経済や社会構造、価値観の変化により、シングル(結婚していない人、離婚した人、パートナーに先立たれるなどして独身になった人)が増え、そもそも、結婚を選ばない人も増えてきている。
日本では、国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、男性の約30%、女性の26%は恋愛をしたいとも思っていないと回答してい
...続きを読むるそうだ。
本書は、そんなシングルの増加している世界において、幸福に生きているシングルがいること、そして、シングルが幸福に生きるには、どうすればいいのかを教えてくれる。
幸福なシングルたちは、必要なソーシャルサポートを家族以外に、友人やオンラインなどいろいろなところから得るようにしていたり、仕事と生活のバランスをとり、健康や学びに時間を使うようにしているなど、結婚を選ぶにしても、参考になるようなアドバイスだと感じた。
そもそも、結婚を選ぶ人は、孤独を恐れることに動機があることも多いが、結婚は孤独の解決に必ずしもならないと指摘されている。
また、シングルであることは、未熟であると見なされ、結婚を前提とした制度設計など、独身差別の存在もあることも指摘されている。
この指摘は、個人的に刺さるところがあった。
パートナーが欲しいという動機の半分以上は、将来、独りぼっちになることがこわいことや、パートナーがいないこと=未熟と見なされることが嫌だということがあるからだ。
実際、以前、「結婚もしていないし、子供いないからまだまだ(未熟)だ。」と言われたこともある。
今思えば、列記とした独身差別を受けたということだろう。
また、行政的に考えると本書は考えさせられることもあった。
少子高齢化、人口減少対策として、婚活支援や子育て支援を重視する風潮は、視点を変えてみると、独身差別を助長していると考えることもできるように思った。
いろいろな面で学びが多く、考えさせられる本だった。