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Posted by ブクログ
嘘か本当か、彼女の「本当」
怖い。こういう人が身近にいたら全力で逃げたい。でも近づいてこられたら絶対逃げられない気がする。一章ごとにだんだん包囲網を完璧に近付けてきたはずなのに、彼女を捕まえたと思ったはずなのに、最後のどんでん返しは、逃げられないとわかって読む最悪の結末。
sacra(というか八重子というかさくら)に悪気はないのだろう。きっと彼女の中ではすべてが本当のことだ。自分の気に入ることが「本当」で、違うなと思ったら「本当」にすればいい。悪意の無い悪はどうやって断罪すればいいのか、という話ではない。多かれ少なかれ誰でも嘘はつくけれど、彼女はそれを「本当」にしてしまう。怖い。
ものすごく後味の悪い小説。こんなにむかっとさせられて、恐怖に駆られるのは久しぶりだ。
Posted by ブクログ
私もさくらの嘘に翻弄されながら読み切りました…。なんというか、嘘がうまいというか、相手が嘘を言っているのだと思わせてしまうような巧妙な言い口ですね、しかも、物語の最後の最後まで。そして、ほとんどの人がそのペースに乗せられ、本当は正しかった自分のほうが悪かったのであるといつの間にか錯覚させられてしまうような…。
本作は”さくら”という主人公の関係者がノンフィクションライターの取材を受ける体裁で”さくら”との間で起こった出来事を語ってゆきながら、”さくら”という人物に迫ってゆく構成になっています。登場人物それぞれが、さくらの紡ぎだす嘘に翻弄されながらも、さくらの魅力に惹かれる人(溺れる人?)、被害を被る人、など様々です。各々が作中の出来事に関わっており、ある人の証言で登場したエピソードが別の人の証言にも登場します。そのため一つの事柄を別の人による解釈で再読することになり、さながら読み手にとってはちょっとした追体験のような感覚です。立場が変わればこんなにも解釈が変わるのか、という様がありありと描かれていて、これもさくらの魅力のせいなのでしょう。かわいい、美人というだけでこんなにも人は、相手のことを信じてしまうものなのかと。
物語の終盤ではさくら自身が取材を受けることになり、それまで明かされなかった真実が語られているようないないような、最後の最後まで読み手もさくらの語り口に翻弄されているような、そんな錯覚に陥ります。
いや、嘘に翻弄されたくはありませんが、自分もさくらに逢ってみたいと思わせてくれる、そんな作品でした。
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