作品一覧 2024/04/12更新 文藝春秋 NEW 試し読み フォロー 最愛の 試し読み フォロー 異郷の友人 試し読み フォロー 引力の欠落 試し読み フォロー Web新小説 試し読み フォロー キュー 試し読み フォロー K+ICO 試し読み フォロー 太陽・惑星(新潮文庫) 試し読み フォロー 旅のない NEW 試し読み フォロー 塔と重力 試し読み フォロー ニムロッド 試し読み フォロー 私の恋人(新潮文庫) 試し読み フォロー 1~12件目 / 12件<<<1・・・・・・・・・>>> 上田岳弘の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 塔と重力 上田岳弘 読書開始日:2022年1月6日 読書終了日:2022年1月13日 所感 ニムロッドでも思ったが、著者のシステマチック、ロボットのような精密かつ無機質な文章は、スルスルと脳に入ってくる。 【塔と重力】 人間削いでいくと座標になる。 神も座標か。 水上の小説には頷けるところがある。 生まれ落ちた瞬間の核...続きを読むは同じで、その後から誰かの影響という肉がつく。 だからこそ途中で美希子が世界に散らばっていると考え出した。 文章中にもあったが、おそらく美希子は精神病で、主人公もまた精神病。 美希子と重ねることができた葵、その葵とのこどもへの祈りがいい。瓦礫に埋もれた経験から実生活を実感出来ない主人公が新たな思考に辿り着く。 「初期値としてまずはすべてを受け入れるしかない。それでも最後は本人が、一生のうちに起こることの幾らかに愛着を感じ、またこの世に生まれ直してもいいかなと思えるような一生を過ごせればいい。」 とても好きな作品だけど難解。また読んで深く理解したい。 【重力の無い世界】 このまま効率化を求めていったら世界はこうなるだろうなと読んで思ったし、心のどこかで感じてた気がする。 肉の海。演算された人生。実生活の。 来ると思う。いつか。 演算された世界でも実相の醜さはある。これが負荷なんだと思う。なんでもプレイリスト化できる演算世界でも、醜さを取り入れる。それが原動力になってた部分があった。 性別、個性等がなくなり、次のステップは重力を消すこと。この重力は実は負荷で、負荷がなくなることを実生活と演算世界どちらも経験している者は、とても怖がっていた。 多少の負荷は必要悪だ。 【双塔】 内容が非常に難しいがなんとなくわかる。空気感だろうか。 意味が重要視される社会。 新規性がないとリジェクトされる。 新規性があれば肉の海のアップデートとなる。 だが、進みすぎた世界はリジェクトしかならない。 ありふれた人間はリジェクトピープル。 人々はリジェクトされないように高みを目指すが、高みを目指したところで視点を変えればそこは高みでは無い。 祭祀王はもとより、めでたいこと=リジェクテッドとしていた。 個性、重力、性別がなくなっていく現在、そして未来においても、めでたいことはめでたい 読解に自信がない。 Posted by ブクログ 塔と重力 上田岳弘 もうね、読むと脳が喜ぶんですよ。 これこれ、この感じ。 この言い回し。 この言葉選び。 この話の流れ。 このモチーフ (片目から出る涙、肉の海、等々) この世界観。 本作では「大きさのない座標」という 数学界では誰も疑問に思わず ごく当たり前に使われている概念が いきなりぶっ込まれてきた。 「塔...続きを読む」の話もよく出てくるけれど 肉の海ほどは輪郭がはっきりしない。 これからどのように展開されるのだろう。 書かれていることは抽象的なのに 表現が具体的。 そんな上田岳弘が大好きです。 Posted by ブクログ ニムロッド 上田岳弘 淡々と紡がれていく文章がとても心地よく、一息で読み終えた。 情緒的でもなく、悲劇的でも無いと言えるような文章で描かれる独特な作品。 なんとなくテーマは分かるが、作者の意図やそれに対する答えなどが書かれているわけでなく、正直そのテーマを取り巻くものはよく分からなかった。 しかし、何となく感じるボーッと...続きを読む浸れるこの読後感、主張しすぎない文章、冷静に独立したただここに在る作品、とても僕の好みであった。 何度か読み返す作品となるだろう。 Posted by ブクログ 塔と重力 上田岳弘 卑近なイメージから、この世の果てみたいなすごいところまで運んでくれる、想像力の跳躍。 テクノロジーを書かなさ過ぎる純文学界において、作者はさんは稀有な存在じゃないでしょうか。 「上田岳弘さんは芥川賞を取る」という予言は当たったので、次は「ノーベル文学賞を取る」と予言します。 Posted by ブクログ 異郷の友人 上田岳弘 回りくどさと軽快さのバランスが絶妙な文章。 記憶だけを知っている人物たちが、偶然の重なりで山上の前に集結するのに、少年漫画みたいな熱さがあった。最後まで読むとタイトルの意味が分かってグッとくる。 スツナキミの正体は「無」だというけれど、全てを無に帰してしまうような津波が起きても、世界は無にならないし...続きを読む、大再現は起こらない。ずっと続く世界に、人間はただ存在する。それは虚しいけれど、裏を返せば、どんな事が起きても人間の存在は無くならないという事を強く示す、大きな希望でもあると思った。最高の作品。 Posted by ブクログ 上田岳弘のレビューをもっと見る