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東海道から身延山道に入った万沢宿にある旅籠・にべ屋。 関ケ原の大戦から十五年、にべ屋のような小さな宿屋にも、御上の探索方が探りを入れに来たり、素性の知れないお侍が訪れたり。今日もにべ屋には厄介事が持ち込まれて……。
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Posted by ブクログ
なんだ、この胸震える短編は?と作者作品を見たら『まいまいつぶろ』の方だった。またも主従の情に泣かされてしまった。『牛太郎の系図』の余韻がなかなか消えず、息子にああでこうでと話してしまった。時代小説はたくさん読んできたが、『牛太郎の系図』のような話は初めて読んだ。続編が是非読みたい。
出自通りの人生でなく武士も町人も入り混じって懸命に生きる。身分がくっきり分かたれていたというイメージはどうやら違うらしい。
江戸の初めの街道(身延道、万沢)にある旅籠を舞台にしているが、単なる人情物の連作短編集ではなく、若主人の出自も絡めて、戦さが身近であった時代の侍、商人、百姓の生き様や生き方の選択とその背景となる覚悟を描く。
江戸時代の初期という、今まで自分が読んだ事のない時代で新鮮だった。 主人公の智吉の出自の謎が最後まで物語を転回させていて引き込ませてくれる。
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