私の恋人(新潮文庫)

私の恋人(新潮文庫)

小説・文芸
440円 (税込)

2pt

3.7

一人目は恐るべき正確さで世界の未来図を洞窟の壁に刻んだクロマニョン人。二人目は大戦中、収容所で絶命したユダヤ人。いずれも理想の女性を胸に描きつつ34年で終えた生を引き継いで、平成日本を生きる三人目の私、井上由祐は35歳を過ぎた今、美貌のキャロライン・ホプキンスに出会う。この女が愛おしい私の恋人なのだろうか。10万年の時空を超えて動き出す空前の恋物語。三島賞受賞作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    私の恋人(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    533981
  • 電子版発売日
    :
    2018年07月20日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

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私の恋人(新潮文庫) のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    「私の恋人」というタイトルと前評判の良さでロマンティックな物語を期待しすぎていた。その結果、若干尻切れとんぼな印象を受けた。前評判がなかったら読後に受ける印象が変わっていたかもしれない。(評判云々で感受性が揺さぶれるのもどうかと思う。)

    それでも、生まれ変わってもある人格の意識が引き継がれていくこと、その人格が思い続ける恋人の幻想、引き継がれた人格とは別に現世の人格もまた存在し、人格同士で葛藤が起こること、など設定が面白かった。この設定でこれからどう進んでいくかが知りたかったから尻切れとんぼだと思ったのかもしれない。

    偶然にも、今日の新聞にスペインの洞窟にネアンデルタール人が残した壁画が見つかったという記事が載っていた。「彼ら」が本当にいて、今も同じ時代を生き、これからも生き続けているのかもしれない、と思ったら愛しいような、切ないような気持ちになった。

    0
    2018年02月24日

    Posted by ブクログ

    むずかしい。
    恋愛小説だと思って読み始めたのでぜんぜん想像と違う物語でびっくり。
    一周目、二周目、三周目という世界史の流れは理解できたように思うが、正直そのパートが長すぎて、というか「私」の恋のパートが短すぎて、別にそっちはそっちで長くして、長編にしちゃっても面白そうなのにとか思っちゃった。
    「私」と「恋人」についてが問題で、要するに「恋人」は人間で、人間を俯瞰しその存在の哀れさを嘆きつつもその円環のなかでもがき続ける人間を愛す「私」という話だとぼくは思った。誤読でないといい。

    0
    2026年01月23日

    Posted by ブクログ

    以下、ネタバレ含む。注意。

    語り手、井上由祐は三人目の私である。

    一人目はクロマニョン人の私。
    二人目はユダヤ人、ハインリヒ・ケプラーとしての私。
    二人の記憶を積み重ねながら、三人目である井上由祐は、クロマニョン人の私が予想した通りの世界になっていることを眺めつつ、「私の恋人」になり得る存在を探し始める。

    一方で、その恋人候補にピッタリなのが、メルボルンの旧家に生まれたキャロライン・ホプキンス。
    彼女は高橋陽介がしてきた「行き止まりの旅」を引き継ぐ者として、日本に来ている。

    この「行き止まりの旅」は三周を想定されている。
    一周目は、ヒトのアウト・オブ・アフリカの行程。
    二周目は、西洋諸国の領土拡大と世界大戦の行程。
    そして人類は三周目の終盤にいて、ヴァーチャルを含んだ旅は、AIを生み出したことで序列の逆転を起こすだろう。
    今まで「行き止まり」に至った人々が、その度、淘汰され、アップデートされていったのと同じように。

    キャロライン・ホプキンスは、高橋陽介の旅を引き継ぎながら、皆に警句を与えることを目的として動いている。
    対して、そうしたヒトの繰り返しを予見している井上由祐は、彼女は「幻惑」されているとして、自らは超越者の視座を保とうとする。
    短いけれど、捉えにくい話で、でも一つ一つの要素はとても面白い。

    ヒトは歩みを止められない。
    アフリカを出て、定住するに相応しい地を見つけても、次はその地を奪い、広げるためにまた歩む。
    そして、正しさを決めた後の悪に対しては容赦がなく、同じヒトであってもそれを認めない。

    井上由祐は、彼女の旅を理解することが出来る。
    一周目、二周目を当事者として生きた者として。
    さて、井上由祐は「行動する」のだろうか?

    0
    2018年03月11日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    又吉さんの『火花』を破って三島賞の栄冠に輝いただけのことはあって、とても面白かったです。しかしどこまでを書いていいのかが難しい作品でもあります。以下の拙文をお読みいただくよりも、まずはまっさらな状態で本書を読んでいただくのがいいかと。

    一言でいうと直木賞を獲った『月の満ち欠け』と同じく生まれ変わりの恋物語なのですが、スケールの大きさが全然違います。あちらはせいぜい10数年間のみが舞台であるのに対し、本作はのスパンは10万年。最初は石器時代のクロマニョン人、二人目は戦時中ナチスに迫害されたユダヤ人、この二人が手にすることができなかった「私の恋人」を、現代日本に生きる主人公の井上由祐が手に入れることができるのか?というのが基本フォーマットとしてありつつ、並行して井上の意識下で10万年にわたる人類の興亡の歴史が重ねられていくといった凝った構成になっています。
    コンピュータが人間を凌駕する、というネタ自体は映画『ターミネーター』を例に出すまでもなく割とありきたりで、その部分に関してはマイナスだったのですが、総じて革新的ないい作品だと思いました。いくら『火花』があったとはいえ、芥川賞にノミネートすらされなかったのには疑問が残ります。

    0
    2018年05月22日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    原子人の私は遠くの未来までをかなりの制度で予見し、それを壁画として残した。戦争中のドイツでユダヤ人だった私は、収容所の独房でひとりめの私の予見した未来を生きながら餓死させられた。そして三人目である日本人の井上由祐は前二人が超えられなかった34歳の壁を越えて、35歳になっていた。そして彼は、私たちの思い描いた理想の恋人にとても近い人物に出会う。
    純粋な少女、苛烈な女、そして堕ちた女となる、私たちの、理想の恋人。
    10万年の夢想は、彼女に出会って、はじめて片思いになる。

    やさしい文章で、三人の時間、そして三人共有の時間を行ったり来たりしながら進む物語は、その構成も面白い。
    自分たちの(正確には一人目の)思い描いた理想の女性を好きになる、というのが人間らしい。まだ出会ってもいなくて、出会っても最初はその人と気づかず、話をしていくうち思い描いた女性と同じだ!!これは絶対に(とくに二人目の妄執にも近い、信仰にまで発展してそうな)恋人にしなくては!!という思考の流れが、正直引いてしまう笑その人本人よりも、設定から好きを引っ張り込んでくるなんて、、、それって恋っていうの?恋に恋しているのと同じじゃない?そこにお年頃の欲望も絡み合って猛烈なアプローチを向けるのが何だかなあ、なんて思った。
    でもとても面白かったので、他の作品も読みたい。

    0
    2022年02月02日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    久しぶりにこんな面白い小説に出会った……!と途中から心臓をバクバクさせながら読み進めて最後は泣いてしまったんだけれど、ここを覗いたら意外と賛否が分かれてて驚き……。

    近年の物理の世界では時間というものは存在しないという説がそれなりに認められつつあるらしい。そう言われてみると、映画などの他のコンテンツでもいわゆるパラレルワールドなど時間の流れや空間を越境する話の流行を感じる。

    この小説も10万年という時と3人の「私」を行ったり来たりする途方もなく大きなスケールの物語。でもシンプルな文章で展開されていくので非常に設定を飲み込みやすい。そしてストーリーテリングはもちろん、登場人物たちの思想、それがいわば一つの「哲学」然としていて読んでいて面白いし、「私の恋人」の複雑な人物像も理解しやすい。

    何より、この物語はもちろんSF、一方で確実にラブストーリー。己の運命に翻弄されながらも「私の恋人」の為に3人目の「私」井上由祐はその運命を必死にすり合わせていく。そして最後は彼女が部屋のドアを叩く。号泣でしょ……。

    0
    2021年04月27日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     人類の歴史を、①地球全体に広がるまで②能力主義による競争から原爆投下まで③AIが人類にとって代わるまで(?)の三つに時代区分し、俯瞰的に語る。一方、その過程をすべて知悉している主人公は、そんなこと分かってるよそれよりあなたと付き合いたいんだよと騒々しい。
     ミクロによるマクロな視点と、マクロによるミクロな視点が交差していて面白い。一周目、二周目、三周目。ルールがどんどん代わり、正しさが代わり物事はいつか反転する。それを知っている語り手の終盤の語りが良い、素敵な読後感が得られる小説。

    0
    2018年02月04日

私の恋人(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    私の恋人(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    533981
  • 電子版発売日
    :
    2018年07月20日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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  • 【閲覧できる環境】
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