作品一覧
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3.5
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3.0
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3.0温室での洋蘭の栽培に全身全霊を捧げる美しい義姉。彼女が育てる人面花を巡る悲劇と戦慄の真相を描いた表題作ほか、花・星・蟲・鳥を題材として、幽玄の世界のうちに技巧を尽くした傑作ミステリ短篇集『月下の蘭』。かつて公安警察の鬼と呼ばれた盲目の老人と、彼の愛娘が伴った謎の客との会話が思わぬ過去を暴き出す「夜のジャスミン」ほか、男女の愛憎を中心に据え、鮮やかなツイストで読者を唸らせる『殺人はちょっと面倒』。幻の2冊を合本にて贈る。『血の季節』『弁護側の証人』など大胆な仕掛けで世を驚倒せしめた著者が、歌舞伎、能楽などの古典芸能をモチーフとした8篇を収録。【収録作】『月下の蘭』「月下の蘭――春は花」「残酷なオルフェ――夏は星」「宵闇の彼方より――秋は蟲」「ロドルフ大公の恋人――冬は鳥」/『殺人はちょっと面倒』「ラヴ・ホテル〈瀧〉にて」「殺人はちょっと面倒」「夜のジャスミン」「空白の研究 A Study in Blank」/『月下の蘭』初刊本あとがき/編者解題=日下三蔵
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-ジェークにとって、それはこよなく愉しい夢見心地の宵だった。以前から恋こがれていたヘレンとやっと結婚できたのだから。ところが、そのパーティの席上、シカゴ社交界のナンバー・ワン、モーナ・マクレーンが`「絶対つかまらない方法で人を殺してみせる」と公言したのである。よせばいいのにジェークはその賭けにのった。なにしろ、彼女が失敗したらナイト・クラブがそっくり手に入るのだ! その翌日、群衆の中で一人の男が殺された……。そもそもはたして、これはモーナ・マクレーンの仕組んだ犯罪なのか? 弁護士マローンとジェーク、ヘレンのトリオが織りなす第一級のユーモア本格ミステリ。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ20代で探偵事務所を背負って立つことになったコーデリアの、心の機微や葛藤が丁寧に描かれる。
事件の謎よりそちらに重点が置かれているようにも思う。
大きな事件を経験し、今後も悪との闘いが予期される終わり方の中、自分が価値と信じる良識を胸に、堅実に日々の仕事を積み上げていこうとする姿勢がいじらしく、「頑張ったね!ずーっと応援してるからね!」と抱きしめたくなる。
作者は逝去しているようなので、こちらはコーデリア•グレイ2作目にして、最後の作品。
これから30.40.50代と年齢を重ねたコーデリアはどう変化していくのだろう。いつか引退し、茶目っ気を身につけて幸せに暮らすおばあちゃんになっているといい -
Posted by ブクログ
ロンドン塔の王子たちを殺害したのは本当にリチャード三世なのか?ベッド探偵が真実に迫る歴史ミステリの傑作。
シェイクスピアの戯曲では清々しいまでの極悪非道の人物として描かれていたリチャード三世。そのイメージが広く流布したまま時は流れ、本書が発表された20世紀半ばに至っても彼の悪名は依然として世間に轟いていた。退屈な入院生活中にふとその肖像画を目にすることになったグラント警部は、人間の顔分析についての職業上の経験と独自の見解から、「この人物は本当に悪人だったのか?」と疑問を抱く。退院までベッドで暇を持て余す警部は、歴史的人物の真相に迫るべく文献の調査と推理に乗り出していくのだった。
英国の歴史