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Posted by ブクログ
「やっほー!」がこわい。。(笑)
地の文がなく、すべてメールとメッセージアプリ、供述調書や新聞記事など、膨大なテキストで構成されたミステリ。こういうの好き!
登場人物も多く、しかも翻訳ミステリのためかなかなか名前を覚えられず……好みはわかれるかも。
そして、いろいろなやりとりから徐々に事件の全貌が見えてくるスタイルなので、それを冗長に感じる方も少なくないかもしれません。
が、わたしはその全てが好みだったので、とても楽しめました。だんだん登場人物の名前、関係性やキャラクターが、一覧を見ずともわかるようになってきて、何が起きているのか、このあと起こるのか、ページをめくる手が止まらなかった。
ページ数は多いけれど、できたら一気読みできる時間があるときに読むのがおすすめ。
ある女性の人物像が、リアルというか、「いるいる〜(汗)」という感じでゾッとした。
個人的には、結末の意外性を楽しむよりも、見えてくる過程を楽しむタイプのミステリかなと思いました。恩田陸『Q&A』が好きな人は好きだと思う。
Posted by ブクログ
原題は『The Appeal』。
アピールという単語は日本語の会話の中でもよく使われるが、英語の単語の意味を調べてみると「訴える」「気に入る」「控訴する」などなど。ひとつの単語でも色んな意味があるんだな。
なぜこんなことを冒頭で述べたかというと、この本のタイトルは、ここで起こる出来事や登場人物をよく表していると思ったからだ(無論、邦題もいい)。
メールのやり取りとテキストメッセージ、新聞の記事や広告のみで構成されたこの本は、約700ページととても分厚い。
・先を知りたいがために、なんとなく読み飛ばしたくなる。
・ずっとメールを読み続けることに、時々飽きてしまう。
・登場人物が40人近くいるので、誰が誰だか分からなくなる。
・ある人物のメールのタイトルに毎回腹が立つ。
ということが代わる代わる襲ってくるけど、それでもこの話は抜群に面白いのだ。
弁護士ロデリック・タナーの下で見習いをしている若い男女二人が、現在進行中のとある裁判の膨大な資料を渡される。
舞台はイギリスの田舎町。地元の有力者であるマーティン・ヘイワード。彼はゴルフ場を経営する傍ら、劇団を主宰している。マーティンの妻ヘレンは類まれなる演技の才能を持ち、常に主役を演じている。
ある日、劇団員や関係者宛に、マーティンから一斉メールが送られてくる。孫のポピーが難しい病気にかかってしまい、その治療に莫大なお金がかかるという内容だった。それを受け取った人たちは、ポピーのためにあらゆる手段で募金活動を行い、その費用を工面しようと奔走する。
もちろん、まだ2歳の愛らしいポピーの命を救いたいという気持ちはみんな持っているし、純粋にそのために動く人もいる。その一方で、自分たちが住む土地の名士であるマーティンのためだからという理由の人もいるみたい。
見習いの二人はこの資料のみで、いくつかの謎を解き明かし、真犯人を見つけなければならない。すなわち、わたしたち読者と同じ条件なわけだ。
寄付という名の善意は、金額によってその価値が認められる。だってポピーのために大金を集めなきゃならないんだから。でもそこにはいくつもの悪が存在している。
お風呂が熱かったら、水で調整すればちょうどいい湯加減になる。
だけど砂糖の入れ過ぎで甘ったるいコーヒーは、塩を入れたっていい感じにはならない。
善と悪の関係性は間違いなく後者だ。
さて。
ロデリック・タナーからの問いに、いくつ答えることができるだろうか。
真相が分かったあとには、あの何とも言えずゾッとするようなメールが、わたしたち読者を待っているよ。
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