【感想・ネタバレ】神と黒蟹県のレビュー

あらすじ

架空の県を舞台にした連作小説集

「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。

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Posted by ブクログ

全国ネットのテレビ番組や全国紙で報道されるのは、多くが48都道府県あるうちのほんの一部の都府県から見える景色。
でも、そうでない所から見える景色や、そうでない所で繰り広げられていることは確かにある。
それを大々的に可視化する必要はないかもしれないけど、ないことにしてはいけないなと思った。
と、たいそうなことを言いつつ、単純に面白かった。
神がお弁当の審査員になる話が一番好き。

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2024年11月28日

Posted by ブクログ

おもしろかった。
現実にちょっぴりのファンタジーという設定が好きだから刺さった。
神様出てくるし。

読み始めの話の主人公は赴任してきたばかりだったけれど、読んでいくうちに黒蟹県に親しみを持つようになってきた。

キャラクターにも親しみを持った。
映像で見てみたい気もする。

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

初めて絲山秋子さんを読みましたが、不思議な読書体験でした。

読み始めは馴染みのない田舎文化に入り込めず、期待外れかと思っていたのに、読み終わってみれば、なんだか懐かしさまで感じるほど親しんでいた。

ふとした場面にはっとする言葉が散りばめられていて、油断ならない。
こういうのが癖になるんだろうなと思います。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

黒蟹県(架空)を舞台にした短編8話。
独立した話ではなく、登場人物やお店の名前などは共通する。そして異彩を放つのは、所々に現れる神。
神も神だが、登場する人たちも総じて緩い。
読んでて楽しいとはこのことかな。
しかし一方で、教訓的なことや人生訓を想起させるような含蓄のある話もあり、飽きない内容だった

本文より、

世のおばちゃん方がなぜ飴を持ち歩き、人にくれたがるのか、やっとわかった。唾液の分泌が不安定でふとした弾みに口のなかがカラカラになっていることに気づくのだ。だから飴を持ち歩く。人にあげるということは自分でも舐めていいということだ。不調を隠しつつ愛嬌を前面に出して恩を売る。さっと差し出す迷いのなさと社会性の高さ。これこそがおばちゃんである。

閉経こそ赤飯を炊いたり鏡割りをしたり二階の屋根から餅を投げたりして祝うべきものではないだろうか。これからはいつだって温泉旅行に行けますから誘ってくださいねと紅白饅頭を配ってもいいのではないか。人からもらいたくはないけど。
まあ、それ以前に更年期症状でだるくて動きたくもないのだけれど。

人々は不便でも貧しくても変わらない暮らしが継続することを内心望んでいたりする。見た目の対称性や反復するリズムを好む。予測不能な自由より把握できる不自由を選んでしまう。それなのに退屈する。だからこそぎこちなさやためらい、突然現れる小さな反乱、不穏な気配、刺激に惹きつけられるのではないか。

そうなのか!(?)

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

⚫︎受け取ったメッセージ
神視点で「人々」を愛することを教えてくれるお話

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。

⚫︎感想
地方に、本当に居そうな様々な人々の生活の中に溶け込んで生活する神。神の優しい眼差しで人々を見る視点を与えてくれるので、人間が愛おしくなるお話だった。神が人々の生活に紛れ込んで生活するので、本当にこういうことがあるのだったら、人にはいつもいつも親切にしたいなぁと思ったり、自分も神視点で人々を眺めるといいかもしれないと思ったりした。
穏やかな気持ちになれるお話だった。
心に響く文にも出会えた。
表紙絵も、中の地図もたのしい!

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2024年03月02日

Posted by ブクログ

海の仙人が良かったので、続けて同じ作者さん。
やけにディティールが細かい架空の黒蟹県の人々。
内容も、架空のものと実在のものが入り混じり、これはどっちた??ってなりながら読むのが楽しい。
ないようは、本当になんてことはない、黒蟹県の住人たちの世界を覗き見しているような感じ。
その中に当たり前のようにファンタジーが混ざってるのも面白い。
いい意味で、毒にもクスリにもならない、でもところどころでくすりとなる、あっさり読後感な一冊。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

なんとも気楽で神様らしくない神様の登場は、黒蟹県の人々を俯瞰で見るような視点があって面白い。
絲山秋子氏の作品としては息抜きできるような軽い作風なので、半日で読み切ってしまうほど読みやすかった。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

黒蟹県という架空の県に住む人たちのオムニバス。

近隣の市となにかと仲が悪い、というのは高崎と前橋、大宮と浦和(同じさいたま市なのに)なんかのイメージだろうか
宮城や岩手みたいに県庁所在地が圧倒的存在だと、険悪になりようがないからあんまりピンとこないものがあるが。
ストーリーよりむしろ表現が面白くて笑った

下記は頼りにならない男三兄弟に囲まれる十和島所長の章。どれもおかしい

> 同窓会に行けば若作りでてかてか光っている人もおじいさんみたいにすっかりしぼんでしまった人もいる。決して中身を見てはいけない玉手箱みたいな人、埃を被った貯金箱みたいな人、ガレージの脇に放置されたソファみたいな人、ひび割れた長靴みたいな人、床の間の壺のような人もいる。
>

(恋愛について)
> あれって一体なんだったんですかね?わたくしのところには取説も施工説明書もきてなかったんですよ。工具も何もなしに、よその現場をちらっと見た記憶だけでパワーエートスの設置工事をするようなものです。
>

> 「親しくなる」と「つき合う」の間には何か部品をかまさなければいけなかったんですか。それとも養生さえしておけばそれでよかったんですか。「同衾」は同梱なんですかそれともオプションで別注なんですか。
>

部下の営業が顧客との連絡の行き違いを「最近水星が逆行してますからねえ」と煙に巻くなんていうのもおかしい。それで通用するんか!
「所長から怒られが発生しました」っていう言い回しが「賑わいの創出」と構造が同じ、と言うのもおかしい。

「赤い髪の男」はかつて海外で活躍する建築家だったが、恋愛リアリティ番組で恥をかいたことを気に病んでいる。出身校を「マサ工です」と言う。棚元県の昌森工業のことだと思わせて実はマサチューセッツ工科大学だ、なんていうところも架空と実在の校名が混じっていておかしい。

この小説は全編、この調子で架空の名詞と実在の名詞が混ざっている。県と市はもちろん、植物、方言、食べ物、店名など。よくこんなに「らしい」名前を思いつくなぁ。でも楽しいだろうなぁ。

絲山さんは転勤していたしドライブも好きだから、いろんな地をまわって「らしい」名前のストックがあるのかなぁ。

地図がある小説は好きではないのだが、これは例外。内容と立地はあまり関係ないので。

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2025年07月17日

Posted by ブクログ

架空の地方に住む人たちの話で軽快。
脇役で登場する人は地方にありがちな同じ苗字で、メインの人は聞き馴染みのない苗字。
現実と架空をさまよう展開もだが、独特のユニークな表現もこの作家の魅力で、本作も冴えている。

勉強机と壁の間には「消しゴムの墓場」が、洗濯機と壁の間には「靴下の墓場」がございますけれども

細やかな気遣いは出来ても思い切って空振りをすることは恐ろしくてできない。それを他人はケチというのだった。

廃業や精算はプラスには見えなくても、立派な仕事だと思う。時代をひとつ先に進めるために避けられないプロセスなのだ。
撤退の判断と実行こそ尊い。

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

小説って基本フィクションなのに、こうも架空の地名、人名だらけだと物語に入っていき辛い。
神の中途半端な感じが面白かった。
「なんだかわからん木」「キビタキ街道」「神と提灯行列」が良かった。

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2025年02月06日

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日本にある架空の県である黒蟹県を舞台に、その地域で暮らす人々と、人に紛れながら人々を見守る神様の話が書かれた短編集。お話ごとに主人公が変わり、別のお話で少し顔を見せたりする。黒蟹県での当たり前の生活が書かれている印象。

お話の中に実在の単語と架空の単語が混ざって登場し、各話の最後に黒蟹辞書として、お話し中に出た一部の単語が実在/架空であるかの解説がされる。これが答え合わせのようで、個人的にはちょっと面白かった。

お話では、人に頼まれてお弁当の審査員をすることになった神様が弁当とは何か、を考える「神とお弁当」が好みだった。確かに神様ならヒトの弁当ってのはもらえないよなぁ。

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2025年01月19日

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架空の街で様々な経験をしていく神と、普通の人々を描いた作品。つかみ所のない日々の感情を的確にことばに著してくれていて、ありがたい。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

架空の地方都市を舞台にした短編連作。
地方の市井の人々の生活を描いているかと思えば、ふいにファンタジー(といってもかなり地味な)が入り混じる。全てが架空なのだが、その中に確実にある人間の感情が提示される。

結婚せず真面目に働いて定年近くになった女性の感慨。
地方特有の人間関係の温かさもあれば、ホモソーシャル的関係や「町の偉人」をお祭りにしたてる自治体への冷めた目。

一話ごとに出てくるモノが架空の設定か実在するものか、解説があるのも面白かった。

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

愛ある毒舌が癒しを生み、日常に潜むユートピアを浮き彫りにする。著者が楽しみながら書いている様子が伺えて、読んでいて心地よい。

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2024年08月13日

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どこかに現存してそうなリアリティのあるフィクション。出てくる神は人間味あふれてていいな。絲山さんの作品好き。

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2024年07月02日

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黒蟹県という架空の都市を舞台にした、そこに住む人々の短編集。
なんとなく想像はできつつもつまるところ絵を結ばないが雰囲気だけは想像できる世界。架空と現実とがいい具合に混ざっているので、全く存在しないことであってもすんなりと読めてしまう。話の終わりに用意された黒蟹辞典でそれが架空が実際かを判断して、架空であれば頷き実際であって驚く。いかに自分がよくわからいものでも想像で補完して読み進めているのだと実感する。
神という立ち位置はその地に存在し生活をしながら、そこで実際に生きる人とは指先で触れ合うような関わりをする。神にとっては薄い紙越しに見る世界なのかもしれない。だから関わって仕舞えばそれは誰かの見た夢になるのだろう。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

“黒蟹県”なる架空の微妙な県を舞台に、普通の人々と半知半能の神が普通に関わったり関わらなかったりする八編からなる短編集。各編で登場人物が変わったり、神が主人公になったり、前の編の主人公が後の主人公と関わったりして、黒蟹県のリアリティが補強されていき、架空と現実が混じり合って、なんとも不可思議な黒蟹ワールドを構築している。
植物とか鉱石とか機械とかの名前がサラッと出てくるけど、それが架空だったり、実物だったりして、各編の最後に辞書索引みたく、文中の単語が引かれていて、架空か実物かを解説しているのもクスリとさせられる。なんとも不思議な本だなと思ったら、作者さんの過去作には神が出てくるのが多いらしく、お得意の手法と言えるのかもしれない。誤解を恐れず言えば、長嶋有+万城目学的世界観というか(逆にわからん)。
基本とぼけたような静かな文体で、登場人物や登場神には何も起こらないようでいて、心の中のザワザワやモヤモヤを静かに炙り出していく。全体的には前半軽やかでクスリな場面が多く、後半はちょいと重めな雰囲気になってくる。そして最後は、まぁ、そこは読んでみてはのお楽しみ。
個人的には「なんだかわからん木」がぐっときた。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

架空の黒蟹県を舞台にした連作短編集。
最初の『黒蟹営業所』を読んだときは「これ面白いのかなぁ」と、ちょっと思った。
でも次の『忸怩たる神』から、じわじわと面白くなる。個人的に好きなのは『なんかわからん木』
あと黒蟹辞典も好き。本文を読みながら「これ絶対、架空のものだろー」と思ったものが実在したり、逆に実在するものが架空のものに思えてきたり。そういう体験も面白かった。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

絲山秋子さん好きにはたまらない魅力が詰まった作品です。ファンタジーですが、細部の地方都市のリアリティが抜群にうまい。黒蟹辞典と地図で何時間でも妄想が掻き立てられます。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

まったく架空の地なんだがいかにも郷土史とか銘菓名産等ありそうで、こういう作品大好き!
隣と町や市との関係とか、ジワジワ来る。あの人がここに!という私の好きな連作短編集

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

好きです。
架空の県に住まう人々の日々。そして神。あるあるのようでいてフィクション。架空と実在の物の名前が混在していて楽しいです。
ストーリー的に面白いというより、完全に文章を楽しむ本。絲山さんのセンスにハマるか否かでしょうか。
雉倉さんのおばちゃんとの付き合い方とか、十和島さんの町内会のやりとり、赤髪の男のスタンス、そして所々の神。淡々としているようで、確かにと思う所もあり、ユーモラスな文章が好きです。
楽しい読書時間だったけれど、時間を経たら内容絶対忘れちゃう〜。刹那的。☆3.5

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

架空の『微妙に』『地味』な県、黒蟹県を舞台にした連作集。

癖の強い市長がいて、地域同士の確執があり、めんどくさい地域もあればこれといった特徴もない地域もある。
移住してくる人、生まれた時から住んでいる人、一度出て行ってまた戻ってきた人、様々な人がいてその中に神が交わる。

架空の場所や物と実在の物が交わるように、人々の人生のリアルな部分と神のとぼけた部分が交わる。

先の話に出てきた名前だけの登場人物の物語が後に出てきたり、脇役で出てきた人が後に主人公となって描かれたり、様々な視点で楽しめるのも連作集の楽しいところ。
黒蟹県の様々な地域の様々な人たちの物語が多視点で楽しめた。
時折出てくる神のキャラクターが良かった。神なのに何でも出来るわけでも何でもお見通しというわけではないところが良い。

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれ、初めて絲山さんの作品を読みました。すごく不思議な内容でしたが、登場人物のセリフがとても心に刺さったり説得力があったりし、現実的な部分と架空の部分の線引きが絶妙でした。

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地方に暮らすいろんな人と神のお話。
地方(田舎の方)に暮らす人の感覚とかすごくわかるなぁと。
黒蟹は、なんとなく北陸のイメージで読んでしまいました。

赤い髪の彼の話が1番好きだったかな。

割と長い時間軸で色んな人を見たので面白かったです。
あと絲山さんの文章は、途中でメモしたいワードがたくさん。おばさん、おばあさんである時間の長さとか。『賑わいの創出』と『怒られの発生』とか。ヤンキーの世襲とか。面白かったなぁ。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

旅する感があります。

神さま…と。
章末の黒蟹辞典が面白い。
架と、実。

キリ蕎麦と、テラ蕎麦。
架の方言。
落雁と、きんつば。
所々登場の神。
お弁当コンテスト。

『なんだかわからん木』
『赤い髪の男』
が、よかった。

そして、神は⁉︎

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2024年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ほんとにありそう!と思える設定の細かさがすごい。出てくる人がちょっとずつ交わる(コーキと再会,とかはない)感じが絲山さんらしい。何ともほっこりした読後感。

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2024年07月01日

Posted by ブクログ

地味で微妙な架空の県、黒蟹県。架空なのに、というか架空ゆえに、リアリティがありすぎる。誰もが「あの地域かな?」と自分の知っている地名を思い浮かべたくなるような、地味でありがちな日常。
各章ごとにその回に出てきた言葉の辞典がついているが、それが架空のものと現実のものがないまぜになっていて面白い。
「半知半能の神」がときどき出てきて、でもすごいことが起きるわけでもなくて、どこで暮らしても人間ってなんかみんな同じような感じで変だよな。。
と混乱してくる。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

架空の黒蟹県を作り、よくある隣市との小競り合いなどを描いた作品。架空とはいえ作り込みががしっかりしているのでもう少し物語を広がらせても良かったのにと少し残念で勿体無いような気がした。面白い作品だった。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

黒蟹県!? 三ヶ日凡(みつかび なみ)が主人公のフィクションかと思いきや、黒蟹県なる架空の県とこの県に御座す神が主人公?の連作短編集でした。聞きなれない言葉や単語が出てくると思ったらしっかり各章の最後に黒蟹辞典なるものが付いており架空のものと実在するものが解るようになっていました。そして、最後のほうは脳が勝手に本当にある県だとバグっていました。神様もなんか勝手に県内を人間として散策してるし。神様、自分のした行いに拒絶して勝手に世界を滅ぼそうとしないで(笑)

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2024年02月14日

Posted by ブクログ

黒蟹県の人々と神の視点から、黒蟹県を描写する。

物語自体は全く普遍的だが、黒蟹県人の地域的な視点、ひいては個人視点と、それらを俯瞰した神の視点により、普遍的な風景から重要なことが浮かび上がってくる。

売却済

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2025年06月30日

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