神と黒蟹県

神と黒蟹県

1,900円 (税込)

9pt

架空の県を舞台にした連作小説集

「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。

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神と黒蟹県 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    全国ネットのテレビ番組や全国紙で報道されるのは、多くが48都道府県あるうちのほんの一部の都府県から見える景色。
    でも、そうでない所から見える景色や、そうでない所で繰り広げられていることは確かにある。
    それを大々的に可視化する必要はないかもしれないけど、ないことにしてはいけないなと思った。
    と、たいそ

    0
    2024年11月28日

    Posted by ブクログ

    おもしろかった。
    現実にちょっぴりのファンタジーという設定が好きだから刺さった。
    神様出てくるし。

    読み始めの話の主人公は赴任してきたばかりだったけれど、読んでいくうちに黒蟹県に親しみを持つようになってきた。

    キャラクターにも親しみを持った。
    映像で見てみたい気もする。

    0
    2024年10月11日

    Posted by ブクログ

    初めて絲山秋子さんを読みましたが、不思議な読書体験でした。

    読み始めは馴染みのない田舎文化に入り込めず、期待外れかと思っていたのに、読み終わってみれば、なんだか懐かしさまで感じるほど親しんでいた。

    ふとした場面にはっとする言葉が散りばめられていて、油断ならない。
    こういうのが癖になるんだろうなと

    0
    2024年04月21日

    Posted by ブクログ

    黒蟹県(架空)を舞台にした短編8話。
    独立した話ではなく、登場人物やお店の名前などは共通する。そして異彩を放つのは、所々に現れる神。
    神も神だが、登場する人たちも総じて緩い。
    読んでて楽しいとはこのことかな。
    しかし一方で、教訓的なことや人生訓を想起させるような含蓄のある話もあり、飽きない内容だった

    0
    2024年04月20日

    Posted by ブクログ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    神視点で「人々」を愛することを教えてくれるお話

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    「黒蟹とはまた、微妙ですね」
    微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
    県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギ

    0
    2024年03月02日

    Posted by ブクログ

    海の仙人が良かったので、続けて同じ作者さん。
    やけにディティールが細かい架空の黒蟹県の人々。
    内容も、架空のものと実在のものが入り混じり、これはどっちた??ってなりながら読むのが楽しい。
    ないようは、本当になんてことはない、黒蟹県の住人たちの世界を覗き見しているような感じ。
    その中に当たり前のように

    0
    2025年09月22日

    Posted by ブクログ

    なんとも気楽で神様らしくない神様の登場は、黒蟹県の人々を俯瞰で見るような視点があって面白い。
    絲山秋子氏の作品としては息抜きできるような軽い作風なので、半日で読み切ってしまうほど読みやすかった。

    0
    2025年08月30日

    Posted by ブクログ

    黒蟹県という架空の県に住む人たちのオムニバス。

    近隣の市となにかと仲が悪い、というのは高崎と前橋、大宮と浦和(同じさいたま市なのに)なんかのイメージだろうか
    宮城や岩手みたいに県庁所在地が圧倒的存在だと、険悪になりようがないからあんまりピンとこないものがあるが。
    ストーリーよりむしろ表現が面白くて

    0
    2025年07月17日

    Posted by ブクログ

    架空の地方に住む人たちの話で軽快。
    脇役で登場する人は地方にありがちな同じ苗字で、メインの人は聞き馴染みのない苗字。
    現実と架空をさまよう展開もだが、独特のユニークな表現もこの作家の魅力で、本作も冴えている。

    勉強机と壁の間には「消しゴムの墓場」が、洗濯機と壁の間には「靴下の墓場」がございますけれ

    0
    2025年02月15日

    Posted by ブクログ

    小説って基本フィクションなのに、こうも架空の地名、人名だらけだと物語に入っていき辛い。
    神の中途半端な感じが面白かった。
    「なんだかわからん木」「キビタキ街道」「神と提灯行列」が良かった。

    0
    2025年02月06日

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