最愛の

最愛の

2,310円 (税込)

11pt

「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」

三〇代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。
だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。
望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。
今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。

愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。
「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    とても良かった。久島が出逢う人々は一癖あるけど魅力的だった。自分と同じ時間に確かに彼らは存在していたのに時と共に記憶は薄れる。記憶を取り出そうとするとフィクションに近づく。だから完全に忘れて、ふとを見上げたときにだけ思い出す星のように遠くへ。読み終わりたくないほどに素敵でした。

    0
    2024年07月10日

    Posted by ブクログ

     親友、恋人、人との繋がりとは何なのだろう?と考えさせられた。深くても見えなくて、切れても消えるわけではなくて、当たり前のことなのに不思議だと感じた。
     時間の経過とともに、久島にとって大切な人たちは遠い存在となってゆくが、目には見えない何かがふわりと漂っているような気がした。

    0
    2024年05月21日

    Posted by ブクログ

    過去と現在、同じ時を生きているけど交わらない世界。愛しているが故に、の哀しくも美しい世界。

    レビューを見てると、段々とこういう作品が理解されなくなってきているのを感じる。共感性や想像力が低下してしてきているのか。

    0
    2024年04月14日

    Posted by ブクログ

    最高純度の超越的恋愛小説と評されているようです。 自分的にはとても良かったのですが、 こういう男性作家が書いた、男性が主人公の恋愛小説って、 女性が読んでも良いと思えるのかなあ? ちょっと女性の感想を聞いてみたい。

    0
    2024年04月02日

    Posted by ブクログ

    世の中に迎合し切ることができない僕(久島)が学生時代に転校していった望未と手紙で通じあっていく、そんなお話でした。
    主人公だけではなく、登場人物それぞれの抱える生きにくさがよくわかり、また、時間軸の構成が見事で、大変読ませる内容だと感じました。

    ストーリー全体になんとなく既視感があったことだけが私

    0
    2024年02月28日

    Posted by ブクログ

    先が気になって一気に読んだ。面白かった。
    コロナ禍のビジネスマンの描写もリアルで良かった。恋人たちの会話は、村上春樹っぽかった。
    種明かしは割と最初にされているというのに、そのことをすっかり忘れて読んでいたのはどうしたことか(アホなのか)。
    自分の学生時代を思い出した。望未の言動はリアルな感情を思い

    0
    2024年02月08日

    Posted by ブクログ

    ラジオで著者と高橋源一郎が、この本について語っていた直後に、この本を見つけた。
    うーん、複雑な…時間が行ったり来たりするのになかなかついて行けない。
    全体的に、村上春樹の作品の空気と似ているな、と感じつつ「ノルウェイの森」と似ているのではないか、と思った。「ノルウェイの森」を読んだのはいつだったか思

    0
    2023年12月23日

    Posted by ブクログ

    P163そうだね、愛していないね、と僕は呟いて、彼女のワイングラスをもぎとって、寝椅子に押し倒してそのまや再び抱いた。妙に興奮していて、言葉は必要なかったから、今度は彼女に何も囁かなかった。抱きながら、もしかしたらそろそろ渚とも終わりなのかなと考えていた。
    愛していないがこんなに色っぽいことあるんだ

    0
    2023年10月27日

    Posted by ブクログ

    最愛というタイトルに興味を持って、著者の作品を読むのは初めてのこと。
    久島の学生時代の彼女、不本意ながら途絶えた記憶。そんな恋愛に上書きするように登場する女性達。
    ディズニーのラプンツェルを彷彿させる下書きの上に、ちょっとありえない二次元的な話が進む。

    最後は尻切れトンボのようでもあり、そこは読者

    0
    2023年10月14日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上田さんの本は、ゆえあってほぼ読んでいると思う。

    主人公の「最愛の、」人に向ける感情がわかりそうでわからない、すとんと落ちるものはなかった。でもそういうものなのかなあ。
    先輩や向井の持つもののほうが心に痛いし、いつまでも残る。彼らの背負わされる吃音やチックや薬がまた心に痛い。

    (読んでいる最中、

    0
    2024年03月23日

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