【感想・ネタバレ】女には向かない職業のレビュー

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ネタバレ

初めてのP・D・ジェイムズ。とっつきづらいイメージに反してリーダビリティが高く、読みやすいじゃん!と思ったけれど、解説によればこの作品が例外的に読みやすいらしい。
共同経営者を自殺でなくしたばかりの女主人公コーデリアが、自殺とみなされた青年の死の原因をひたむきに探る物語。年若い女探偵ものらしくスリリングなピンチもあり、真相を探るべくひたむきに頑張るいじらしさに胸打たれ、そして後半に至る怒涛の展開、最終盤のある意味でのどんでん返しには驚いた。本当に面白かった。ダルグリッシュ警視ものを他にも読んでみたいけれど、なかなか難易度が高そうだなぁ

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2023年02月08日

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学生の頃に自分で作ったランキングの上位にあるが内容を覚えてない本が意外と多い。これもその一冊だがまったくの初読のように楽しめた。まだ女性私立探偵が女性らしく描かれなかった時代に書かれた男社会の中で抗う22歳の私立探偵コーデリア。自殺した息子の動機を調べてくれと依頼される。この話は二重構造になっていて、事件を解決するコーデリアの推理譚の一方で、自殺した元パートナーの元上司でラスト数ページで現れたダルグリッシュ警視が倒叙ミステリのようにコーデリアの秘密を追い詰めていく。だが決して敵対的ではない。ダルグリッシュはコーデリアに目を細める。若いコーデリアの成長と今後を期待させる、PDジェイムスらしからぬ面白さの傑作

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2021年09月10日

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どんなに頑張っても報われないことがある。「負ける」ことはインナーチャイルドを癒していくためにすごく大事なこと。コテンパンに負ける小説を読んで、負けを認める疑似体験を。

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2020年02月23日

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題名からしてずるい。「女には向かない職業」はなにを想起させるだろう。二項対立で考えるなら、少なくともP.D.ジェイムズには「女に向く職業」が思い浮かぶということだ。ビジネスパートナーの突発的な死によって、コーデリア・グレイは22才の若さで私立探偵として自立を決意する。その直後、名士の息子が自殺した理由を調査するよう依頼される。コーデリアは地べたを這うように調査を進めるのだが、その様子を「可憐」と口走らせることがP.D.ジェイムズの狙いだろう。「こういう女の子が好きなんでしょ?」とほくそ笑むのが透けて見える。青春小説でもある。コーデリアは特殊な青年期を過ごす設定になっている。父親はヒッピーのごとき詩人であり、愛情をかけて育てられていない。放浪生活を強いられたり、修道院生活を送らされたり、よくある友情を経験できていない。多感だが「浮いてる」彼女が、調査対象の息子が通う大学の友人たちと、舟遊びしたりパーティーするときに洩らす自己言及が、だいたいみんなが持つであろう孤独感と共鳴して印象的だ。トリッキーではないが、ミステリーのプロットとしても秀逸。コーデリアと境遇が似てるウィノナ・ライダーが若いときに演じてほしかった。名著です。

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2012年07月04日

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コーデリアのキャラがいいですね。
ストーリの展開もスピーディーといった感じではないものの地に足のついたしっかりとした展開になっています、

「描写が少しくどいかな?」とも思いましたが、読み進めるにつれランナーズハイのようにストーリーだけでなくこういう描写を読んでいくのも、楽しみになっていきました(笑)

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2011年09月19日

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ネタバレ

コーデリア・グレイは駆け出しの私立探偵。共同経営者がある朝オフィスで自殺し、持ち込まれた事件を自分一人で対処することになる。はじめての依頼は高名な微生物学者からのもので、息子の自殺の動機を調べること。亡きパートナーの教えを頼りに調査を始めたが、不審な事実が次第に明らかになり…。登場人物表の2番目に書かれている人(おそらく重要人物)が、いきなり1ページ目から亡きものとなってるところに思わずうなった。うーん、つかみが巧い。ケンブリッジを舞台とした事細かな描写…キングズ・カレッジ・チャペル、書店、ポークパイ、ケム河でのパンティング、自転車向きの田舎道…なども個人的にツボ♪主人公コーデリアは若さあふれる真面目さと冷静さを持つ、度胸の据わった22歳の女性。話し方がすっきりしていて好感が持てる(訳がいいのかも)。初めての事件は手探り状態ながらも、自分の判断と教えを信じて、着々と調査を進める姿がすがすがしい。でも、さすがに自殺した青年の住んでいたコテージ(首吊りの遺体があった部屋)に住み始めたときには、おいおいやめときな!っと突っ込みを入れたくなってしまった。すごい度胸。こんなところも「女には向かない職業」って絶妙なタイトル。暗闇に首つり枕を仕掛けられて何者かに警告を受けたり、井戸に放り込まれて傷だらけになりながらレンガを這い上ったり、車で追いかけたりというハードな探偵っぷりを発揮する側面ももちろん楽しい。だが、コーデリアがかつて進学をあきらめたケンブリッジに奇妙な巡り合わせでとうとうやってきた!という束の間の感激を現す場面や、事件後パートナーの上司だった警視に対して冷静沈着さの糸が切れ、感情のまま抗議をぶちまけた場面にこそ、心を動かされる面白さがある。(ちなみにこの警視は別シリーズの名探偵役)。いい読書時間を過ごせる傑作だ。 

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2022年08月12日

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描写が細かくのめり込むように読めた。一昔前のイギリスの雰囲気がおしゃれでよかった。
コーデリアちゃんの幸が薄いけど逞しいところが好き。
もっと活躍が見たいので『皮膚の下の頭蓋骨』も読みたい。

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2023年07月07日

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1972年、イギリスの女性作家による作品であることを知ってから読むとより面白いかも。重厚な表現と作品当時の時代感が楽しかった。

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2023年06月06日

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ネタバレ

名探偵コナンのあのキャラ名の由来。ずっと読みたいとは思っていたが、ハヤカワ文庫が新カバーになったのを見てついに購入した。
本書が著されたのはかなり以前で、ずっと新訳もされていないようなので、少し読みにくさを感じるのは仕方ないように思った。特に序盤は、一読して意味の取りづらいような箇所があった。それでも、物語が進んでいくにつれ、それほど気にならずに読み進めることができた。
ミステリであり、もちろん、コーデリアが謎を追っていく過程も面白いのだが、舞台が大学都市?のイメージの強いケンブリッジであることや、随所に英国の文学者からと思われる引用があったり、ケンブリッジの川の風景描写が鮮やかだったり、安易に展開の面白さを追求しているというよりも、落ち着いた文学的な教養のある小説の要素も強いように感じた。
おそらく一般的に、本書はミステリーとしての評価もさることながら、コーデリア・グレイという若い女性がたった一人で探偵としての最初の仕事をひたむきにこなしていく姿を描いていることに、より着目されて語られることが多いのではないか。
そして確かに、率直に言って、コーデリアが悲運な状況にもめげずに、探偵という仕事を一人でこなそうと立ち向かっていく様子に好感を持った。一種の仕事小説のようにも読める。青山先生の灰原哀のイメージももしかしたらまさにコーデリアから取られている面もあるのではないかとも思った。
ただ、コーデリアの魅力だけではなく、謎が明らかになる過程や、密かに持った銃で犯人側と渡り合ったり、何とか窮地を脱出したりする場面など、細部も含めてスリリングで飽きさせない作品であると思った。
また、意外であったのは、一応の真相がすべてわかってから、コーデリアが亡きパートナーの仇とも言える警視と相対するまでの物語にも割と紙面が割かれていたこと。
こんなに魅力的な女性の探偵はなかなか出会えないように思った。ただ、残念に思ったのは、コーデリア・グレイのシリーズはたった2作しかないことである。そして第2長編も購入したので、いつか必ず読んでみたいと思う。

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2021年12月18日

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探偵稼業は女には向かない。自殺した共同経営者の跡を継ぎ、一人で探偵事務所を続ける灰原哀ちゃん大活躍。もとい、コーネリアグレイの成長譚。

健気とは言わない。探偵のノウハウを脳内再生し、心の声で「やれる。私ならやれる」
ひたすら突き進む彼女を気付けば応援している。強がりでタフな精神。魅力でいっぱいだ。

探偵として証明するため、そして師弟愛のため。未熟がゆえに解決へと繋がる。
重圧から解き放たれた時、繕ってきた探偵の姿が崩れる。少女らしさに胸を打ちます。

ひたむきで力強い可憐な女探偵。最高じゃないか。『皮膚の下の頭蓋骨』も読まねば。

オススメマラソンその⑱
桜さんから紹介してもらいました。

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2018年10月30日

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物語の始まりに、共同経営者が自ら命を絶ったことを発見する主人公。
なんという辛い幕開けなのよ、もう・・・といきなり重たい気持ちで、どんよりと読み始めたこの作品。
最初は、なんか抑揚がなくてわからんなあ、と思いながら読んでいましたが、いつしか、主人公のコーデリアがとても好きになってしまっていた。孤独に奮闘するこの人のことを応援したくなる気持ちで、どんどんページをめくっていきました。

それにしても、コーデリア・グレイだなんて、名前がいい!
反則、反則~!
わたしもこんな名前になってみたい・・・

コーデリアの探偵としての独り立ちは、そんな形で突然やってきたのですが、パートナーの死の悲しみにひたっている暇もなく、あぶなっかしいけど毅然として仕事に立ち向かう姿は痛々しくて、そう、全編を通じて心が痛みながら、この作品を読み終えたのでした。

捜査(探偵だから調査なのかな)の中で出会う人たちの、なんとも人間くさいところもいい。全員何かを隠していそうで、あやしいけど、かといって完全なワルにもなりきれそうにない人たち・・・
コーデリアのひたむきさに心が引き寄せられ、コーデリアをみんな好きになっていくところがおかしかったな。
本当は話さないで鍵をかけておくつもりでいたのに、ちょっとづつ、協力をしてくれるようになるあたりが、仕事に追われ、感情もあらわにできないコーデリアのかわりに、なんだか報われた気持ちになっていきました。

はからずも単独での仕事を引き受けることになり、行き詰まったり、不安に思う事があっても、もはや相談できる上司もない中で、孤独に仕事に立ち向かっていくことは大変なことだと思うのです。自分だっらそんなことできるか?と。だけど、これまで仕事の中で教えられるともなく伝えられていた上司のポリシーを支えに、正しいことに向かって進んでいくコーデリアはとても可憐で爽快、あっぱれだったな。
コーデリアのような「女」には、向かない職業じゃないと思ったよ!

そういえば、以前、上司が、”「紳士であれ」ということはきみにはできないだろう?”と言っていたのがとても印象的で、そういうの、コーデリアもきっとくやしかったんだろうな~。
でも、こじか色のスカートとグリーンの半袖スエーターを仕事着に選んでトランクに詰めるなんて、そんなおしゃれ、まさに紳士にはできないでしょう。おっちゃんには向かない女性探偵という職業(←当たり前だ)、ミニクーパーで疾走する彼女の活躍を、もっとシリーズものでたくさん読みたかった気もしますが、そこはかなわないからいいのだ、というような気もします。
(あと一作あるので、つぎのお楽しみに。)

読み終わって一息ついて考えてみると、これは探偵ものというより人間ドラマだったのだわ!と納得しました。探偵も警察も被害者も容疑者も証言者も、みなひとくせあって正直で、事情のあるなかで生きていて、味のある人達ばかり。そこがこの物語の魅力でした。

こじか色のスカートとグリーンのスエーターのコーディネート。しっかり真似させていただきます。

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2012年12月05日

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  女探偵もの自体、なかなかお目にかからない。私が読んだ、数少ない海外ものの一つ。
  ストーリーの起伏は激しくない。ゆるやかに、だが飽きない調子を持っている。内容の割にページ数が多いな、などと手に取った時は思ったが、第一印象などあまりあてにならないな、と思うくらい面白かった。訳にも、ありがちな違和感を感じなかった(ように思う)。
  本格モノを志向している人には、やや冗長に感じるきらいはあるかもしれない。

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2012年09月30日

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真面目で几帳面、行動力あふれる女探偵コーデリア・グレイが主人公の推理小説。同作者P.D.ジェイムスが書いた『ダリグリッシュ警視』の番外編。
井戸に落とされ、そこから這い出るシーンが印象的でした。
名探偵コナンの14巻の後ろで紹介され
ています。

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2012年08月25日

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コーデリア・グレイ探偵のデビュー作です。P.D.ジェイムズ作品中最も親しまれている1冊です。ほとんど経験もない若い女性には探偵なんて向いていない。どの人からもそんな言葉を浴びせられる中、コーデリアは一人で立派に初めての事件を終えました。そもそも探偵事務所の共同経営者だった元犯罪捜査官のバーニイが自殺してしまったことから、彼女の苦労が始まりました。一人で私立探偵をやっていこうと決意を固めたところに舞い込んできた仕事が、カレンダー卿の息子マークが自殺した理由を調べて欲しいというものでした。持ち前の才気と頭の回転の速さを最大限に活用して、全身全霊で事件に立ち向かう姿勢にはエールを送ってしまいました。調査や推理がたどたどしい分、読者もしっかりついていけて知らない間に取り残されているということがありません。コーデリアと共に一喜一憂し、殺人の恐怖に震えます。途中事件解決をあきらめそうになったり、危うく殺されそうになったりしますが、最後には殺人の偽装工作までやりきってしまいます。ミステリー初心者でも楽しめる作品だと思います。P.D.ジェイムズの他の作品に登場するダルグリッシュ警視も出てきます。

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2012年04月30日

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意外におもしろかったです。ハードボイルドではないと思ったのに、結構コーデリアは探偵に向いています。彼女の出てくる「皮膚の下の頭蓋骨」はもちろん、アダム・ダルグリッシュ警視ものも読みたくなりました。

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2011年10月11日

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いわゆる「本格」で「古典」で難しいんだろうと思い込んで読んでいなかったんだけど、読んでみたらば、すごくおもしろくてびっくり。べつに難しくないし、ちっとも古めかしくない! 慣れないながらもあちこち聞き込みに行ったり調べたり、あげくに死にそうな目にあったりっていう、ヴィクやキンジーといった現代の女性探偵のまさに原型!って感じ。主人公の生い立ちや心理描写も細かくて、同じ主人公の「皮膚の下の頭蓋骨」も読みたいと思った。

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2011年09月18日

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読書の日々で、合間に海外ミステリーをはさみたいなって時期があり、今回はこの本をチョイスした。
地味ーーーに話が続いていくけど、読むのが止まらない。

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2023年12月20日

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イギリスの少し古めの推理小説に抵抗がなければ、楽しめる。
出版が時代的に少し古いので、そのためか翻訳されている会話も少々堅苦しいセリフ回しが多い。また、文章も回りくどい。
英語を忠実に、そのまま前から訳したような文章が、読むリズムをもたつかせる。

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2023年02月26日

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イギリスの作家「P・D・ジェイムズ」の長篇ミステリ作品『女には向かない職業(原題:An Unsuitable Job for a Woman)』を読みました。

「オリヴァー・ハリス」、「ジム・ケリー」に続き、イギリスのミステリ作品です。

-----story-------------
探偵稼業は女には向かない。
ましてや、22歳の世間知らずの娘には―誰もが言ったけれど、「コーデリア」の決意はかたかった。
自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、一人で探偵事務所を続けるのだ。
最初の依頼は、突然大学を中退しみずから命を断った青年の自殺の理由を調べてほしいというものだった。
「コーデリア」はさっそく調査にかかったが、やがて自殺の状況に不審な事実が浮かび上がってきた…可憐な女探偵「コーデリア・グレイ」登場。
イギリス女流本格派の第一人者が、ケンブリッジ郊外の田舎町を舞台に新米探偵のひたむきな活躍を描く。
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1972年(昭和47年)に発表された作品で、女私立探偵「コーデリア・グレイ」シリーズの第1作目にあたる作品です、、、

「コーデリア」と探偵事務所を共同経営していた「バーニイ・プライド」は、元スコットランド・ヤード犯罪捜査部の「アダム・ダルグリッシュ警視」の部下だったことや、本作品の終盤に「アダム・ダルグリッシュ警視」が登場することから、「アダム・ダルグリッシュ警視」シリーズのひとつ(番外編)とも言える作品ですね。


「コーデリア・グレイ」、22歳… 秘書として雇われた探偵事務所で所長の「バーニイ・プライド」の共同経営者となった矢先、「バーニイ」が癌を苦に自殺、、、

一人残された「コーデリア」は、誰からも「探偵は女には向かない」と言われながらも、故人の遺志を継ぎ、探偵の仕事を続けることを決意する… そんな彼女に舞い込んだのは、突然大学を辞め、自ら命を断った息子「マーク」の自殺の理由を調べてほしいという「ロナルド・カレンダー卿」からの依頼だった。

ケンブリッジに赴いた「コーデリア」は、「マーク」が自殺した現場を詳細に調べるうちに不自然さに気付き、他殺の疑いをもつ… ケンブリッジ大学在学中の友人への聞き込み等から、「マーク」の出生等に疑問を持ち、「ロナルド・カレンダー卿」や妻の「エヴリン」、「エヴリン」の乳母「ゴダード夫人」等の過去を調査する、、、

そして、幾つもの不可解な事実を突き止めるが、自身も何者かに古井戸に突き落とされる等、命の危険に晒されながら事件の渦中に巻き込まれてゆく… 他殺だったんじゃないかというのは中盤あたりで判るのですが、なぜ、誰が、どのように犯行に及んだのかについてが、なかなか判然とせず、「コーデリア」に感情移入して、一緒に推理を進める感じでしたね、、、

まさか、犯人が自殺に偽装した遺体を、別な人物がさらに偽装していたとは… そして、「マーク」の実母が犯人を殺害し、それを警察から隠そうとする流れですからね、なかなか予想できない展開でしたね。

でも、「アダム・ダルグリッシュ警視」は全てを知っていた… というオチ、、、

序盤はちょっともどかしい感じがありましたが、中盤以降は愉しめました… 探偵としては未熟な「コーデリア」が、健気にひたむきに探偵業に取り組む姿に共感できました。


以下、主な登場人物です。

「コーデリア・グレイ」
 女私立探偵

「バーニイ・プライド」
 探偵事務所の所長

「ロナルド・カレンダー卿」
 科学者

「マーク」
 ロナルドの息子

「エヴリン」
 ロナルドの妻

「ジョージ・ボトレイ」
 エヴリンの父

「ゴダード夫人」
 エヴリンの乳母

「エリザベス・レミング」
 ロナルドの秘書

「クリス・ルン」
 ロナルドの研究助手

「ビューゴー・ティリング」
 マークの友人

「ソフィア・ティリング」
 マークの友人

「イザベル・ド・ラステリ」
 マークの友人

「デイビィ・スティーヴンス」
 マークの友人

「マークランド少佐」
 退役軍人

「ミス・マークランド」
 マークランドの妹

「グラドウィン」
 医師

「マスケル」
 部長刑事

「アダム・ダルグリッシュ」
 犯罪捜査本部の警視

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2023年02月15日

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22歳のコーデリアはパートナーが突然自殺し探偵事務所を引き継ぐこととなる。
ミステリーとしてはありきたりな内容だが、これが30年以上前に書かれた作品と思うと感慨深い。

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2022年07月17日

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ピーター・ロビンスンを読んだら女性作家の推理小説を読みたくなって読んでみた。「女には向かない職業」というのにも興味がわいた。

22歳のコーデリア、雇い主の探偵が自殺し事務所はコーデリアに譲るとの遺言。そこに21歳の息子の自殺の真相を知りたいとのその父よりの依頼。

文体が修飾が多くてしばしば読み止まってしまう。が向こう見ずともいえるコーデリアの行動に目が離せない。

真相がこういうのありかなあとちょっと疑問。

瀬戸川猛資氏の解説がおもしろい。
どうして探偵が「女には向かない職業」で、小説でも女性探偵が少ないのか、という状況が生まれてしまう背景として、名探偵を主人公に据えたミステリが男性原理にのっとった小説だから、だとしている。男性ながらわかっている。

小説中、謎を追求すると危ない場所、汚い場面にでくわし、切ったり撃ったり、そういう行動をとらせるのは男性主人公こそがふさわしく、あえて女性主人公にやらせても、それは無理強いというものであり、”Unsuitable"不釣り合いな感じしか受けない。
 男性主人公=ヒーロー=力のイメージ
 女性主人公=ヒロイン=美のイメージ
という物語の法則をひっくり返したところで、一部には受けるが広くは受け入れられない、という。

このコーデリアに関しては、ダルグリッシュ警視は事件の真相を知っていて、コーデリアの隠蔽をも見破っている、そして「(かつて部下だったコーデリアの雇い主の)葬式にもこなかったじゃないの」と、ここでヒーローのダルグリッシュの登場で、今までヒーロー役を演じてきたコーデリアが、可憐なヒロインへと変貌する、一種の心理的ドンデン返しがある、という。

1972発表
1987.9.15初版 1999.12.15第18刷

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2020年11月30日

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主人公は22歳の女探偵コーデリア。
ある日突然大学を辞め自殺した青年の父親からの依頼が舞い込んだ。
息子が自殺した理由を調べて欲しい、と。
ひたむきで健気、だけど時折見せる激しさが年相応で人格者じゃない未熟さが良い。
事件の謎を追いつつ、コーデリアの魅力に惹かれながら読む一冊。
あと、この結末は意外だった。

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2020年06月17日

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探偵事務所の主を自殺という形で失った女探偵コーデリア。

新米探偵が依頼を受けた、ある青年の自殺の理由。

今は居ないバーニイの教えを胸に刻みながら
ひたむきに事件の真相を暴いていく。

コーデリアが危険な目に合いながらも冷静に切り抜ける姿に頑張れ!って言いたくなる。
後半は、そっちに行くか~って感じの事件解決だったけど
探偵として頑張るコーデリアを応援したくなりました。

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2019年01月25日

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コーデリア・グレイ・シリーズ第1作。

探偵事務所のパートナーが亡くなり、新米のコーデリアはたったひとりで探偵業を続けることになった。さっそく、高名な科学者の息子の自殺理由を調べてほしいとの依頼がきて、ケンブリッジに赴くが……。

タイトルになっている「女には向かない職業」というフレーズが作中に何度も登場する。その言葉どおり、探偵業の厳しさがコーデリアに襲い掛かる。そのたびに亡きパートナーの教えを思い出し、あきらめずに頑張る姿がけなげだ。終盤に他シリーズの主人公であるダルグリッシュ警視が登場する。

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2018年02月09日

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ネタバレ

英国女流ミステリの大家P・D・ジェイムズ。彼女の代表シリーズといえばアダム・ダルグリッシュ警部物が連想されるが、それと双璧を成すのが本作を1作目とする女探偵コーデリア・グレイシリーズだ。しかし双璧と成すと云えど、実際にはこのシリーズ、たった2作しかない。なのに読者の支持は非常に高く、3作目を期待する声もあるほどだ(結局書かれなかった)。その人気の秘密は主人公コーデリアにある。突然勤めていた探偵事務所の上司の自殺でその事務所を弱冠22歳で引き継ぐことになったコーデリア。彼女のこの若さゆえにまだ残る純粋さが時に武器になり、時に仇となり、まだ彼女にとっては狭い社会との軋轢に悩まされるその姿に多くの社会で働く女性が共感したのだろう。

そんなコーデリアが引き受けた依頼は大学を中退し、自殺した青年の自殺した理由を突き止めて欲しいというもの。最初に手がける事件として、これほどコーデリアに向いている物もないだろうと思わせる、実に上手い内容だ。

とはいえ、事件はさほど印象に残るようなものでもなく、本作の主眼はやはりこのコーデリアが世間に揉まれ、亡き上司の教えを思い出しながら、徒手空拳で事件を探っていくその姿にある。特に私は捜査の途中、コーデリアが古井戸に落ちてしまい、そこから這い上がるシーンがあるが、そこにいきなり右も左もわからないところから必死に這い出ようとしているコーデリアの心情がメタファーとなっており、非常に印象深く残っている。
また本作の歴史的価値も高く、私がミステリを読み始めた頃、世間ではサラ・パレツキーやスー・グラフトンらに代表される4F物なる、女探偵を主人公にした作品が流行していたが、本作はそのブームに乗じた物ではなく、それに先駆けること10年以上も前に書かれた本格的女探偵物だということだ。ちなみに4F物とは作者、主人公、読者、そして日本では訳者が全て女性(Female)という意味。

が、そんな名作も、当時まだミステリ読みとしてはさほど冊数をこなしていない私にしてみれば、いささか退屈を感じたのも正直な気持ち。特にこの作品は章立てが少なく、1章が60ページぐらいあったような記憶があり、細かい章立てでいつでも読み止める事が出来る日本その他の小説に慣れていた私にとって、ちょっと読みづらかった。私はどうもある区切りがないと、読み止めることが出来ない性質なのでこれにはちょっと困った。
そして最後に登場するダルグリッシュ警部とコーデリアの対決シーン。初ジェイムズ作品としてこれを読んだ私にはこのシーンの意味がほとんど判らず、戸惑いを感じてしまった。この後、現在に至り、私はジェイムズ作品を読んでいくのだが、ダルグリッシュ警部シリーズも読んだ今ならば、このシーンは当時の数倍にも増して胸に響いてくるものと思う。

小説には読む時期というものがある、というのが持論だが、正にこれはそういう意味では読み時期を見誤った作品といえよう。いつか機会があればもう一度読み直してみたい。

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2016年12月02日

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ダイバーシティが盛んな現代で「女には向かない」などと発したら大論争になりそうだが、そんな様相を感じさせないのは時代とコーデリアのキャラだろうか。ミステリーというミステリーはなく、サスペンス感もない。しかし彼女をとりまく事件と真相解明、その後彼女を襲うジレンマには、ある意味新しいミステリーの世界が垣間見れる。いわば「ソフトミステリー」ってとこだろうか。

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2016年09月03日

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おお、コーデリア……君はなんて真面目で寡黙で、辛抱強いんだ。私は読んでいてひやひやしっぱなしだったよ。

正直、彼女の真面目さや頭のよさを、そんなに多くの人が理解してくれるとは思えないし、それに対して敬意を払ってくれるとも思えない。
でも彼女はそういう生き方しかできないし、彼女の生きている世界が彼女に対して優しく変化してくれることもないのだ。そのことがただ痛々しくもあり、少しうっとおしくもあり。

コーデリアはこれからも探偵を続けるのだろうか? やはり私は、彼女には探偵という職業は向いていないと思う。

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2015年09月06日

Posted by ブクログ

久々の海外小説だったので、調子に乗るまであたふた…
分かりやすい話だったのに。
だけど昔取った杵柄で、読みだしたらす~いすい、面白かった!!
国は違えど探偵モノは読む喜びを感じる。
そしてなぜかいつも犯人に悪感情を持てない…
時代劇では悪役はいつも嫌なヤツって決まってるのにね。

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2013年04月19日

Posted by ブクログ

字が小さくて読みづらかったけど、内容は楽しめました。

上司が自殺してしまい、一人で運営していかなくてはならなくなった年若い女私立探偵が、初依頼を受けてケンブリッジに行く。

案件内容は、自殺してしまった息子の死の原因を探って欲しいという依頼。

自殺の原因を探って行くうちに、他殺を疑うようになっていき...

展開が目まぐるしい。上司の自殺から依頼を受けて捜査という展開に目が離せなくなります。

捜査のなかでもハラハラ場面があり驚きました。
事件から核心→真相→最後まで楽しめました。

続き物だったら、次も読んでみようと思います。

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2012年02月20日

Posted by ブクログ

桜庭一樹著《少女には向かない職業》のレビューで少し触れたので入れてみた。こちらは殺人者ではなく一応、探偵稼業が女には向かない職業となっている。私立探偵、コーデリア・グレイの最初の事件の物語だ。初っぱなから探偵事務所の共同経営者が自殺しひとりで仕事をこなさなければならなくなるコーデリアのもとにある青年がなぜ死んだのか調べてほしいという依頼が舞い込む。自殺か他殺か、彼はなぜ死ななければならなかったのか。ミステリとしてはそれなりに良くできている。犯人の予想は簡単に立ったが。また翻訳書であるということを前面に押し出した文体が古い。もちろん初版は80年代だということを考えれば仕方ないことかもしれないが。

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2011年12月13日

「小説」ランキング