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「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」
三〇代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。
だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。
望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。
今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。
愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。
「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!
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Posted by ブクログ
これは完全に『ノルウェイの森』のオマージュだなあ、と思った。登場人物も、どもりのある「先輩」は突撃隊だし、有能すぎる「向井」は永沢さんに当たるのかな、とか考えながら読むのも楽しかった。
著者の独特の世界観。『私の恋人』『ニムロッド』『旅のない』と読んできて驚いた。そこからいきなりの、村上春樹的な設定。果たして「血も涙もない的確な現代人」としての恋愛がどのように進んでいくのか、すごく興味深かった。
が、最後まで読んでみて、うーん、期待しすぎたかなあ、というのが正直な感想だった。「望未サイド」から明かされるトリックもいささか必然性に欠けるように思えて腑に落ちない。
詳しい説明がないのでわからないが(そこも村上春樹っぽい)、望未は何らかの障害を負っていて、久島に「もう自分には関わらないでほしい、自分から開放されてほしい、忘れてほしい」と伝える。で、そう言われた彼の方は、最愛の彼女にとってもキレイな言葉が並んだ手紙を書く。
が、果たしてこれは決して的確な現代人の結論なのか。そうではなく、悲しいけど障害者あるあるなのではないか。結局は自分の冷たい決断に(キレイな言葉で)巧妙な言い訳をつけているだけのように思えて、少し落胆した。
まあ、最初に期待した分だけ辛口な感想になってしまったけれど、恋愛小説としては十分に面白かった。最後まで一気に読んでしまいました。
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