恋を知らなかったので人魚姫の苦しみはわからなかったし、生真面目なところがあったので、言いつけを守らなかった赤ずきんの災難は自業自得な気がした』。 なるほど。かなり冷めた見方にも思いますが言わんとするところは分かるような気がします。この辺りを分析することで日本と西洋の考え方の違いを整理していけそうにも思います。 さてここに、千早茜さんが手がけられた「おとぎのかけら」という作品があります。幼い頃には馴染めなかった西洋童話を大人になってそれが『おこりうることなのだ』と理解したという千早さんが手がけるこの作品。「ヘンゼルとグレーテル」など7つの西洋童話を取り上げるこの作品。そしてそれは、あなたが知る西洋童話がこんな風に生まれ変わるのか!と驚愕する他ない物語です。 『お母さんに置いていかれるのは、はじめてじゃない。最初は怖くて目が回りそうだったけれど、もうすっかり慣れてしまった』とデパートの中で思うのは優香。そんなところに戻ってきたお兄ちゃんが『いくよ』と声をかけるのに『もう家に帰りたくない』、『家に帰ったらお母さんがいる。お母さんなんて、お酒飲んで寝てるか、あたしたちを怒るかしかしないじゃない。あたし、もう叩かれたくない』と返す優香。そんな優香に『あのね、今日はお母さんはおとなしいと思うよ。いつも飲むお酒の瓶にね、ぼく、薬を溶かしてきたんだ。ほら、飲むとお母さんが穏やかになるあのピンク色の薬。ぼく、少しずつ盗んでためてたんだ』と説明します。それを聞いて『お兄ちゃんはさすがだ』と『ちょっと嬉しくなった』優香。そんなところに『丸々としたおばさんが近寄ってき』て色々と訊かれはじめたためそんな場所を後にした二人。そして、歩き出した優香は、『昨日の晩は男の人が来たから、あたしたちは押入れに閉じ込められた』と昨夜のことを思い出します。『とろんとした目をした』お母さんは、男の人に押さえつけられると悲鳴を上げますが『その顔は笑ってい』ます。『大人はご飯を食べるより、あんなことが楽しいのだろうか』と思う優香。『夏の押入れは炊飯器の中みたい』と思う優香は、『お母さんの叫び声もうるさくて』なかなか眠れませんでした。『もしかしたら、お母さんはもう起きないかもしれないよ。あの薬飲むと、お母さん長く寝ちゃうじゃない。ぼくさ、たくさん薬いれちゃったんだ』と話すお兄ちゃん、優香は『でも、そんなことしていいのかな?お兄ちゃん警察につかまっちゃわない?』と心配します。そんな時、『金色の髪をした細い』『女の人がぬうっと』現れます。『お兄ちゃんがあたしの手をひいて逃げようと』する中、『女の人はにっと笑うと「待って、待って、警察に言ったりしないから」とざらざらとした声で言』います。そして、『ねえ、ほら、ガムあげるよ』と言われつい手を伸ばしてしまった優香に『あんたたち面白いね。母親殺して、家出してんの?』と訊く女に『殺してません、お酒の瓶に薬をいれただけです…でも、家出はしているので、警察には言わないでくれると助かります』と返すお兄ちゃん。それに『いいよ、黙っててあげる』と言う女は『さて、じゃあ行くか』、『飯食わせてやるよ』と続けると二人を『ファミレスに連れて』行き、『何でも好きなものを食べていいよ』と話します。『あたしはグラタン、お兄ちゃんはハンバーグ、それにチョコレートパフェやジュース…』と『夢中になって食べ』る二人は女の人と会話します。そんな中で『ぼくたちお金が欲しいんです。お腹が減っても家に帰らなくていいように。何かぼくらにできること知りませんか?』と訊くお兄ちゃんに、『生きるために何でもするってこと?』と確認する女の人。そして、『暗くなるまでファミレスにいた』という中に二人は眠ってしまいました。やがて先に目を覚ました優香は、まだお兄ちゃんが眠っているのを見ます。そんな時、『ねえ、あんたセックスって知ってる?』、『服を脱いで、ちょっと痛いのとかくすぐったいのとか我慢するだけなんだけど』と訊く女の人に『あ、それなら見たことあるかも』、『お兄ちゃんは嫌いみたいだけど』と答える優香に女の人は『おいでおいでを』すると『耳元でひそひそと』話しはじめます。『お兄ちゃんのためにそれできる?じっとしていたらいいだけだから。たくさんお金もらえるよ、なんでも好きなもの食べられるよ』、『家に帰らなくてもいいくらい。お兄ちゃんもすごく喜ぶよ』と話す女の人。それに『うん、わかった。我慢する』と答える優香に女の人は『いい子だね。でも、セックスのことはお兄ちゃんには内緒だよ』と口止めします。そんな時、お兄ちゃんが目覚めます。『この子がね、仕事してくれるって言うから、これから連れていってくるよ』と言う女の人に『何の仕事ですか?ぼくも行きます』と返すお兄ちゃんですが、『多分、あんたは中に入れてもらえないよ。たいした仕事じゃないし、そんなに長くはかからない。ここにいなよ』と言われます。しかし、『すぐ終わるなら、外で待っています。それにこんなところに子どもが一人でいたら変に思われます』と言うお兄ちゃんに『それもそうか』と呟く女の人は二人を連れ『大通りを抜けて、細くて暗い道に入ると大きなマンション』へと向かいます。そして、『ひとつのドアの前で』立ち止まりボタンを押す女の人。やがて、『ほんの少しだけ、ドアがひらいて低い声が聞こえてき』ました。『本当に二人とも連れてきたのか。女の子だけがいいんだが』、『ついてくるってきかないんだよ。まあ、他の部屋でまたせとけばいいだろう』と会話する二人。そして、『ほら、あんた行きな』と優香は背中を押され、『影のように』一緒に『ドアをすり抜け』るお兄ちゃん。そんな優香の『頭の上で大きな男の人が女の人に何枚もお金を渡し』ます。『後で迎えにくるからね』と言うと部屋を後にした女の人。『音をたててドアが閉められ』『鍵の音が広い玄関にがちゃりと響』きます。そして、『こっちにおいで』と『目を細めて笑う』男の人。まさかの状況に陥った優香とお兄ちゃんのそれからが描かれていきます…という最初の短編〈迷子のきまり〉。童話〈ヘンゼルとグレーテル〉を千早茜さんの解釈で現代に蘇らせた好編でした。 “本当に幸せなのは誰か?現代のおとぎ話7篇 シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を現代日本に置き換えた短篇集。童話の結末に疑問を抱く著者が見つけた、それぞれのハッピーエンドとは?”と内容紹介にうたわれるこの作品。「おとぎのかけら」という書名につけられた「新釈西洋童話集」という副題が内容を暗示しています。 この作品には7つの短編が収録されていますが、それらは内容紹介にある通り誰もが知っているような童話の数々を土台にした物語が描かれているのです。この前提を知った時、私にはひとつの作品が思い浮かびました。三浦しをんさん「むかしのはなし」です。「桃太郎」や「かぐや姫」、「花咲か爺さん」など7つの日本の昔話を しをんさんなりの方法で絶妙にアレンジして生まれたこの作品は相当にかっ飛んだ展開が魅力です。そして、そんな しをんさんはこの千早さんの作品にコメントを寄せられています。 ”神話性が感じられて、しかも生々しくて躍動感がある。とても刺激的で、おもしろいです”。 しをんさんの作品の”おもしろい”とはまた別方向の”おもしろい”を存分に楽しませてくれるのがこの千早さんの作品です。そんな千早さんがこの作品で取り上げたのは同じ7つでも西洋の童話というところが興味深いと思います。小さい頃、”日本昔話を好きになった”という千早さんは、一方で”西洋童話にはうまく馴染めなかった”とおっしゃいます。 “お姫様や王子様やお城と言われても想像しにくかったし、悪者退治のやり方は恐ろしい根絶の匂いに溢れていた。恋を知らなかったので人魚姫の苦しみはわからなかったし、生真面目なところがあったので、言いつけを守らなかった赤ずきんの災難は自業自得な気がした”。 しかし、大人になっていく中で”人類の歴史の方がさらに残酷で理不尽だと知り、自分にも嫉妬や憎しみがあることを実感した”という千早さんは、”西洋童話に描かれていることは、おこりうることなのだと思った”とおっしゃいます。とは言え、”西洋童話はあまりにも遠い世界の香りが強いせいか、どこか他人事で、安心して読めてしまうところがあって、それではぬるいと感じ”られたいう千早さんは、こんな方針を立てられました。 “話の筋は大体そのままで、既存のモチーフを鏤めて、その中で血や肉を持った西洋童話の登場人物がどう感じたかを描きたかった”。 そして、生み出されたのがこの作品に収録された7つの短編ということになります。この作品が生み出されるまでのなんとも興味深いお話です。では、この作品がどのような西洋童話を取り上げているかを見ていきたいと思います。元となる物語をご存知でない場合もしくは忘れてしまったということもあると思いますので、ChatGPTさんにこんなお願いをしてご協力いただきました(笑)。 “○○○○のあらすじを100文字以内にまとめてください” はい、ChatGPTさんはそれぞれ見事にまとめてくださいました。私の方では、それに合わせて比較するようにそれぞれの作品の概要をご紹介する、このような趣向でいきたいと思います。 ・〈迷子のきまり〉: 「ヘンゼルとグレーテル」 - ChatGPTさん: “森に捨てられた兄妹ヘンゼルとグレーテルは、魔女の家にたどり着き、捕まるが、知恵を使って魔女を倒し無事に帰る”。 → 『広いデパートの中で』わざと迷子になった優香とお兄ちゃん。お兄ちゃんは母親が『いつも飲むお酒の瓶に』『薬を溶かしてきた』と語ります。しかし、そんな話を見知らぬ女の人に聞かれてしまった二人は、ファミレスでたらふく食事をさせられた後、見知らぬマンションの一室へと連れて行かれます。 ・〈鶴の森〉: 「みにくいアヒルの子」 - ChatGPTさん: “みにくいアヒルの子は、周りから仲間外れにされていたが、成長するうちに美しい白鳥に変わり、幸せを見つける”。 → 通勤電車の中で具合が悪くなった会社員の堤。電車を降り、会社に休むことを電話した後、一歩下がったところで人にぶつかります。それは『滋賀の山奥』の小学校のクラスメイトだった翔也でした。『一度、異物だとみなされたら、もう終わり』という雰囲気の中で小学校時代を送る堤に対して『苛めて下さい』という見た目の翔也は…。 ・〈カドミウム・レッド〉: 「白雪姫」 - ChatGPTさん: “白雪姫は、邪悪な魔女に命を狙われ、逃げて七人の小人と暮らす。魔女の毒リンゴで眠りにつくが、王子のキスで目覚め、幸せに暮らす”。 → 卒業後も母校の『美大に』『事務員として』残ったのは『わたし』。叔父の奥様である『美智子先生のデッサンの授業にも顔をだして』雑用をする『わたし』。一方会う度、『描いているか?』と尋ねてくる叔父の部屋で『転がった真っ赤な絵の具に触れ』る『わたし』に、『それは毒だぞ。カドミウムが入っている…』と注意する叔父…。 ・〈金の指輪〉: 「シンデレラ」 - ChatGPTさん: “シンデレラは、意地悪な義母と姉たちに苦しむが、妖精の力で舞踏会に行き、王子と出会う。ガラスの靴で身元がばれ、幸せな結婚を迎える”。 → 『父は明治の頃から続く大財閥の長男』というのは静(せい)。『金銭的に不自由することはな』いという静は中学時代にピアノのレッスンで一人の女性と『ほんの一瞬通じあ』います。そんな彼女が去った後に『小さな金色の指輪』が床に落ちているのを見つけた静。しかし、彼女は引っ越してしまい…。 ・〈凍りついた眼〉: 「マッチ売りの少女」 - ChatGPTさん: “寒い夜、マッチ売りの少女は誰にも買ってもらえず、マッチを擦りながら幻想を見て温まろうとする。最後に天国で幸せな死を迎える”。 → 『少女が慣れた手つきでマッチを擦る』のを見るのは『私』。『ベッドに腰かけ』ると、俯いて『幼さの残る表情』を見せる少女の横には『避妊具の入った籠が置かれ』ています。『マッチの本数』を数えているという少女は、『マッチの箱』がなくなったらここから『出ていける』、『あれがね、最後のひと箱なの』と話します…。 ・〈白梅虫〉: 「ハーメルンの笛吹き男」 - ChatGPTさん: “ハーメルンの町はネズミに悩まされ、笛吹き男が退治を約束。報酬をもらえなかったため、彼は笛で町の子供たちを誘い、連れ去る。町は後悔し、子供たちは戻らない”。 → 『正月帰省し』た際に、祖父の『形見分けで押しつけられた』盆栽を見るのは『俺』。『一か月が経った頃』、梅の花が咲きます。一方で営業で赴いた場所でカフェに入った『俺』は『色の白い女性』が気に入りちょくちょく通うようになります。そんなある日帰宅すると、盆栽が『イボ状のもので覆われ』美樹が悲鳴をあげていました…。 ・〈アマリリス〉: 「いばら姫」 - ChatGPTさん: “「いばら姫」は、魔女に呪われて100年眠り続ける姫が、王子にキスされ目を覚ます物語。二人は結婚し、幸せに暮らす”。 → 『一週間前に仕事を辞め』『ずっと実家にいる』のは真由。そんな真由は『数か月前からよく眠るようになった』、『最近は一日二十時間近く寝ている』という祖母のことを見ます。『起きている間は少女に戻る』という『認知症の症状がでてきた』祖母。そんな祖母を見る度『何をかはわからない』ものの祖母が『待っている』と確信する真由。 7つの短編はいずれも誰もが知る有名な西洋童話ばかりです。上記ではその冒頭を簡単にまとめただけですが幾つかの作品はそれでも元の童話の色が顔を出しています。しかし、この作品は元の童話をそのままに描くことはありません。そこには、日本を舞台にした現代小説らしい物語が展開します。そんな中でも特に衝撃を受けたのは「マッチ売りの少女」をベースにした〈凍りついた眼〉でした。上記で短く触れた文章だけでも、ひとりの少女が危うい環境に置かれていることがわかります。そして、そこに描かれていくのは衝撃的な”エログロ”の世界を垣間見る物語です。これには驚きました。この作品を含め7つの物語には必ずしもハッピーエンドが待っているわけではありません。それは、元の童話がそうでないのと同じです。”悪意も、優しさも、美しさも、醜さも”すべてが現実世界にも起こりうることを描く千早さんの”新釈西洋童話”をまとめたこの作品。そこには、千早さんらしく、人の心の奥底を炙り出すような残酷で理不尽な西洋童話の”新釈”な物語が描かれていました。 “直視したくない何かから目を逸らさないことで、私なりの解釈が生まれていった” そんな風に作品を生み出す過程を語る千早茜さん。この作品にはそんな千早さんならではの解釈により現代に生まれ変わった7つの西洋童話が描かれていました。息を呑むリアルな描写に読む手が止まらなくなるこの作品。元の物語の本質を上手く落とし込んでいくこの作品。 今度は千早さんが”新釈”した日本昔話も読んでみたい、そんな期待も抱いてしまう印象的な作品でした。
みんなが良く知る童話をアレンジした作品。ハッピーエンドもあればバッドエンドもあり、絶妙なバランスの短編集。 千早さんらしさが滲み出ていて、どのお話も良かった。 「禍々しさやいびつさだって、極めれば充分に人を惹きつけるんだ」 千早さんの文章は、相変わらず静かで綺麗だなぁ。 『金の指輪』が素敵!
初めて読んだ千早茜さんの作品です。 西洋のおとぎ話を元にした短篇集で、バッドエンドもハッピーエンドもあります。 バッドエンドは影のようなねっとりとしたような暗い感覚が付き纏いますが、むしろ引き込まれていきます。 元になったおとぎ話の内容を知らなくても楽しめました。
七編の短編集。サクッと読める短さだけど、心の中は全然スッキリしない。それが最高! ネグレクト、苛め、嫉妬など、どれもずっしり重たい内容。 私のお気に入りはふたつ。 「鵺の森 みにくいあひるの子」 苛めは、いつでも誰でも標的になり得る。自分は標的にされたくないと思う気持ち、焦り。プールの場面とか、す...続きを読むごいリアルに想像できた。 「金の指輪 シンデレラ」 千早茜さんの、「透明な夜の香り」を思い出した。洋館や草花が連想させるのかなァ。風景を思い描きながら読んだ、気持ち良いお話。 風景とか、においとか、なんでこんなに伝わりやすく書けるんだろう。
モチーフとなった童話のエッセンスを匂わせ、うまく描き出している。全体的に、最後は読者をうまく着地させてくれる。毒々しいが、あとに引きずることがない印象。 ただ、ぐっと引き込まれた作品が、ひとつ。読後に何かが、残るなぁ。良い感触だ。
土台にモチーフとなった童話の要素が敷き詰められている。教訓めいた内容や、残酷性が、現代版にブラッシュアップされているため、とても読みやすかったです。シンデレラの物語がとくにお気に入りです。
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千早茜
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