小説 - 文春e-book作品一覧

  • 魔女の原罪
    3.8
    変死事件で暴かれる町の秘密 法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。 一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。 僕(宏哉)と杏梨は、週に3回クリニックで人工透析治療を受けなければならない。そうしないと生命を維持できないからだ。ベッドを並べて透析を受ける時間は暇で、ぼくらは学校の噂話をして時間を潰す。 僕らの通う鏡沢高校には校則がない。ただし、入学式のときに生徒手帳とともに分厚い六法を受け取る。校内のいたるところには監視カメラが設置されてもいる。 髪色も服装も自由だし、タピオカミルクティーを持ち込んだって誰にも何も言われない。すべてが個人の自由だけれども、“法律”だけは犯してはいけないのだ。 一見奇妙に見えるかもしれないが、僕らにとってはいたって普通のことだ。しかし、ある変死事件をきっかけに、鏡沢高校、そして僕らが住む街の秘密が暴かれていく――。 『法廷遊戯』が映画化され注目を集める現役弁護士作家の特殊設定リーガルミステリー。
  • 本売る日々
    4.0
    1巻1,800円 (税込)
    江戸時代の豊かさは、村にこそ在り。 本を行商して歩く私が見たものは、本を愛し、知識を欲し、人生を謳歌する人々だった。 柴田錬三郎賞&中央公論文芸賞受賞の著者、最新刊! 本屋の私が行商に出向いたのは、孫ほどの娘を後添えに迎えた名主宅。披露した画譜が無くなり、彼女が盗んだとしか思えないのだが…。 目次 本売る日々 鬼に喰われた女(ひと) 初めての開板
  • パーマネント・ブルー
    4.0
    1巻1,800円 (税込)
    圧巻の青春小説、EXILE橘ケンチついに小説家デビュー! ダンスに焦がれ、人生を懸けると決めた。昂る想いを胸に、夢を追った。実体験をもとに紡がれた、狂おしいほどに熱い日々の物語。 あの時、一歩を踏み出したから今がある――! EXILE、そしてEXILE THE SECONDのパフォーマーとして活躍中の橘ケンチさんにはそんな想いがあるそうです。 「あの時」とは、ダンスにハマって夢中で練習し続けた大学生の頃。 ダンス仲間の友だちは一人抜け、二人抜け、皆、就職活動を始めていく。でも俺は、もっと上を目指したい! そんな想いを主人公・賢太に重ね、彼らを応援するかのように、3年の月日をかけて書き上げられたのがこの物語です。 賢太は、奇跡的にめぐり逢えた仲間とともにダンスチーム「PRIMAL IMPACT」を結成。地元横須賀から横浜、東京へと活躍の場を拡げていきながら、自分を見つめ葛藤し、夢に向けて走り続ける……。狂おしいほどに熱い青春小説を、みなさんにもお楽しみ頂けたら幸いです。
  • ラーメンカレー
    3.7
    1巻1,800円 (税込)
    「すべての出会いは運命的だ」 35歳、9月。ロンドンで高校の同級生の結婚式に参加した。 仁と茜の夫婦は、茜の古い友達を訪ねてペルージャまで足を延ばす。 そして窓目くんは、結婚式でシルヴィに出会ってしまったのだった。 ――言葉と記憶があふれだす、旅の連作短編集。
  • ある愛の寓話
    4.1
    1巻1,800円 (税込)
    村山由佳 デビュー30年記念作品 原点回帰にして到達点。猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、圧倒的な熱量をはらんだ作品集です。 収録作品 晴れた空の下 同じ夢 世界を取り戻す グレイ・レディ 乗る女 訪れ
  • 嘘つきジェンガ
    4.0
    1巻1,800円 (税込)
    つい重ねてしまった嘘の先に…… 『鍵のない夢を見る』から10年、辻村深月が詐欺を描く。幸せが欲しくて嘘にすがりついてしまう人間の哀しみが、心に迫る3篇。
  • ブータン、世界でいちばん幸せな女の子
    3.8
    忘れられていた「ブータン」は、中学の同級生だった。アラフォーになった彼女は、出会った人たちに幸せを運んでくれている……。 せつなさに胸が熱くなる、女ともだちの物語。 いつの頃からか、私は生涯の友というものを望まなくなった。女はいっときの悩みを共有できるともだちがいればじゅうぶんなのだ……。 四十を過ぎて、そんなことを思っていた頃、伯父の介護に通っていた病院の玄関を出ようとしたら、「覚えてない? この顔」と、嬉しそうに駆け寄ってきた女性がいた。 彼女の名前は、丹野朋子さん。中学の同級生で、昔は存在感ゼロだった。ブタみたいに太っていたので、「ブータン」と呼ばれていた。 アラフォーになって再会した彼女は、ブータンという国に暮らしている人びとのように、世界一幸せ度の高い人間になるというのが、人生の目標になっていた。そして彼女は、夢を実現しているらしい。 ブータンに強引に連れられて、私は生まれて初めてカラオケボックスに行った。深呼吸するように、自分の思いを吐き出していた……。(「ブータンの歌」より) 不思議な存在感のある「ブータン」をめぐって、さまざまな女性たちの人生が交錯する。懐かしい同窓会のような物語。
  • スタッフロール
    3.6
    1巻1,800円 (税込)
    戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。 脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。 CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。 特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。
  • 陽だまりに至る病
    3.7
    あなたのお父さんは、殺人犯なの――? ネグレクト、貧困、そしてコロナが少女たちを追い詰める。 タイトルの真の意味がわかると、きっと胸が熱くなる。 現代社会の闇に迫る切ない社会派ミステリー 小学五年生の咲陽は、「父親が仕事で帰ってこない」という同級生の小夜子を心配して家に連れ帰る。 だが、コロナを心配する母親に小夜子のことを言いだせないまま、自分の部屋に匿うことに。 翌日、小夜子を探しているという刑事が咲陽の家を訪ねてくる。 小夜子の父親が、ラブホテルで起きた殺人事件の犯人ではないかと疑念を抱く咲陽だが――。 『希望が死んだ夜に』で「子どもの貧困問題」に、 続く『あの子の殺人計画』で「子どもの虐待」に迫った〈仲田・真壁〉の神奈川県警刑事コンビが、 次は「コロナと貧困」の陰で起こった事件に挑む。 話題の社会派ミステリー第3弾!
  • 捜査線上の夕映え
    3.9
    「臨床犯罪学者 火村英生シリーズ」誕生から30年! 最新長編は、圧倒的にエモーショナルな本格ミステリ。 一見ありふれた殺人事件のはずだった。火村の登場で、この物語は「ファンタジー」となる。 大阪の場末のマンションの一室で、男が鈍器で殴り殺された。金銭の貸し借りや異性関係のトラブルで、容疑者が浮上するも……。 「俺が名探偵の役目を果たせるかどうか、今回は怪しい」 火村を追い詰めた、不気味なジョーカーの存在とは――。 コロナ禍を生きる火村と推理作家アリスが、ある場所で直面した夕景は、佳き日の終わりか、明日への希望か――。
  • アスベストス
    3.5
    1巻1,800円 (税込)
    何で自分が? 長い時間をかけて迫りくる「静かな時限爆弾」・石綿(アスベスト)によって奪われた平穏な人生。 仙台、ロンドン、東京、尼崎――自身も患者である作家が現場を歩いて綴った連作小説。 かつて建築資材などに広く使われていたアスベスト(石綿)。 その細かい繊維を肺に吸い込むことで、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。 著者は若い頃、電気工事工として働く中、現場でアスベストを吸い込み、今なお後遺症を抱えている。 その経験をノンフィクションとして、『石の肺―僕のアスベスト履歴書』に書いたが、本書はその小説版と言える。 仙台、ロンドン、東京、尼崎とアスベストの被害に苦しむ人びとの運命を綴った連作小説集。 行政の対応が後手に廻り、結果として弱い個人が犠牲となっていく構図は、コロナ禍にも通じるものがある。
  • 赫衣の闇
    3.7
    ……じた、じた、じたっ。湿った地面を踏み締めながら、どこまでもおいかけてくる――闇市の路地に巣食う真っ赤な怪人の謎。 舞台は敗戦直後の東京。物理波矢多シリーズ最新作となる、渾身の書下ろし長編ホラーミステリー!! 「赤迷路」の通称を持つ闇市に、若い女性を付け回す怪人「赫衣(あかごろも)」が出没するという。 『黒面の狐』事件後、友からの依頼でその真相を探る物理波矢多(もとろいはやた)は、 闇市「赤迷路」に巣食う怪人「赫衣」の正体を調べるなかで、凄惨な殺人事件に遭遇する。 炭鉱を突如襲った連続怪死事件を追う――『黒面の狐』、 灯台に憑いた怪異は時を超える――『白魔の塔』 に連なる、ホラーミステリーの名手、シリーズ第3弾! 物理波矢多:満州の建国大学に学び五族協和の理想を求めたが、敗戦に接して深い虚無に囚われ、以後は国の復興を土台で支える職を求めようとする。
  • ブラックノイズ 荒聞
    3.0
    『リング』と『哭声/コクソン』を融合させた作品と地元メディア絶賛! 台湾モダンホラーの決定版が満を持して登場。 どこからか聞こえてくるあの声――“ミナコ”とは誰なのか? 台湾でドラマ化進行中! タクシー運転手の呉士盛(ウー・シーシェン)は人身事故を起こして借金に追われ、娘は家出し、妻とも言い争いが絶えない。 ある日、タクシーの溜まり場に放置されていた車の中で古いカセットテープレコーダーを見つけ、 何気なく再生ボタンを押すと男のかすれた声が漏れてきた。 「……ミナコ?」 士盛の妻は最近、ひどい耳鳴りに悩まされていた。 耳鳴りはやがて台湾語や日本語が混ざった幻聴となり、ある夜ついに幻聴と幻覚に操られ、自宅の屋上から墜落し重傷を負う。 病院に駆け付けた士盛はその帰りに、気味の悪い道尼をタクシーに乗せる。 道尼は士盛に、「早く穢れを解かなければ、妻は死ぬ」と告げた。 妻は「ミナコが私と娘を殺しに来る」と言い続け、精神科病棟に隔離された夜、 首を 180 度捻じ曲げた異様な状態で死んでいるのが発見される! 妻の死に、謎の声が囁く「ミナコ」が関わっていると直感した士盛は道尼から聞き出した 「毒を持って毒を制する」呪法を用いて悪霊を倒すべく、玉山(新高山)西峰の悪霊の棲家を目指す。
  • 遺言 野村克也が最期の1年に語ったこと
    4.5
    2020年2月に亡くなった、名将・野村克也氏。 著者は元サンケイ・スポーツの記者で、ヤクルト時代に野村監督を担当。その縁で交流が続き、 沙知代夫人が亡くなった後のおよそ1年間、野村氏の“最後の話し相手”となった。 ノムさん晩年の語録── 「沙知代には『オレより先に逝くなよ』と言い過ぎたのかな……」 「長嶋より先には死ねん! これまでずっと長嶋には負けたくないと思って生きてきたんだから。やっぱり最期も、長嶋より後がいい」 「銀座のクラブで一緒に飲んだとき『王に抜かれる』と思った」 「監督になるなんて、思ったこともなかった。おふくろに連絡を入れたら、“おまえ、引き受けちゃダメだよ。そんな大役、おまえにできるわけがない”って止められた。身内からも期待されていなかったんだ。大学出じゃない。派閥もない。人望もないしな」 「父親を早くに亡くしたから、どういう父親になればいいか、さっぱり分からなくて、不安やった。いつも自信がなかった。 “ふつうの父親というのはこういうものだ”ということが、心でわからんのや。やってもらったことがないから。 自分の中に“父親とはこうあるべき”という柱がない。克則にとっていい父親だったか、わからんな。いまでも」 「東京五輪の監督は、ワシではダメなのか?」 「克則監督の胴上げを見て、ぽっくり死にたい」 長嶋との久々の、そして最後の握手、 伊藤智仁、川崎憲次郎ら“教え子”との同窓会、 そして野村は、死のおよそ1年前、前妻との間の息子と克則を引き合わせていた……。 野村克也が、他の誰にも語らなかった「本音」であり、「遺言」である――
  • 枝の家
    -
    1巻1,800円 (税込)
    老夫婦が暮らす郊外の平凡な家にふと現れる、怪しきものの影――「老い」や「記憶」をテーマにしながら、リアリズム小説でもあり幻想譚でもあるような文学の深みを覗かせる。練達の技で磨き上げられた八編の小宇宙。
  • 彼岸花が咲く島
    3.8
    1巻1,800円 (税込)
    その島では〈ニホン語〉と〈女語〉が話されていた 記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
  • 零の晩夏
    4.2
    1巻1,800円 (税込)
    岩井俊二が描く、生と死の輪郭線。 モデルが例外なく死に至るという“死神”の異名を持つ謎の絵師ナユタ。その作品の裏側にある禁断の世界とは。渾身の美術ミステリー。
  • 英文学教授が教えたがる名作の英語
    5.0
    フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ポー、村上春樹―― 「黄金の抜粋」で出会う本物の英語! カンタンな英文だけでは、英語を操るための「体幹」が身につきません。 歯ごたえたっぷりの名作には、英語的感覚を身につけるためのお役立ちヒントがたっぷり。 時代背景や小説のルールなど丁寧に解説し、和訳、語注や文法の説明も充実。読むための入り口までご案内します。昔から気になっていたけど、なかなか手に取れなかったという有名作品の原文をこの機会に是非。 読んでみると、やっぱりおもしろい! おかしい! 怖い! おもしろくて読む英語は、次のステップにつながります。読まずにいるのはもったいない。 東京大学英文学教授による、英米文学講義。 『老人と海』、 『高慢と偏見』、 「黒猫」、 『ガリヴァー旅行記』、 『ロビンソン・クルーソー』…… 「本物の英語」を読む! これがあのガリヴァーですか。 ロビンソン・クルーソーはこんな人でしたか。 『高慢と偏見』の恋愛術がすごい。 「黒猫」、キモチ悪い。 百聞は一見にしかず。 気になるあの名作に、なまの目で触れてみてください。 ――この本は、もっと英語を読めるようになりたいという人に、おすすめの入口を提供する本です。(「はじめに」より)
  • キャッシー
    3.0
    1巻1,800円 (税込)
    一人のアイドルの輝ける愛、そして復讐 さえない少女はいかにアイドルとして生まれ変わったのか。誰よりもアイドルの深奥を知る作者が放つ比類なきドラマ。装画・のん。
  • 眠れる美男
    -
    川端康成の『眠れる美女』は、高齢男性の性を扱った。 それから60年。川端を敬愛する台湾の第一線女性作家が正反対の方向からタブーに挑んだ。 すなわち、高齢女性の性に正面から挑んだのである―― 元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷は、行きつけのフィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。 少数民族の出身で、眉目秀麗な彼―パンの、色白の肌の下に潜んだしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。 そしてある夜、パンを別荘に招いた殷殷は、彼に眠り薬を盛るのだった…… 〈本書は長くタブーだった高齢女性のエロティシズムを扱った、きわめて挑戦的な作品だ〉(上野千鶴子・東京大学名誉教授)
  • オペレーション雷撃
    4.0
    1巻1,800円 (税込)
    日本最西端の島に漂着した一隻の潜水艇。 孤島に強行着陸した 「琉球独立団」を名乗る謎の武装組織。 彼らが狙うのは、そう、〈あの島〉――。 国防最前線を知り尽くした自衛隊元陸将が初めて書き下ろした シミュレーション小説! 二つの軍事作戦をめぐり、 台湾海峡に緊張をはらむ中、 米中、そして日本の暗闘が始まる。 迫真の諜報・特殊作戦スペクタルロマン。 電磁攻撃によって、宮古島と石垣島の間に浮かぶ 孤島・多良間島を占拠した謎の武装組織は何を目指しているのか。 東京、沖縄、北京、大連、さらにはアフリカ・エチオピア、ジブチを舞台に、 日本、中国、米国各政府の思惑を同時進行的に描く。 アメリカ大統領選をめぐる混迷、緊張感を増す台湾海峡の情勢――。 風雲急を告げる現実世界との類似も感じさせながら、 陸上自衛隊の緻密な戦略分析、政府の意思決定手続きなど、 特殊作戦群の創設にもかかわった著者ならではの記述が冴える。
  • 絵ことば又兵衛
    4.4
    1巻1,800円 (税込)
    最近の学説では「浮世絵の祖」といわれ、また「奇想の絵師」のひとりとして江戸絵画で注目の絵師・岩佐又兵衛を正面から描く、力作長編。 母のお葉とともに暮らす又兵衛は、寺の下働きをしていたが、生来、吃音が激しく、ままならぬ日常を送っていた。そんなある日、寺の襖絵を描きに来た絵師・土佐光信と出会い、絵を描く喜びを知る。 その後、自分の出自を知らぬ又兵衛は何者かに追われ京に移るが、新たに狩野派で学ぶ機会を得て、兄弟子でもあり師ともいえる狩野内膳と出会い、更なる絵の研鑽を積む。しかしある日、何者かに母を殺される。 その後もなんとか絵の道で生きていた又兵衛だったが、じつは自分の父は荒木村重であること、母だと思っていたお葉はもともと乳母で、しかも彼女を殺した首謀者が村重だったことを知る。 母を想い、父を恨み、人と関わることも不得手な又兵衛にあるのは、絵だけだった――。
  • 世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち
    4.0
    映画『ソーシャル・ネットワーク』後日譚。 ザッカーバーグを訴え、65億円をかっぱいだ怪人ウィンクルボス兄弟。 仮想通貨の黎明期、ビットコインに巨額のカネをつっこみ、世界第4位の仮想通貨長者となった兄弟の奮闘を描き出す実話! フェイスブックのアイデアをめぐる争いでザッカーバーグから巨額の和解金を得た実業家ウィンクルボス兄弟。しかしシリコンバレーに広まった悪評ゆえ、兄弟からの投資を受けようとするスタートアップはまったくなかった。 そんな兄弟に、「仮想通貨ってものが生まれた、こいつはデカいものになるかもしれない」と囁く者がいた。これは巨大なビジネスチャンスか、あるいは……。 兄弟は、まだ「仮想通貨」に賭けることを決意する。怪しい投資家に実業家にハッカー。テクノロジーとビジネスが野合する水際で大博打に打って出る魑魅魍魎たち。 そんな中に飛び込んだ兄弟は、仮想通貨を真っ当なビジネスにするために奮闘する。 映画『ソーシャル・ネットワーク』の原作となった『Facebook』の著者ベン・メズリックが、ザッカーバーグの敵役となったウィンクルボス兄弟に焦点を当てた後日譚。バブル前夜の仮想通貨ビジネスに肉薄した会心作。映画化予定。
  • フテンマ戦記 基地返還が迷走し続ける本当の理由
    4.7
    いったいどこに、誰に責任はあるのか? 返還合意から24年、普天間基地問題はなぜ迷走し続けるのか? 歴代政権の間近で混迷を見続けた軍事アナリストがその原因を指摘。 【目次】 はじめに なぜ普天間返還は進まないのか? 序章 チャンスは4回あった 第1章 迷走への序曲 自民党本部1996 第2章 小渕官邸1998~2000 第3章  小泉・安倍・福田・麻生官邸2001~2009 第4章  鳩山官邸2009~2010「トラスト・ミー」の陰で 第5章  沖縄クエスチョン1999~2011 第6章  鳩山だけが普天間を迷走させたのか? 2010~2019 あとがき  信頼を回復する道
  • 金足農業、燃ゆ
    4.3
    1巻1,800円 (税込)
    公立、雪国、選手は地元出身――何から何まで「ありえないチーム」が甲子園で準優勝。 エース吉田輝星を擁し2018年の夏を沸かせた秋田・金足農業高校の軌跡に迫る。 夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)で準優勝し「金農フィーバー」を巻き起こした金足農業。 県大会から決勝まで11試合を戦い抜いた3年生9人は、秋田県内のごく狭い地域から集まったメンバーばかり。 決勝で対戦した大阪桐蔭が「選手、練習環境、練習時間」に恵まれていたのに対し、 何一つ持っていなかった雑草集団がなぜここまで勝ち進み、日本中を熱狂させたのか。 吉田ら選手自身や関係者への丹念な取材を通じて、 きかねぇ(気性の荒い)ナインの素顔を生き生きと描き出す傑作ノンフィクション。
  • 葵のしずく
    3.0
    徳川慶勝、一橋茂栄、松平容保、松平定敬―― 徳川の傍流に生まれて幕末、維新の波に翻弄された 悲運の高須松平家・四兄弟。 彼らの近くにいて、激動の時代に 「生きる選択」をした女性たちを描いた物語。 新田次郎文学賞、本屋が選ぶ時代小説大賞をW受賞した『葵の残葉』に連なる作品です。
  • 戯れの魔王
    4.0
    1巻1,732円 (税込)
    甲斐駒ケ岳の山岳地帯に作業場をかまえ、鉄のゲージツ家として活動を続けてきたオレ。後期高齢者となった今は、畑に野菜を作って猿や鹿との攻防を繰り広げ、奈良のお寺から蓮の根をわけてもらい、美しい花を咲かせるのに熱中する日々だ。 そんな作業場へ、サングラスを掛けたスキンヘッドの男たちがやってきた。 「ああ、そうか。マロの一味だな」 「はい、弟子の舞踏者です」 目をやると、テンガロンハットに黒い革のコートをまとった「中央線の魔王」が、桜の木に寄りかかっていた。オレの作品のガラスの柱を舞台に使わせてほしいと言うのだ。 「クマ、一緒に踊るか」 「オレが? マロと?」 子どもの頃から歌も踊りも苦手なオレだが、マロに「ダイジョーブ、俺が演出するんだ。素直な躰ひとつ、お持ちいただけるだけでよろしいので」とまで言われて怯むのは「私に生きる才能は残っておりません」と白旗を掲げるようなものだ。・・・ こうして白塗りのメイクで、麿赤児率いる大駱駝艦の初舞台を踏む「戯れの魔王」。 母の死を看取り、蓮の花が開いて散るまでの4日間を見届けて送り火を焚く「蓮葬り」。 日本アルプス屈指の名峰・甲斐駒ケ岳の初登山に、靴ずれしながら挑みきる「アマテラスの踵」。 鉢植えの蓮を野生の多年草に戻そうと、池を掘って腰をやられた。頑丈な肉体にも老いはしのびよる。そんな作業場に仔猫が迷い込む「ささらほーさら」。 話題作『骨風』のKUMAさん、生きる実感に満ちあふれた最新小説集。
  • 新・二都物語
    5.0
    1巻1,732円 (税込)
    一九〇三年に生を受けるも生い立ちがまったく異なる二人の男が、関東大震災をきっかけに思いもよらぬ運命へと導かれる。 ジェフリー・アーチャー『ケインとアベル』を思わせる傑作大ロマン小説! ひとりは、東北の寒村の生まれの柾木謙吉。 もうひとりは、大阪の銀行家の息子で、何不自由なく育った水町祥太郎。 講義録の出版で大成功をした笠尾喜十郎の家で書生をしていた謙吉は、関東大震災当日、喜十郎の娘・華枝を、華枝の腹違いの兄・喜之が手篭めにしようとしている現場に遭遇し、勢いあまって殺してしまう。 浅草へ外出していた喜十郎一家は全員亡くなり、震災の混乱に乗じて謙吉は喜之を演じるようになった。 謙吉は、喜之が行く予定だったロンドン留学で学力や人脈を培い、帰国後、内務官僚になる。 一方、祥太郎は、ひょんなことから、映画監督や地方紙の社長と知り合い、映画制作に関わることに。 関東大震災から終戦直後までを背景に二人の男の波乱万丈の人生が、東京・大阪の“二都”から上海や満州国の首都・新京(いまの長春)までもを舞台に展開します。 笑いあり涙もあり活劇あり、そして踊りや歌も入った、まさに大衆小説の王道的傑作です。
  • お勝手太平記
    4.2
    優雅なる脱線、冴えわたる悪口 金井ファン待望、痛快痛烈な最新小説 趣味は手紙を書くこと。 「手紙の吸血鬼」と化したアキコさんが お勝手の話題を書きに書きまくった手紙、その数50通。 料理、裁縫、映画、イヤな男等々・・・・・・。 名手の文章が存分に味わえる、贅沢な書簡小説。 ちらし寿司製作騒動、不二家のフランスキャラメル、“萌え”について、 新聞の幼稚な投書について、パジャマの好み、歌謡曲の歌詞について・・・・・・ ついつい、お喋りの長くなるアキコさん。 もちろん、著者ならではの小説的企みや、映画や小説の話題(レヴュー)も満載です。
  • 望月の烏
    4.2
    1巻1,700円 (税込)
    若き金烏の新たな后選びに波乱の予感――。 累計200万部突破&2024年4月よりアニメ放送スタート! 大人気異世界ファンタジー「八咫烏シリーズ」待望の最新作。 絶対権力者・博陸侯の後ろ盾のもとで、 新たに異世界〈山内〉を統べる金烏代となった凪彦。 その后選びのため、南北東西の大貴族の家から選ばれた、 四人の姫君たちが、宮中での〈登殿の儀〉へと臨む。 しかし下級官吏として働く、絶世の美姫の存在が周囲を――。
  • K+ICO
    3.6
    1巻1,700円 (税込)
    孤独な男女が出会う時、何かが起きる ウーバーイーツの配達員をしているK。TikTokerをしている女子大生のICO(イコ)。巨大な「システム」の中に生きる二人の人生が交錯する時、何かが動きはじめる。実力派作家がデビュー10周年に放つ、渾身作。 ラランド ニシダさん、金原ひとみさん、窪美澄さん絶賛! 「まだ見ぬ誰かとの数奇な巡り合わせはインターネットに操られる。ITは我々を孤独にさせてくれない」(ラランド ニシダさん) 「上田岳弘は、こんなにも抽象の世界から、具体の力を行使する」(金原ひとみさん) 「うんざりするような世界でも、私は誰かと繋がっていたい。そんな欲望を肯定してくれたこの小説は、限りなくせつなく、そしてやさしい」(窪美澄さん)
  • ぼくは青くて透明で
    4.2
    1巻1,700円 (税込)
    高校一年の夏、ぼくは彼に恋をした。 「ぼく」(羽田海)は、血の繋がらない継母の美佐子さんと二人暮らしをしている。 ぼくが高校一年の夏に、美佐子さんの仕事の都合で引っ越しをすることになった。 前の町で美佐子さんが勤めていた印刷会社が倒産したのだ。 幼いころは父さんと母さんがいたけれど ぼくが六歳のときに母さんは家を出ていき、 その後、美佐子さんと結婚した父さんもどこかに行ってしまった。 勉強も好きじゃないし、運動も得意じゃない。 いつか美佐子さんとも離れなくちゃいけない。 そんなとき、「ぼく」は、転校先の高校で忍と出会った……。出会ってしまった。
  • 宙わたる教室
    4.7
    1巻1,700円 (税込)
    定時制高校の教室に「火星」を作り出す――胸が熱くなる青春科学小説 東京・新宿にある都立高校の定時制。 そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。 負のスパイラルから抜け出せない二十一歳の岳人。 子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。 起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。 中学を出てすぐ東京で集団就職した七十代の長嶺。 「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、 理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、 学会で発表することを目標に、 「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。 『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、 今年一番熱い青春科学小説!
  • ロスト・イン・ザ・ターフ
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    著者の新境地! 競馬愛にあふれるラブ・コメディー 競馬はロマンだ! 競馬を愛してやまない著者が贈る夢の物語。 亡き兄が遺した競馬バーを営む倉本葵。ある日、大井競馬場で芦毛の9歳の牡馬・ウララペツを見かけるなり一目惚れする。ウララペツは名馬として名高いメジロマックイーンの最後の産駒だった。 だがほどなく、戦績の振るわないウララペツは引退することに。このままでは、ウララペツは食肉にされる……。葵はウララペツを買い取って馬主となり、種牡馬にしようと決意する。ところが次から次へと難題が――。 葵、メジロマックイーンの血筋を残したいと熱望する常連客やウララペツの元馬主など、馬をこよなく愛する男女が奮闘しつつ、恋のさや当てにも興ずるラブコメディー。
  • うるさいこの音の全部
    3.6
    1巻1,700円 (税込)
    小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作 嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏! 「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。 ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
  • 雨だれの標本 紅雲町珈琲屋こよみ
    3.3
    新しい展開を予感させる、シリーズ第11弾! お草が営む珈琲豆と和食器の店・小蔵屋が、 高名な映画監督の新作の撮影候補地になった。 店員の久実や常連客たちは色めき立つが、 お草は店の通常営業ができなくなると、乗り気になれない。 だが監督と面会すると、その件とは別に、お草は別のお願いをされる。 彼に大きな影響を与えた古い映像作品を作った、ある無名の男を 捜してほしいというのだ。わずかな情報とおぼろな記憶を頼りに、 お草は男の姿を追うが――。彼はいったい誰なのか?
  • 青春をクビになって
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    夢の諦め方は、誰も教えてくれない 「雇止め」という冷たい現実を前に、研究を愛するポスドクが下した決断とは――。 青春小説家が描く、青春の終(しま)い方。 社会に横たわる痛切な苦みを描く、著者の新境地。 瀬川朝彦、35歳。無給のポスト・ドクターである。学生時代に魅了された 古事記の研究に青春を賭してきたが、教授職など夢のまた夢。 契約期間の限られた講師として大学間を渡り歩く不安定な毎日だ。 古事記への愛は変わらないが、今や講師の座すら危うく、 研究を続けるべきかの煩悶が続いている。 そんな折、ゼミ時代の先輩が大学の貴重な資料を持ったまま 行方不明になってしまうという事件が。 45歳の高齢ポスドク”となっていた先輩は、講師の職も失い、 なかばホームレス状態だったという。先輩は資料を「盗んだ」のか? 自らの意志で「失踪」したのか? そして、朝彦の下した将来への決断は?
  • ノウイットオール あなただけが知っている
    4.1
    1巻1,700円 (税込)
    第30回松本清張賞受賞作 この小説は、選考委員への「挑戦状」だ! 衝撃のデビュー作。 1つの街を舞台に描かれる、5つの世界は、少しずつ重なりあい、影響を与えあい、思わぬ結末を引き起こす。 すべてを目撃するのは、読者であるあなただけ。 推理小説/青春小説/科学小説/幻想小説/恋愛小説 5つの物語は、5度世界を反転させる。 森バジルを読めば「世界が変わる」 【選考委員 選評より】 阿部智里 5つの同じで異なる世界! その構成に気が付いた時、「正気か」 と目を疑った。 辻村深月 抜群のきらめきに満ちていた「青春小説」パートは見事だった。 米沢穂信 小説というものに必死に手を伸ばした作者の叫びが聞こえた。 森絵都 チャレンジ精神と熱量の高さがすばらしい。 森見登美彦 「読者だけが知っている」そんな構造を楽しんでほしい。
  • もっと悪い妻
    3.5
    1巻1,700円 (税込)
    妻の貌を、男たちは知らない。 男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北! 夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた 表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。 「麻耶は大事だと思っている人が他にいるの?」 「いるよ。男でも親友になれるよ」 「それはそうだろうけれど。困ったな」 (「もっと悪い妻」より) ネット上で〈悪妻〉と批判されることに悩む バンドのヴォーカルの妻を描いた「悪い妻」。 妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る 壮年の男性の哀歓を伝える「武蔵野線」など、 男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」。 西加奈子さん(作家)推薦 不幸な「悪い妻」は許されるが、 満たされた「もっと悪い妻」は断罪される。 「妻」という呪いと、 「妻」を理想化する社会へのしたたかなカウンター。
  • コメンテーター
    4.2
    1巻1,700円 (税込)
    あのトンデモ精神科医・伊良部が17年ぶりに復活! 直木賞受賞、累計290万部の「伊良部シリーズ」、17年ぶりの新刊です。 低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!?
  • おもいでがまっている
    3.8
    1巻1,700円 (税込)
    「待つ」ことでしか、進まなかった人生がある。 今は古びた平成初期の新興マンション。 その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。 男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。 孫はここで、ずっと母を待っている。 この部屋に残された母の愛に囲まれて。 しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。 かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。 男には、そうしなければならない、痛切な理由があったーー。 風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。 水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。 ■著者からのメッセージ すぐに話せて、すぐに理解できる。 待つことが少なくなったそんな世界において、人に会えず、先が読めず、いつ終わるかわからない、待つことを強いられた3年間でもありました。今という瞬間を侵食する過去との向き合い方。そして場所に沈殿し、宿り続ける記憶。 人生という自分たちの時間を、前に進めようともがく人々の物語です。 なお、本小説のプロットから受けたインスピレーションを元に創り上げられた楽曲『ただ いま (with 橋本愛)』が、各種音楽配信サイト・ストリーミングサービスにて配信中。 本楽曲は女優の橋本愛が初めて作詞を手掛け歌唱を担当。 作曲は著者の清志まれ、編曲は鈴木正人が手掛けた。
  • 90’s ナインティーズ
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    ―夢を叶えるために生きてきたんだ― あらゆるメジャー・レコード会社のディレクターやスカウトマンが集まった1990年代後半の下北沢のライブハウス。すべてのミュージシャンの目前に巨大なルーレットが置かれていた。 NONA REEVES 西寺郷太、初の自伝的小説!  僕は相変わらず大学や下北沢から家に帰ると寝る間も惜しんでダビングを繰り返していた。デモテープを配った相手にアンケートを渡し、そこに書かれた住所に美しくデザインされたダイレクト・メールを送る。お金に関して言えばまだすべて持ち出しだ。しかし、そんな日々を繰り返している中で「ファン」と呼べるような何人かが僕の周りに生まれ始めている。ようやく上京してから、いや音楽の道を目指してから永遠に続くかと思われた長い「スランプ」のトンネルを抜け出そうとしている実感が湧いてきた。 「やったるでー!」  ひとり暮らしの東中野ヒルズで布団にくるまりながら、僕は大声で叫ぶ。 (本文より)
  • グレイスレス
    3.5
    1巻1,700円 (税込)
    デビュー小説『ギフテッド』に続き、芥川賞候補に選ばれた鈴木涼美の第二作。 主人公は、アダルトビデオ業界で化粧師(メイク)として働く聖月(みづき)。彼女が祖母と共に暮らすのは、森の中に佇む、意匠を凝らした西洋建築の家である。まさに「聖と俗」と言える対極の世界を舞台に、「性と生」のあわいを繊細に描いた新境地。
  • クロコダイル・ティアーズ
    3.5
    1巻1,700円 (税込)
    美しい妻は、夫の殺害を依頼したのか。家族の間に疑心暗鬼が広がって―― 夫を殺した犯人は、かつての恋人だった。この男が裁判で「妻に殺害を依頼された」と証言。美しき未亡人は、悪女なのか、それとも。
  • いけない II
    4.1
    大きな話題を読んだ”体験型ミステリー”第2弾。 第一章「明神の滝に祈ってはいけない」 桃花はひとり明神の滝に向かっていた。一年前に忽然と姿を消した 姉・緋里花のSNS裏アカウントを、昨晩見つけたためだ。 失踪する直前の投稿を見た桃花には、 あの日、大切にしていた「てりべあ先生」を連れて 姉が明神の滝に願い事をしに行ったとしか思えない。 手がかりを求めて向かった観瀑台で桃花が出会ったのは、 滝の伝説を知る人物だった。 第二章「首なし男を助けてはいけない」 夏祭りの日、少年は二人の仲間を連れて大好きな伯父さんを訪ねる。 今夜、親たちに内緒で行う肝試し、その言い出しっぺであるタニユウに 「どっきり」を仕掛けるため、伯父さんに協力してもらうのだ。 伯父さんは三十年近くも自室にひきこもって、奇妙な「首吊り人形」を作っている。 その人形を借りて、タニユウの作り話に出てきたバケモノを出現させようというのだ。 第三章「その映像を調べてはいけない」 「昨夜……息子を殺しまして」。 年老いた容疑者の自白によれば、 息子の暴力に耐えかねて相手を刺し殺し、 遺体を橋の上から川に流したという。 だが、その遺体がどこにも見つからない。 必死で捜索をつづける隈島刑事は、やがてある「決定的な映像」へとたどり着く。 彼は先輩刑事とともに映像を分析しはじめ―― しかし、それが刑事たちの運命を大きく変えていく。 そして、書き下ろしの終章「????????はいけない」 ――すべての謎がつながっていく。前作を凌ぐ、驚愕のラストが待つ! 各話の最終ページにしかけられたトリックも、いよいよ鮮やかです。
  • ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパーク18
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    動物の命を犠牲にする大人たちに、マコトの怒りが爆発する ヤングケアラー、外国人労働者、マッチングアプリ…いま池袋で起こっているトラブルにマコトが立ち上がる。大人気シリーズ第18弾。
  • 台北野球倶楽部の殺人
    3.0
    1巻1,700円 (税込)
    時刻表を駆使したアリバイ崩しと台湾現代史に刻まれた悲劇をめぐる人間ドラマが松本清張を彷彿とさせる傑作ミステリー。 第6回金車・島田荘司推理小説賞受賞作。 昭和十三年、日本統治下の台湾・台北市。台北駅からほど近い喫茶店「グランドスラム」では野球愛好家の集まり「球見会」の定例会が開かれていた。 日本でプロ野球が発足してまだ三年目。当時もっとも注目されていたのは東京六大学野球で、この夜も話題の中心は早慶戦ともう一つ、台湾の高雄商業学校のエース兼四番バッター大下弘だった。球見会には六大学のOBが参加していて、彼らは大下を自分たちの出身大学にスカウトすべく鍔迫り合いを演じていた。 そんな折、球見会の会員二人が別々の列車内で不審な死を遂げた。この会の唯一の本島人(台湾人)会員・陳水金は台北の北鉄新店線萬華駅で、慶應OBの藤島慶三郎は高雄駅で台北から乗車した寝台列車の中で発見された。 台北南署の刑事・李山海とその相棒の北澤英隆は高雄署とも協力し事件の謎を追う。果たして二人の死には、「明日の球界を背負う逸材」大下弘のスカウト合戦が関係しているのか、それとも……?
  • ぼくらに嘘がひとつだけ
    3.8
    1巻1,700円 (税込)
    才能を決めるのは、遺伝子か環境か? エリート棋士の父を持つ京介と、落ちこぼれ女流棋士の息子・千明。二人の“天才”少年は、またたく間に奨励会の階段を駆け上がる。期待を背負い、プロ棋士を目指す彼らに、出生時に取り違えられていたかもしれない疑惑が持ち上がる。才能を決めるのは、遺伝子か環境か?運命と闘う勝負師たちの物語。
  • 隠し女小春
    3.2
    1巻1,700円 (税込)
    大手出版社で校閲者として働く矢野聡には、秘密があった。横浜・黄金町のギャラリーで出会ったハンガリー製のラブドールを小春と名づけ、一緒に暮らしているのだ。毎晩、ベッドで小春のからだを弄びながら話しかけ、返事を聞き、愛撫されつつ眠りにつく日々。女性バーテンダー・鵜飼千賀子の部屋で快楽に耽るだけでは得られぬ安らぎを、小春はもたらしてくれたのだ。 そんな聡の人生に、1人の良い女が登場する。千賀子の店で出会った映像翻訳者の茜屋恭子は、知的な魅力の持ち主だった。 「これまで会ったことのないタイプだな。時々胸の鼓動が速くなった」と小春に話してしまったことから、聡の周辺でさまざまな事件が起こり始めて―― 戦慄の長篇サスペンス!
  • 雌伏三十年
    3.3
    芸人、ミュージシャン、俳優、コラムニストと八面六臂の活躍をするマキタスポーツが、今度は自伝的小説で作家デビュー! 1988年、山梨から野望を抱いて上京した臼井圭次郎は、紆余曲折の末に仲間とバンドを結成する。しかしなかなか売れず、結局バンドは空中分解。おまけに女性関係や家族との間にもトラブル頻出――八方ふさがりの圭次郎に未来はあるのか!? 1980年代から2000年代にかけての懐かしのヒット曲もふんだんに盛り込まれ、ビートたけしはじめとする実在の人物も出てくる、サブカル青春漂流記。
  • 幸せのままで、死んでくれ
    3.4
    1巻1,700円 (税込)
    ●小説「幸せのままで、死んでくれ」 Author 清志まれ 水野良樹(いきものがかり)が、新たな筆名で覚悟の作家デビュー! 小説と音楽の同時リリースで贈る、かつてない物語体験。 ●主題歌「幸せのままで、死んでくれ」 Song Writing & Vocal 清志まれ Produce & Piano, Electric Piano, Organ 世武裕子 Drums 伊吹文裕 Bass 福井健太(People In The Box) Guitar 永野亮(APOGEE) Recorded & Mixed by 浦本雅史(Soi Co.,Ltd) Vocal Recorded by 熊谷邑太 Coordinated by 杉本陽里子・村上由貴 (ondo) Arrange 世武裕子・伊吹文裕・福井健太(People In The Box)・永野亮(APOGEE) Produced by HIROBA
  • 人生の決算書
    3.0
    1巻1,700円 (税込)
    シンガポールのマンションを舞台にした連作小説『タンブス荘の人々』、原稿用紙数枚の中に小説の妙味を盛り込んだ『掌で掬う人生』、ベストセラー『老いの才覚』に通じる名エッセイの数々と、バラエティーに富んだ内容です。
  • スノーボードを生んだ男 ジェイク・バートンの一生
    4.2
    世界で初の出版となる「バートン物語」。 子供用のソリから開発した板でスノーボードという新しいスポーツを生み出し、自身のブランドBURTONと共にスノーボードを発展させてきた BURTONスノーボード創始者ジェイク・バートン。その比類なるパイオニア精神、遺した偉大な功績、そして彼が真っ白な新雪の上に描いた 夢の軌跡を一年に渡る密着取材から得た貴重なインタビューの数々と関係者の証言、写真から綴るノンフィクション。 藤原ヒロシ、中村ヒロキ、滝沢伸介ら日本を代表するクリエイターたちとの関係も丁寧に描かれる。 没後2年となる11月20日に合わせての発売となる。
  • 雲上の巨人 ジャイアント馬場
    4.0
    僕たちは、馬場さんが好きで好きでたまらなかった。 プロレス界のレジェンドを、誰よりも深く知る男の35年にわたる、涙と笑いの回想録。 第一章 「ジャイアント馬場」のできるまで 第二章 ドロップキックが時代を変えた 第三章 全日本プロレスのボスとして 第四章 多芸多才の人 第五章 巡業の旅は、東へ西へ 第六章 強き妻・馬場元子さん 第七章 いまは、懐かしい人たち 第八章 さようなら、馬場さん (本書「目次」より)
  • ミカエルの鼓動
    4.1
    1巻1,700円 (税込)
    この者は、神か、悪魔か――。 気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。 あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。 「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。 そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。 大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。 天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
  • ベストセラーに学ぶ最強の教養
    3.7
    1巻1,700円 (税込)
    1871(明治4)年の『西国立志篇』から2016(平成28)年の『コンビニ人間』まで――名前は聞いたことがあっても読んだことのないベストセラーはたくさんあると思います。それらのエッセンスをギュッと濃縮して、佐藤優さんが紹介してくれます。ベストセラーには、その時代の日本人の意識がよくあらわれています。42冊の本を手がかりに、日本の近現代史が見えてくる最強の教養本です。 ◎目次◎ 【はじめに】ベストセラーはなぜ「役に立つ」か? 【第1部】真の教養が身につく本 応仁の乱 バカの壁 失敗の本質 ジャパン アズ ナンバーワン テロルの決算 日本人とユダヤ人 戦艦武蔵 毛沢東語録 日本のいちばん長い日 「いき」の構造 哲学入門 歴史哲学講義 菊と刀 資本論 代表的日本人 【第2部】生きる知恵が身につく本 学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 置かれた場所で咲きなさい 夢をかなえるゾウ 伝える力 大河の一滴 「超」整理法 ビジネスマンの父より息子への30通の手紙  外国語上達法 思考の整理学 試験に出る英単語 発想法 創造性開発のために 学問のすすめ 西国立志篇 【第3部】物語の大きな力 コンビニ人間 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 蹴りたい背中 豚の報い 不毛地帯 毎日が日曜日 塩狩峠 さらばモスクワ愚連隊 万延元年のフットボール ペスト 若い人 蜘蛛の糸 こころ 吾輩は猫である
  • 墜落 「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか
    3.5
    1巻1,700円 (税込)
    ベストセラー『官邸官僚』の続編! 「新型コロナ対策」の迷走が続くのはなぜか? 五輪、実弟、スポンサー企業…「菅利権」の実態とは? 「五輪開催」の真の責任者は誰だったのか? 安倍・菅「強権政治」の「戦犯」たち 当代随一のジャーナリストが暴く首相官邸の“闇”。
  • 死者にこそふさわしいその場所
    3.4
    1巻1,700円 (税込)
    怖いものほど見たくなる、駄目なものほど癖になる。 日常の輪郭がゆがんでとろける、奇「快」な物語たち! 折口山町に暮らすのは、どうしようもない人達ばかり。 ・セックスの回数を記録する愛人 ・徘徊癖のある妻を介護する老人 ・アパートのドアが開きっぱなしの裸男 ・朝どうしても起きられなくなってしまった女 ・困った人の面倒を見たがる聖職者 町はずれの植物園に、彼らは、吸い寄せられるようにやってくる。 芥川賞作家が織りなす、平凡なようで非凡な六篇の物語。 ●担当編集者より 住みたいかと聞かれたら答えに窮する、しかし覗き見したいかと言われたら確実に「YES」なのが、折口山町だと思います。 登場人物たちの特徴を挙げてみるだけで、もうこの町の不思議な空気が漂ってきた気がします。 ちなみに、なんとも魅力的なタイトルは、ポール・ヴァレリーの『テスト氏』の一節から。
  • 邪教の子
    3.7
    1巻1,700円 (税込)
    この家はまともな場所ではない。ここは邪教の巣だ。だから私たちは彼女を救い出す。『ぼぎわんが、来る』の気鋭がニュータウンを舞台に描く、戦慄のサスペンススリラー。
  • 最終結論「発酵食品」の奇跡
    3.0
    言わずと知れた「発酵仮面」こと小泉武夫先生による「くさうま(臭くて美味い)」の決定版。今回は実際に小泉先生が発酵の現場に足を運んで、思わず仰天した「奇跡の発酵食品」の中から絞りに絞った17品目を紹介します。小泉先生がその食品といかにして出会ったか、からスタートする各章は、紀行文としての魅力もたっぷり。日本国内はもとより、中国の奥地にまで出かけていきます。また、出かけた先で出会った人たちも、一癖も二癖もある魅力的な人物でした。  小泉先生が初めて出会った青森の果物の熟ずし、古文書で見つけた紙を発酵させた「紙餅」など、聞いたことがない発酵食品から、「100人がそれを食べたら、98人が気絶寸前、2人が死亡寸前になる」韓国のホンオ・フェ(エイの刺身)や、「風上で缶を開けると風下の人が気絶する」という北欧のシュールストレンミング(イワシの缶詰)など、悶絶級のものまで、いやはや読んでいるだけで臭い。それでいて、美味しそうだから不思議だ。  小泉節満載の本書は、発酵のうんちくもたっぷりあって、勉強にもなる。「口噛み酒」とは「こめかみ」の語源になった発酵で、古代、麹菌がまだ知られていなかった頃、若い巫女さんが、ごはんを口に入れ、ぐちゃぐちゃになるまで30回ほど噛んで、それを壺にぺっと吐き出す。これを貯めておくと、自然に発酵して、数週間でアルコール度数が9度以上(ビールくらい)の酒になる。小泉先生は自分の研究室で、これを実際に試してみた。伝統に則って噛むのは4人の女子大生。こめかみをしびれさせながらも、見事に古代のお酒が蘇った。
  • 星影さやかに
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    ★〈マカン・マラン〉著者が描く感動の家族小説 戦時中、近所から「非国民」と呼ばれる父親を恥じ、 立派な軍国少年となるべく日々を過ごしていた良彦。 それから終戦を経て約20年後、 良彦の元に父の遺品の日記が届く。 なぜ父は心を病み、非国民と呼ばれたのか―― 本当に正しかったのは誰だったのか―― そして、良彦の家にまつわる数奇な運命とは―― 激動の昭和を生きた親子三代の記憶が紐解かれる。
  • 警視庁科学捜査官 難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル
    4.0
    解明せよ! その毒物は何なのか? 黒煙はどう流れ被害者たちを襲ったのか? 閉じ込められた幼児はいつ窒息したのか? 科学捜査官第一号となり、日本の科学捜査の基礎を築いた著者が初めて明かした戦いの軌跡。 警視庁科学捜査官第1号となった著者は、全国の数々の難事件を背後から支えてきた。 地下鉄サリン事件では最初にサリンを同定、サリンを製造したオウムの土谷正実と取調べで対峙し自供を引き出した。 和歌山カレー事件では思わぬ場所からヒ素を発見、ルーシー・ブラックマン事件では暴行ビデオの解析から使用薬物を特定した。44人の死者を出した歌舞伎町ビル火災では、煙の流れを検証し、防火扉が閉まっていれば多くの人命が助かったと結論、管理者の業務上過失致死傷罪立証に寄与した。 知られざる科学捜査の真実が明かされる、まさに一気読み必至のドキュメントだ。 本書に登場する主な事件 地下鉄サリン事件 東電OL殺人事件 イラン人トランク詰め殺人事件 警視庁清和寮爆破事件 和歌山カレー事件 長崎・佐賀連続保険金殺人事件 国立療養所アジ化ナトリウム混入事件 奈良硫酸サルブタモール殺人未遂事件 ルーシー・ブラックマン事件 北陵クリニック薬物使用連続殺人・殺人未遂事件 世田谷一家4人殺害事件 新宿歌舞伎町ビル火災 川崎協同病院安楽死事件 東京駅コンビニ店長刺殺事件 福山市保険金目的放火・殺人事件 パロマガス湯沸器事故 大阪幼児死体遺棄・殺人事件 名張毒ぶどう酒再審請求
  • シチュエーションズ 「以後」をめぐって
    5.0
    1巻1,700円 (税込)
    芸術家たちは大震災にどう向き合ったか 大震災を、映画監督、写真家、演劇人、小説家はどう受け止めたか。未曾有の惨事に芸術は有効か。表現活動の最前線に相対する批評。
  • 猫がこなくなった
    4.0
    1巻1,700円 (税込)
    猫好きの友人の高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫の話をはじめた、聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーそっくりだった。 ついに1ヵ月経ったところで高平君は、迷い猫のポスターを貼りだした。それを作ったのは二週間目だったが、「貼ったら事実を固定化するみたいじゃん。」と思っていたのだ。レディはきっと帰ってくる、キャシーもそうだ。 果たして高平君のレディはみつかるか?(表題作) 特別に忘れがたい猫、突然伐られてしまった大きなヒマラヤ杉、賢いカラス、鎌倉の家から見えた川端先生のお屋敷、夏の明るい日差しの中で本を読むこと、隣家の物置きに住み着いた赤ん坊連れの女のひと、子猫が友人の手のなかで命を落とした夜明けまでの夜・・・ 「命において死は生きるのと平行して在りつづける」ことを証しだてる9つの短篇小説。
  • ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?
    4.3
    本書は毎日新聞のキャンペーン報道「優生社会を問う」をベースに、 担当した2人の記者が書き下ろしたものです。 旧優生保護法が改正されて四半世紀近くが過ぎましたが、 障害者への社会の理解は深まったのでしょうか? 障害者を取り巻く環境は改善されたのでしょうか? 新型出生前診断(NIPT)が拡大するのを利用した数多のクリニックの「検査ビジネス」は急成長中で、 「不安ビジネス」として社会問題化しています。 障害者施設が建設される際、いまだに周辺住民の反対運動が、最初の大きな壁となります。 そして、実の親による障害児の社会的入院、治療拒否……。 障害者入所施設・津久井やまゆり園(相模原市)での大量殺人が世間を震撼させている今日、 いまだ弱者が切り捨てられるわが国の現状を検証します。
  • 夢七日 夜を昼の國
    4.0
    ベストセラー『想像ラジオ』から7年。言葉の力を知り抜く著者が世に問う、渾身の小説集! 【夢七日】交通事故に遭い、意識不明となった木村宙太。震災後、原発で働いていた君だが最愛の妻の呼びかけにも応じられない深い眠りの中にいる。二〇一九年十一月、私は君に、日々ささやきかける。――君よ、目覚めよ。         * 【夜を昼の國】一七一〇年、身分違いの悲恋で心中し、恋人・久松と共に「書かれた世界」に放り込まれてしまったお染。歌舞伎や浄瑠璃に脚色され、名誉を傷つけられてきた彼女は今また生き返り、ネットでの中傷に立ち向かおうとする。
  • 死者との対話
    3.0
    石原慎太郎、最新短編集。 自らの老いと死を直視する作家の透徹した眼――。 作家として、政治家として活躍してきた著者も齢87を迎えた。忍び寄る死の影をも直視しつつ綴った珠玉の七編を収録。 「それで一番何に痺れて興味があるのかね」 「それは端的に俺が死ぬことだろうな」 (本書収録『――ある奇妙な小説――老惨』より) インパール作戦で多数の戦友を失った男が戦後にとった行動とは? (『暴力計画』) 死に直面する作家が自在なリズムで自己と対話する (『――ある奇妙な小説――老惨』) 末期患者と看護人の間に芽生えた奇妙な友情 (『死者との対話』) ある少女を襲った残酷な運命 (『いつ死なせますか』) 切れ味の鋭い掌編の連打 (『噂の八話』) 「これは私の一生を通じて唯一の私小説だ」 (『死線を超えて』) ヨットレースを引退した男の胸に去来するものは (『ハーバー桟橋での会話』)
  • 国策不捜査 「森友事件」の全貌
    5.0
    安倍さん、なぜ『嘘』つくんですか!? 森友事件の籠池泰典氏が、初めて明かす衝撃の事実。 500ページに及ぶ独白の記録を2月19日に迫る地裁判決を前に緊急出版! 日本中を巻き込み、過去類例を見ない一大疑獄へと発展した「森友事件」。 総理夫人との密接な関係、不可解な国有地の割引売却、公文書の改ざん、担当者の自殺――数々の疑惑を残したまま、事件発生から早3年が経とうとしている。 その間、絶えず密着取材を続けてきた赤澤竜也氏は籠池氏の本心を聞き出すことに成功。 300日に及ぶ過酷な拘置所生活の実態や、昭恵夫人からかかってきた電話の中身、「身を隠せ」と指示した財務省の思惑、「日本会議」と「生長の家」との因縁、自殺した近畿財務局職員との知られざる交流など、森友事件の数々の「謎」に光を当て、その全貌を明らかにする。 【目次より】 第一章 天国と地獄 すべてはあの日から始まった 第二章 遠足気分の証人喚問と粘着的な特捜ガサ入れ 第三章 特捜検事は「すべてを告白して新たな人生を歩め」と言った 第四章 夏は灼熱、冬は極寒の拘置所生活 第五章 我いかに保守主義者となりしか 第六章 国有地8億円値引き 神風の吹いた理由 第七章 籠池家に群がり、消えていったメディア 第八章 国家を滅亡に導く公文書改ざん 第九章 政治権力の犬に成り下がった特捜部 第十章 安倍晋三というブラックホール
  • GETUP!GETLIVE!
    -
    1巻1,700円 (税込)
    話題の「声優×二次元芸人」プロジェクト! 発売即完売の1stLIVEを完全ノベル化。舞台では演じられなかった幻のエンディングも収録。 お笑いにかける青春 俺の相方が世界で一番面白い! 『俺ガイル』の渡航が描く、お笑いにかけた3組のコンビの涙と笑いと葛藤の青春物語! 東京は神田神保町のお笑い養成所SSS(スーパースタースクール)で、青春をお笑いにかける3組のコンビ。 日々学びオーディションを受け、バイトとネタ作りに追われている。コンビ間の衝突やライバルへの嫉妬など、きらびやかな世界の裏側に翻弄されながら、日本一、世界一のお笑い芸人を目指す青春ストーリーだ。 登場するのは―― 共感系幼馴染コンビ「スターダスト」上原淳也(cv:花江夏樹)・東沢楓(cv:西山宏太朗) ちぐはぐ凸凹コンビ「菊一文字」町田瀬那(cv:豊永利行)・大野虎之助(cv;石川界人) イマドキ関東芸人「6‐シックス‐」狛江一馬(cv:熊谷健太郎)・喜多見蓮(cv:阿座上洋平) LIVEは実際に3組がネタを演じ、会場の観客の投票でその後の展開が決まるマルチエンディング方式だった。本書もその形を踏襲しており、LIVEでは演じられなかったエンディングも収録されている。 イラストレーションは、由良が担当。書き下ろし表紙イラストと、挿絵3点を寄せている。 ※購入特典のキャストの手書きコメント付特製ポストカードは電子版には付いておりません。紙版のみの収録となりますので、ご注意ください。
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄
    4.5
    80年代、90年代、低迷する日本映画界で一人気を吐いたスタープロデューサー、奥山和由。 名監督、名優たちとの秘話を語り下ろす! 80年代~90年代、低迷していた日本映画界にひとりのスタープロデューサーが登場した。奥山和由だ。 若くして『丑三つの村』や『海燕ジョーの奇跡』など破滅的な男の姿を描いた衝撃作で鮮烈に登場すると、一転、 のちにハリウッドでリメイクされる『ハチ公物語』というハートウォーミングな大ヒット作を飛ばす。 その後も快進撃は続き、五社英雄監督と組んだ大作『226』、ビートたけしを監督に抜擢した『その男、凶暴につき』、 竹中直人の初監督作『無能の人』、監督と対立し、自らもメガホンをとった『RAMPO』、 佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平が共演した男くさいバイオレンスアクション『GONIN』、 今村昌平に2度目のカンヌグランプリをもたらした『うなぎ』など話題作、ヒット作を飛ばし続けた。 35歳で松竹の取締役になるなどわが世の春を謳歌するが、突然のクーデターで松竹を追われ……と 波乱万丈、毀誉褒貶相半ばの映画人生を送る奥山が自らの作品のすべてを語る。 信じられないトラブルの数々、名監督との作品制作裏話、俳優たちの秘話などを語り下ろす。 聴き手は『あかんやつら』『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』の春日太一。 人並外れた熱量を武器に映画界をのし上がり、90年代の邦画をたったひとりで盛り上げ、 日本に映画プロデューサーという職業を認知させた男の最初で最後の語りおろし一代記。
  • 烏の緑羽
    4.2
    1巻1,699円 (税込)
    累計180万部の八咫烏シリーズ、待望の最新刊! 生まれながらに「山内」を守ることを宿命づけられた皇子。彼らの知られざる葛藤と成長を描く、大人気ファンタジーシリーズ最新刊。
  • イチロー・インタビューズ 激闘の軌跡 2000-2019
    4.3
    その言葉も一流。イチローの肉声に酔いしれる 引退後の独白まで過去二十年「ナンバー」に掲載されたインタビューを全収録。二〇一〇年刊行「イチロー・インタヴューズ」の増補版。
  • 黄

    4.1
    1巻1,629円 (税込)
    島田荘司推理小説賞史上最高傑作と大評判! 聡明な盲目の少年がインターポール捜査員とともに、凄惨な〈幼児目潰し事件〉の真相に迫る! 中国の孤児院で育ち、裕福なドイツ人夫婦の養子となった盲目の少年、阿大(ドイツ名ベンヤミン)。 彼は、黄土高原で発生した六歳児が木の枝で両目をくり抜かれる“男児眼球摘出事件”に強い関心を持つ。凄惨な事件のなぜ起こったのか? 犯人は? お目付け役のインターポール捜査員・温幼蝶と母国へ旅立ったベンヤミンがたどり着いた真相とは――。 「この作ほどこちらに多くを考えさせ、また創作執筆時にも劣らない、さまざまなストーリーをこちらの脳裏に想起させた候補作は過去になかった」(島田荘司)と激賞された新たな探偵ミステリーがここに誕生! <島田荘司推理小説賞> 2009年に創立された中国語で書かれた未発表の本格ミステリー長篇を募る文学賞。応募作は台湾、香港、中国、マレーシア、イタリアなど世界各国から寄せられる。
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち
    3.3
    夜行の鉄仮面、瞬間移動する引ったくり、謎のチンドン屋―― なりゆきで探偵になったスズムが下町で起きた6つの怪事件に挑む! 不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業する。 ハーバード大卒の美女ネジ子さんを相棒に、下町で起こる6つの怪事件の謎を解く。 第1話「都電の町と鉄仮面」 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き……。 第2話「ネジ子さんが来た」 神出鬼没の連続引ったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける。 第3話「セカイは知らんぷり」 公園で虐待されたノラ猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は……。 第4話「守り神は失踪中」 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた。 第5話「スキマ男のレモン」 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話「まぼろし楽隊(ジンタ)」 正式につづはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける。
  • 象徴のうた
    -
    お歌にこめられた平和への祈り 被災地慰問、内外の激戦地への慰霊の旅と、祈り続けた三十一年。平成の天皇皇后が詠まれたお歌から浮かび上がる「象徴」の姿。
  • 世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う
    4.4
    いまインドで激増中の仏教徒、その中心人物は日本からやってきた僧侶だった! 女性ライターによるインド仏教最高指導者・佐々井秀嶺上人の密着同行記。 大多数がヒンドゥー教徒のインドで、不可触民と呼ばれる人々を中心にカーストのない仏教に改宗する人々がいま爆発的に増えている。 不可触民とはインド人口12億人のうちの約2割を占める、一番下の階級シュードラにさえ入れないカースト外の人々、ダリット。 3000年間にわたり、「触れると穢れる」と差別されてきた人々が、次々に仏教に改宗し、半世紀前には数10万人しかいなかった仏教徒がいまでは1億5千万人を超えている。 その中心的役割を果たしてきたのが、佐々木秀嶺だ。 わずか十畳ほどの部屋で暮らし、擦り切れた衣をまとった自称「乞食坊主」。 子どもを見ると顔を綻ばせて喜ぶ心優しい小柄なお坊さんだが、核実験が起きれば首相官邸まで乗り込み、ヒンドゥー教徒に乗っ取られた仏教遺跡を奪還するため何ヶ月も座り込みを敢行。 弱い立場の人々のため、「これが武士道だ」と言ってみずからの命も惜しまず、モラルに反することには断固抗議。 日本からやってきた怪僧にインド人もビックリだ。 次から次へと押し寄せる色情因縁に悩み、3度の自殺未遂。 龍樹菩薩のお告げに従い、インドで一生仏教布教に専念すると決めてからは、ブッダガヤ闘争やマンセル遺跡の発掘など、インド中を巻き込む闘いを単身挑んできた。 三度の暗殺の危機に晒されても、敵対宗教の陰謀に巻き込まれてもなお、インドの貧しい人々のために身を捧げ続ける。 佐々井上人がインド仏教の最高指導者になるまでの半生をはさみながら、100万人がいっせいに仏教に改宗する「大改宗式」の様子や、不可触民とともに生活している上人のリアルな日常、そして陰謀と迷信うずまくディープなリアルインドを、爆笑必至のユーモア溢れる筆致で描く。
  • 執念深い貧乏性
    3.0
    1巻1,629円 (税込)
    自分の人生を爆破せよ! 女相撲、安倍政権、奨学金、共謀罪、魔界転生、キムチ、即身仏……いま注目のアナキズム学者は言った。自分の人生を爆破せよ、と。 目次 第一章 どすこい貧乏、どすこいセックス――女力士はエイリアン 第二章 変態は武装であり、武装は変態である――いくぜ、負け犬ど根性 第三章 自分の人生を爆破せよ――チャハハ! 第四章 キムチだよ――なんどきいても、こたえはNothing 第五章 いくぜ犯罪、こいよ非国民――大泥棒、エドワード・スノーデン 第六章 自殺じゃねえよ、死体だよ――マジやべえ! 第七章 血まみれのかあちゃん、ケツの穴、ファック――迷惑上等、暴走よし 第八章 一揆だべ!――鼻の命はノーフューチャー 第九章 ああ、セックスがしてえ!――山賊、山伏、よかチンチン 第十章 赤黒つけるぜ!――孤独を喰らえ、腹ペコだい 第十一章 ひなたぼっこからあげ事件――ヒャッハッハ、またな十兵衛! 第十二章 ババア一擲―なにがわたしをこうさせたか
  • 人類最年長
    4.0
    1巻1,629円 (税込)
    江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。 男は1861年3月13日、横浜で生まれた。 とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。 何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。 五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。 この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは? 30歳の女性看護師に何を託すのか。 さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる! 文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。
  • 光の人
    4.3
    1巻1,629円 (税込)
    1000人の孤児を救うため、ひとりの男が立ち上がった。 戦後。 廃墟と化した東京を中心に、全国で十二万三千人の「戦争孤児」が生まれた。自ら飯を調達して食べることができず、寝泊りする場所すら持たない子供が、唐突に十二万人以上現れたのだ。 国から見捨てられた孤児たちの命と未来を守るため、一人の男が立ち上がる。当時、彼は十七歳の少年先生。 職も我欲もなげうって、半世紀に及ぶ茨の道を歩いた――。 「プロジェクトX」元プロデューサーの著者が、実在の人物をモデルに描く感動の物語。 「この国の歴史には記されなかった 切なく雄々しい愛の物語である」(今井彰)
  • 『スタア誕生』
    5.0
    あの人たち、あの娘たちは今 どうしているのだろうか―― すずらんの香水、首筋に感じる風、 数多の映画の情景、幾度となく紡ぎ直される物語。 '50年代の記憶を精緻に編みこんだ 切なく甘い最新長編小説。 彼女はスタアになれるのか? 『スタア誕生』公開にちなみ、地方都市の映画館で ニューフェース審査会が開かれる。 揺れながらカーテンが引かれ、シャンデリアは虹色に輝き、 まばゆい光のスクリーンで、私たちの〈金魚の娘〉は はなやかに泳ぎまわるだろうか…… 傑作「噂の娘」(講談社)から16年を経ての姉妹篇。 作家生活50周年記念刊行。
  • ゴーストマン 消滅遊戯
    3.3
    “ゴーストマン”VS冷血の殺し屋&中国マフィア。 21世紀最高のノワール・シリーズ。待望の第2弾。 恩義のある友からSOSが届いた。 すべてのトラブルを解決し、彼女を死地から救い出す。 それが私の仕事だ。  強奪は洋上で行われた。サファイアを運ぶ密輸船の襲撃。だが船にはサファイア以外のものも積まれていた。はるかに価値があり、はるかに危険なブツが。この強奪を立案したのはアンジェラという犯罪者だった。マカオで待機する彼女のもとに部下の生首とサファイアが一粒だけ届けられた。添えられたメッセージ――ブツを返せば残りのサファイアは返す。予想外のトラブルが起きたのだ。これを切り抜けるには信頼できる相棒が要る。  私は世界でも指折りの強盗だ。だが私の素性を知る者は誰もいない。例外はただひとり、アンジェラ。彼女は私の師匠であり、いかにして犯罪者になるか、いかにして強奪を仕切るかを教えてくれたのは彼女だった。彼女のおかげで私は一流のゴーストマンになった。そんなアンジェラから6年ぶりに連絡が届いた――SOSが。罠かもしれない。罠でも構わない。私は即座に決意する。死地マカオへ飛ぼうと。これは命がけの博打だ。だが、それが私を昂揚させるのだ。  マカオで待つのは冷血の殺し屋ローレンス。私たちの退路を断つ中国マフィア。ゴーストマン師弟コンビは知略とテクニックの限りを尽くして戦う。「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」で第3位に輝いた『ゴーストマン 時限紙幣』に続く、最高にスタイリッシュでクールな傑作の登場!
  • ほしのこ
    4.0
    1巻1,629円 (税込)
    わたしはひとりじゃない。 夜、見上げれば、わたしには わたしが生まれた あの赤い星の近くの星が見える。 子どもと、かつて子どもだった人へ贈る物語。 芥川賞受賞第一作! 「生きるというのは永遠に巡ってゆく 回ってゆくのだと、流れるイメージの 中でほしのこが可愛く力強く教えて くれました。天ちゃん、カッコイイ。」 のん(女優・創作あーちすと) 【出てくる人】 天――海辺の小屋で暮らす少女。父は大雨の日、山から星に帰ってしまった。 ルル――その冬はじめての雪が降った日、小屋にあらわれた女の子。 飛行機乗り――山に、飛行機が落ちてくる。飛行機乗りは、ケガをしている。
  • 小指が燃える
    3.0
    1巻1,629円 (税込)
    「沈黙のなかの沈黙」 長崎に住む作家の「私」は20代の頃、同僚の義父の葬儀に参列して、「夜、もうひとつのお葬式がある」と聞かされた。さては隠れキリシタンの秘義か? と色めきたつ「私」に同僚は困惑を隠さない。そのときから「私」の脳裡に一組の男女が棲みはじめた。 「私」はやがて、弾圧の時代にもキリシタン信仰を守り抜いた一族の末裔を主人公とする小説を書いてデビューする。しかし、それは底の浅い、通俗的な物語ではなかったか?「私」はやがて書きあぐね、行きづまる。 自分は、遠藤周作『沈黙』などの物語をこの土地の歴史に編みこんでいたのではないか? 虚構の記憶をも土地に重ね、本来の土地の姿を見失っていたのではないか? 幕末の潜伏キリシタンのプチジャン神父による発見という「物語」を批判的に乗り越える試み。作家としての出発点へ立ち返り、新たな地平へと飛翔を遂げる問題作。「小指が燃える」 長崎で戦争や敗残兵の物語を紡ぐ「私」の元へ、小説は面白くなければ、売れて読まれねばと言い切る元政治家の先輩作家(石原慎太郎)と、原爆体験を書き継ぐ女性作家(林京子)のまぼろしが交互に訪れる。 体験していない戦場や爆心地を書くのは、そこに美を感じ魅了されるからではないか。それは堕落、倒錯ではないか・・・。 己に問い直しながら「私」は、以前、文芸誌に発表した敗残兵の物語を書き直しはじめる。力作中篇240枚。
  • かわいないで
    -
    1巻1,599円 (税込)
    人気お笑い芸人、初の中編小説集 柚木麻子さん絶賛! 「勇気を出して誰かの心にふれてみた時の手触り。心にさわられた時のかすかなざらつきと温度。どうしてこんなに思い出させてくれるんだろう。この本がどうしようもなく好きだ。」 人気お笑い芸人にして注目の著者の初の中編小説集。 「黄色いか黄色くないか」 高校生の頃からお笑いに魅せられて、お笑いライブハウスに就職した主人公・唯(ゆい)。ある年末年始、賞レースが集中して芸人の悲喜こもごもが色濃くあらわれる、その季節に繰り広げられる、華やかな「笑い」の舞台裏の人間ドラマに迫る。 「かわいないで」 高校の日本史の授業中、千尋は必死に耳を研ぎ澄ます。隣席の香奈美がひそひそ声で後ろの席のふたりに語る、昨日のデートの一部始終に。千尋がどうしても聞きたいのは、聞き手の透子から香奈美に放たれる「かわいないで(笑)」という絶妙な相槌の一語なのだ。誰もが覚えのある、教室内で織りなされる関係の機微を見事に浮かび上がらせる。
  • しをかくうま
    3.6
    1巻1,599円 (税込)
    第45回野間文芸新人賞受賞作 「東京都同情塔」が芥川賞を受賞して更なる注目を集める著者が、 ほとばしる想像力で描く、馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。 太古の時代。「乗れ!」という声に導かれて人が初めて馬に乗った日から、 驚異の物語は始まる。この出逢いによって人は限りなく遠くまで 移動できるようになった――人間を“今のような人間”にしたのは馬なのだ。 そこから人馬一体の歴史は現代まで脈々と続き、 しかしいつしか人は己だけが賢い動物であるとの妄想に囚われてしまった。 現代で競馬実況を生業とする、馬を愛する「わたし」は、人類と馬との関係を 取り戻すため、そして愛する牝馬<しをかくうま>号に近づくため、 両者に起こったあらゆる歴史を学ぼうと 「これまで存在したすべての牡馬」たる男を訪ねるのだった――。
  • 令和元年の人生ゲーム
    4.0
    「まだ人生に、本気になってるんですか?」 この新人、平成の落ちこぼれか、令和の革命家か――。 「クビにならない最低限の仕事をして、毎日定時で上がって、そうですね、皇居ランでもしたいと思ってます」 慶應の意識高いビジコンサークルで、 働き方改革中のキラキラメガベンチャーで、 「正義」に満ちたZ世代シェアハウスで、 クラフトビールが売りのコミュニティ型銭湯で…… ”意識の高い”若者たちのなかにいて、ひとり「何もしない」沼田くん。 彼はなぜ、22歳にして窓際族を決め込んでいるのか? 2021年にTwitterに小説の投稿を始めて以降、瞬く間に「タワマン文学」旋風を巻き起こした麻布競馬場。 デビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』のスマッシュヒットを受けて、 麻布競馬場が第2作のテーマに選んだものは「Z世代の働き方」。 新社会人になるころには自分の可能性を知りすぎてしまった令和日本の「賢すぎる」若者たち。 そんな「Z世代のリアル」を、麻布競馬場は驚異の解像度で詳らかに。 20代からは「共感しすぎて悶絶した」の声があがる一方で、 部下への接し方に持ち悩みの尽きない方々からは「最強のZ世代の取扱説明書だ!」とも。 「あまりにリアル! あまりに面白い!」と、熱狂者続出中の問題作。
  • チワワ・シンドローム
    3.3
    1巻1,599円 (税込)
    「弱くなりたいと思うのって、そんなに悪いことですか?」 若い世代から厚い信頼を集める著者が、〈弱さ〉アピールのはびこる 現代のリアルを優しくあぶり出す会心の一作! ■あらすじ ある日、知らない間に “チワワのピンバッジ” が付けられていたという 呟きがネットに溢れた。その数、なんと800人以上! 主人公・琴美の想い人も、被害者のひとりだった。 〈チワワテロ〉と呼ばれるこの奇妙な事件の直後、彼は姿を消してしまった。 「僕のことはもう信じないで」とメッセージを残して――。 どうして彼は姿を消したのか? 琴美は、親友で「全肯定インフルエンサー」のミアとともに、 彼の失踪とチワワテロの謎を追いはじめる。 炎上時代の本音に迫るリアルタイムストーリー!
  • 蝙蝠か燕か
    3.4
    1巻1,599円 (税込)
    2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。 完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。 北町貫多30歳、地元に残された藤澤清造資料の調査に本腰を入れるため、東京の自室とは別に七尾に部屋を借りる(「廻雪出航」)。貫多31歳、七尾の部屋に清造の書簡を飾るため額装を依頼したが、思ってもいない仕上がりになる(「黄ばんだ手蹟」)。死の前年、53歳の貫多の姿を描く。ここ数年の自身を振り返り、“歿後弟子”の責を全うすべく新たなスタートを誓う(「蝙蝠か燕か」)。
  • フラッパー
    3.7
    1巻1,599円 (税込)
    前著・自伝風エッセイ『拾われた男』はディズニープラス/NHKでドラマ化! 個性派俳優が書く、恋、恋、そしてこれは恋じゃない――? 小学6年生の夏、マンモス団地「ニジノマチ」に引っ越した。 恋しては振られ、告白しては振られること14人。でも隣にいるあの子にだけは、告白しなかった。恋じゃないつもりだった―― 笑って泣ける、「自伝風」小説!
  • 絶筆
    4.0
    2022年2月1日に死去した石原慎太郎氏。その最後の文学的結晶―― 限りなくピュアな初恋の記憶を描いた「遠い夢」、死後公開された「死への道程」など、単行本未収録のまま残された作品を収録。 「太陽の季節」から67年、まさに「白鳥の歌」と呼べる一冊。
  • 誕生日の雨傘
    -
    1巻1,599円 (税込)
    天気予報はハズレ。雨の誕生日―― 私だけの、心のお守りを見つけるのも悪くない 突然はじまった学校でのいじめは一向に止む気配がない。理由も分からないまま、夏美はひとり、14歳の誕生日を迎えた。雨の公園でいじめっ子たちに責められていた彼女に訪れた転機とは?(「誕生日の雨傘」) ままならない毎日に、それでも前を向く勇気を与えてくれる、お守りのような小説集
  • 何もない空間が価値を生む AI時代の哲学【特別付録Q&A収録】
    3.9
    \電子版は特別付録Q&A付き/ インターネットという新しい宇宙を生きるには 五歳で読破した老子の教えを胸にインターネット空間で成長した台湾IT相。自らの体験をもとに説くネット空間を生きる99の心構え。
  • ギフテッド
    3.5
    1巻1,599円 (税込)
    第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
  • 松本清張 時代の闇を見つめた作家
    4.0
    松本清張の全体像に取り組んだ長篇評論 生誕100年を迎えた人気作家・松本清張の複雑で陰影に富んだ作品群を読み解き、作家が生きた時代と作品の持つ意味を明らかにする
  • 世界が青くなったら
    3.9
    1巻1,599円 (税込)
    もし朝起きたとき、大事な人が消えていたら? もしあの時、別の決断をしていたら? もしもう二度と会えないと思っていた人と会うことができたら? 人生で誰もが出会うifを問いかける物語 ある朝仲内佳奈が目を覚ますと、彼氏の坂橋亮が世界から消えていた…… LINEに履歴はないし、電話帳の中の番号もなくなっている。不安になって亮のマンションに行ってみるが、亮の部屋はずっと空室だという。親友に亮の話をしても「そんな人には会ったことがない」と言われてしまう。 自分の頭がおかしくなってしまったのか、それとも世界の方が壊れてしまったのか? 佳奈は混乱しながらも、亮の手がかりを探し始める―― 『響け!ユーフォニアム』シリーズは累計170万部を突破、『愛されなくても別に』で吉川英治文学新人賞を受賞。人気、実力を兼ね備えた気鋭が放つ、ハラハラドキドキのファンタジー青春恋愛小説。
  • 菊池寛が落語になる日
    4.0
    文藝春秋百周年記念作品 春風亭小朝の「菊池寛落語」九作が、書き下ろし「落語小説」になった。 圧倒的な人間観察眼と超斬新なシチュエーション! 菊池寛の原作小説と浅田次郎との対談などを収録した豪華版! 「入れ札」「予感」「うばすて山」「お見舞い」「時の氏神」「好色成道」「龍」「ある理由」「マスク」
  • ミス・サンシャイン
    4.0
    1巻1,599円 (税込)
    僕が恋したのは、美しい80代の女性でした…。大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」こと、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトをするようになった。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。せつない恋に溺れていた一心は、いまは静かに暮らしている鈴さんとの交流によって、大切なものに触れる。まったく新しい優しさの物語。
  • 孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか
    4.0
    改革を目指した「政界一の喧嘩屋」はなぜ総理の座を追われたのか――。 安倍・麻生との確執から、河野・小泉との本当の関係まで、 担当記者だからこそ書ける菅義偉の実像。 「歴代総理の中で、菅ほど、その実像が伝わらなかった宰相はいなかったかもしれない。一体、どこで何を誤ったのか。この6年あまり、担当記者として菅の息づかいまでを間近で感じながら取材を続けてきた私だからこそ、その真実を探し出せるのではないかと考えたのが、この本を執筆した理由の一つである」(「はじめに」より)
  • 田辺聖子 十八歳の日の記録
    4.2
    75年の時を超えて発見された奇跡の日記文学――田辺聖子版「アンネの日記」 我が家の焼失、敗戦、早すぎる父の他界……。 すべてを失った彼女はそれでも、小説家への夢だけは諦めなかった。 2019年に惜しまれつつこの世を去った国民的作家・田辺聖子。 没後2年の今年、1945年から47年までの青春期を綴った日記が発見された。 記されていたのは、「大空襲」「敗戦」「父の死」「作家への夢」……。 戦時下、終戦後のままならない日々を、作家志望の18歳はいかに書き過ごしたのか。 月刊「文藝春秋」に掲載されるや、たちまち新聞・テレビ等で大反響となった、 田辺文学の源泉にして、一級の時代の証言。 雑誌未掲載原稿、中短篇4作を収録したほか、梯久美子氏の解説をはじめ、 注釈、年譜なども加えた完全版、ついに刊行。
  • 李王家の縁談
    3.6
    1巻1,599円 (税込)
    皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は 読んだことがない。傑作である。――歴史学者・磯田道史 いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしい―― 梨本宮伊都子妃は、娘・方子女王の結婚相手探しに奔走していた。 なかなか身分の釣り合う婿が見つからないのだ……。 方子女王が皇太子妃になる道が潰えた今、方子がみじめな思いをしないように、 一刻も早く、良縁を見つけてやらなければならない。 聡明で率直、そして行動力に溢れた伊都子妃は、誰も思いつかなかった方法で、 娘の方子女王を〈皇太子妃〉にする道を見つけ出すが……。 そのために乗り越えなければならない課題は、伊都子妃の想像を越えるものだった。 高貴なる人々が避けては通れない縁談を軸に繰り広げられる、ご成婚宮廷絵巻が幕を開けます。

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