女の子たち風船爆弾をつくる

女の子たち風船爆弾をつくる

2,600円 (税込)

13pt

少女たちの知られざる戦争体験

日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。
できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。
彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。
しかし、少しずつでも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。
冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。
やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。
来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。
それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。
ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。
いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。
彼女たちは今日からここで風船爆弾を作るのだ……。

膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。

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女の子たち風船爆弾をつくる のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    これは今年1番かもしれない。読んで良かった1冊。1人でも多くの人に読んでもらいたい本。普通の日常から、段々と戦争に巻き込まれていく様が、心の描写が丁寧に繊細に静かに語られていく。恥ずかしながら風船爆弾の事はこの本で初めて知った。風船爆弾だけではなく、自分はまだまだ知らないことばかりだと痛感した。

    0
    2025年09月18日

    Posted by ブクログ

    ものすごい本。知らないことばかり。
    戦争がはじまる前の社会の雰囲気や、そこでの普通の私たちのたわいもない日常が、とても細やかに描かれていて、段々と段々と、戦時中になっていったんだ、ということが染み入った。私だったかもしれない、わたしたち。まず忘れ去られるような、小さな小さな市民の具体的な記憶を、こん

    0
    2025年09月13日

    Posted by ブクログ

    すさまじい傑作!
    毎日出版文化賞らしいが、そんなことより、もっと話題になって、大ヒット作になるべき!



    まず最初に、本作の先見性について指摘しておく。

    本作では、「わたしたち」という主語が多用される。
    「わたしたち」が指す対象が、一文ごとに、変化したり、二重・三重の意味があったりする。
    その

    0
    2025年08月03日

    Posted by ブクログ

    すごい本を読んだ。
    かつての東京宝塚劇場、中外火工品株式会社日比谷第一工場に集められた「わたし」たちは「ふ号兵器」、風船爆弾の製造に従事する。

    最初は「わたしは、ドキドキする。わたしは、わくわくする。わたしは、そのどちらでもない。」とか「わたしたちの兵隊」とか「わたしたちの朝鮮の首都」といった文章

    0
    2025年06月15日

    Posted by ブクログ

    風船爆弾について知りたくて手にした。
    勤労動員で東京宝塚劇場に集められた女学生たち。彼女たちが作ったものは秘密兵器「ふ号」と呼ばれる風船爆弾だった。

    何不自由ない女学生生活を送っていた彼女たち(雙葉、跡見、麹町・・)は次第に戦争に巻き込まれていく。憧れの制服は国民服に、聖書でなく「教育勅語」を読む

    0
    2025年06月14日

    Posted by ブクログ

    宝塚歌劇団と戦前からそれを観劇できるような中産階級の少女たち。彼女らを軸に戦前・戦中・戦後の日本を、彼女たちを取り巻く環境や彼女たち自身が次々と塗り替えられていく様を、詩のリズムで歌のリズムで、静かにしかし目をそらすことなく描いていく。新しい歴史の語り方に出会ったような気がする。

    0
    2025年03月19日

    Posted by ブクログ

    わたしたちの〇〇…というフレーズが幾度となく印象的に使われており、ドキッとした。
    戦争の話となると、近しい現実であるのにどこかパラレルワールドの話のように感じてしまうのだが、「わたしたちの〇〇」により、いつの間にか自分の事のように恐怖や洗脳、胸の高鳴り、不快や悲しみなど言葉には言い表せない感情がなだ

    0
    2025年02月24日

    Posted by ブクログ

    「わたしは」「わたしは」「わたしたちは」
    いつまでも青春の只中にあるあの日の少女たちは

    こんな小説初めて読んだ。
    個人が主人公でもない。主人公はいるかもしれないし、いないかもしれない。わたしは、わたしたちは、といった主語で綴られていく、確かにあった記憶の数々。
    少女たちの戦争は、たとえ形式的に戦争

    0
    2024年10月16日

    Posted by ブクログ

    膨大な資料や証言を元に「名もない」女の子たちの戦争体験をつづった圧巻の書。
    これまでも戦争の話は聞いたり読んだりしてきたと思っていたけど、まだ全然足りてなかった。女性の、弱い立場の人たちの体験、被害者であると同時に加害者でもあるということ。
    他人事ではないし、「かつて」の話でもない。戦争は、今を生き

    0
    2024年09月14日

    Posted by ブクログ

    関東大震災以降、長く続いた先の戦争の時代、さらに戦後から現代に至るまで、権力側ではない市井の人々が、権力側の人々により翻弄された(というか、破壊された)生活を、今も変わらず差別されている人たち(少女)からの視点で描かれてる

    事実をもとに描かれてる(と思う)、ただ表現の仕方に、読んでて初めは戸惑った

    0
    2024年09月05日

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