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Posted by ブクログ
水俣被害がこんなにも複雑な事件だったなんて
まったく知らなかった
高度経済成長期の真っ只中、国は未来を担う企業としてチッソを擁護、チッソは廃水のことを知りながらも廃水を流し続ける、地域住民は仕事を失うことを恐れ病を隠したり被害者を差別した者も数多くいた
負のスパイラルがすべてを飲み込み、未曾有の惨劇となった
本書は“水俣被害”を中心に、報道カメラマン ユージン・スミスと水俣によって人生の扉を開いたアイリーンの3つが重なり合う
ユージンの生い立ちから第二次大戦で戦場カメラマンとしての功績とその後の苦悩、ハーフに負い目を感じていたアイリーンがアイデンティティを確立する過程が描かれ、すべてが水俣に集結する
水俣闘争はあまりにも深く悲惨な事件
たしかにユージンの写真はものすごいインパクトがあり、一瞬にして公害の恐ろしさが伝わる
ユージンが撮った水俣被害の写真は世界的に有名になった、けれどその影で辛い思いをしている人たちも少なからずいる
被写体になった水俣の人たちはいつまでも悲惨な姿を写した写真を見せたいだろうか
公害は恐ろしい、こんなことあってはならない
世界はSDGsな社会を目指している、SDGs自体には賛成だけど過去を見過ごしての未来はあり得ないと思う
水俣被害の闘争はまだ続いている
Posted by ブクログ
映画MINAMATAから来た。圧倒的衝撃力で突き刺さった今年No. 1候補。こんなにも突き刺さったのは、何も知らずに生きてきた自分のなんというか無力感でもあった。教科書的なことしか知らないから、この非情な現実も会社や国の態度もそこで生きる人たちの葛藤もそしてそこに共に生きた写真家のことも、その全てに衝撃。そこで今も必死に生きる人々も、狂気的写真家ユージンも共に水俣を生きたアイリーンも、その必死な生き方が伝わる。
本の最初に差し込まれている数枚の写真に関する物語。最後の写真(それは水俣写真集の最後の写真でもある)の意味。ユージンが過去に賞賛を浴びた「楽園への歩み)との対比。ユージンと著者が問いかける、水俣からの学びは、少なくとも僕にはこれまで生かされていなかった。現代社会にはどうだろうか。月並みな表現力が歯痒いけど、出会えて良かった本。出会わなければいけなかった本。
Posted by ブクログ
映画『MINAMATA』をきっかけに読んだ。映画より本のほうがあとに書かれているが、取材は14年以上前まで遡る。アイリーンとユージン、それぞれの個人史や水俣病前史まで、映画の時間軸よりずっと長く書かれている。アイリーンの家族の歴史もかなり遡って掘り下げられていて、それだけで一遍の映画ができそうだ。
映画がどこを脚色しているかも、ある程度わかる。アイリーンとユージンの結婚までのいきさつはほぼフィクション。暗室の火事もたぶんフィクション。一方で、ユージンがチッソで受けた暴行は、映像より実際のほうが過酷だ。少しショックだったのは“水俣のピエタ”と呼ばれた有名な写真は、被写体家族の意思に反して使われたということ。アイリーンは長く封印していた使用許可を、この映画には出した。俳優による映像の再現度もかなり高かったから、実物を使わない選択もあったと思う。
水俣病の発見から認定、保障の闘争も、詳しく、しかし手際よくまとめられていて、改めてその苦闘を思い知らされる。これを読むと、水俣市が映画上映を後援しなかった事情、一方でつなぎ美術館は上映した事情もおぼろげに見えてくる。
読みやすく心をつかまれるノンフィクションで、映画を観て水俣に改めて関心を持った人には一読を勧めたい。そしてもう一本の映画『水俣曼荼羅』も観たくなった。
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