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仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。
中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。
小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。……
やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して。 ……
「すごく好きです。胸がつまって泣きそうになりました。」――島本理生さん
(TBS系毎週土曜日あさ9:30~放送中「王様のブランチ」より )
【芥川賞選考委員絶賛、選評より】
「地上から塔の頂上へと、軽々と読者を運んでいく垂直の跳躍力こそがこの作家最大の魅力である。」――吉田修一さん
「ここには小説のおもしろさすべてが詰っている。」――山田詠美さん
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Posted by ブクログ
わからなさが残る。けれどなんだか響く言葉もあり、なんとなく『東京都同情塔』を思い出す。
バベルの塔を思わせる「塔」
「駄目な飛行機コレクション」
「小説」、そこに「ビットコイン」
欲しがる人が多ければ多いほど価値の上がる実体のないもの。
「駄目な飛行機コレクション」は、人間の欲望が形になったもの。縛られていることと自由のはざまで、それぞれどこを突出させたかで、いろんな駄目な飛行機コレクションが出来上がる。
「欲望」、「人間」、「根源的な衝動」
そしてその可能性について。
『東京都同情塔』がよかった人には読んでみてほしいです。
再読記録で印象に残った内容・言葉
Posted by ブクログ
「私の恋人」「塔と重力」に比べるとだいぶ読みやすかったが、この人の小説は、人類とか世界とか地球とかをあたかもひとつの生命体のように捉えていて、読み終わってから深く考えさせられるし、一度読んだだけでは理解できない気がする。
登場人物は、ビットコインの「採掘」をする僕と恋人で証券会社に務める紀子、会社の先輩で小説を書くニムロッドこと荷室。
紀子も荷室も高い生産性が求められ、効率化をよしとする現代に適応しきれず苦しんでいるように見える。紀子は、障害があることがわかって胎児を産まない選択をした過去に苦しみ、荷室はうつ病で休職したあと名古屋に異動した。
荷室が送ってくる「駄目な飛行機シリーズ」は、飛行機が完成し実用化した現代には全く価値がないもの。でもその不完全さ、ダメさは人間らしさの象徴であり、紀子はそれに癒やされ、荷室の書く小説の中でのニムロッドは高額でそれを蒐集する。
飛行機を売りにくる商人が、人類の行く末(効率を追求した果てに個であることをやめ、どろどろに一体化するという)を説明するくだりが衝撃的だった。
ラストで二人(生死は不明)と連絡がとれなくなった僕が、感情の伴わない涙を流す。彼は二人とは逆に人間らしい感情をどんどん希薄にし、機械に近くなっていくことで、何とか生きている気がしてやるせない気持ちになった。
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