小説 - 文春e-book作品一覧
-
4.7〈矢吹駆シリーズ〉11年ぶりの最新作! 著名哲学者の手紙の盗難と、川船で発見された全裸の首なし屍体、そして39年前のトランク詰め首なし屍体。3つの事件を駆は追う。 第二次大戦前夜のパリで起きた、連続トランク詰め首なし屍体事件。 そして39年後、不可能状況で発見された新たな首なし屍体――。 時空を超え広がる謎の迷宮に、矢吹駆が挑む! 1978年6月。ナディアは著名な作家のシスモンディに、友人・矢吹駆を紹介する。シスモンディのパートナーであり、戦後フランス思想家の頂点に立つクレールが彼女にあてた手紙が消失した謎を駆に解き明かしてほしいというのだ。しかし手紙をネタに誘い出されたシスモンディとナディアは、セーヌ川に係留中の船で全裸の女性の首なし屍体を発見する。事件の調査のためリヴィエール教授を訪ねると、彼は若き日の友人、イヴォン・デュ・ラブナンのことを語り始める。39年前、イヴォンも首なし屍体事件に遭遇したというのだ――。
-
3.8アカデミー賞、Gグローブ賞受賞作が小説として生まれ変わる! クエンティン・タランティーノ、小説家デビュー作! アカデミー賞2部門受賞、ゴールデングローブ賞3部門受賞した 〈ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド〉を タランティーノ自ら小説化! 1969年、ハリウッド。 俳優リック・ダルトンは人生の岐路に立っていた。 キャリアが下り坂の彼に大物エージェントがイタリア製作のウェスタン映画に出ないかという話を持ちかけてきたのだ。悩みを抱えながらTVドラマの撮影に出かけたリックが現場で出会ったのは…… リックの長年の相棒、クリフは謎の多い男だった。 妻を殺したが罪を逃れ、戦争中には大勢殺したと豪語する男。今日もリックの車でハリウッドを流していたクリフはヒッピー娘を拾い、彼女らがチャーリー・マンソンなる男と暮らす牧場へと向かう…… 女優シャロン・テートは気鋭の映画監督ポランスキーと結婚し、リックの隣に住みはじめたところだった。 折しも自分の出演作〈サイレンサー/破壊部隊〉が劇場でかかっているのを目にした彼女は、うきうきとチケット売り場の女の子に声をかけ…… 映画にはない場面、映画にはない物語、映画とは異なる結末―― 本書はノベライズではない。同じ種子から誕生したもうひとつの物語、堂々たる一編の長編小説なのである。オフビートな小説を愛し、自身の映像言語としてきた巨匠がみせるグルーヴィな語りの才能に瞠目せよ!
-
4.5作家デビュー50周年に放つ、至高のクライム・ノヴェル 狙いは決して外さない凄腕の殺し屋、ビリー・サマーズ。依頼人たちには、銃撃しか能がないちょっと抜けた男を装っているが、真の顔はエミール・ゾラを愛読する思慮深い人間であり、標的が悪人である殺ししか請け負わない。 そんなビリーが、引退を決意して「最後の仕事」を受けた。収監されているターゲットを狙撃するには、やつが裁判所へ移送される一瞬を待つしかない。狙撃地点となる街に潜伏するための偽装身分は、なんと小説家。街に溶け込むべくご近所づきあいをし、事務所に通って執筆用パソコンに向かううち、ビリーは本当に小説を書き始めてしまう。 だが、この仕事は何かがおかしい……。ビリーは安全策として、依頼人にも知られぬようさらに別の身分を用意し、奇妙な三重生活をはじめた。そしてついに、運命の実行日が訪れる――。
-
4.2【恐怖の帝王、作家50周年を前に王道のSF巨弾が待望の邦訳!】 異能の少年少女を拉致する謎の機関〈研究所〉。 彼らは子供たちの超能力を利用して何を企図しているのか。 冷酷なるくびきから逃れるため、少年は知恵をめぐらせる。 ------------------------ ミネソタ州ミネアポリスに暮らす12歳の少年ルークは、両親こそごく平凡だが、優秀な子供の特待校に通う神童だ。彼にはちょっとした特殊能力があった。ふとしたときに、周りのごく小さな物品をふれることなく動かしてしまうのだ。と言っても、それは他人が気づくほどのことでもない。 一流大学MITの入学内定を勝ち取ったルークだが、ある夜、3人の不審な男女が眠る彼をかどわかす。目覚めたルークが見たのは、自分の部屋そっくりにしつらえられているが、何かが違う一室だった。扉の外は自宅とは似ても似つかぬ、古びた大きな施設。そこには様々な少年少女が拉致され、自室と似た部屋を与えられて戸惑いながら暮らしていた。 目的も知れぬこの〈研究所〉で、残忍なスタッフや医師に、気分の悪くなる注射や暴力的な検査を繰り返される少年少女たち。彼らの共通点は「テレキネシス」か「テレパシー」の超能力を持っていることだった。 ルークは黒人少女カリーシャ、反抗的な少年ニック、幼く泣き虫だが強いテレパシーをもつ男の子エイヴァリーらと知り合うが、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。ルークはこの不穏な施設からの逃亡計画を温めはじめる――。
-
4.5『WORLD WAR Z』で世界のホラー・ファンを唸らせた才人ブルックスの新作モンスター・スリラー 映画製作進行中! 作家マックス・ブルックスのもとに届いた手記。それはレーニア山噴火後、廃墟となって発見されたエココミュニティの住人が残したものだった。未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは? 武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剥いて襲い来る凶暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか? 偽ドキュメンタリー形式の衝撃作。
-
3.9わが名は〈解錠師〉。 いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。 名探偵ライム、3年ぶりの新作。 ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。 名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。 怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。 密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する! ――ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。 ――この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。 “怪人VS名探偵”の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。
-
5.0ドストエフスキー生誕200年記念出版。 かつて外務省でモスクワ大使館に勤務した著者は、ソ連邦の崩壊に立ち会うことになった。宗教を否定する社会主義の理想が潰え、ふたたび神を求める時代が始まった。 そうした事態を19世紀にすでに預言していたと著者が考えたのが、文豪・ドストエフスキーである。 『カラマーゾフの兄弟』のかの有名な「大審問官」は、はたして何を示しているのか? 『罪と罰』でラスコーリニコフはなぜ回心したのか? 外交官としての仕事のかたわら、ドストエフスキーを解読する日々が始まった。 尊敬するチェコの神学者・フロマートカや、同じくチェコの哲学者・政治家のマサリクの著作が大いなる手助けとなる。 そして、モスクワとプラハを往還する著者の思索の旅は、ついに終わりの日を迎える?? 現代史の現場から生み出された、これまでにないドストエフスキー論。
-
-少女たちの知られざる戦争体験 日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。 できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。 彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。 しかし、少しずつでも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。 冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。 やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。 来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。 それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。 ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。 いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。 彼女たちは今日からここで風船爆弾を作るのだ……。 膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。
-
3.8姿を消した人間を追跡するエキスパート、コルター・ショウ。 失踪人や逃亡犯に懸賞金がかかれば、彼が必ず探し出す。 なぜ若者は命を絶ったのか? その謎を追い、コルター・ショウは山中のカルト村に潜入する。 ドンデン返しの魔術師ディーヴァーの新シリーズ、白熱の新展開。 ショウは教会を襲撃して逃走した若者二人組を追跡していた。難なく居場所を割り出して二人を見つけ出したショウだったが、 その眼前で一人が崖から身を投げて死亡してしまった。教会襲撃は冤罪で、いずれ疑いは晴れるはずだったのに―― 自殺した若者は〈オシリス財団〉なるカルトグループの研修を受けていたという。彼は洗脳されたのではないか。調査を始めたショウは、 同カルトに関する記事を発表した記者が殺害されていたことを知る。〈オシリス財団〉が死の原因ならば、これ以上の犠牲を 阻止せねばならない。ショウは身分を隠し、ワシントン州の山中にあるカルト施設への潜入調査を決意した。指導者イーライのもと、 屈強な男たちが目を光らせるカルト村。ここで何が行なわれているのか。若者はなぜ自ら命を絶ったのか。この村に隠された真の目的とは? 武器なし。外部からの援軍なし。24時間の監視下で、ショウの孤独な戦いがはじまる。「静」の名探偵リンカーン・ライムに続いて 名手ディーヴァーが生み出した「動」の名探偵コルター・ショウ第二作。緊迫度、孤立無援度100%の傑作誕生。
-
3.6戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。 下山国鉄総裁、変死体で発見。おりしも国鉄は、GHQの方針により大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子による犯行が疑われた。 GHQ上層部のウィロビーらの命で捜査を担当することになったGHQ捜査官スウィーニーは、裏社会とのコネを手がかりに占領都市の暗部へと潜ってゆく。総裁の死は他殺か自殺か。警視庁捜査一課と捜査二課が対立し、マスコミや世論も揺れる中、スウィーニーの捜査線上にGHQの謀略機関〈本郷ハウス〉の影が見え隠れし、彼は徐々に戦後の“黒い霧”に呑み込まれてゆく……。 1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。 そして1988年、12月。病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京に、翻訳家ライケンバックはいた。かつてCIA工作員として日本に派遣され、やがて日本文学の研究者として東京に住むことになったライケンバックのもとに、戦後の忌まわしい事件の亡霊がやってきた。彼の運命を狂わせた下山事件。その亡霊が、今、ここ、昭和の最後の年に。あのとき、占領下の東京で何があったのか――? 犯罪小説史に異形の刻印を黒々と刻む〈東京三部作〉、完結編にして最高傑作の誕生。
-
3.6北欧、華文、韓国の次は……今もっとも熱い「インド・ミステリー」の傑作 手段を選ばず、お子さんを志望校に入れる。それが僕の仕事です―― 貧困の中からのしあがった青年ラメッシュがニューデリーで営むのは「教育コンサルタント」。依頼人を希望の大学に押し込むのが仕事だ。 今回の依頼は富裕な建設業者からで、息子ルディをインドの一流大学に入れてくれという。ルディはバカなドラ息子であり、手段は替え玉受験しかなかった。 受験は無事に終了するも、予想外の結末が待っていた。ラメッシュは全国トップの成績をあげてしまったのだ。インド最高の天才少年現る!とメディアは群がり、ラメッシュはマネージャーの地位に収まってカネを稼ぐが……。
-
5.01巻2,400円 (税込)彼方は遠く、記憶になかったことばかり思われる 仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」 蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力…… 九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。 【目次】 ラサンドーハ手稿 高原英理 串 マーサ・ナカムラ うなぎ 大木芙沙子 マルギット・Kの鏡像 石沢麻依 茶会 沼田真佑 いぬ 坂崎かおる 開花 大濱普美子 ニトロシンドローム 吉村萬壱 天の岩戸ごっこ 谷崎由依
-
3.8英国推理作家協会スチール・ダガー賞候補 英国歴史作家協会ゴールド・クラウン賞候補 海洋冒険+怪奇小説+不可能犯罪。あまりに面白すぎる本格ミステリ巨編! 時は17世紀、 大海原を進む帆船で起こる怪事件。 囚われの名探偵に代わり、屈強な助手と貴婦人が謎を追う。 すべては悪魔の呪いか、あるいは――? ――この船は呪われている、乗客は破滅を迎えるだろう。 バタヴィアからオランダへ向かう帆船ザーンダム号に乗船しようとしていた名探偵サミー・ピップスと助手のアレントら乗客たちに、血染めの包帯で顔を覆った男がそう宣言した。その直後、男は炎に包まれて死を遂げる。名探偵として名を轟かすピップスだが、いまの彼は罪人として護送される途上にあり、この怪事件を前にしてもなすすべがなかった。 オランダへと帰国するバタヴィア総督一家らを乗せ、ザーンダム号が出航せんとしたとき、新たな怪事が発生した――風を受けてひるがえった帆に、悪魔〈トム翁〉の印が黒々と浮かび上がったのだ! やがて死んだはずの包帯男が船内に跳梁し、存在しないはずの船の灯りが夜の海に出現、厳重に保管されていた極秘の積荷が忽然と消失する。すべては悪魔の仕業なのだろうか? わきおこる謎また謎。だが名探偵は牢にいる。元兵士の助手アレントは、頭脳明晰な総督夫人サラとともに捜査を開始するも、鍵のかかった密室で殺人が! 驚愕のSFミステリ『イヴリン嬢は七回殺される』の鬼才の第二作。海洋冒険譚と怪奇小説を組み込んだ全方位型エンタテインメント本格ミステリ!
-
4.5これぞエルロイ、これぞ警察小説――新たなる傑作の誕生。 戦時下でもジャップ殺しの捜査を継続することで警察の公正さをアピールする。それがLA市上層部の結論だった。だが真犯人を捕らえる必要はない。都合のいい変態かジャップを捕らえて真犯人をデッチ上げろ。その意を受けて、ダドリー・スミスが動き出す。一方、LA市警本部長候補である刑事ウィリアム・パーカーは、汚職警官ダドリー・スミスに狙いを定めていた。警察官は清廉でなければならない――アルコール依存症に苦しみながらもパーカーはヒデオ・アシダに接近、ダドリー失脚の機会をうかがう。 アシダ、ダドリー、パーカー。それぞれの正義のために共闘し、裏切り合う男たち。その思惑に巻き込まれた女ケイ・レイク。反米ジャップと共産主義者への弾圧がはじまったLAで、戦争のパニックに乗じて儲けようとする男たちが悪辣な策謀を紡ぎ出す―― 警察内部の暗闘。国家同士の戦争。愛国と反米。ヘイトの嵐の中で、男たちは真実にたどりつくことができるのか? ミステリ史上最強の警察小説、ここに降臨!
-
-犯罪のサポートと情報の売買。それがカーラの仕事だった。だが今回持ち込まれた依頼は危険きわまりない――〈プログラム〉への潜入の手配である。頻発する刑務所の暴動に手を焼いたイギリス政府が導入した矯正施設、〈プログラム〉。ゴーストタウンとなった住宅街を接収、二重の壁で囲み、そこで受刑者たちによる「自治」が行われている。依頼人は元狙撃兵の殺し屋ジョハンセン。カーラの手配でジョハンセンは施設に潜入するが……。 依頼の背景を調べはじめたカーラは、次々に不可解で不穏な事実にぶちあたる。かつて彼女とジョハンセンが関わったギャングの抗争。元MI5の老スパイの死。謎の失踪を遂げた女性医師。警察、MI5、犯罪者たち……この一件の裏側で何か秘められた謀略が動いている。そして〈プログラム〉の中では、ジョハンセンに怨みを抱く大物ギャングが待ち受けていた……。 ジョン・ル・カレばりの陰謀の迷宮。スタイリッシュなクライム・ノワールの語り口。最高にクールな女性ヒーローと巧妙なプロットでイギリス出版界を揺るがせた新人のデビュー作。
-
3.8「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」つまり「コンピュータの処理能力は指数関数的に向上していく」、1965年、インテルの創業者であるゴードン・ムーア博士が発表した論文に書かれていた半導体の能力に関する洞察は、「ムーアの法則」として、今日にいたるまで、情報産業にかかわるものが、逃れらない法則となった。 その法則を生み出した「世界で最も重要な会社「インテル」の産業史である。 ムーアの法則」の誕生のみならず、本書を読む読者が切実に感じるのは、今自分が努めている会社、業界のすべてに通ずる共通のテーマが、鮮烈なエピソードをもって書かれている点だ。 すなわち、「技術力か営業力か宣伝力か」という問題。 あるいは「才能か努力か」 あるいは、「継承か革新か」 あるいは「模倣か創造か」 本書の中には、コンピュータの心臓部であるマイクロプロセッサ(CPU)を世界で初めインテルとともに開発した日本の電卓メーカーが、最後の最後で社長の判断から契約をキャンセル、結果的には、CPUの知的財産権を逃すという「史上最悪の経営判断」をしてしまう話や、あるいは、モトローラに劣るチップをインテルが営業力でもってシェアを逆転する様など、私たちの今日のビジネスの日々の判断に通じる血わき肉おどるエピソードが満載されている。 著者はアメリカの新聞で初めてシリコンバレー担当をおいたサンノゼマーキュリーニュースで最初のシリコン・バレー担当となった記者。1970年代から今日まで、その有為転変を追い続けてきた
-
3.919世紀の偉大なる名探偵シャーロック・ホームズがもし、ビクトリア朝時代の英国人ではなく、清末の時代に生きた中国人だったとしたら……。 そして、彼が奇妙な事件を次々に解決したのが大英帝国の首都ロンドンではなく、東の果ての植民地香港だったら……。 ホームズとワトソンを彼らとまったく同じ時代に生きた中国人、福邇(フー・アル)と華笙(ホア・ション)とし、物語の舞台を香港にした極上のパスティーシュ作品。 正典ホームズ・シリーズからの換骨奪胎ぶりが絶妙だ。 1880年代の香港の様子が生き生きと描かれ、ミステリーであると同時に、歴史小説としても読み応え十分。
-
4.0昭和18年、戦時下の日本。国家のために死ぬことを夢見る軍国少年・勇二が出会ったのは、歴史学者の娘・涼子。 日本が戦争に負けると言い放ち、自由奔放に振る舞う不謹慎な彼女が、大学生の兄の恋人だと知ったのは、学徒出陣が近付く頃だった…。 「どうして俺が生き残っちゃったんだろうな」 「生き残ることは罪じゃないでしょう」 自由が統制され、夢を見ることさえ叶わない社会で、少年少女はどこへたどりつくのか。 秘密の図書館、真夜中の帝都、出征の朝、西へ向かう夜汽車、真っ白な日の丸。 『平成くん、さようなら』の著者による書き下ろし青春小説!!
-
3.8世界中的ベストセラー『星の王子さま』の作者サン=テグジュペリ。 彼は作家であると同時に、飛行機乗りでもあった。 純粋で、かつ行動的なサン=テグジュペリは、ナチスドイツ占領下でドゥ・ゴール派とヴィシー派の政治抗争に巻き込まれる。 苦渋の選択の末に渡ったアメリカで書き上げたのが、自身唯一の子ども向け作品『星の王子さま』だった。 そして、念願の戦線復帰が叶い、ナチスドイツとの戦闘に復帰。危険な偵察飛行を繰り返し――。 破天荒な愛に、かけがいのない友情。困難な時代に理想を求めて葛藤する姿。 サン=テグジュペリの半生を精彩豊かに描く長編小説。
-
3.3スティーヴン・キングが賛辞を贈る新鋭、 恐怖と驚愕を増量して前作『白墨人形』をしのぐ傑作。 ホラーか? ミステリか? いや、これは恐怖と驚愕を両立したホラー・ミステリの傑作なのだ。 妹アニーに起きた忌まわしい出来事が再び起こる。そう告げる不吉なメールで ぼくは故郷に呼び戻された。ぼくの前任の教師は、「息子じゃない」という血文字を残して 息子を惨殺したという。その血文字にこめられた真意を、ぼくは知っている。 8歳のアニーが姿を消したのは、ぼくが友人たちとともに探検に行った鉱山跡の洞窟でのことだった。 あの夜、あそこで恐ろしいことが起きた。そしてそのあとアニーにもっと恐ろしいことが起きたのだ……。 過去の忌まわしい記憶と、現在の忌まわしい事件。友人の不可解な自殺。惨劇の家で起こる怪異。 封印した恐ろしい記憶。それらがすべて明らかとなり、ひとつになるとき、 恐怖に満ちた真相が姿をあらわす! 恐怖と驚愕を見事に融合させた新鋭の傑作。
-
4.1網の中(インターネット)にひそむ悪魔をあぶり出せ! 『13・67』の著者、渾身の勝負作 自宅アパートの22階から飛び降り自殺した女子中学生シウマン。 彼女は通学電車の中で痴漢事件に巻き込まれ、犯人と目された男の甥からインターネット上で攻撃を受けていた。 ネットの誹謗中傷が彼女を死に追いやったのか? 自分の知らない世界で妹を脅かすどす黒い悪意の存在を知った姉のアイは、変わり者だがネット専門の凄腕探偵・アニエを説得し捜査を依頼した。 だが、アニエの調査の結果、次々に意外な事実が判明し、事態は混沌としていく――。 貧富の格差著しい香港を舞台に、ネットリンチや痴漢冤罪やダークウェブなどなど、我々日本人も同じように抱える社会問題を背景に、現代社会における人間の善悪を問う。 前作『13・67』で香港の現代史を俯瞰した著者が〈いま現在の〉香港の光と影を描き切った、華文ミステリーの最高峰!
-
4.5「クソみたいなキューバを変えられるのは、カストロしかいなかった」 アメリカ傀儡政権から祖国を取り戻した男の闘いを描く! 若きJ・F・ケネディや、アレン・ダレスCIA長官が活躍する大国アメリカの影響を受けながら、米国の傀儡政権が支配するキューバで、革命への土台を作るために戦った若き日のフィデルを描く! 祖国キューバのためを思い、立ち上がったフィデル・カストロは、時の権力者・バチスタ将軍に何度も敗れた。 それでも、フィデルに私心はなく、国民のために戦っていたからこそ、多くの国民に支持をされた。 キューバ革命への礎を築いたフィデル・カストロの壮絶な激闘譜。 英雄チェ・ゲバラを描いた『ゲバラ覚醒』『ゲバラ漂流』、カリスマ指導者フィデル・カストロの幼少期から青年時代を綴った『フィデル誕生』に続く、ポーラースター・シリーズ最新刊。 アメリカと対峙し続けた、キューバの歴史を読めば、世界の現代史が読み解ける。 【電子特典】 全電子版共通の「あとがき」、付録(「海堂尊・全著作リスト」「作品相関図」など)のほかに、本書には以下の文章を収録。 電子版あとがき 『フィデル出陣 ポーラースター』 【関連小文】1 「オバマ大統領、広島訪問」 【関連小文】2 「ローマ教皇フランシスコ、広島・長崎訪問」 【関連小文】3 「コロナ来襲」 【関連小文】4 「紙は神様である」
-
5.0
-
-忘れられない人、場所がある。 あの日以来、ずっとフクシマのことを考えてきた――。 日本を離れ、長らくドイツで教鞭をとってきた著者の脳裏に去来する言葉がある。 石牟礼道子、井上光晴、大江健三郎、柄谷行人、小林秀雄、島崎藤村、谷川雁、寺山修司、中上健次、中野重治、萩原朔太郎、水上勉、柳田国男、横光利一、保田興重郎、李恢成、若山牧水……。 自らの過去から近現代へと、深い哀しみとともに綴られる思索の旅。 【目次から】 序章 フクシマ以後を考える 第一章 故郷という概念 第二章 懐かしさの演出 第三章 離郷と望郷 第四章 故郷はどのようにして失われたか 第五章 水上勉の故郷 第六章 故郷という共同幻想 終章 周縁と故郷の文学
-
4.3韓国では発売後、3週間で10万部を超える異例のベストセラーに。 「これは禁書になるかもしれない」と今も話題騒然の、元北朝鮮外交官による暴露本。 金日成に憧れ、金正日に信頼され、そして金正恩を捨てた――。 30年間にわたり平壌心臓部を生き抜いた男が、金政権中枢の真実を次々と明かす! ・金日成が指示した「ローマ教皇招聘計画」 ・ミサイル輸出をめぐるイスラエルとの極秘交渉 ・密輸で外貨を稼ぐ外交官たち ・日朝平壌宣言の敗北と偽遺骨問題 ・金正男の偽造パスポート事件 ・大韓航空機爆破事件の金賢姫は同窓生だった ・金正恩が恐怖政治に頼る本当の理由 ・張成沢処刑の引き金を引いた人物 ・金正哲と過ごした61時間の全貌
-
4.3あの文豪の生涯と作品を織りまぜて、リシャッフルし、夢見直して、12の妖しい、美しいピースに仕立てた本。それだけで十分すごいが、さらにこの日本語版は、原文の独特のリズムを緻密に再現し、等しく妖美な作品を再創造している。奇跡のような一冊。 ――柴田元幸 本書を読む者は 必ずや二度三度と 芥川の文学的狂気に侵される。 イギリス暗黒文学の旗手が、芥川龍之介の生涯を恐るべきヴィジョンと魔術的な語りを通じて幻想文学として語り直す。 芥川龍之介。東方と西方の物語と伝承と信仰に魅せられた男。そのなかで静かに渦を巻く不安。それがページから少しずつ滲み出す。 半透明の歯車が帝都を襲った震災の瓦礫の彼方にうごめき、頽廃の上海の川面には死んだ犬が浮き沈み、長崎には切支丹の影が落ち、己が生み出した虚構の分身が動き出し、そして漱石がロンドンでの怪異を語る。河童。ポオ。堀川保吉。ドッペルゲンゲル。鴉。マリア像。歯車。羅生門、藪の中、蜘蛛の糸、西方の人――キリスト。私のキリスト。 ジェイ・ルービン訳の芥川作品をピース自身の呪術的な語りとコラージュし/マッシュアップし/リミックスして生み出した幻想と不安のタペストリーを、コーマック・マッカーシーやリチャード・パワーズらを手がけた黒原敏行が芥川自身の文章と精密によりあわせて完成させた日本語版。芥川と幻想ノワールの結合として、原語版以上の衝撃をもって読者を眩惑する。 災厄と文学、狂気と詩情、日本文学と英国文学、現代文学と近代文学、現実と幻覚……すべての境界をおぼろに融かしてゆく文学と翻訳のはなれわざ。
-
3.8噴出する激情、容赦ない暴力、異形のディテール。 これぞ韓流“激辛”サスペンスの真骨頂だ。――千街晶之(ミステリ評論家) 韓国発の弩級エンタメ「K(Korean)スリラー」が日本上陸! ――少女の生活のすべては、無数のカメラに監視されていた。 離れて暮らす高校生の妹が、突然姿を消した。それも、同級生の少年が不審な死を遂げたのと同時に。それを殺人事件と見た警察は、妹を重要参考人として追いはじめた。妹の身に一体何が起きたのか。その足跡を追うべく、私は妹の家を訪れた。 母の死を機に離れ離れになって以来、そこは妹が父と二人で生活している家……のはずだった。だが、クローゼットに仕舞われているのは、高校生が着るには小さすぎる服ばかり。しかも、父が暮らしていた形跡がどこにもない。この家はなにかがおかしい……。そんな違和感の中で、私は見つけてしまった。居間や勉強部屋、さらにはバスルームにまで、家中に取り付けられている無数の監視カメラを――。 誰にも予測できない物語は、ノンストップで衝撃のラストへと一気に駆け抜ける。息もつかせぬ韓国スリラーがここに誕生した。
-
-僕たちは、テクノロジーで世界(CODE)を「書き直す」。 片田舎の少年たちが、世界を向こうに仕掛けるゲリラ戦。 武器は〈知恵〉と〈友情〉、報酬は〈自由〉。 SF小説の旗手が、VR世界大会を舞台に紡ぐ青春ハック小説。 2024年、鹿児島。県立南郷高校に通うマモルは、 男子寮の次期寮長に指名される。 下級生の指導や揉め事の解決など、マモルの負う役割は大きいが、 なかでも、学生VR全国大会出場に向けてチームをまとめるのが 最重要ミッションの一つである。昨年敗れた先輩たちの雪辱を果たすべく、 準備を進めるマモルだったが、大会事務局の対応にある違和感を覚える。 同じ頃、アマチュアVRの世界大会「ビヨンド」の存在を知り、 自分たちの進むべき新たな道を見出していく。
-
4.0〈中国のスティーヴン・キング〉が放つホラーミステリー! ある雨の夜、若い警察官・葉シャオ(イエシャオ)の家を、幼馴染の作家の周旋(ジョウシュエン)が訪ねてくる。 周旋は思いつめた様子で、木の小箱を取り出す。ある夜、バスで隣り合わせた血だらけの美しい女性・田園(ティエンユエン)から預かったという。しばらく仕事で上海を留守にしていた周旋が田園を訪ねると、警備員から彼女は心臓発作で亡くなったと告げられた。周旋が自宅に戻ると留守電に彼女のメッセージが入っていた。「あの箱を幽霊旅館に届けて。場所は……」と途中で切れており、発作を起こして電話をかけ、途中で亡くなったと思われた。 周旋は、小箱を届けたいので田園の身元を調べてほしいと葉シャオに頼む。葉シャオが調べてみると、田園は実力と美貌を兼ね備えた伝統演劇の女優で、一時は大変な人気だったが、3年前、公演中に心臓病の発作で倒れ、それ以来ひっそりと暮らしていた。病は悪化し、死を予感して苦しんでいたらしく、精神科にも通院していたことがわかった。 葉シャオの調べで、幽霊旅館は浙江省K市西冷鎮にあることがわかり、周旋は木箱を携えて旅立つ。やがて葉シャオはのもとに、周旋から手紙が届くようになる。幽霊旅館では電気も電話も使えず、近くの集落の郵便ポストから手紙を出すしかないが、旅館で手紙を受け取ることはできないから、一方的に書くことにするというのだ。 そこで語られる幽霊旅館での謎の人々との日々、やがて幽霊騒動が持ち上がり……。 累計発行部数1千万部を超える大ベストセラー作家が放つ、巧緻を極めたサスペンスホラー!
-
4.0アメリカ人の著者が全編日本語で書き上げた小説第二作。 少女時代から陶芸家を目指してきたカティアは、ある出来事をきっかけに、 師匠であり恋人でもあったライダーと決裂、偶然舞い込んだ 大阪の女子校の英語講師の椅子にとびつき、逃げるようにアメリカを離れた。 カティアの新地は、大阪の北摂。そこには、師ライダーとそっくりの顔をした 「太陽の塔」がそびえたち、あたりを睥睨している。 カティアにはひとに言えない悩みがあった。少女時代のある日、 ライダーに「伝承」されて以来、自分の手が師匠のものになってししまった。 ありえないことだが、腕先に、骨ばった長い指の「ライダーの手」がくっついているのだ……。 胸に傷を抱えながら、異国の地で未来を探して奮闘する、若きカティアの青春物語。
-
4.2オンラインゲームを通して、父と息子の絆と成長を描く ゲームに閉じ込められた息子と狙うは世界1位! 意識不明の息子からゲーム内に届いたメッセージ。 息子を救うため、父はeスポーツの世界大会を目指す―― 暢気なだけが取り柄の暢光は、事業を興しては失敗し、妻から離婚を言い渡される始末。 離れて暮らす中2の息子と小3の娘とはオンラインで会うばかりで、オンラインゲームは最後の砦となっている。 そんな中、息子の凛一郎が交通事故に遭い、意識不明に。 悲しみに暮れる暢光だったが、ゲーム内で息子からメッセージが届き…… ゲームを通して成長し、繋がっていく、新しい家族の物語。
-
3.9孫文を支え続けた日本人実業家の、スケール感溢れる一代記 映画事業で大成功をおさめ、その資金で革命家・孫文を支援し続けた梅屋庄吉。その情熱と葛藤、国境を越えた友情を直木賞作家が描く。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。 実業家・梅屋庄吉の熱き生涯!
-
3.7明治時代のニッポンにも、感染症との終わりなき闘いに挑んだ二人の男がいた。 コロナ禍で、「感染症学」に注目が集まるなかで、医師である著者が、北里柴三郎と、軍医・森鴎外のライバル物語を描く。 ドイツ留学を経て、ペスト菌を発見し、「日本の細菌学の父」の異名を持つ北里。 一方の鴎外は、同時期にドイツで学び、帰国後、陸軍で最高位である軍医総監にまで上り詰めた。 二人は、互いへのライバル心を燃やしながら、「感染症から国民の命を守る」という同じ目標へと突き進んでいた。 その二人がなぜ道を違え、対立したのか。 誰も描かなった、北里と鴎外の相克の物語が誕生した。 【電子特典】 全電子版共通の「あとがき」、付録(「海堂尊・全著作リスト」「作品相関図」など)のほかに、本書には以下の文章を収録。 電子版あとがき 『奏鳴曲 北里と鴎外』
-
3.0平成は、1970年に始まっていた――!? 団塊からZ世代まで必読の日本の全貌! 小泉純一郎から安室奈美恵まで――平成育ちによるはじめての決定版平成史が誕生した。気鋭の歴史学者として『中国化する日本』で脚光を浴び、その後、双極性障害による重度のうつの経験をもとにした『知性は死なない』で話題を集めた著者が、「歴史学者としての著す最後の書物」と語る、渾身の一作。昭和天皇崩御から二つの大震災を経て、どんどん先行きが不透明になっていったこの国の三十年間を、政治、経済、思想、文化などあらゆる角度から振り返る。新型コロナウイルスによる政治・社会の機能不全の原因も、「昨日の世界」を知ることで見えてくる。 ◎担当編集者より◎ ★未来のヒントは、すぐそばの過去にある 唐突ですが、クイズです。 ・小泉純一郎、安倍晋三だけがなぜ長期政権に? ・五輪・万博と田中角栄がリバイバルし続ける理由とは? ・中国、韓国は日本を「追い抜いた」のか? ・オンラインでつながっても孤独なのはどうして? ・「Automatic」「Lemon」爆発的ヒット曲の背景 ・『エヴァ』が令和まで完結しなかった理由とは? ……それらの答えをすべて記したのが。本書『平成史―昨日の世界のすべて』となります。
-
4.4「脳に電気ショックを与えて、『完璧な人間』へとつくり変える」 現在の米脳科学界における一大トレンドであり、DARPA(米国防高等研究計画局)も莫大な予算のもと参戦する「脳深部刺激療法」。 「サイコパス」「依存症」「うつ病」「てんかん」「パーキンソン病」、そして「小児性愛」「性犯罪者」さえも矯正可能であるという夢のような治療法だ。 軍事転用すれば、冷酷な兵士を人工的に生み出せる。 しかし、闇に葬り去ったはずの禁断の治療法がふたたび甦ってしまった、と戦慄する人も多い。 というのも1950~60年代、マッドサイエンティスト疑惑のある天才脳神経外科医が、 倫理観の希薄な南部(ニューオリンズ)の大学で、思う存分に人体実験を敢行していたからだ。 患者の頭蓋骨に穴を空け、電極を差し込むことによって。しかも彼は、人類の進歩に貢献する英雄として、もてはやされていたのだという。 恐るべきことに彼は、同性愛者を異性愛者へつくり変えることに成功。 暴力行為が一瞬で消えた患者、上限のない幸福感に満たされる患者、メンタル疾患が消えた患者なども。過激化する人体実験。 その一方で、手術失敗で発生した廃人たちを隠し切れなくなりーー。 人間の本質=「脳」という臓器に変更を加えることは許されるのか?
-
4.0「航空機の事故には必ずウラがある」 社運を賭けてビジネスジェットの開発に挑むプロフェッショナルたちの挑戦を描く航空ミステリーの傑作! 航空機メーカー四星工業の技術者・沢本は、元同僚の倉崎の「航空機事故には必ず、発表できないウラがある」という言葉を重く受け止めていた。 かつてのオスプレイの墜落事故なども含めて、過去の事故原因は、いつも謎のままだ――という。 このとき、四星工業は社運をかけて、同社初となる民間航空機の開発に乗り出していた。 ところが四星工業の稼ぎ頭である戦闘機部門の実験中に機体が墜落し、パイロット一人が死亡。 すぐさま事故原因が発表されたが、規事業は暗礁に乗り上げてしまう。 航空機事故の裏側に隠された「真実」に、沢本が迫る。 彼女は四星工業の窮地を救えるのか。 四星工業航空機の設計者である著者が、「航空機事故の原因」というタブーに挑んだ傑作ミステリー。
-
3.0ブルース・リーに捧げる、衝撃の学園バイオレンス! 暴力の支配するその学園を人はカンフー・ハイスクールと呼ぶ。壮絶な抗争を拳で切り抜ける少女を描く気鋭のノワール作家の問題作。 マーティン・ルーサー・キング・ハイスクール。 ドラッグの密売で強大な力を持つ生徒リドリーと、それを黙認する校長ダームーディーの独裁下、暴力の日常的に吹き荒れる高校。生徒のほとんどが格闘技を身につけなければ生きてゆけない、通称「カンフー・ハイスクール」。 15歳のジェニーは、兄のキューとともにカンフー高に通う。だが、世界的なカンフーの達人でいとこのジミーが香港からやってきた日から、カンフー高は揺れ始める。もうこの拳は振るわないと誓うジミーだったが、学園の暴力者たちは意に介さず、事態はエスカレートしてゆく…… 金曜日、すべては暴力のカオスとなって爆発する。 殺らなければ殺られる、だからわたしは殺る――。 新進ノワール作家、ライアン・ギャティス。 彼がコロンバイン高校銃撃事件などのスクール・バイオレンスを材にとり、ヤングアダルト小説の古典『チョコレート・ウォ―』と、 ブルース・リーの『ドラゴン危機一髪』へのオマージュをこめて一気に書き上げられたのが本作である。 英米各誌で『キル・ビル』『ファイト・クラブ』『アメリカン・サイコ』と並び称された、ポップでイカレて残忍なスクール・バイオレンス・アクション。
-
5.0老俳人・月岡草飛が行くところに怪異あり? それは実際に起こった――そういうことだ。 俳人・月岡草飛は妻を亡くして気まま放題。月岡のもとには、謎めいた依頼の数々が持ち込まれる。 生きる欲望に貪欲に突き進むうち、いつしか異界に迷いこむ。 名手が贈る、ブラック&ナンセンスな奇譚集。 それはごく小さな空間で、真っ白な蓬髪を肩まで伸ばした老人が椅子に座り、背を丸め、眉根にしわを寄せて、 自分の前の台のうえに置いた大きなフラスコの中をじっと見つめていた。 月岡が思わず怯んだのは、その凝視のまなこに狂気の光としか呼びようのないものが炯々と輝いていたからだ。――本文より
-
4.8ORIX BLUEWAVE 1994-1996 イチローの誕生。 打率3割9分でも凄いじゃないですか。まだハタチですよ/ボクがメジャーを好きな理由/僕は革命者だろうか?/ICHIRO & KAZU ORIX BLUEWAVE 1999-2000 新境地への飛躍。 ピークは遥か先にある/ずっと探してきた感覚を見つけた/揺るぎなきプライド SEATTLE MARINERS 2001-2003 ICHIRO第二章。 躍動するスピリット/99%の満足/イチロー×アレックス・ロドリゲス SEATTLE MARINERS 2004-2007 栄光の先の孤高。 262安打のためにどうしても必要だったもの/この道の彼方に/6年目の孤独/7年目のMVP/17年目のスタートライン ほか WBC 2006&2009 甦る死闘。 僕はいま、イチローを超えた/みんなが折れかけた心を支えてくれた/イチロー×王貞治 ほか NEW YORK YANKEES 2012-2014 転機と、偉業と。 NY、特別な場所で/1―4000、ひたむきな旅路の果てに/『51』は特別な数だから MIAMI MARLINS 2015-2017 偉大なる旅路。 変化、破壊、成熟/“4257”と“3000”の間で/揺るがぬ歩み SEATTLE MARINERS 2018-2019 ICHIRO最終章。 失意と泰然/ふたたび、戦いの場へ/長き戦いを終えて 1994年の仰木彬と鈴木一朗 ICHIRO PERFECT BOOK A to Z 別冊付録Numberイチロー全表紙 ※「ICHIRO ゴールドカード」は電子版には収録されておりません。
-
5.02019年のNHK大河ドラマ「いだてん」第1部(第1回~24回)のシナリオ集。 「日本マラソンの父」金栗四三編の興奮が蘇る! 「いだてん」は宮藤官九郎氏が、4年近い月日をかけて完成させた大傑作だ。 第1部は、日本人で初めてオリンピックに出場した選手で「日本マラソンの父」と言われる金栗四三の半生を描いている。 同時代に生きた落語家の古今亭志ん生の生き様を織り交ぜながら、日本の明治から昭和のスポーツ史を見事に面白く“物語”に仕立てた。 これができるのは、エンターテインメント界のリーダー、宮藤官九郎しかいないだろう。 スポーツへのリスペクトと、落語に対する愛がぎっしりと詰まった作品だ。 この「完全シナリオ集」は、いわゆる決定稿と言われる役者やスタッフに配られる台本をまとめたものである。 台本は撮影現場で適宜変更されるため、実際放送されたものとの違いを楽しむのも、通にはおすすめ。 通でなくても、シナリオを読むことで、金栗四三の熱量や、若き志ん生の破天荒ぶりに泣いたり笑ったりができる。 そして、じっくりと宮藤氏の天才性を知ることになるだろう。 巻頭にはカラーでドラマの名シーンが、巻末には、豪華なオリジナル企画が3本収録。 中村勘九郎×綾瀬はるか対談/松尾スズキインタビュー/森山未來インタビュー 役者が、宮藤脚本をどう解釈し、どう演じたかが分かり、これも面白い。 何度も読みたくなる作品だ。 *本電子書籍は生田斗真さんの写真を掲載しておりません
-
4.5どうしてなんだろう―― それでも人はつながろうとする 高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が噛み合わない。 真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。 そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。 智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。 娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。 父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき…… つむがれていく家族の物語。
-
4.8池井戸潤の最新長編の舞台は、 「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。 若人たちの熱き戦いが、いま始まる! 古豪・明誠学院大学陸上競技部。 箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。 本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。 隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか? 一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。 プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。 「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
-
4.1放送作家・鈴木おさむが引退と同時に贈る、覚悟の一冊! これは「小説SMAP」である。 メンバーの脱退、トップアイドルのまさかの結婚、 誰にも言えなかった苦悩、戦い。 国民的スターとして沢山の夢を与えてきた彼らの全てが、 たった一夜の「放送」で壊れていった。そして日本中が悲しんだ解散。 彼らと20年間走ってきた放送作家にしか書けなかった奇跡の物語。 新たなテレビ文学、ここに誕生。 その先に明日はきっと、ある……。 目次より 第1章 素敵な夢をかなえておくれ 第2章 あれからぼくたちは 第3章 世界で二番目にスキだと話そう 第4章 1・2・3・4 FIVE RESPECT 第5章 WELCOME ようこそ日本へ 第6章 とってもとっても僕のBEST FRIEND 第7章 くじけずにがんばりましょう 第8章 20160118 第9章 もう明日が待っている
-
3.9架空の県を舞台にした連作小説集 「黒蟹とはまた、微妙ですね」 微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。 県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。 つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。 この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。
-
4.3オール讀物新人賞で注目を浴びた新鋭、初の長編小説 裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。 「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。 「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」 親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。 実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。 夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、 元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。 やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、 不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに…… 幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!
-
3.9
-
3.8『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ 小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。 ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、“掲示係”に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。 優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。 マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。犯人はまだ捕まっていない。 捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。 マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。 そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。 死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の“掲示係”が挑む小学校生活最後の謎。 こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。
-
3.6島田荘司推理小説賞受賞! 21世紀の『十角館の殺人』がマレーシアから登場 最愛の妻を亡くし引退したベストセラー作家がある日、 ふと目を覚ますと、そこは見知らぬ孤島だった。 やがて桟橋に船が着き、老若男女が島に降り立つ。 一行はデジタル機器に囲まれた日常の疲れを癒し、 本来の人間性を取り戻す「デジタルデトックス」のために 島に渡って来たという。 メンバー相互の会話や、視線を合わせることさえ禁じられ、 読書やメモをとること、音楽を聴くことも不可。食事は菜食のみ、 そして殺生も厳禁という環境の中でデジタル・デトックスが始まるが、 やがて残酷な連続殺人事件が発生する。 作家はそのすべてを目撃するのだが、 なぜかメンバーたちの目には彼の姿が映らないらしい……。 華人系マレーシア人の女性作家が、 ミステリ界の巨匠・島田荘司氏が提唱する21世紀本格に応えて放った、 〈21世紀の『十角館の殺人』〉!
-
5.0大型新人が放つ、幕末時代活劇 〈運びの掟〉 一つ、中身を見ぬこと。 二つ、相手を探らぬこと。 三つ、刻と所を違えぬこと。 約束の物は何があっても届け切る。それが〈運び屋〉。 母は病に倒れ、父も道場の経営に失敗して体を壊した。 自力で稼がなくてはならなくなった円十郎は〈運び屋〉を営む〈あけぼの〉に雇われることになった。 腕のいい〈運び屋〉として江戸の街を駆け回る円十郎だったが、 荷を運んでいたある夜、攘夷の志を口にする武士と手練れの忍び(?)に立て続けに襲われる。 一体何が起きているのか? 円十郎は知らず知らずのうちに時代の大きな渦に巻き込まれていく……。 オール讀物新人賞受賞の大型新人が放つ、幕末時代活劇。
-
4.0史上最も愛された文豪/社長のすべて100年企業の土台は、人望。それだけ! 1923年、 大ベストセラー作家・菊池寛の手によって 文春は産声をあげた。 「楽しいんだ。菊池さんと仕事してると。それだけっ」 仕事が、仲間が、人生が愛おしくなる 2023年最高の感動歴史長篇。 文藝春秋創立100周年記念作品。 (あらすじ) 芥川龍之介や直木三十五、川端康成などの協力を得、 菊池寛が発行した「文藝春秋」創刊号はたちまち完売する。 読者が、時代が求めた雑誌は部数を伸ばし、会社も順風満帆の成長を遂げていく。 しかし次第に、社業や寛自身にも暗い影が。 芥川、直木という親友たちとの早すぎる死別、社員の裏切り、 戦争協力による公職追放、そして、会社解散の危機……。 激動の時代に翻弄されながらも、文豪として、社長として、 波乱に満ちた生涯を送った寛が、最後まで決して見失わなかったものとは――。 『家康、江戸を建てる』『銀河鉄道の父』の著者による、圧倒的カタルシスの感動作。
-
3.4法律が裁けないのなら、他の誰かが始末する。 司法を超えた復讐の代行者――それが〈私刑執行人(ハングマン)〉 現代版“必殺”ここに誕生! 警視庁捜査一課の瑠衣は、中堅ゼネコン課長の父と暮らす。 ある日、父の同僚が交通事故で死亡するが、事故ではなく殺人と思われた。 さらに別の課長が駅構内で転落死、そして父も工事現場で亡くなる。 追い打ちをかけるように瑠衣の許へやってきた地検特捜部は、 死亡した3人に裏金作りの嫌疑がかかっているという。 父は会社に利用された挙げ句、殺されたのではないか。だが証拠はない……。 疑心に駆られる瑠衣の前に、私立探偵の鳥海(とかい)が現れる。 彼の話を聞いた瑠衣の全身に、震えが走った――。
-
4.0『スモールワールズ』を超える、感動の最高傑作 たった1人の、運命に出会った 古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。 彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。 どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。 運命に導かれ、運命に引き裂かれる ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語
-
3.9
-
3.7不眠、減量苦、レース中の死亡事故、謎の転落死…… どん底に落ちた男が復活を遂げた時――事件は起こった。 ベテラン騎手の元春は、6年ぶりにGIレースで優勝する。 馬主との喧嘩別れや減量苦を経ての復活だった。 しかしネットで誹謗中傷され、それを書き込んだと思われる亡き後輩の妻を訪ねると、その夜、彼女はマンションから転落死する。 ほぼ同時刻、元春は自宅で車の盗難未遂にあい、さらに数日後には空き巣に入られた。 自分はいったい何に巻き込まれているのか? そして彼女の死は事故か、自殺か、あるいは殺人なのか――。 元スポーツ紙記者の著者にしか書けない圧巻の書き下ろしサスペンス。
-
3.5ここは、人を一人殺したら死刑になる世界――。 私たちは厳しい社会(harsh society)に生きているのではないか? そんな思いに駆られたことはないだろうか。一度道を踏み外したら、二度と普通の生活を送ることができないのではないかという緊張感。過剰なまでの「正しさ」を要求される社会。 人間の無意識を抑圧し、心の自由を奪う社会のいびつさを拡大し、白日の下にさらすのがこの小説である。 恐ろしくて歪んだ世界に五つの物語が私たちを導く。 被害者のデザイナーは目と指と舌を失っていた。彼はなぜこんな酷い目に遭ったのか?――「見ざる、書かざる、言わざる」 孤絶した山間の別荘で起こった殺人。しかし、論理的に考えると犯人はこの中にいないことになる――「籠の中の鳥たち」 頻発するいじめ。だが、ある日いじめの首謀者の中学生が殺害される。驚くべき犯人の動機は?――「レミングの群れ」 俺はあいつを許さない。姉を殺した犯人は死をもって裁かれるべきだからだ――「猫は忘れない」 ある日恋人が殺害されたことを知る。しかし、その恋人は存在しない人間だった――「紙の梟」
-
3.8貧困、基地、軍用地主……「沖縄の闇」に踏み込み、知られざる本当の沖縄の姿をフィクションによって抉り出す問題作! 入念な沖縄取材で明らかになった暗部が、白日の下にさらされる。 2022年6月金城華が夫の一を刺殺。DVに耐えかねた妻が夫を殺した単純な事件として解決するはずだったが、担当検事となった冨永真一は不審を感じ、みずから捜査に乗り出す。 ほぼ時を同じくして糸満市で自衛隊の戦闘機の墜落事故が発生。民間人が死亡したことで、軍事基地が集中する沖縄では、 抗議デモが巻き起こる。それに加え、航空自衛隊きってのエースパイロットによる事故は、単なる操縦ミスとは考えられない。戦闘機に何らかの不備があったのではないかと疑念が湧くが…… 一見何の関係もない、二つの事件。だが、双方の担当となった冨永が捜査を進めていくと、そこには思いもかけない接点が浮かび上がる。 かつてない臨場感で沖縄の闇に迫る、冨永シリーズ第三弾にして最高傑作が誕生!
-
3.4徳川家康が天下を統一し、世の中からは急速に戦国の気風が消えていった。かつて戦場で名を馳せた宮本武蔵の剣も、時代遅れの遺物になり果てていた。弟子たちは武蔵を見捨て、道場の存続は危ぶまれている。父親の病いも手伝って、借金まみれの生活をするまでに落ちぶれていた。 武蔵が自分の剣も終わりと観念し、さる大名に形ばかりの免許皆伝の免状を出し、その見返りとして借金の肩代わりをしてもらう話がまとまりかけたが―― そのとき武蔵の元に「五霊鬼の呪い」の探索の依頼が舞い込む。この呪いをかけられた者は二年以内に死ぬと言われているが、大御所・徳川家康が「呪い」の標的になったというのだ。家康に呪いをかけた者(=呪詛者)を生け捕りにするのが武蔵の役割だという。 世を捨てると決めた武蔵は、最初依頼を固辞する。しかし、武蔵の唯一のそして最大の理解者である弟子・佐野久遠が呪詛者に殺されたかもしれないことがわかり、事態は一変。 呪詛者を探しだすことは、弟子の仇を打つことに繋がる。武蔵は自身の中に再び生への衝動が湧き上がるの感じ、呪詛者探索へと旅立つ。
-
4.0
-
4.0すらっと伸びた脚と大きな目、最先端のセクシーなファッションに身を包んで政界に登場したときは、マスコミはこぞって「女性政治家の星」として好意的に取り上げた。しかし、史上最大級の選挙違反で逮捕されるや、手のひらを返したように、「稀代の悪女」としてここぞとばかりに叩いた。 河井案里。 参院議員として活動したのは19カ月に満たなかったが、世間に大きなインパクトを残した。 彼女はマスコミの寵児となったが、実のところ、彼女のプライベートをよく知る記者はいない。 筆者は、当選直後から逮捕されるまで、インタビューなどの取材だけでなく、ことあるごとに電話やメールでやり取りをしてきた稀少な存在である。筆者の手元には、膨大な量の録音、メールがある。 あらためてそれらを読み返すと、不思議なことに気が付く。 宮崎で成功した建築家の家に生まれ、慶応大学に進学し、代議士の妻、そして自身も県会議員から参院議員と、これだけ聞くと恵まれすぎた人生のように見えるが、彼女からは、いっこうに幸せそうなようすがうかがえないのだ。 生きづらい女。 筆者は彼女の生まれた宮崎を訪れることからはじめ、その人生をあらためて取材してみた。すると、そこには、マスコミで見せた鼻っ柱の強い美人政治家とは別の顔が見えてきた。 「私も黒川さんも、権力闘争のおもちゃにされたんです」 河井案里という一人の女性政治家の人生を通して、現代社会における女性の生きづらさに迫る。
-
4.7なぜ 語らないのか。 なぜ 俯いて歩くのか。 なぜ いつも独りなのか。 そしてなぜ 嫌われるのか――。 中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。 それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、 マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。 そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、 異端の名将の実像に迫る。 「週刊文春」連載時より大反響の 傑作ノンフィクション、遂に書籍化!
-
4.8
-
4.0妻子の待つ武漢へ、新型肺炎が蔓延し封鎖された中国をゆく男の決死行。 中国からの亡命を余儀なくされた作家が放つ渾身のコロナ文学。 本書は2通りの読み方ができます。まず、新型コロナ発生源となった中国で何が起きていたかを描くものとして―― 反骨の亡命文学者が、コロナ禍下の民衆の悲劇と、それを隠蔽する国家の罪を暴く告発の書として。そしてまた、 いち早くコロナ禍に正面から挑んだ現代小説として――封鎖された大地を旅する艾丁を通じて、現在の「中国」が、 スリリングに、ときに大らかに描かれてゆきます。病毒の街・武漢で、艾丁を待ちうける運命とは……。
-
4.2コロナ禍で苦境に置かれた飲食業界。 補償なき自主休業か、儲けの出ない営業か、 それとも他に道はあるのだろうか。 レストランやお店を続けることはできるのか。 料理人であり、スタッフを抱えるリーダーでもある シェフたちの心は揺れに揺れた。 2020年春の緊急事態宣言、そして冬の感染再拡大を前に シェフたちは何を思い、どう動いたのか。 そして「これから」のお店の舵取りは。 フランス料理のグランメゾン、 横丁の老舗にオフィス街の新店――。 刻々と変わりゆく状況下、 シェフたちへの取材をライフワークとする著者が、 願いを込めて書きとめた34人の言葉の記録。
-
3.5主演・トム・ホランド(『スパイダーマン』)&監督・ルッソ兄弟(『アベンジャーズ』)で映画化決定! ニューヨーク・タイムズが2018年の必読書に選出。ワシントンポストなど各紙絶賛! 「ニコ・ウォーカーは服役中の銀行強盗だ。そして必読の作家でもあることを本書で証明した」――ワシントン・ポスト 「会話は音楽的でリアルで、すぐそばから聞こえてくるようだ」――ニューヨーク・タイムズ 戦争から帰った青年はなぜ連続強盗犯になったのか。痛々しい青春小説と荒々しい犯罪小説を交錯させて獄中作家が綴ったベストセラー。 この小説では、人生の転落の軌跡が生々しい言葉で語られる。大学時代の恋人との日々、兵役についてイラクの戦地で目にした凄惨な体験。 PTSDを癒やすためのドラッグ――それが彼を追い詰めてゆく。この世界の底の底へ。 スタッカートする荒い文体と会話――戦争とドラッグと犯罪。破滅するしかなかった青年を痛ましく描き出す。 デニス・ジョンソン『ジーザス・サン』とクエンティン・タランティーノの融合と評され、 アメリカ文学界をワイルドに揺るがしたデビュー作。 著者紹介 ニコ・ウォーカー アメリカ・クリーヴランド生まれ。2005年から2006年にかけて衛生兵としてイラクに派遣され、7つの勲章を受ける。 しかし復員後にPTSDに苦しみ、やがて2011年に銀行強盗で逮捕され、複数の強盗罪で懲役刑に。デビュー作である本書は獄中で書かれた。2020年11月に出所する予定である。
-
4.3現役医師として新型コロナを目の当たりにしてきた人気作家が満を持して描く、コロナ禍の医療現場のリアル。 2020年初頭、マスクをして生活することを誰も想像できなかった―― これは未知のウイルスとの戦いに巻き込まれ、“戦場”に身を投じた3人の物語。 大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする椎名梓。彼女はシングルマザーとして、幼児を育てながら、高齢の母と同居していた。コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことになる。 同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師・硲瑠璃子は、結婚目前の彼氏と同棲中。独身であるがゆえに、コロナ病棟での勤務を命じられる。 そして、70代の開業医・長峰邦昭。町医者として、地元に密着した医療を提供し、息子にはそろそろ引退を考えるように勧められている。しかし、コロナ禍で思い掛けず、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、現場に立つことを決意する。 あのとき医療の現場では何が起こっていたのか? 3人はそれぞれの立場に苦悩しながら、どのようにコロナ禍を生き抜くのか。 全人類が経験したあの未曾有の災厄の果てに見いだされる希望とは。自らも現役医師として現場に立ち続けたからこそ描き出せた感動の人間ドラマ。
-
3.8とある高校の喫茶部。それぞれ好みのおやつを持ち寄る四人は、 不思議な噂を耳にする。 「うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい」 それはただの都市伝説か、それとも――!? ゆる部活のメンバーがたどりついた「答え」とは。 「おやつ部」のメンバーが、世界の謎にゆるく挑む。 スナックをつまむ指先が光るのは、油のせいだけじゃない、かも。 おいしく楽しく、ときどき切ない5つの物語。 うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい―― 学内で囁かれる噂の真相とは?(「うまいダッツ」) おばあちゃんが失くしたブローチを探すことになったおやつ部の面々。 探し物の過程で見えてきたものとは。(「チロル・ア・リトル」) お菓子当てクイズに参加することになった四人。 果たして、その勝敗はいかに。(「バカみたいにウケない」) SNS上の友達と気まずくなってしまったメンバー。 会いたくない彼女と会いたい彼女、それぞれの理由とは。(「それは王朝の」) 学年が上がり、初めてできた後輩。 しかし彼らは全員、妙にまじめで――。(「百年の愛」)
-
3.8ふたりが出会った夜から何か変わりはじめる――〈青春〉の化学反応を目撃せよ! 春高バレーの予選まであと数日。宮下景が所属する明鹿高校男子バレー部は、6月のインターハイ予選で初めて県の準決勝まで進んだ。チームを引っ張るのは、同学年の2年生エース置久遊晴。「いまのチームなら全国も目指せる」と、3年生3人が引退をせずにチームに残り、景、梅太郎らのレギュラーメンバーで、夏に敗れた全国常連の強豪校・稲村東と戦うことになるはずだった。 けれど……あの時。まずい、と思ったときにはすでに体勢が崩れ、足首から下が、ぐにゃりと曲がっていた。勝負の稲村東戦へ代わりに出場にすることになったのは、中学時代からのクラスメイト北村。実は大会後、北村が退部届を出すつもりでいたことを、景だけは知っている。だからこそ「勝手にしてくれ」と思ってしまった。そしてあの日から、何か歯車が狂いはじめる。 一方、怪我をする前夜、高校のフェンスを乗り越えようとしていた真島綾。それに驚いて自転車から転んだ景は足首を痛めていた。そのことに責任を感じているらしい真島に、景はバレー部のポスターを依頼し、連絡を取り合うようになる。圧倒的な画力で学園祭のポスターも手掛けた真島には、しょっちゅう高校を休みがちで、実は親友にしか明かしていない秘密があった。 景の側にいつもあったバレーボール、真島の側にいつもあった漫画。それぞれが楽しくて、ずっと続けてきたはずなのに、いつから苦しくなってしまったんだろう!? 自分の居場所が見つけられず、前に進めずにいるふたりの想いは交差しながらも、遂にクリスマス前夜に止まっていた時間が流れ出す――。
-
4.1あの文豪の、こんな謎も、お父さんが解決! 高校国語教師の父と体育会系文芸編集者の娘の“名探偵コンビ”が、 本や小説に潜む「謎」に挑む人気シリーズ第4弾。 「日常の謎」の名手であり〈本の達人〉による5編。 【収録作品】 ●漱石と月 英国留学中の漱石が〈I love you〉を〈月が綺麗ですね〉と翻訳したのは 根拠のない都市伝説のようなもの。だがそのエピソードは独り歩きして、 多くの作品に影響を与えている。 いったいどうして、〈I love you〉と〈漱石〉が〈月〉に繋がるのか……。 ●清張と手おくれ 『点と線』といえば大ベストセラーにしてロングセラー、 松本清張の代表作のひとつだが、 本格ミステリファンからは「失敗作」だと評判が悪い。 『点と線』にまつわる知られざるエピソードとは? ●「白波看板」と語り 鬼平シリーズ前に初めて長谷川平蔵が登場したのは短編「白波看板」。 この作品はかつて、三遊亭圓生が人情噺として口演していたという。 そこに見られる言葉の“改変”。 これは作家によるものか、あるいは噺家の独断か……。 ●煙草入れと万葉集 若き日の圓生の間違いを指摘した久保田万太郎。 その間違いとは、“十二煙草入れ”についてだった。 どうやらその昔、“十二煙草入れ”というものがあったようだ。 しかしいったい、十二煙草入れとはどういうものなのか? ●芥川と最初の本 敬愛する漱石の本に使われていた書家を、自身の初めての本『羅生門』にも 起用したいと考えていた芥川龍之介。 その思いが強く表れた装丁はどういうものだったのか。
-
3.7あいつが殺したのだろうか――。 愛した人は、殺人者かもしれない――。 かつてフィギュアスケーターとして活躍し、引退後はデザインの仕事をする塩澤。 彼と好敵手として競り合い、今もトップスケーターの地位にある志藤。 互いに、自分の持たないものを持つ相手として意識し続ける二人だが、塩澤にはライバル心だけではない、ひた隠しにするもうひとつの思いを抱き続けていた。 ある日、塩澤の昔の恋人であり、志藤とは犬猿の仲であったコーチのミラーが転落死したとのニュースが入る。孤高のスケーターで敵も多かったミラーの死は、周囲に動揺をもたらす。あいつ、殺されたんじゃないか? 火のない所に煙は――とばかりに広がる不穏な噂に搦めとられるように、塩澤と志藤は互いにこれまでとは違う視線を向けるようになる。 告げるだけで重荷になると秘めた恋心、自分のために罪を犯したのではという疑心。二つの感情の狭間で、互いを守るための選択とは――。 『花束は毒』の著者が放つ、もうひとつの究極の選択! 恋心か、疑心か。あなたは正しい選択ができますか?
-
3.9
-
3.6大好評の<仲田シリーズ>第4弾! 最高にエモーショナルな社会派本格ミステリ 「警察官になったのは、あの子の自殺に責任を感じてるから?」 未成年による事件を次々と解決に導く敏腕女性捜査員の心には かつて、唯一救うことのできなかった少女が深い影を落としていた―― 仲田の知られざる過去に迫る 大好評 <仲田シリーズ>第4弾連作集 【あらすじ】 神奈川県警生活安全課の仲田蛍(なかた・ほたる)は、 中学時代の同級生・来栖楓(くるす・かえで)と思いがけず再会する。 来栖は当時、桐山蛍子(きりやま・けいこ)という同級生をいじめており、 仲田は蛍子を楓から守ろうと手を尽くしていた。 しかし、いじめを終わらせることはできず、かえって桐山を傷つけてしまい、 最後は自殺してしまったのだった。 事の次第を聞いた捜査一課の真壁は、 自死の背後に仲田も知らない真相があるのではと感じて調べ始めると、 意外な事実が浮かび上がり――(表題作)。
-
3.5離婚届を置いて失踪した妻、発見された銃弾、28年前の未解決事件。 平穏な生活が一変する秘密と嘘。 東京都北区十条で楽器店を営む青井圭一。 雑誌記者の妻・沙月とは取材がきっかけで知り合った。 ある夜、妻の沙月が圭一に差し出したのは離婚届だった。 明日から一週間取材に行くから、帰るまでに答えを出してほしい――。 確かに、圭一の友人のミュージシャンの不倫スキャンダルを 沙月がスクープしたことで、最近夫婦関係はぎくしゃくしていた。 しかしそれが離婚の原因になるとは思えない。 そして一週間後、電話口で「このまま家に帰ったら、許してくれる?」という言葉を残して沙月は消息を断つ。 ほぼ時を同じくして、亡くなった圭一の叔父の遺品の中から 銃弾が発見される。叔父の友康はこの楽器店の先代で、 幼い頃に両親を亡くした圭一の育ての親でもある。 平穏な人生を送っていた叔父と銃弾が結びつかず混乱する圭一。 追い打ちをかけるように、その銃弾が28年前に起こった 警察庁長官狙撃事件に使われたものと同じ型という可能性も浮上する。 警察庁長官狙撃事件は未解決のまま公訴時効を迎えていた。 そして、沙月がこの未解決事件を追っていたことも明らかになる。 叔父と長官狙撃事件の間に何らかの関係があるのか。 もしあるとしたら叔父はどう関わっていたのか。 今回の沙月の失踪はその未解決事件の取材と関係しているのか。 この世界が今日も明日もこのまま続くだろう、そう思っていた人間が、 期せずして社会の深淵を覗くサスペンスミステリー。
-
4.4インチキ教祖から宗教2世の少女を救い出せ! ウイスキーバブル、過激な推し活、連続強盗団……停滞する日本で起こっているトラブルに、マコトが立ち向かう。シリーズ第19弾。 女子高生のルカは、父親が亡くなり、新興宗教「天国の木」に走った母親に養育放棄されている宗教2世だ。 マコトや自身も宗教2世だった子ども食堂の主催者・アズはルカに親身に接するが、彼女が教祖の目に留まり、花嫁候補に選ばれてしまう。 さらに、教団には教祖直属で荒事を請け負う部署があり、マコトたちに悪質な嫌がらせを仕掛けてくる。 マコトとタカシは、Gボーイズを動員し、ルカを救い教団をたたく計画を練るが……。 表題作のほか、投機目的で高騰するビンテージ・ウイスキーを狙うバイヤー、過激な推し活をする〈私生(サセン)〉、 闇バイトの連続強盗団が登場。難破船さながらの日本で起きている事件を鮮やかに切り取る全4編。 目次 大塚ウヰスキーバブル 〈私生〉流出 フェイスタトゥーの男 神の呪われた子
-
4.0私の幸も不幸も、私が決める。そう、決めた 40歳目前に離婚した桐原まりえは、寂しさよりも清々しさを感じていた。新直木賞作家が描く、おとなの女性の幸福と結婚を巡る物語。 『マリエ』は、『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞されたのが記憶に新しい千早茜さんの最新長篇です。 物語は、主人公の「桐原まりえ」が40歳を目前に離婚したところから始まります。離婚理由には納得がいかないものの、もう誰にも属していない、という軽やかさを感じているまりえ。すべて自分の自由にできる生活が一番大事でそれを危うくする欲望、たとえば恋愛などに呑み込まれたくはない。でも、なにか不安で、なにか取りこぼしている気も……。 ひょんなことで懐いてきた由井君のことは好ましいのだが、折に触れ、7つの歳の差を感じるばかり。そんな折、些細なきっかけと少しの興味から、まりえは結婚相談所に登録します。そこで彼女は、切実な「現実」や結婚に対する思いもよらない価値観を次々と突きつけられるのです。 千早さんは本作を、「生き方」の小説、と話されます。その言葉通り、これまでの千早作品のなかでもっとも著者に近いと言える主人公が、等身大で挑む日常の「冒険」には抜群のリアリティがあります。無防備に新しいことに飛び込んでいける年齢を過ぎて、仕事も落ち着き、結婚生活もリセットされ、コロナ禍に価値観を揺さぶられ……そんな「今」の生き方を問う意欲作です。 考え続けるまりえの軌跡を共に歩めば、きっと、「自分が今後の人生に求める幸せ」の輪郭が見えてくることでしょう。
-
3.8米澤穂信、初の警察ミステリ! 二度のミステリーランキング3冠(『満願』『王とサーカス』)と、『黒牢城』では史上初のミステリーランキング4冠を達成した米澤穂信さんが、ついに警察を舞台にした本格ミステリに乗り出しました。 余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?(「崖の下」) 榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」) 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」) 連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。
-
4.3『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編 いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生! 「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」 今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。 不自由で息苦しかった毎日。 家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。 多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。 それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、 与えてくれたものが確かにあった――。 【著者より】 何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、 誰しもが困難を抱えながら進んできたと思います。 そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、 ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば。 そう思っています。 明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から―― 『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編。
-
3.8変死事件で暴かれる町の秘密 法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。 一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。 僕(宏哉)と杏梨は、週に3回クリニックで人工透析治療を受けなければならない。そうしないと生命を維持できないからだ。ベッドを並べて透析を受ける時間は暇で、ぼくらは学校の噂話をして時間を潰す。 僕らの通う鏡沢高校には校則がない。ただし、入学式のときに生徒手帳とともに分厚い六法を受け取る。校内のいたるところには監視カメラが設置されてもいる。 髪色も服装も自由だし、タピオカミルクティーを持ち込んだって誰にも何も言われない。すべてが個人の自由だけれども、“法律”だけは犯してはいけないのだ。 一見奇妙に見えるかもしれないが、僕らにとってはいたって普通のことだ。しかし、ある変死事件をきっかけに、鏡沢高校、そして僕らが住む街の秘密が暴かれていく――。 『法廷遊戯』が映画化され注目を集める現役弁護士作家の特殊設定リーガルミステリー。
-
4.0圧巻の青春小説、EXILE橘ケンチついに小説家デビュー! ダンスに焦がれ、人生を懸けると決めた。昂る想いを胸に、夢を追った。実体験をもとに紡がれた、狂おしいほどに熱い日々の物語。 あの時、一歩を踏み出したから今がある――! EXILE、そしてEXILE THE SECONDのパフォーマーとして活躍中の橘ケンチさんにはそんな想いがあるそうです。 「あの時」とは、ダンスにハマって夢中で練習し続けた大学生の頃。 ダンス仲間の友だちは一人抜け、二人抜け、皆、就職活動を始めていく。でも俺は、もっと上を目指したい! そんな想いを主人公・賢太に重ね、彼らを応援するかのように、3年の月日をかけて書き上げられたのがこの物語です。 賢太は、奇跡的にめぐり逢えた仲間とともにダンスチーム「PRIMAL IMPACT」を結成。地元横須賀から横浜、東京へと活躍の場を拡げていきながら、自分を見つめ葛藤し、夢に向けて走り続ける……。狂おしいほどに熱い青春小説を、みなさんにもお楽しみ頂けたら幸いです。