【感想・ネタバレ】最愛ののレビュー

あらすじ

「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」

三〇代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。
だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。
望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。
今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。

愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。
「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても良かった。久島が出逢う人々は一癖あるけど魅力的だった。自分と同じ時間に確かに彼らは存在していたのに時と共に記憶は薄れる。記憶を取り出そうとするとフィクションに近づく。だから完全に忘れて、ふとを見上げたときにだけ思い出す星のように遠くへ。読み終わりたくないほどに素敵でした。

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2024年07月10日

Posted by ブクログ

 親友、恋人、人との繋がりとは何なのだろう?と考えさせられた。深くても見えなくて、切れても消えるわけではなくて、当たり前のことなのに不思議だと感じた。
 時間の経過とともに、久島にとって大切な人たちは遠い存在となってゆくが、目には見えない何かがふわりと漂っているような気がした。

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

クライマックス!!!
前半は周縁的なエピソードが多くて冗長とも思える展開。読むのに時間がかかってしまった。必ずしもワクワクするような展開ではない脇役エピソードを一個一個拾い集めてじりじりと面白くなっていき、最後に全てが集約されている感じ。どんでんがえしという表現は陳腐だが、こんなにも情趣に満ちたラストを迎えるとは思わなかった。最後の数十ページのために読んでよかったと思えた。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

過去と現在、同じ時を生きているけど交わらない世界。愛しているが故に、の哀しくも美しい世界。

レビューを見てると、段々とこういう作品が理解されなくなってきているのを感じる。共感性や想像力が低下してしてきているのか。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

最高純度の超越的恋愛小説と評されているようです。 自分的にはとても良かったのですが、 こういう男性作家が書いた、男性が主人公の恋愛小説って、 女性が読んでも良いと思えるのかなあ? ちょっと女性の感想を聞いてみたい。

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2024年04月02日

Posted by ブクログ

世の中に迎合し切ることができない僕(久島)が学生時代に転校していった望未と手紙で通じあっていく、そんなお話でした。主人公だけではなく、登場人物それぞれの抱える生きにくさがよくわかり、また、時間軸の構成が見事で、大変読ませる内容だと感じました。
ストーリー全体になんとなく既視感があった(私だけがそう感じるのか、それともよくある内容だということなのか、判然としないのですが)ことだけが私個人として残念で星4つの評価にしました。

#美文

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

先が気になって一気に読んだ。面白かった。
コロナ禍のビジネスマンの描写もリアルで良かった。恋人たちの会話は、村上春樹っぽかった。
種明かしは割と最初にされているというのに、そのことをすっかり忘れて読んでいたのはどうしたことか(アホなのか)。
自分の学生時代を思い出した。望未の言動はリアルな感情を思い出させてくれた。

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2024年02月08日

Posted by ブクログ

ラジオで著者と高橋源一郎が、この本について語っていた直後に、この本を見つけた。
うーん、複雑な…時間が行ったり来たりするのになかなかついて行けない。
全体的に、村上春樹の作品の空気と似ているな、と感じつつ「ノルウェイの森」と似ているのではないか、と思った。「ノルウェイの森」を読んだのはいつだったか思い出せないくらい前なので、次はノルウェイの森を読もうかな、と。

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2023年12月23日

Posted by ブクログ

かつて、恋をして愛した想い人との手紙を読み返す回想のパートと現実パートを行き来しながら「愛」について考えていくストーリーだと感じた。結末・真実は読者に委ねられる印象。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

これは完全に『ノルウェイの森』のオマージュだなあ、と思った。登場人物も、どもりのある「先輩」は突撃隊だし、有能すぎる「向井」は永沢さんに当たるのかな、とか考えながら読むのも楽しかった。

著者の独特の世界観。『私の恋人』『ニムロッド』『旅のない』と読んできて驚いた。そこからいきなりの、村上春樹的な設定。果たして「血も涙もない的確な現代人」としての恋愛がどのように進んでいくのか、すごく興味深かった。

が、最後まで読んでみて、うーん、期待しすぎたかなあ、というのが正直な感想だった。「望未サイド」から明かされるトリックもいささか必然性に欠けるように思えて腑に落ちない。

詳しい説明がないのでわからないが(そこも村上春樹っぽい)、望未は何らかの障害を負っていて、久島に「もう自分には関わらないでほしい、自分から開放されてほしい、忘れてほしい」と伝える。で、そう言われた彼の方は、最愛の彼女にとってもキレイな言葉が並んだ手紙を書く。

が、果たしてこれは決して的確な現代人の結論なのか。そうではなく、悲しいけど障害者あるあるなのではないか。結局は自分の冷たい決断に(キレイな言葉で)巧妙な言い訳をつけているだけのように思えて、少し落胆した。

まあ、最初に期待した分だけ辛口な感想になってしまったけれど、恋愛小説としては十分に面白かった。最後まで一気に読んでしまいました。

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2024年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上田さんの本は、ゆえあってほぼ読んでいると思う。

主人公の「最愛の、」人に向ける感情がわかりそうでわからない、すとんと落ちるものはなかった。でもそういうものなのかなあ。
先輩や向井の持つもののほうが心に痛いし、いつまでも残る。彼らの背負わされる吃音やチックや薬がまた心に痛い。

(読んでいる最中、なぜだか村上氏の存在が終始頭の中にちらついて困った。)

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

P163そうだね、愛していないね、と僕は呟いて、彼女のワイングラスをもぎとって、寝椅子に押し倒してそのまや再び抱いた。妙に興奮していて、言葉は必要なかったから、今度は彼女に何も囁かなかった。抱きながら、もしかしたらそろそろ渚とも終わりなのかなと考えていた。
愛していないがこんなに色っぽいことあるんだ

p231雰囲気を壊すと悪いからといって参加しなかった花火。〜落ちる度に彼女は謝った。九本目、ようやく二つの火球が一つになって、どっちかに移ることもなくそのまま燃え続けた。ぱちぱちぱちぱち、と長く燃え、それから避けられぬ運命をたどるようにして、火花が弱まって、燃え切ってからぽとりと落ちた。彼女は謝らなかった。

p301皆報われづらい誠実さを抱えたままゆっくりと駄目になっていく。

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2023年10月27日

Posted by ブクログ

最愛というタイトルに興味を持って、著者の作品を読むのは初めてのこと。
久島の学生時代の彼女、不本意ながら途絶えた記憶。そんな恋愛に上書きするように登場する女性達。
ディズニーのラプンツェルを彷彿させる下書きの上に、ちょっとありえない二次元的な話が進む。

最後は尻切れトンボのようでもあり、そこは読者のご想像にといった終わり方。
どこか村上春樹の作品のようでもあるが、登場人物が磨りガラスの向こうから出てくることはなかった。

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2023年10月14日

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